山本幸久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
単行本で読んだことのある本ですが、文庫化に際し書き下ろし短編を収録ということで、再読。
父が興した会社を倒産させてしまった宍倉勲と、その娘・香を、時間をさかのぼって描く連作になっています。
父親の会社を見学に来た小学生の香、家出をした中学生の香、女性の社会進出を阻む世の中に憤慨する高校生の香、会社を興そうとする23歳の香、その時々の香と絡ませながら、誠実に働く勲の姿が描かれていきます。
その節目節目に、“床屋さん”があるんですね。
“会社を倒産させた”とあったし、階段も上れない老人としての勲が最初に出てきたこともあって、何だか冴えない爺さんだなぁ、と感じていたのですが、読んでいくうちに勲がど