河合隼雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ河合先生の本は、進んで読ませて頂いており、何冊か読ませていただいたが、今回の本は少々難しかった。
「あとがき」で、「本書ではやはり、はじめの部分はどうしても入門的なことを書かねばならないが、後の方にはすこし深い、思い切ったことも述べることにして、筆をとった」と書かれており、理解不足もやむをえないかと、少し救われた気分だ(笑)。
作家・随筆家としての河合先生ではなく、日本を代表するユング派の心理療法家としての本気が、なるべく初心者にも理解できるように書き下ろされたものであり、内容的には一般人読者にはハードルの高いものだと思う。
しかしながら、ユング派の心理療法(見る夢を解釈して、無意識の状 -
Posted by ブクログ
ユング心理学の大家である河合隼雄先生の本です。人間の精神構造についてユング心理学の概念を用いて説明しています。男性の女性性を表すアニマ、逆に女性の男性性を表すアニムスといった概念で個人内の葛藤を分析する方法論は自然科学好きな僕にとって異文化で面白いと思いました。他にもユング心理学は神話と結びつきが強く、シナリオライティングの本で見た元型(アーキタイプ)という概念がユング心理学由来であることを知ったのも収穫でした。もうひとつ実に面白いと思ったのが共時性という考え方です。自然科学では事象発生を因果律という規則の下で分析しますが、共時性は個々の事象の連鎖という線形な見方をやめて世界の全体性、統合性を
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Posted by ブクログ
たまたま古本屋で手に取った本だが、やはり河合隼雄さんは外れが少ない。
親子関係において、独立と依存は反対語ではない。適度な依存を得てこそ、子はある日すっくと立ち上がり歩きだすことができるという話。
「天使のまねをしようとするものは、悪魔のまねをするに至る」子供に良い子であれと求めすぎると、内側で悪魔的あるいは陰的な因子が育っていくことは避けられないという話。
いまの若者は、場の倫理を前提として個の倫理を加えたものに従っているという話。
読み終わって2日経ち、断片的にしか思い出せないが、これらは全て家族のある中年の、つまりは働きざかりの、おじさんの直面する問題として繋がる。
会社で奮闘する一方で -
Posted by ブクログ
(P86)
「突撃!」と号令がかかったときに、真っ先に突撃して死ぬのがもっとも強い父性だと思われていた。
(P87)
・昔の父親は強かったと言われるけれど、本質的に昔から強くはなかった。
・そこを勘違いして、「昔の強かった日本の父権を復活させよ」と言われるけれど、そうした考えは疑問。
・日本でこれから父親が強くなろうとしたら、全く新しい父親像をつくりだす覚悟が必要。
・明治の父親は強かったからと、あれを真似しようと思ったら、大きな間違いを起こすことになる。
・あれは、父親がいばるための制度。
・人間としては鍛えられていなかった。
(P89)
・羊の群れ。オスの羊が1歳になると殺す。
オスが何