真山仁のレビュー一覧
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ネタバレ3
ストラスバーグ、GC、AD、KKLのクラリスとともに、FBIや州知事、大統領までが絡み壮大な内容。リーマン、GCの破綻、米国の魂の企業ともいえるADの買収劇は圧巻。最後に明かされる全ては鷲津の手の平の上で踊っていた的な展開もすごい。秘密裏にAD側の研究開発役員とつながっていた話も伏線が効いてよい。誠実で一生懸命なジャッキー、ジャーナリズムに熱いリッキーが個人的には好感。日本に買収されようとした時に州ぐるみで守ろうとする地域に愛された、アメリカンスピリッツはすごいと感じた。そのような存在感のある企業は強い。
アンソニーがやっているアフリカ援助の下り。アフリカ援助という相互扶助。欧米列挙の食い物にされてきた償いという見方。援助により波及効果が生まれやがて未開の地が一大消費地へと進化するビジネスという見方。
リンの評価。ビジネスを成功させるための非情さと権謀術数の巧みさ。常にクールに振る舞いながら気づいた時には獲物に止めを刺している。対照的な扱いを受けるジャッキー。誠実で一生懸命。
ライオンキング。ハクナ・マタタとはスワヒリ語でなんとかなるさ。
佐藤優の解説にある、「投資銀行の世界だけでなく、政治、学術あるいは作家の世界でも「天才的な閃きがないなら努力なんてクソだ」というのが真実なのだと思う。しかし、それを口に出してしまったら社会から浮き上がってしまい生きにくくなる」という文言。これは諦めている人の言葉であり、努力した先に閃きがあるのだと思う。 -
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ネタバレ3
ハゲタカシリーズ第4弾。強欲は善であり、強欲こそがアメリカンドリームの原動力。そんな米国覇権主義にお灸をすえる。サブプライムローン危機をモデルにしたアメリカが舞台。GEがモデルのAD社の買収を巡り、圧倒的財力を持つサミュエルストラスバーグと対峙。リン、堀、サム、飯島をはじめ、新たにアンソニーという右腕になりそうな若手も。暁光新聞の北村とリッキーコンビを絡めたメディア合戦も面白い。エジソン逸話も面白い。集合天才というシステム。有名な名言は、いくら努力しても閃きがなければ何も生まれないという解釈もあるらしい。
低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)を集めて証券化したものが、サブプライムローンのモーゲージ債。これのCDS(クレジットデフォルトスワップ)とは、貸し倒れのリスクを回避するためにかける保険のような金融商品。CDOとは様々な債権やローンなどをミックスした証券化商品。
アメリカでは戦後一度も住宅価格が下がったことがない。
エジソンが遺した言葉。社会が必要とする仕事には必ず後継者が現れる。エジソンは集合天才という発想を築き上げたと言われている。各々の専門分野において突出した才能を集めれば一人の天才をもしのぐ発明が期待できる。GEやアップルのスティーブジョブズなどにも受け継がれているらしい。一人の天才ではなく、チームプレイで画期的商品を創り上げる集合天才のシステムが20世紀の工業化社会を築いた。天才は1%の閃きと99%の努力と言われるが、実は努力が大切という意味ではなく、いくら努力しても閃きがなければ何も生まれないという解釈もあるらしい。自信家だったらしい。
沈黙は金というが、後ろめたいと感じている相手に対してだんまりの効果は絶大。 -
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ネタバレ今年(2020年)の初めの議員逮捕で、またぞろ世間の耳目を集めたカジノ法案(総合型リゾート/IR整備促進法)。候補地のどこに出来るかまだ未定ながら、例えば大阪にしても、開業は2024年とかなので、なかば忘却の彼方だったけど、そんな事件もあっての今、興味深く読むことができた。
真山仁作品は『マグマ』に次いで二作目。経済誌の連載の『ハゲタカ』あたりは読んでいたけど、途中でFade outしてしまい結末はしらないが、どの作品も、緻密な取材を重ねた、多岐にわたる情報量に圧倒される感があるのが著者の特徴か。さすが元新聞記者。
その著者が、IRにまつわる経済小説に、新聞記者の活躍という物語を交錯させて描く群像劇。群像劇なだけに、登場人物が多く(特に全国各地に居る記者たち)、最初とっつきにくいのだけど、個々の記者の取材が、有機的に絡んでくると読むスピードにドライブがかかる。後半は一気読みだ。
話のモチーフは、カジノ誘致に政財界が絡む、コテコテのどちらかというと古典的なお話ではあるけど、主人公は“記者たち”というのが、ちょっと新鮮だった。
若手記者に向けての社内研修のような場面から始まって、ベテラン記者からの教えや、新聞社における社内政治などに多くの頁を割いて描いている。帯にあるように“記者たちの矜持と執念が闇を照らす”とあるように、IRは題材に過ぎず、記者のあり方、マスコミの姿勢、調査報道の重要性を分からせてくれる物語かもしれない。
表面的には、カジノ法案を地方再生の切り札として導入した現政権に対する批判が目につくが、マスゴミとも揶揄される、大勢に寄った報道が目立つ今のマスコミに、先輩として「喝っ!」を入れているようだ。
これも帯に抜粋されているが、
「新聞記者の存在意義とは、すなわち、権力の監視 ― それに尽きる」
というベテランの元特ダネ記者の言葉に尽きる。大本営発表を垂れ流すだけでなく、たとえ成立した法律に則ったものであろうと、その適法性を検証し、問題点、不備を指摘し、大衆に知らしめるのが報道機関の使命。偏重報道は困るが、積み上げた事実に裏付けられた全体像を示してくれれば、あとの判断は受け取る側、我々の責任だ。報道と、読み手の関係も改めて考えさせられた。 良書なり。