永瀬隼介のレビュー一覧
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ネタバレ満州七三一部隊、帝銀事件、地のメーデー事件といういまや歴史上の事実を題材に時代の大きな物語に巻き込まれながら、記録されることもない主人公の怯え、怒り、暗い情念、焦燥をくっきりと浮かびあがらせている。ここにはまぎれもなく大きな物語が生きていた時代があり、大きな物語に関わることで
必然的に輝いていた人間を浮き彫りにすることで、大きな物語を失った現代ニッポンが二重写しとなっている。羽生の体験、行動、激情はもはや想像力を持ってしても追体験はできない。あるのはただ「平沢貞通」の死刑という重い事実だけである。ところで帝銀事件の前に安田銀行荏原支店で未遂事件が起きていたことを知り個人的な感慨を得たことを付記 -
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戦後日本の帝銀事件を題材とした骨太ミステリ。
満州にある部隊に属していた羽生誠一は、ハルピンの華やかな闇の中で記者である梶や特務機関員である片岡、歩哨仲間の山下と出会う。敗戦の色が濃くなり、上層部は人体実験の暴露を恐れ証拠を隠滅し遁走する。
刑事になった羽生は帝銀事件の応援をする事になるが、鑑札でも割り出せない毒物の使用に警察は軍部の関わりを疑う。
非常に面白かった。特に戦後日本の状況がものすごくリアルに描写されていると思う。冒険小説のようでもあり、展開にスピード感があり楽しめた。
が、戦後日本について自分の無知にも呆れた。この事件も聞いた事がある程度で、すべての事が目新しかった。この時代につ -
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フリーライター・加瀬隆史が今、必死に取材をしている相手・・・18歳の時に5人の女性の連続強姦殺人事件を起こして逮捕された獄中の穂積壱郎。彼は一審、二審で死刑という判決が出たにも関わらず、死の恐怖におびえることがなく、また、反省の色もない。上告しているものの、決して無罪の主張をしているわけでもない。彼に取材を申し込んだ際になぜか気に入られた加瀬隆史は、彼の獄中からの手紙により、事件の全貌、そして驚愕の事実を知ることになる。
穂積が信じているのは【至高】と呼ばれるものだけだということが彼の手紙から明らかになり、それがいったい何なのか、神なのか共犯者なのか、実体のあるものなのか抽象的なものなの