Posted by ブクログ
2016年03月11日
太陽フレアによる地球滅亡の危機が到来した。人類はどのように対処するのか。対処方法としては2つ。秘密裏に選ばれたごく一部の人々が宇宙船で新しい地球に移住する。テクノロジーの進歩によるテレポーテーション技術による新しい地球への移住(ジャンプ)。
よくある設定だとは思うが、宇宙船に乗船できるのは人類のご...続きを読むくごく一部。裏で脱出計画が遂行されるのも当たり前。一般人に宇宙船のことが漏洩されたことが知られると、当然のことながら残された人々は地球を脱出した人に対して怒りの感情を抱く。面白いのは、宇宙船が新しい地球に到着するのは数世代後の子孫になる一方で、テレポーテーションでジャンプした人々は瞬時に移住できること。しかも人数制限はない。ほとんどの人がテレポーテーションで一足先に移住した。宇宙船で脱出した人々への怒りを胸に抱いて。
星新一のショートショートにあるストーリーだが、こちらはもっとリアリティーを伴う。一瞬で移住できても、道具や資源がないので、原始時代の生活を余儀なくされる。人を襲う異星の生物もいて楽園のようにはならない。一方で宇宙船でも世代交代させる仕組みなどで問題は起こる。真剣に他の惑星に移住するとなると問題になりそうなことがどんどん起こる。宇宙に新天地を!というのは聞こえがいいが、実際にはどのような移動手段でも大変そうだなと思わされる。
地球滅亡を前に、人類はどのような行動がとれるのか、宇宙船で脱出するのか、テレポーテーション(ジャンプ)を使うのか、地球に残るのか。どの選択肢が正解なのか、深く読むといろいろなことを考えさせられる。本書はまだまだ続くので、続篇も読んでいきたい。