あらすじ
奇病「モンモウ病」の原因究明のため、小山内桐人(おさない・きりひと)は犬神沢へとわけ入った。そこで彼が見たものとは? そして、彼を巻き込んだ陰謀とは!? とうとうモンモウ病に蝕まれ、容貌の変わった桐人は、異国を放浪し続ける……。一方、日本では竜ヶ浦(りゅうがうら)教授の野望が着々と進行していた! モンモウ病は、はたして伝染病なのか? 現代社会の病巣をするどくえぐる、衝撃のヒューマン・ドラマ! <手塚治虫漫画全集収録巻数>MT31『きりひと讃歌』第1巻収録 MT32『きりひと讃歌』第2巻収録
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Posted by ブクログ
もっと早く読めばよかった。傑作。
謎の奇病モンモウ病の原因と治療の研究にあたる若き医師:小山内桐人。彼は、医師会会長当選を目論む上司:竜ヶ浦教授の手により、モンモウ病に罹患させられ、存在を医局から抹消される。
1巻は、桐人が犬人間として見世物にされ、台湾に売り飛ばされ、一方同僚だった占部が、奇病の原因を探り小山内を救出しようとする過程で精神を破壊されるあたりまでが描かれている。
医学界の権力主義と、その犠牲になった桐人や周りの人々を通して人間の尊厳とはなんぞや?という課題を浮き彫りにしている。
救いようのないラストで後味が悪いという意見もあるようだが、読む人や時代によって感じ方は変わるだろう。
私の場合、今の時代にこれを読めてよかったと思う。
Posted by ブクログ
医学に精通してる方じゃないと絶対描けない漫画。きっとこんな病気はないんだろうけど、ありそうな気がするくらいリアルで不安になる。
主人公の精神力が本当に凄い
Posted by ブクログ
手塚治虫版の『白い巨塔』と評される、医学界の権力闘争を扱った長編。登場人物の誰もが救われることのない、悲しい物語です。テーマの重さもさることながら基本的にどぎつい描写が多く、僕は中学時代に初めて読んだときから怖い印象を強く持っていました。キリスト教の受難の考えなど、深く考えさせられる仕掛けが満載されています。
Posted by ブクログ
外見が犬でありながら人として生き続ける小山内。
女たちは必ず彼を愛した。
人でありながらゆがんだ願望を押し通す竜ヶ崎。
すべての権力と権威も地に落ちて孤独に死んでいく。
歪んでいない欲望はあるのか。
人たるものはみな己の欲のために生きる。
それは清廉潔白でありたいでも
権力をほしいままにしたいでも
すべてては「ただ愛されたかった」のではないか。
愛されたい
愛されたい
と言って生き
死んでいくのだ。
ほしいものをまっすぐにほしいと言えない男の哀しさ
そんなものにもう同情はしない
21世紀も16年目
ほしいものは自分で自分に与える時代なのだ