河合隼雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数年前、大学の授業で「ハムレットの幻覚」という論文から示される「実はハムレットが先王殺害犯」説に衝撃を受け、それ以来、シェイクスピアを心理学的に読んでみたかった。
本書は、日本における臨床心理学、ユング心理学の大家である河合隼雄先生と翻訳家の松岡和子さんの対談形式の作品批評。「~幻覚」ほど斬新で鋭い見方はなく、日本的にほんわかムードで語られていくが、ロミオとジュリエットが青少年の発達心理学的見地、マクベスが臨床心理学的見地、そしてリチャードⅢ世がなんとアドラー理論に合致と教示され、改めてシェイクスピアの才能に驚かされた。これらの根拠は、舞台構成や台詞の中に密かに散りばめられており、素人がボーッと( ゜o゜)見ていても分かりゃしない。
シェイクスピア劇を観たいと思う方にとっては、親しみやすい教則本となるだろう。ただ対話形式なので広がりはあるが、掘り下げが浅いのが残念。
(やはり私は、「~幻覚」のような晴天の霹靂的批評を欲します。)
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Posted by ブクログ
ユング心理学に基づいた母性原理と父性原理の説明と対人恐怖について書かれているところが面白い
母性→
グレートマザーと同じように慈しみ育てる肯定的な面と、全てを包み呑み込む否定的な面がある。どちらにおいても「我が子であれば全て良い子」といったような、ある「場」において何物も区別しない平等性を持つ。母性原理に基づく倫理観は「場」の中に存在するものの絶対的平等に価値を置き、場の平衡状態の維持に最も高い倫理性を与えるもの。これが「場の倫理」。あるがままで救われる→浄土真宗
父性→
切断するという機能にその特性が示される
主体・客体、善と悪などに分類し、人をその能力や個性に応じて類別する
規範によって人を鍛えようとし(守るか守らないかで分ける)、強いものを作り上げていく肯定的な面とその切断の力により破壊に至る否定的な面を持つ。これは母性と比較して「良い子だけが我が子」ということができる。父性原理に基づく倫理観は個人の欲求の充足、個人の成長に高い価値を与えるもの。これが「個の倫理」。選民の救済→キリスト教
対人恐怖
①日本においては場の倫理に基づく対人関係が主となるため、個を確立(自我の確立)の要求が無意識内で高まると、その傾向が場を破るものとして作用する。
②そもそも何らかの対立矛盾する二面性の存在が指摘されることもある。
・「自惚れたいが自惚れられない」ジレンマ
・没我的方向性と我執的方向性(これは前に書かれていることと合致する部分があって納得、それぞれが自他不在と自他分離の方向であるって考えれば①と同じようなこと言ってる)
最近では、母性的な場の倫理を重んじ、完璧な平等の場を求め、それが達成できないといなやそれを放棄するという人がちょくちょくいるのかなと思う。悪く言えば、自らが意識していることを外にも強要し、それが通じないと絶望して場に存在することを放棄するというような…
でも何となくこれはユングでいう自己実現の方向性に向かう補償作用な気もしていて、西洋的な自我の確立のために孤独へ向かうのは当たり前なのかなって思います(場を離れるというのは父性的っぽいし)。その後にどうなるのかって感じだけど… -
Posted by ブクログ
ユング派心理学者が、人間の影の部分=オルターエゴを考える。
本書では〈影〉を研究にするにあたって基本的には小説や過去の心理学者が発表したものを例に取り、自身が臨床医として接した具体例には詳しく触れていないが、クライアントが見た夢はたくさん紹介されていてそれが面白い。「影の逆説」の章に載っている狼の夢などはよくできた昔話みたいだし、ユングが報告しているという真っ黒な装いの「白の祭司」と全身真っ白な「黒の祭司」の夢なんか象徴主義の絵のように謎めいて美しい。
よく「他人の夢の話を聞いてもつまらない」と言ったりするけど、多分それは映画やアニメーションで〈他者の夢〉を見ることに慣れてしまった現代人の感覚で、昔の人は解釈の分かれる幻想小説のように楽しく聞いていたに違いない。子どもに聞かせるには残酷に思えるような展開のおとぎばなしも、夢という〈影の世界〉からやってきた物語として受け入れていたのじゃないだろうか。
本書のまえがきには遠藤周作『スキャンダル』への言及があり、解説も遠藤が担当しているのだが、そのなかでキリスト教の教義とドッペルゲンガー、二重人格の関係性を実体験と共に語っている。河合は本文中で、西洋で生まれた心理学を日本人の心に適用するためのヒントをちりばめているが、日本人かつキリスト教徒の遠藤の文章によってもうひとつ大事な補助線が引かれているように思う。学部生時代にゼミで『スキャンダル』を取りあげたことがあったのだが、当時本書と遠藤の解説にたどり着くことができなかったことを残念に思った。 -
Posted by ブクログ
タイトル通り仕事で溜まるストレスの軽減方法だけでなく、家族や育児に関わる悩みの考え方など多岐にわたる内容でためになる。読んでいると不思議と心が落ち着くので先生の文章を読むだけで癒し効果があるに違いない。昭和時代に書かれたものだが、今でも十分通じる内容に人の心は大きく変わってないのかもしれないと思う。ただ、執筆当時の「自然に逆らうような世の中」に対しての部分はあまり共感できなかった。食べ物の旬に関係なく作られる果物を例に出して、自然に反する社会が人の関係を壊すことに繋がっているのではと問題提起している。そういう部分はあると思うが「味のない果物」ばかり食べているというくだりはピンと来なかった。
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Posted by ブクログ
■真っ当に女性からモテたい男たちへ
男なら誰しも「モテたい!」という願望を持ったことがあるだろう。
それは進化論的に至極当然の感情だ。より多くのメスからアプローチが貰えるオスの方が自身の遺伝子を残せる確率は上がるし、非モテのオスは必然的に自然淘汰されてしまうからだ。
実際に人間以外の動物(例えばライオンやクジャクなど)は腕っぷしの強さや見た目の派手さがメスから選別されるファクターとなり、それに満たないオスは冷酷にも切り捨てられていく。
人間の男にも同じようなことが言える。
いわゆるイケメンや高身長、金持ちなどのステータスがモテを左右する要件となり、条件を満たさない男性は女性から選択肢に入れてもらえない。
PUA(ピックアップアーティスト/ナンパ師)業界においても、モテ男は「アルファ(ハーレムの王者であるライオン、アルファオスが由来)」と呼ばれ、彼らは女性関係に全く不自由していない。
世の中を見ればモテ男に比べて非モテ男の方が圧倒的に多いという印象だ。
まさに需要と供給のミスマッチが起きている。
悲しいことに、進化論的に見て「モテる」という事実は女性からさらに魅力的に見える要素となるため、「モテを持つ男はさらにモテる」というモテのマタイ効果が生まれてしまう。
なぜ、そうした格差ができるのだろうか?
イケてる見た目やステータスを備えていない非モテ男に、女性からモテる権利はないのだろうか?
一方で特にイケメンでも金持ちでもないアイツがモテているのはなぜなのか?
本書はこうした「モテ」の悩みに、進化論に基づく科学的なアプローチでアドバイスをくれる。
今まで出版されたモテ本は、PUAによる小手先のナンパ本であったり、恋愛工学を用いた心理テクニック本などが多かった。
本書はそれらとは一線を画し、しっかりと女性の目線に立ち、彼女たちにとって男のどういう部分が評価対象になるのかを科学的に教えてくれる。
ただし、一朝一夕で身に付けられるような技術ではなく、時間をかけて自身の肉体や精神を磨き、人生そのものを好転させていくという真っ当な自己啓発本である。
著者のジェフリー・ミラーは、「ラップダンサー(ストリップクラブなどで客の膝の上で踊るようなダンサー)が貰えるチップ額は、当人の生理(排卵サイクル)の状態によって変わる」ことを実証し、イグノーベル賞を受賞したという面白い経歴を持つ進化心理学の研究者だ。
共著者のタッカー・マックスはシカゴ大学を飛び級しロースクールを修了したエリート人気作家であるものの、その知性とユーモアでクラブやバーで遊びまくり、あらゆる女性とセックスした「アルファ」だ。
こんな2人が共著した「モテ本」が面白くないはずがない。実際の研究成果とモテの実体験がクロスオーバーした知見は、非モテ男子ならば一読する価値があると思う。
■モテるためにはどうすればいいの?
本書では「モテ」を実現する5つの原則が提示されている。
①科学にもとづいて決める(先入観には頼らない)
②女の子の視点を理解する
③自分の魅力を装備する
④正直であること(自分自身にも相手にも)
⑤ウィンウィンの関係を築く
これらは進化論的に深い論理で核心的な原則だ。
これらの原則は単なる「モテ」のためだけでなく、家族や仕事で信頼関係を築き、より良いパフォーマンスを発揮するためにも役立つ。
また、進化論的にモテを実現するためには「自信をつける」ことが重要となる。
女性は男性の見た目や金銭的なステータスだけを判断しているわけではない(もちろんそういう女性もいるが)。
その見た目を維持できる意志力や、堅実に働きリスクを取れるその生活力に魅力を感じている。
そして何よりそうした経験から出てくる自信に惚れるようだ。
宝くじで100億円当てた男と、ゼロから会社を立ち上げ10人の従業員と何千人もの顧客を抱える10億の価値のある男では、多くの女性が後者を選ぶことが示されている。
また、どうやって女性と出会うべきかも教えてくれる。
パートナー探しの最適な「出会い市場」を見つけることは、恋愛マーケティングとして非常に重要で、どれだけ優秀なアルファでも闘う場所を間違えると女性に魅力が伝えられない。逆に非モテ男だって市場を間違えなければモテ男になり得る。
「ブラット・ピット並みにカッコよくなる必要はない。ある町のあるバーでひと晩だけ、ほかの男よりもピットっぽくなれれば十分だ。」
■おわりに
本書は女性からのモテにとどまらず、より充実した人間関係を作るためのハウツー本として読むこともできる。
すっかりオスが抜けてしまった既婚者にもオススメしたい。
自分はこの本を読んで、妻にいつまでも魅力的な男と思ってもらうために努力したいと感じたし、喜んでもらうためにはどんなことをしたら良いのかを考えるキッカケにもなった。