あきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“懇願する瞳で、セシルはジュリアンを見つめた。
「だってジュリアンにもしものことがあったら、わたし、もう生きていけません」
「セシル……」
ジュリアンが、息を呑みこんだまま動きをとめる。
やがて根負けしたように、彼は視線をうつむけた。
「……まいったな」
夜風にさらわれる銀の前髪の奥から、やるせないような、苦笑の気配が伝わってくる。
ジュリアンは、くしゃりと髪に手をさしいれた。
「ジュリアン?」
「きみはもうすこし、出し惜しみということを覚えたほうがいいんじゃないかな」”[P.210]
6巻目、最終巻。
勢いづいて一気に読み終えてしまった。
仲違いは長かったのに誤解を解き合うのが早かったなと思いつつ、二人の仲が早々に落ち着いたのは読んでる側として嬉しかった。
ヒントから答えを導きだせないまま進んで行く事件への焦燥に駆られつつも、再び新聞社でパートナとして働く二人が見れて楽しい。
死を覚悟している犯人ってのは厄介だけど、このクリストファーはなんか憎めなくて、最期の辺りとかは涙ぐみそうになる。
セシルとジュリアンがハッピーエンドに辿り着けて良かった。最後のマザーグースの唄は、一番最初にセシルがジュリアンに教えたやつだってのがもう……。
最強カップルの話とかその後とか。文庫に載りきらなかったのが残念だけど、雑誌の中編、ちゃんと読んでおきたい。
“「ああ、そうだ!さっき、通りにマフィンの屋台がでていたんだ。おいしそうだったから、いま買ってくるよ。すぐに戻ってくるから待っていて」
「え、あ、あの」
セシルがとまどっているうちに、コートを羽織ったジュリアンの姿は、すでに扉の向こうに消えかかっていた。だが彼は、そこで唐突にセシルをふりむいた。
「ねえ、セシル。いつかふたりで新聞社を起ちあげるっていうきみの夢、きみさえよければ、現実にしてしまうのはどうかな」
そしてジュリアンは、コートの裾をひるがえした。
まるでうれしさのあまり、じっとしていることすら難しいといった様子だった。
いまはただ、未来への期待がふくらんでいるだけかもしれないけれど。それでもジュリアンが、セシルの夢をまじめに受けとめてくれていたのを知り、彼女の胸は驚きとうれしさでいっぱいになった。”[P.315] -
Posted by ブクログ
“乱暴に顔の雨をぬぐうと、殴られた頬が痛んだ。
重い身体をひきずるように、下宿の階段をのぼる。すると足音で帰りを察したのか、自室の扉からレナードが出迎えた。
「ジュリアンさま」
こちらの顔を見たとたん、レナードが目をみはる。
「話なら明日にしてくれないか、レナード。今夜はもう休みたいんだ」
「いえ、そうではなく——」
なおもなにか伝えようとするレナードにはかまわず、ジュリアンは部屋をよこぎる。
だが寝室の扉に手をかけようとしたところで、足はとまった。
無言のまま、じっと扉の向こうを見つめる。
ジュリアンは目を閉ざした。ひとつ、深く息を吸いこんでから、寝室に足を踏みいれる。
ゆれるランプの灯りのなか、本棚に向かいあっていた人影が、こちらをふりむいた。
労働者ふうの、くたびれた身なりをしているが、見まちがえるはずもない。
均整のとれた長身。光を透かす銀の髪。青みのほとんどない灰の瞳。
その怜悧な表情は、三年の時を経て、精悍さを増しているだろうか。
そしてジュリアンは微笑を浮かべた。
「おかえりなさい、兄上」”[P.60]
5巻目。
曰く、怒濤の言い訳篇。
物理的にも精神的にもジュリアンふるぼっこ。
四人兄弟で演奏してるシーンが楽しくて好き。
再びガブリエルが出てきたのは嬉しかった。
読んでいて言い得ない難しさが気の短い従者の行動で落ち着く。レナードのこの行動が好き。
そこからのセシルの気持ちの変動と、驚きの終わり方に続きが気になる。
“「ごめんなさい、ジュリアン」
ごめんなさい。ごめんなさい。
伝えたいことはたくさんあるのに、もう時間がない。
「——二」
あなたに出会えてよかった。あなたを好きになれてよかった。
だからわたしを忘れないで。でもどうか苦しまないで。
あなたには、誰よりも幸せになって欲しいから。
「——一」
耳許で、金属音が鳴る。
その刹那、セシルは手首をかえし、銃口を自分の胸に押しつけた。
こうすれば、セシルの身体を貫いた銃丸は、クリストファーまで届く。あとは、ジュリアンがなんとかしてくれる。
たちまち目をみはるジュリアンの顔を、セシルは瞳に焼きつける。
「——セシル、やめろ!」”[P.313] -
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“「きみたちふたりのつきあいが、もともとどんなふうに始まったにしろ、いまのきみはあの子に対して真剣なようにわたしには思えるよ。だからこそきみは、慎重になっているんじゃないのかい?」
ジュリアンは無言で視線を伏せた。幾度かためらってから、告白する。
「本当に大切なことは、いつまでも伝えられないんです」
わずかに目許をゆがめ、つぶやく。
「簡単に口にしては、言葉が汚れてしまう気がして」
「それはまた、新聞社で働いている人間の台詞とは思えないね」
レスターが呆れたように笑う。
ジュリアンは肩をすくめてみせる。
「ですね」
「このままでは、仕事にさしつかえそうだ」
「仕事なら、大いにさしつかえていますよ」
そして目を閉ざし、ため息のようにささやいた。
「近ごろのぼくは、とりつくろうだけで精一杯なんですから」”[P.132]
4巻目。
副題で指している人物を捉え違えていた。
最後にがつんときて次が楽しみ。
“「聞いたか?セシルはきみをこんなに信頼している。さぞ満足だろうな」
「ダニエル、セシルのまえだ」
低く、ジュリアンが指摘する。その冷静さが、ダニエルの感情をふりきらせたようだった。
ジュリアンを見すえるダニエルのまなざしが、にわかに鋭さを増す。
「それをきみが気にするというのか?結婚など最初からする気もないのに、散々この子の心をもてあそんだきみが?」
「ダニエル!」
叱責するように、ジュリアンが叫んだ。そして頭をうつむけ、乱れかかった髪に乱暴に手をさしいれると、懇願するようにささやいた。
「やめてくれ、頼むから」
そんなふたりの様子を、セシルは呆然と見つめていた。ただただ悪い予感のようなものが全身に広がり、その場に立っているのがやっとだった。
「……結婚ってなに?」
セシルがつぶやくと、ふたりが弾かれたように顔を上げた。
「……もてあそぶってなに?意味が、わからないの。なんの話なのか、ちゃんと説明してくれないと、わけがわからない」”[P.221] -
Posted by ブクログ
“俺達はなんだかちょっと変な双子だった
俺が泣かされると必ずすぐにダンテが助けに来た
そして ダンテと離れると俺だけが寝こんだ
それはダンテが戻ると嘘のように治って
まわりの大人は皆 あまりそれを快く思ってなかった
『役立たず』 ランテ おまえは 本当に役立たずだ”
双子の過去。
楽しいんだけどゆるゆる進むなぁ。
完結してから一息に読み返したくなりそう。
Thanks to K.H.
“彼らも私と同じようにあの日の何かを知っている
そして 本来なら一番真実を知りたいであろう「被害者の子供」は
人を疑う事もなく 何も知らぬまま
…あまりに名前の通りの人で イライラする”