夢枕獏のレビュー一覧
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のちの西行こと佐藤義清と平清盛の二人は、北面の武士として友情を育むが、義清は、待賢門院璋子と出会い、心を奪われてしまう。
私の好きな西行をこれまた好きな作家である夢枕獏がどのように描くのか、期待しながら読み進めましたが、その期待は裏切られることはありませんでした。
佐藤義清(西行)が璋子との出会いによって心を惑わされることは知っていましたが、それだけではなく、そこに怪しの世界、まさに「陰陽師」の世界を取り入れることによって、西行の心の内を変化を見事に描いていると思います。
清盛のとの関係も安倍晴明と源博雅との関係に似ているようでまとちょっと違う感じも楽しむことができました。
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ネタバレこの本は全体的に好きは話ばかりだった。
「月琴姫」
沙羅と博雅に名付けられた琵琶の精の話。博雅…罪な男だな…。
「花占の女」
菊で花占をする女の話。書き方によってはおどろおどろしくなるだろうに、綺麗に切なく纏め上げている。さすがだなあと思う。
「龍神祭」
ここでもまた博雅が原因(笑)
笛に魅入られた神々との交流を描く。この本の話はどれも好きだけど、この話が1、2を争うかな。
「月突法師」
枯れた松を切らないでくれと頼む法師の話。ツクツクボウシって7年地中に居るのか…知らなかった。
「無呪」
人の心を映す、古来の神の話。
博雅の心の清らかさが浮き彫りになった話ともいえる。そんな博雅だか -
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二度目の「警視庁武術試合」で西郷四郎は、唐手の使い手と死闘を繰り広げる。死闘を経て、苦悩の末に四郎が下した決断とはー。
4巻まで一気に読まされました。
これほどまでに熱い格闘・時代小説いわゆる剣豪小説があったかと思うくらい、格闘場面が見事に表現されていました。
まさに命を賭けた格闘をここまで表現できた小説はないのではないでしょうか。
嘉納流柔術が現代に柔道という形で世界に展開していることを思うと、この明治という時代に闘った男たちの熱い思いが連綿と続いているのだと思うととても感慨深いものがありました。
天の巻はこれで完結しましたが、あの心に残る結末から次の地の巻につながると -
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2015/2/20。2015年5冊目。
久々の獏さんの平安もの。鬼譚草子も持ってた筈なのだけど、ついつい手に取ってしまってしばらく積読した後読み始め。
小野篁を初めて知ったのは多分中学生くらい?
何で知ったんだったかしら…と遠い記憶を思い返しつつググってみたら、そう。藤川桂介氏の「篁変成秘抄」でした!
藤川氏の文章自体が余り好みじゃないんだけど、これを読んで小野篁を知ったんだったけ。篁のこよを知るきっかけにはなったけど、それだけで、話とか全然覚えてない。
そしてこのおにのそうし。
平安ものは学生時代、今昔物語だとか宇治拾遺物語でもやってたので(一限目から鬼の研究とか履修してたわ)ストーリー的 -
- カート
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試し読み
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本作はキマイラシリーズの外伝にあたる作品で、シリーズ本編では敵として登場していた龍王院弘と宇名月典善を主軸としており、彼らの出会いから龍王院弘の裡に眠る『龍』が吼えるまでの一連の出来事を描いている。
『キマイラ』と銘打ってはいるが、この作品には『異形』の一切が現れない。キマイラのその部分が好きでこのシリーズを読んでいる方にはそういった意味では物足りなく感じるかも知れない。
ただ、読者をいつの間にか引き込む纏わり付くような雰囲気は健在であるので、作品に関係なく夢枕獏という作家の紡ぐ文章が好きだという方ならば間違いなく楽しめるだろう。
人の裡に潜む荒々しい獣性。血腥く泥臭く、しかし美しい闘争。 -
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陰陽師シリーズ4作目にして初の長編となった『生成り姫』
シリーズを読んでいなくても、あらためて陰陽師(おんみょうじ)というものや安倍晴明(あべのせいめい)、源博雅(みなもとのひろまさ)について、章を割いて解説してあるので、この巻のみ読んでもイケる。(※ただ、やはり要約なので一巻から読むことをおすすめする)
やはり夢枕獏の陰陽師の、なんともいえない雅(みやび)な世界、そして鬼と人とが共存する平安の怪しい闇の世界が美しい。
今回キーとなっているのが、本性(本然:ほんねん)。
再三に、こう語られている『雨も水、池も水。雨が続けば梅雨と言われ、地に溜まれば池と呼ばれ、その在り方で名づけられ方はその