真山仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今年(2020年)の初めの議員逮捕で、またぞろ世間の耳目を集めたカジノ法案(総合型リゾート/IR整備促進法)。候補地のどこに出来るかまだ未定ながら、例えば大阪にしても、開業は2024年とかなので、なかば忘却の彼方だったけど、そんな事件もあっての今、興味深く読むことができた。
真山仁作品は『マグマ』に次いで二作目。経済誌の連載の『ハゲタカ』あたりは読んでいたけど、途中でFade outしてしまい結末はしらないが、どの作品も、緻密な取材を重ねた、多岐にわたる情報量に圧倒される感があるのが著者の特徴か。さすが元新聞記者。
その著者が、IRにまつわる経済小説に、新聞記者の活躍という物語を交錯させて描く群像劇。群像劇なだけに、登場人物が多く(特に全国各地に居る記者たち)、最初とっつきにくいのだけど、個々の記者の取材が、有機的に絡んでくると読むスピードにドライブがかかる。後半は一気読みだ。
話のモチーフは、カジノ誘致に政財界が絡む、コテコテのどちらかというと古典的なお話ではあるけど、主人公は“記者たち”というのが、ちょっと新鮮だった。
若手記者に向けての社内研修のような場面から始まって、ベテラン記者からの教えや、新聞社における社内政治などに多くの頁を割いて描いている。帯にあるように“記者たちの矜持と執念が闇を照らす”とあるように、IRは題材に過ぎず、記者のあり方、マスコミの姿勢、調査報道の重要性を分からせてくれる物語かもしれない。
表面的には、カジノ法案を地方再生の切り札として導入した現政権に対する批判が目につくが、マスゴミとも揶揄される、大勢に寄った報道が目立つ今のマスコミに、先輩として「喝っ!」を入れているようだ。
これも帯に抜粋されているが、
「新聞記者の存在意義とは、すなわち、権力の監視 ― それに尽きる」
というベテランの元特ダネ記者の言葉に尽きる。大本営発表を垂れ流すだけでなく、たとえ成立した法律に則ったものであろうと、その適法性を検証し、問題点、不備を指摘し、大衆に知らしめるのが報道機関の使命。偏重報道は困るが、積み上げた事実に裏付けられた全体像を示してくれれば、あとの判断は受け取る側、我々の責任だ。報道と、読み手の関係も改めて考えさせられた。 良書なり。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災を扱った著者の作品を読むのは、これで3作目。「ハゲタカ」で有名な作家さんだが、私はほとんど震災関係の作品しか読んでいない。
今作も他の本の後ろにあった作品紹介で知った。
ただ「そして、星の輝く夜が来る」「海が見えるか」の震災の絶望から希望を描いた作品の印象が強かったため、今作の震災にミステリーを絡めた手法には、読み終わっても抵抗とか違和感しか感じなかった。
阪神・淡路大震災で少女の救出劇の記事を書いた後、その少女が亡くなってしまったことで、トラウマを抱える新聞記者の大嶽。東日本大震災が発生し、彼はトラウマを克服するべく、志願して被災地へ向かう。彼の担当は宮城県。しかし、大嶽に命じられたのは、取材の途中で被災し、行方不明になった社主の孫娘の記者を探すこと。早々に本人は見つかるが、彼女を助けた寺の住職は津波に飲み込まれ、亡くなってしまう。それが美談の記事となるはずだったが、その記事が13年前の判事夫妻殺人事件に結びつく。
前半こそ、被災地の様子が描かれるが、「5日目になると被災地も落ち着く」などのような描写があり、その後は亡くなった寺の住職と13年前の事件の結びつきにフォーカスが移ってしまい、被災地の様子や被災者の大変さが全くなくなってしまう。
ミステリーだったら、ミステリーでいいとは思うけど、東日本大震災と言う、多くの人の心に傷を残した大災害を簡単にフィクションの題材にしないで欲しいと感じるのは私だけだろうか?
もうすぐ9年。まだ東日本大震災を過去の出来事とは思えないし、お話の中の出来事と割り切ることも出来ない。