真山仁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
東日本大震災を扱った著者の作品を読むのは、これで3作目。「ハゲタカ」で有名な作家さんだが、私はほとんど震災関係の作品しか読んでいない。
今作も他の本の後ろにあった作品紹介で知った。
ただ「そして、星の輝く夜が来る」「海が見えるか」の震災の絶望から希望を描いた作品の印象が強かったため、今作の震災にミステリーを絡めた手法には、読み終わっても抵抗とか違和感しか感じなかった。
阪神・淡路大震災で少女の救出劇の記事を書いた後、その少女が亡くなってしまったことで、トラウマを抱える新聞記者の大嶽。東日本大震災が発生し、彼はトラウマを克服するべく、志願して被災地へ向かう。彼の担当は宮城県。しかし、大嶽に命じられたのは、取材の途中で被災し、行方不明になった社主の孫娘の記者を探すこと。早々に本人は見つかるが、彼女を助けた寺の住職は津波に飲み込まれ、亡くなってしまう。それが美談の記事となるはずだったが、その記事が13年前の判事夫妻殺人事件に結びつく。
前半こそ、被災地の様子が描かれるが、「5日目になると被災地も落ち着く」などのような描写があり、その後は亡くなった寺の住職と13年前の事件の結びつきにフォーカスが移ってしまい、被災地の様子や被災者の大変さが全くなくなってしまう。
ミステリーだったら、ミステリーでいいとは思うけど、東日本大震災と言う、多くの人の心に傷を残した大災害を簡単にフィクションの題材にしないで欲しいと感じるのは私だけだろうか?
もうすぐ9年。まだ東日本大震災を過去の出来事とは思えないし、お話の中の出来事と割り切ることも出来ない。 -
Posted by ブクログ
出版年を見てから買ったので、「東日本大震災後に書かれた、現代日本の本だな」と思って読んだら、なんとその前からの連載だったとのこと。さすがは真山さん、先見眼が鋭すぎていらっしゃる、、、
統率力のあるリーダーに、人間はついつい流されるようについていってしまうけれど、本当にそれは自分の意思なのか?と問うことの大切さ、そしてそのリーダーは、権力を手にしたことによって、当初の目標をおざなりにして、自らの私利私欲に走ってしまってはいないか?と冷静に見つめることの大切さがひしひしと伝わってきた。
メディアの発信力も相まって、とても読み応えのある作品。 -
Posted by ブクログ
「アディオス!ジャパン 日本はなぜ凋落したのか」一読あれ。
ジャーナリズムが信用できない社会は闇だ。なんと言っても、まずはこのメッセージだろう。皆が頷くことは間違いなく、我々はそんな信用できない社会にいるのだ、と思い出される。
本書は、真山仁が、震災被災地や沖縄、阪神工業地帯など国内外を歩き、独自の視点で日本の危機的状況の原因を探りつつ生き残る術を提起し、纏めたものである。興味深い視点でありながら、ジャーナリズムあるあるの、文体に押し付け・論理破綻がだらだらある、と言うのが然程無いのが有り難い。ちゃんとフラットな視点で語ること、それだけでなく、個人の意見や示唆を入れること、が成されていない本に出会うと、読んでがっかりとなるし、読んだ甲斐が無い。
まともなジャーナリズムは、まともな人間でなければ、いつでも信用できないものになるし、今はそれが顕著な時代。信用できない情報は溢れ、注目を浴びるためだけ、クリック課金のためだけ、特定の忖度のためだけ、そんなジャーナリズムは勘弁してもらいたいが、きっとなくなりはしないので、我々庶民は、正しい情報のみを抽出しなければならない。とにかくまともなジャーナリズムが少しでも増えてほしい。
話は逸れたが、沖縄のある状況への示唆は興味深い。基地問題に並ぶ看破できない問題に見える。一方で、韓国との溝を埋めるタイミングに関する記事は、別の意味で興味深い。それは、果してそこまでして、近くて遠い国との溝を埋めるべきなのかということだ。個人的にはそこまでする理由が見えない。
また、震災からの復興については、やはり政府や自治体といったところが機能しない限り厳しい。政治家は、相手の揚げ足とりや失言をするのに忙しく、議論すべき問題には時間を掛けず、お互いを馬鹿にし合うだけで、また、最近は皆さんご存知のアレな問題もあるし、失態してもテレビに出て厚顔無恥でギャラを貰う貰う。
個人的には、政治家などに任すのは意味がない(そもそも政治家になるべき人は政治家にならない)から、企業ビジネスでなんとかするしかないと思っている。政治家などより頼りになる人は、日本にたくさんいるし、世界にもいる。
著者の取材からは、目を背けてはならない現実がある。