永瀬隼介のレビュー一覧
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フリーライター・加瀬隆史が今、必死に取材をしている相手・・・18歳の時に5人の女性の連続強姦殺人事件を起こして逮捕された獄中の穂積壱郎。彼は一審、二審で死刑という判決が出たにも関わらず、死の恐怖におびえることがなく、また、反省の色もない。上告しているものの、決して無罪の主張をしているわけでもない。彼に取材を申し込んだ際になぜか気に入られた加瀬隆史は、彼の獄中からの手紙により、事件の全貌、そして驚愕の事実を知ることになる。
穂積が信じているのは【至高】と呼ばれるものだけだということが彼の手紙から明らかになり、それがいったい何なのか、神なのか共犯者なのか、実体のあるものなのか抽象的なものなのか、それを追うのが話の本筋としてある。が、それだけでなく、冷静で頭がキレる穂積に翻弄される隣室の囚人(とその息子)や刑務官、そしてもちろん加瀬とのやりとりが見もの。獄中にいるにも関わらず、穂積はありとあらゆる精神的打撃を与えてくるのだ。【至高】がある限り、無敵に思われた穂積の最後は少し意外であったものの、人間、信じるものがなくなってしまえば脆いものなんだろうな。
刑務官の苦悩の部分は、あとがきによると以前読んだ「死刑執行人の苦悩」も参考にされているらしい。 -
Posted by ブクログ
この本に感銘できるものを探すなら必死に取材を続け記事を書き上げた筆者の愚直な姿勢に対してである。大変な思いをして本を書かれた筆者にお疲れ様でしたと言いたい。
犯人の生い立ちから今後の犯罪予防に参考にできることは‥などということは考えたくない。それ程胸糞が悪くなる身勝手な考え方であり行動である。
江原啓之さんが不幸の三原則は「自己憐憫、責任転嫁、依存心」だと言っていた。犯人はこれら全て持ち合わせていた。
4歳の女の子が手にかけられた描写は耐えられなく一度この本を読むことをやめようと思った。
「〜ならこんなに犠牲者は出ずに済んだのではないか」と思った局面があるが、そのような言葉は被害者や事件に関わった人を責めてしまうことになる。
生き残った当時少女だった女性が幸せに暮らしていることを心から願います。 -
Posted by ブクログ
●感想
犯人の幼少期、劣悪な環境で圧倒的に愛情不足であったことはわかった。が、犯人の弟は穏やかに暮らしているということも知った。兄弟だからといって同じような人生を辿るわけでは無い。
たとえ不運な家庭に育ったことを踏まえても、残虐すぎる手口と、のちの語り口に、自分勝手、他責、あまりにも
●本概要
92年に千葉県内で起きた身も凍る惨殺劇。
幼い子供から大人の男性まで一家4人が殺害され、逮捕されたのは19歳の少年だった。
4人の命を奪った主犯の少年が19歳だったことから世間は揺れた。そして少年19歳に下された判決は死刑。紆余曲折ののち、ついに死刑は執行された。少年の生い立ちから死刑執行までの事件の全てを一人のジャーナリストが執念で追い続けた。
戦慄の事件の背後に迫る、まさに迫真の事件ノンフィクション完結版。 -
Posted by ブクログ
「三億円事件」をベースにした警察小説。
文庫としては分厚い部類に入りますが、ただ長いというのとはまた違う理由で、読み終えるまでに時間が掛かりました。
玉川上水で、男性の扼殺体が発見されるところから始まる一冊。
被害者の身元はすぐに判明し、特に珍しいものでもない事件と思われますが、定年を間近に控えた警視庁捜査一課のベテラン刑事・滝口は被害者の名前を聞くや否や、顔色を変え、自ら捜査本部へ名乗りをあげます。
滝口とペアを組む所轄署の若手刑事・片桐は、自分を無視するかのような滝口の勝手な捜査に苛立ち、反感を覚えますが、途中滝口から殺人事件の被害者が三億円事件の容疑者の一人であり、また、滝口自身が三億円事件の捜査に当たっていたことを聞かされ、興味を覚えます。
そして物語はその不良グループを付け狙った犯行が続く形で進行していきます。
三億円事件は地元の不良グループによる犯行であり、また警察はその事実を把握していながら、事件の真相を闇に葬った―
警察が事件の真相を隠蔽する理由は、少なくともフィクションの世界では一つしかなく、また、不良グループを狙う犯人も途中で分かってしまったので特に驚くような展開はありませんでしたが、主要登場人物が多いにも関わらず、一人一人の心理や環境を丁寧に且つ矛盾や過不足もほぼなく、描き上げる力はお見事。
欲を言えば、終わり方が物足りませんでした。
これだけ長々と力強く書き上げたのに、最後の最後で力尽きたのかしら?と思うような。少し肩透かしをくらった気分です。
作品の中に、思わず応援したくなるような、肩入れしたくなるような魅力的な人物がいないのもこの作品の特徴でしょうか。
筆者の語彙力の多さ?高さ?も、特徴のひとつ。
知らない熟語が多かったのですが、それも不思議とこの作品の雰囲気にマッチしていましたね。
もし三億円事件の真相がこの小説の通りだとしたら納得できませんし、現実社会においては矛盾があると思うので、満足度は普通です。