真山仁のレビュー一覧
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東北震災の直後に書かれた本で、カリスマ総理によって積極的原発政策が日本の復興の目玉とされ、国民の期待も高まるが、原発政策に欠かせないウラン鉱山の利権を巡っては国際的な陰謀の闇があった。
カリスマ総理を支える若き側近と政権の闇を追いかける新聞記者が同級生という関係。
若き側近のお目付け役にあたる首席秘書官と新聞記者の上司はどちらも硬骨で、彼らの間にも古くからの腐れ縁がある。
読み進める間に、政府と新聞記者、どちらに肩入れしたくなるかが揺れ動く。
表題である「コラプティオ」の意味が最後になってようやくわかったんだけど、これを知ってて読むと、もう少し違った読感になったかも。 -
Posted by ブクログ
この世の中に100%正義、100%悪などは子供向けのヒーロー物ドラマ以外には無いだろう。
人間社会で生きる限り目の前の事象は必ず裏に繋がる事情があると考えるべき。
政治が悪で市民運動が善との図式がまかり通っていた一時期もあったような記憶があるし、今でも街頭やSNSで声高に政策や為政者をなじる声はしばしば快哉を持って受け入れられる。
今私達がしなければならないのは為政者の言葉尻をとらえて糾弾する事ではなく、国民の生命財産を守るため、あるいはもっと大きく人間と地球を守るために何をしなければならないかを考えて実行する事なのではないか。
作品の中でともすれば単純な善と悪の関係に振り分けてしまう作物と農 -
Posted by ブクログ
真山仁の隠れデビュー作。破綻の危機に瀕した大手生命保険の生き残りをかけ、各務・中根といった中堅職員達が走り廻る。彼らは冷静で優秀なエリートでありながら、それぞれの人生にそれぞれの背景を持ち、清和生命という会社に強い拘りを持って、働いている。その姿は熱い。
ストーリー構成は真山仁らしく、キャラクターの特徴、人間味を上手く描きながらテンポよく展開していき、切れがいい。社長の高村の、経営者としての腰を据えた姿勢が印象的。
真山仁持ち味の「引き込む」文章はこの頃から抜群。だが、最後の結末への展開が余りにあっさりで、せっかくの盛り上がりが今ひとつ昇華しきれない印象。ということで☆3つ。 -
Posted by ブクログ
原発事故のあと、太陽光や風力発電に脚光があたる一方、そういえば地熱発電は置き去りにされています。
発電に使う、熱水だまりが多く存在するのは国立公園、国定公園内が多く開発に制限があること、隣接する温泉地から「温泉が枯渇するのではないか」ということで反対が多いことが開発が進まない原因とされています。
スゴイ、と思ったのは国内ではこの10年間新規の地熱発電所建設がないにもかかわらず日本の地熱発電技術は世界トップレベルでシェア7割を占める、という点。こんなところにも日本のすぐれた技術があるのですね。発電機器と掘削技術(調査、評価段階から)の組み合わせで信頼を得ているそうです。
注目したいの