河合隼雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
心理学は、それを利用する者の思考・視野を拡大させる武器である。我々は、絶え間ない現象の総体としての世界を受け止め、物・心両方の認識と行為による経験を重ねて、老いていく。ユング派の著者がフロイトのエロス主義を乗り越える形で展開された、ユングの心の哲学を紹介したのが本書である。影というモチーフを使い、幽冥・顕在の二元的対立、心が含みうる葛藤・闘争の解釈を加えていく。まず、私としては漠然とした靄として想像した心のイメージが、視覚的に理解しやすい構造を明示した説明のおかげで、ハッキリした形となって掴めるようになった。ユングにしても、その思想は一つの仮説であり、読者にとっては、知覚の冒険のとっかかりを与えられているに過ぎず、本書は、完全なる証明は出来ない「心」に対する興味を掻き立てると云う意味で、心理学の啓蒙の書だと思われる。心は、信念や倫理観、人格などに跨がる領域である。この書によって、思う・考える私という存在を、見つめ直す機会を与えられるだろう。認識の力の冒険は、肉体的な暴力よりも、広く深くおそろしい。心理学の理解には、ある程度の忍耐性が必要であると明記しておく。
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Posted by ブクログ
なかなか面白かった。
一人の女性として、アニムスと母性の対話が興味深く読めた。
四十で不惑というけれど、迷い悩むこと、簡単に答えを出そうとしない所に心の豊かさはあるのだなと思った。
■メモ■
・わたしの人格形成に影響を与えた書物とは?
・日本における子どもの元型の力強さ。母親の多くが、自分の子どもを英雄にしたがる。
・グレートマザー:母性の両面性:生と死、育みと飲み込み、過保護と拒否
・鳥:魂・精神
・母親が父親の役割も担い始めると(過保護)、母親的な役割が希薄になってくる(拒否)。
・怠け者:特に西洋における¨勤勉さ¨への補償作用、自分の心の声(無意識)に気づく。怠け≠創造の放棄
・個人が受け入れられない¨影¨:全体性の回復のため。影は悪ではなく、人生の豊かさへのきっかけ。
・父性原理に基づく宗教:キリスト教
・母親コンプレックス:母からの早い離脱か自分の女性性の否定
・思春期の女性:子どもから乙女へ:女性の心の中の男性が母親を疎ましく思う気持ち
・トリックスターの善と悪
・孤独で未成熟なアニムスを背負う女性の一般論の力強さ「なぜ私がしてはいけないの」→アニムス(父性)とグレートマザー(母性)の対話¨知恵をそなえた愛¨
・アニムスの思考:1か0か:常に現状に満足していない:自分の責任で生き方を変えていかねばならない
・アニムスとの対話:自分の無能さを知る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ河合隼雄が実際に開いたカウンセリング講座を書籍化したものがこの本書であるが、その講座というのは昭和40-43年のこと、つまり今から40年以上前である。しかしながら出版されたのは今から10年ほど前。去年にも増刷がかかっているようである。
ここまで長い間多くの人に支持される理由は何であろうか。それはカウンセラーとして働く方々と河合隼雄とのやり取り、交わされる質問、それに対する回答やロールプレイなどを目の当たりにできるからではないだろうか。息づいている、とでも言い換えられるだろう。現場の実際を垣間見れるという点では、タイトルに「入門」と謳われている割に「応用」でもある。
内容はというと、クライエントの話をひたすら聞くという姿勢が強調されておりまた非指示的でいることの重要性も書かれている。(これは河合隼雄のほかの著書でも同様)カウンセリングの方法論などは学派によって分かれるようではあろうが、あまりここに書かれていることに固執する必要はないだろう。むしろ重要視されるげき実証性を軽んじるような姿勢も見受けられる。時代が流れているので、そのまま受け入れられないことは当然ということだろう。
ただ、もちろんその一言一言には含蓄があるし胸を打つ言葉もある。一部引用したい。
「人間というものは相当な悪環境にほうりこまれても相当にいやなことがあっても自分で立ち上がってくる そういう力をもっているということですね。それを確信してるからこそカウンセリングをやるわけです。」
一言で表すなら「エンパワーメント」だろう。だがその一言では零れ落ちてしまう大切なことが含まれている。つらいときには、この言葉を思い出したい。 -
Posted by ブクログ
曼荼羅がどうだとか、そういう話もあったような気がします。
「はじめに」の部分で、河合隼雄さんが難しい本ではないというような
ことを書かれている。
しかし、それでも、ところどころ難しいです。高校生くらいから読める
とは思いますが、ちゃんと理解するのは難しい。
専門書に比べるとずっと簡単なんだろうけれど。
語る上での仏教との距離感が良かったです。
科学として仏教を見てみたり、心理学から仏教を見てみたり、
仏教にこう、視界を狭めて解こうとしている本ではないです。
学識があるお二人だからこそ、いろいろな視点から仏教を眺めることが出来る。
そのお二人会話を見守るような本ですね。
知らないことが多くて刺激になりました。 -
Posted by ブクログ
あんまり記憶にありませんが、たぶん、いろいろな投書に応える形で河合さんの考えや、問題へのヒントを教えてくれる本だったと思います。こういう本を読んで、少しづつ自分の考え方に影響がもたらされる物だと思います。意識していない部分で変容が起こるような気がします。
様々な分野で心理療法に関わる人たちの質問に答えていくという内容。
専門分野のことだけど、河合さんは平易な言葉使いで丁寧に、
答えすぎずに演繹的に意見を述べられています。
だから、一般の素人が読んでみても、なるほどなぁと考えさせられるところがあります。
著作はたくさんあるだろうけれど、まだまだ話を聴いてみたいような人。
亡くなられたのが残念です。