手塚治虫のレビュー一覧
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今の漫画と違い、時代背景というか、思想というかを取り込んだストーリー構成は、初めて刊行されてから時間が経った今だからこそ、逆に考えさせられるものがある。
ブラック・ジャックの漫画を読むのはこれが初めてなのだが、随分とグロテスクなものを実にリアルに描写しており、当時「ホラー」というジャンルに区分されたのも頷ける。
それに加え、人間の汚い部分(社会的地位云々の話とか、お金云々の話とか)を混ぜ込むことで、実に人間味溢れた漫画となっていて、到底子供向けの漫画ではないような気がする。
しかし、一話読み終わった後味は決して悪くないのは、物語の最後でちょっと和やかになったり、考えされられる場面で終了した -
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手塚治虫の問題作として知られる、村社会を中心に戦後日本の暗部を描いた作品。
青森の地方旧家である天外家は、かつて大地主であったが戦後の農地改革によりその繁栄は衰退の一途にあった。天外家の次男である仁郎は戦場から復員し、四女として「奇子」が生まれたことを聞かされるが、奇子が不義の子であることに気付き、一族に近親相姦や封建的な慣習が蔓延ることに強い嫌悪感を覚える。
そんな仁郎もまた、GHQのスパイとして殺人事件に関わることになるが、証拠を隠滅する現場を奇子に見られてしまう。家名が汚されることを恐れた天外家は、奇子を生きたまま土蔵の地下室に幽閉することを決め、奇子は閉ざされた空間で1人生きることを -
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人間がトコトンどん底まで苦しんで、あー、おいらはケダモノとおんなじだと思いこまなきゃだめだと思うな、と言えるような心の平穏を、幼くして手に入れているはずのタッタ。
戦火にも、飢えにあっても、逞しさと優しさの中で死ぬことなくあって、それでも生きてゆく限り、儘ならなさは斯くも残酷にひとつの生を絡め取る。
同じく、ブッダとなれたはずであろう彼が、シッダルタと何を違えて生まれてきたというのか、親兄弟も、親兄弟程の関わりを持つ者も、全て同じ全体主義に生きる人々に殺され、そのコーサラ国への復讐を誓わざるを得ないまでに追い込まれながら、タッタ生来の闊達さが覆われてゆく過程は、吐き気を催すような居た堪れなさを -
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手塚治虫「ルードウィヒ・B」。
文庫で全1巻。または全2巻のものもあります。
中世から近代へ。王政の土台が揺れ始めたヨーロッパ。
ウィーン。
貴族の息子であるフランツは、「ルードウィヒ」と名をつけていたアヒルのために母を亡くす。屈折して育ったフランツは、「ルードウィヒ」という名の全ての生き物に報復することを生きがいとしていた。
ボン。
貧しい宮廷音楽家の父に、ベートーベンが生まれる。ルードウィヒ・ヴァン・ベートーベン。
母を亡くし、酒浸りの父と弟たちを養いながら、少年の頃から天才的な音楽の才能を煌めかせる。
貴族が全てを握る時代。
しかし、フランス革命を皮切りに、共和制の理想の声が若者 -
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外見が犬でありながら人として生き続ける小山内。
女たちは必ず彼を愛した。
人でありながらゆがんだ願望を押し通す竜ヶ崎。
すべての権力と権威も地に落ちて孤独に死んでいく。
歪んでいない欲望はあるのか。
人たるものはみな己の欲のために生きる。
それは清廉潔白でありたいでも
権力をほしいままにしたいでも
すべてては「ただ愛されたかった」のではないか。
愛されたい
愛されたい
と言って生き
死んでいくのだ。
ほしいものをまっすぐにほしいと言えない男の哀しさ
そんなものにもう同情はしない
21世紀も16年目
ほしいものは自分で自分に与える時代なのだ -
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サンリオアニメ「ユニコ 魔法の島へ」をふと思い出して。
あれを始めてみた時は何にもわからなかったけど、ユニコは永遠の幸運として、時間や時代を超えて運ばれる定めにある生き物だった。そして、それを命ずるのは美。なんという皮肉な神話ではないか。どこにもいないということは、どこにでもいるということでもある。だからこそ、ユニコは優等生すぎて、味気がないと本人は言うのだろう。
ユニコを見出すのは他でもない、そこに生きるものたちだ。望んでもやって来るものでもないが、愛ややさしさがなければ、ユニコを見出すことはできない。ひとつの心持で居続けるということほど困難なことはない。永劫回帰。そして、永遠であるユニコは -
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おすすめ度:80点
最終章は「イエスの誕生」であるが、この部分のみ、旧約聖書からではなく、ギリシア語新約聖書からのものである。(旧約聖書はユダヤ教での正典であるが、新約聖書は正典として認めていない。)
本著は手塚治虫氏の人生最後の作品である。よくぞ、出版社集英社文庫は本書を企画出版してくれたと思う。永く受け継がれていくべき漫画、アニメであると思う。
第18話 エリコ
第19話 初めての王サウル
第20話 サウルの敗北
第21話 ダビデ王
第22話 ソロモンの王国
第23話 バビロン捕囚
第24話 奴隷からの解放
第25話 砂漠の預言者たち
第26話 イエスの誕生
解説:渡部信氏(財団法人日