くわがきあゆのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
面白かった。主人公があまりに利己的でなりふり構わないので、違和感を覚えつつドン引きしていたが、ああ!なるほど!!やられた〜ってなった。
喫茶店が崩壊して、光の目の前で颯一が死んだ。そこにいた医師を名乗る人物は颯一を見捨てた。光はなぜ見捨てられたのか調べたかったが、病院で出待ちをしていたら、片方の医師が射殺され、その妻もマンションから転落死する。
一方で薬師の方も颯一の彼女を探している。あちこちに光が借金して輪廻の会という団体に貢いでいたのを確かめる。
光は薬師が颯一と同じ証券会社に勤めていたことを知る。が薬師はもう辞めていた。だいぶいい営業成績だったが、顧客を赤字転落させるので有名だったらしく、颯一が契約しそうな人に止めに行っていたらしい。
光が貢いでいた輪廻の会は、海外での臓器移植斡旋業者だった。光の母には肺移植が必要だった。だが死んでしまった。 -
Posted by ブクログ
すごい作品だった!!面白かった。
千秋は萌香のお焼香に行く。帰宅途中に何者かに執拗に刺されて亡くなったのだ。そこで「萌香はオレのものだろ」と呟く男がいて、顔を見たかったが見られなかった。千秋は犯人探しを始める。萌香に似た化粧をし、萌香の髪の長さのウィッグを被り、近所を歩く。
杏は職場の先輩が好きだったが、いつも庇ってくれる樹里と先輩がつきあっているのではないかと疑う。
千秋はあの男を見つけた。ピアノサークルの小野寺。萌香の働いていた喫茶店でも怪しい男がいた。急に千秋に帰れと言い出したのだ。しかし千秋はかなり歪んだ感性の持ち主だった。そして他にも犯人を探している男と出会う。城下という。小野寺が警察に確保される。
杏は樹里をハンマーで殴り殺そうと付け狙っていたが、ふいに良心がもたげて遂行できなかった。
千秋は喫茶店の榊が、萌香が死んだ日にズル休みしていたことを知る。奈緒は榊に女装癖があり、その日にイベントに行ったと見抜く。 -
Posted by ブクログ
復讐したら泥沼にハマってしまうのよ、というお話(?)。
古民家カフェの崩落事故に遭い、一緒にいた颯一さんを喪った光さん。事故当時、現場にいた医療従事者らしき者たちが颯一さんを助けようとしなかった。何故?。光さんは2人を探し出そうとする。
1人を特定し、接触を図るも、目の前で射殺されてしまう。
一方、もう1人の男・薬師さんもまた光さんの行方を追っていたのだった、、、。
何故颯一さんが見捨てられたのか、何故1人の男は殺害されてしまったのか、様々な謎が光さんと薬師さんの視点で交互に描かれながら、紐解かれていく。
それぞれの思い、それぞれの過去、証券取引、臓器移植、書かれていない部分と明かされていない心の中身、明かされる真相、ラストもまた壮絶な悍ましさを感じました。泥沼でした。
どんでん返しもありましたが、それよりも何よりも深い心の闇をみせられたように思いました。
絶望メガネ、、、。 -
Posted by ブクログ
めっちゃ面白い。芸人ミステリー。
終始どこかコメディチックなのだが、ミステリーとしてもしっかりしていて文体とリアリティの塩梅が絶妙だった。最後には「人はどういう時に笑うのか」まで踏み込んでいたのがすごい!
あらすじ
主人公は矢場北太郎というピン芸人。鳴かず飛ばずの芸歴15年目。
ふだんは劇場でピン芸を披露しているのだが、すべり続けている。
(鯉劇場という劇場の名前が面白い。上のクラスの芸人が出演している龍劇場にはもちろん出演できていない)
そんな北太郎の唯一の救いは、ローカル局の情報番組のロケのレギュラー。
なんとも運が強く、交通事故で急遽休むことになった先輩の代演を探していたマネージャーに、たまたまそのタイミングで電話をかけた北太郎は、ロケ先に急行するように支持されたのだった。テレビ初出演。それ以来、年末までの間、三か月は続けて欲しいと言われている。生放送にも同席し、自分の街ブラロケのVTRへのV振りなども行っている。しかし評判は悪く、打ち切りになるのではと怯えながら過ごす毎日。
そんなある日、ロケと生放送を控えた日、早朝にランニングをしていると近所の公園で死体を発見してしまう。北太郎の叫び声に気がついた通行人が警察に通報し、事情聴取を終えるとロケの集合時間に遅刻寸前。売れていない芸人をぞんざいに扱うディレクターにこっぴどく叱られてしまう。生放送でも笑いも取れず、さらにディレクターに嫌な仕打ちをされストレスだけが溜まる。
さらに後日、生放送に向かっている途中、ファンに名前を呼ばれた気がして空き物件を覗き込むと、そこにも死体が……。事情聴取を終えてテレビ局に向かうと、担当者不在のまま自分のコーナーが始まってしまっていた。なんとかVTRの終わりには間に合い締めのコメントを言うが、無断遅刻でまたもやこっぴどく叱られる。
そんなストレスが溜まる毎日の中、ふと、何もかもがどうでも良くなり、ラーメン屋のロケで店主の容姿やラーメンをいじりまくってしまう。もちろん後で謝った北太郎だが、いざオンエアされると、なんとバズってしまうのだった。それから徐々に知名度が上がり、一般人いじりという最悪の芸風で売れていくなか、今度はテレビ局内で死体を発見してしまい……「なぜ、自分ばかりが第一発見者になるのか」!
最後に、誰が、何のために?と徐々に事件の真相が明らかになるのだが、ぜんぜん愉快じゃないのになぜか笑えてしまう不思議な一冊だった。おすすめ。 -
Posted by ブクログ
重いものを断ち切ってすっきりしたという感じはなかった。現在付き合っている恋人というのは、もともとあるはずのないものだったのだ。
今、交際相手はいるのかと、誰かに尋ねられたいと思った。令祥はその状況を想像し、口に出してみた。自分はこう答えるのだ。
「前の彼女とちょっと揉めてね。もうしばらくはいいかなって感じ」
工藤のように。
腹部からの激烈な痛みが全身を痺れさせていく。視界の開から霞がかかっていく。
その中で、令祥は無意識のうちに口元を綻ばせていた。
(中略)
常に無数の新しい一面を覗かせる彼は、いつでも新鮮で、底が知れない。
自分も今晩からでもあの目つきを練習しよう。今まさにこの身に向けられている、冷たい目つきを。
意識が途絶える直前まで、令祥はそんなことを考えていた。
小さい頃、テレビドラマを観て脚本家になりたいと思っていた。観る人が一番盛り上がる展開を考え、ドラマにするのだ。だが、次第にわざわざ虚構の世界を借りる必要はないと考えるようになった。自分の実人生を使えばいい。
ためいきが洩れた。
自分という人間は。理央はつくづくと思う。
何といい女なのだろう。
常に正しくて優秀なのだ。
すべては母のために。三鷹が守るために。母を傷つけるものは、どんな些細なものでも取り除き続けなければならないのだ。
その理由は改めて述べるまでもない。
母親とは、至高の存在なのだ。自分がこの世に生を受けて初めて出会った人。世界中の誰よりも美しく、気高く、完璧な女性。