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Posted by ブクログ
手塚治虫「ルードウィヒ・B」。
文庫で全1巻。または全2巻のものもあります。
中世から近代へ。王政の土台が揺れ始めたヨーロッパ。
ウィーン。
貴族の息子であるフランツは、「ルードウィヒ」と名をつけていたアヒルのために母を亡くす。屈折して育ったフランツは、「ルードウィヒ」という名の全ての生き物に報復することを生きがいとしていた。
ボン。
貧しい宮廷音楽家の父に、ベートーベンが生まれる。ルードウィヒ・ヴァン・ベートーベン。
母を亡くし、酒浸りの父と弟たちを養いながら、少年の頃から天才的な音楽の才能を煌めかせる。
貴族が全てを握る時代。
しかし、フランス革命を皮切りに、共和制の理想の声が若者たちの、ベートーベンの心を捉え始めていた。
フランツと、ルードウィヒ・ベートーベン。
ふたりの人生はやがて交わる。
フランツが悪意から振り上げた暴力が、ベートーベンの耳を襲う…。
#
フランツは、ベートーベンを辱めて貶めることを人生の目的に定めた。
ベートーベンは、フランツの悪意を受け止めながら、「僕はいつか、僕の音楽の前に、貴族を、あなたをひざまづかせてみせる」。
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手塚治虫さんが、「ブッダ」を連載していた雑誌に、「ブッダ」に続いて連載した漫画なんですね。
つまり、「ブッダ」と同じような大河ロマンになる予定だった!
(んぢゃないかなあ、多分)
ベートーベンの誕生から始まる物語は、フランツの運命を絡ませながら、少年ベートーベンの苦労、青年ベートーベンの苦悩を描いていきます。
そこには、共和制へ揺れるヨーロッパ貴族たちの姿が描かれ。
ベートーベンが師事した破天荒な天才・モーツァルトの性格が描かれ。巨匠・ハイドンが現れ。そしてベートーベンの切ない恋愛が歌われます。
おそらくは架空であろうという、個性的な脇役も溢れるように登場。
「音楽を漫画で描く」という難しいところを圧巻のイメージ描写で描きながら、手塚さん一流の破天荒なギャグも健在。
幕末日本を描いた「陽だまりの樹」。
ナチスと戦時日本を描いた「アドルフに告ぐ」。
それに並ぶような壮大な「めくるめく18世紀〜19世紀の欧州音楽絵巻」になるはずだったのでは。
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1987年にはじまった連載は、1989年に未完のまま終了します。
手塚治虫さん、60歳の早すぎる病死のため。
手塚さんは、色んな理由で未完になった漫画がけっこうあるんです。
まあ、もともとの総生産量が、常人離れしているからなんでしょうが。
「ネオ・ファウスト」
「グリンゴ」
「一輝まんだら」
「バンパイア」
などなど… そして、この「ルードウィヒ・B」。
どれもこれも、ああ、続きが読みたいなあ、というため息モノばかり。。。
#
今回、20年ぶり以上?の再読だったのですが、
いやあ、やっぱり面白いなあ。
屈折した貴族、フランツの、従軍時の冒険譚。
殺人も辞さないフランツの、捨て子への愛情。
愚直なまでに真面目で不器用で純粋な青年ベートーベンの、身悶えするような初恋。
そして財産も学問もないベートーベンの劣等感。
ベートーベンの伝記はいくらでも読めるのですが。
そこに架空の人物、愛に飢えた青年フランツを絡ませて。
憎悪、悪意、屈折、プライド、そして純粋さ。
そんな奔流が、「歴史」に流れ込んでいく。
手塚エンターテイメントの語り口。
この噺家の、この物語。
最後まで聴きたかったなあ。
Posted by ブクログ
実際読んだのはハードカバーのほうなのですが、探しても無かったようなので文庫版を
ベートーヴェンの話です
音楽を絵で表すのは非常に難しいと思うのですが
(アニメやドラマになって初めて、演奏シーンが生き生きしてくるまんがって多いですよね)
このまんがの演奏シーンは絵が音になって流れてくるようで
さすがはまんがの神様と呼ばれるだけあるのに納得
もう一人の主人公である貴族の息子フランツがベートーヴェンの人生に暗い影を落とします
このフランツが(架空の人物だと思われるのにもかかわらず)生き生きしています
本格的に絡み合うかと思うところで終わっているけれど、続きは永遠に読めないのですよね・・・
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