梶尾真治のレビュー一覧
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「つばき、時跳び」の元のタイトルが「つばきは百椿庵に」だったというので、似た雰囲気の物語を想像して読み始めたのだが、生涯をかけた初恋をした、初恋に一生を捧げた男の、あまりに一途な姿には、春と桜と海(岬)という風景とは真逆の影の空気を感じさせられる。
さて、杏奈のことばかりが語られ、家族やまわりの人物との関係はまるで背景かのように味気なくしか触れられれず、特に梓との関係、梓の思いが男に(読者にも)明確に伝わってこないのは、時の間に閉じ込められた少女を待ち続け、流れ続ける時の中で時を止めてしまった男
にとっては、周りの人間との時間の流れに差ができて、
梓に限らず、自分を取り囲む人や世界は、まるで -
- カート
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試し読み
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映画を先に観てから原作を読みましたが、両者のカラーは驚くほど異なっています。起承転結がハッキリしており、伏線も周到に張り巡らせた映画と比べると、原作の筆致は淡々としており、拍子抜け、というのが初読時の率直な感想でした。
しかしながらこの原作、改めて読み返してみるといい味出しているんですよね。1つ1つの事例ごとに、黄泉がえりが関係者に与えた影響は異なります。そのありようを淡々と、しかし克明に同時並行で描き出す事によって、SF作品であるにもかかわらず奇妙なリアリティが生じているように思います。
元は地方紙の新聞小説という経緯にも深く納得。時間をかけてじっくりと味わいたい作品です。 -
Posted by ブクログ
怨讐星域シリーズの2作目。ニューエデンにジャンプした人類も宇宙船ノアズ・アークで新しい地球に向かう人類も数世代の世代交代を経て当初の様子を経験したことがない世代が文明の維持をしている。本作品ではどのようにサバイブするのかよりも、そこで生活する人々の行動そのものが物語の主役となっている。今の現実とまったく異なる世界というのが根底にはあり、人間はどのような生活をするのか、一種の思考実験のように読める。特殊な状況のラブストーリーや宇宙船の危機を救うアクション、青春小説など何種類かのエンタテインメントが詰め込まれている。
このシリーズでは、きっとニューエデンへジャンプした人間と宇宙船ノアズ・アークで -
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太陽フレアによる地球滅亡の危機が到来した。人類はどのように対処するのか。対処方法としては2つ。秘密裏に選ばれたごく一部の人々が宇宙船で新しい地球に移住する。テクノロジーの進歩によるテレポーテーション技術による新しい地球への移住(ジャンプ)。
よくある設定だとは思うが、宇宙船に乗船できるのは人類のごくごく一部。裏で脱出計画が遂行されるのも当たり前。一般人に宇宙船のことが漏洩されたことが知られると、当然のことながら残された人々は地球を脱出した人に対して怒りの感情を抱く。面白いのは、宇宙船が新しい地球に到着するのは数世代後の子孫になる一方で、テレポーテーションでジャンプした人々は瞬時に移住できるこ