真山仁のレビュー一覧
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東北震災の直後に書かれた本で、カリスマ総理によって積極的原発政策が日本の復興の目玉とされ、国民の期待も高まるが、原発政策に欠かせないウラン鉱山の利権を巡っては国際的な陰謀の闇があった。
カリスマ総理を支える若き側近と政権の闇を追いかける新聞記者が同級生という関係。
若き側近のお目付け役にあたる首席秘書官と新聞記者の上司はどちらも硬骨で、彼らの間にも古くからの腐れ縁がある。
読み進める間に、政府と新聞記者、どちらに肩入れしたくなるかが揺れ動く。
表題である「コラプティオ」の意味が最後になってようやくわかったんだけど、これを知ってて読むと、もう少し違った読感になったかも。 -
Posted by ブクログ
この世の中に100%正義、100%悪などは子供向けのヒーロー物ドラマ以外には無いだろう。
人間社会で生きる限り目の前の事象は必ず裏に繋がる事情があると考えるべき。
政治が悪で市民運動が善との図式がまかり通っていた一時期もあったような記憶があるし、今でも街頭やSNSで声高に政策や為政者をなじる声はしばしば快哉を持って受け入れられる。
今私達がしなければならないのは為政者の言葉尻をとらえて糾弾する事ではなく、国民の生命財産を守るため、あるいはもっと大きく人間と地球を守るために何をしなければならないかを考えて実行する事なのではないか。
作品の中でともすれば単純な善と悪の関係に振り分けてしまう作物と農薬の関係も、そして遺伝子組み換えの作物も人間自身が作り上げてしまった今の世界で白黒つけられる問題ではなく真っ向向き合って折り合いを付けていかなければいけない問題なのだと言う事ではないだろうか。
遺伝子組み換えを否定する事は飢餓に苦しむ者に目を向けない食に足りる者の驕りであるかもしれない。
原発の再可動をしないという事は原油を輸入に頼っている我が国では電気代の上昇なんて事ではなくシーレーンの安全確保のために軍事力を増強させなければならない事なのかもしれない。
誰だって戦争なんてしたくないし、戦場に行きたいなんて思わない。ましてや自分の子供や孫が戦いに送り出されるなんて耐えられない。
だから戦争法案だと反対し、集団的自衛権も認めないというのだろうか?
集団的自衛権を認めないならば国連を脱退して日米安保条約も破棄するべきだ。
その上で国民の生命財産を守らなければならない。
であれば自国だけで国民と日本を守るならば今以上の軍備を相当の金をかけて備えなければならない。
消費税10%なんて足りないだろう。
志願して入ってくる自衛隊員だけではとても足りるはずが無いから徴兵制も求められるだろう。
ここまで考えて集団的自衛権を認めないと言えるのか。
「対案を出せと言うが、求められているのは廃案だ」などと語呂合わせをして喜んでいてはいけないんだ。
対案を出して真っ向審議してくれよ、国民の代表なら。
こちらが戦争を仕掛けなければ、軍備を持たなければ戦争に巻き込まれる事は無いなどという考えは、皮肉ではあるが日米安保条約の下で平和ぼけになってしまった者の考えではないかと思う。
日米安保の裏には米国の都合もあるが日本の都合もある。その為に大きな犠牲を払っている沖縄だけれど基地が無くなれば平和がやってくるのか?
地政学上も日本の都合からも、米国の都合からも、世界の安全の確保のためにもどうしても必要だから今の状況なのだと思う。
であれば現状を維持向上した上で沖縄の犠牲を少なくしていく方針を探っていかなければいけないのではないか。
基地という悪が無くなれば良い。平和を唱えていればそれでうまくいく。そんな100%善100%悪なんて図式は通用しないんだと思う。 -
Posted by ブクログ
真山仁の隠れデビュー作。破綻の危機に瀕した大手生命保険の生き残りをかけ、各務・中根といった中堅職員達が走り廻る。彼らは冷静で優秀なエリートでありながら、それぞれの人生にそれぞれの背景を持ち、清和生命という会社に強い拘りを持って、働いている。その姿は熱い。
ストーリー構成は真山仁らしく、キャラクターの特徴、人間味を上手く描きながらテンポよく展開していき、切れがいい。社長の高村の、経営者としての腰を据えた姿勢が印象的。
真山仁持ち味の「引き込む」文章はこの頃から抜群。だが、最後の結末への展開が余りにあっさりで、せっかくの盛り上がりが今ひとつ昇華しきれない印象。ということで☆3つ。 -
Posted by ブクログ
原発事故のあと、太陽光や風力発電に脚光があたる一方、そういえば地熱発電は置き去りにされています。
発電に使う、熱水だまりが多く存在するのは国立公園、国定公園内が多く開発に制限があること、隣接する温泉地から「温泉が枯渇するのではないか」ということで反対が多いことが開発が進まない原因とされています。
スゴイ、と思ったのは国内ではこの10年間新規の地熱発電所建設がないにもかかわらず日本の地熱発電技術は世界トップレベルでシェア7割を占める、という点。こんなところにも日本のすぐれた技術があるのですね。発電機器と掘削技術(調査、評価段階から)の組み合わせで信頼を得ているそうです。
注目したいのは、
①熱水だまりほど温度が高くなくとも低温で沸騰する物質を介することで発電は可能(バイナリ発電)
②熱水だまりはなくとも高温岩体に水を注入し回収する事で発電することもできる
③地熱発電ほど深く掘らなくとも地中の温度が一定であるところを利用し、夏は冷房に、冬は暖房に利用することができる(スカイツリーはこの技術を利用)
発電用の燃料輸入が増加したことで貿易収支が赤字へ、という部分は円高と海外に生産拠点が移されることによる産業空洞化の影響が大きく、原発が再稼働する/地熱発電など再生エネルギーを多く利用してもそう簡単には貿易収支は改善しないと思います。(昨今の円安の方が効果大、と思います)
地熱にかかわる方々の生の声が入っていればもっと説得力のある本になったのではないでしょうか。