林真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ様々な女性の恋愛観、恋模様を描いた短編集。葛藤や苦悩を描きつつ、やはり本能には敵わない的な顛末の話が多く、各々の人間味が存分に描かれている。別れた夫婦が再会を経て妊娠する話、婚約者がいる田舎娘が都会から帰省したエリート大学生に抱かれる話(特にこの「果実」が一番好み)、性的到達を知るために彼氏に内緒で年上男性との経験に踏み出す話などなど。
発刊が2000年と古いことも手伝って(?)よく考えれば「いやこんなことなる?」と思うような超展開も多いが、そこは著者の技量か、生々しいリアリティを感じてしまう。いずれの話も含みや余韻たっぷりで面白かった。 -
Posted by ブクログ
30代を過ぎ、ちゃんとした大人になりたいというか漠然とした思いから手に取った本。
刺さる言葉もあったし、林真理子のエッセイ要素もあって面白かった。
自分は著者のような仕事や人脈の作り方はなかなかできないと思うが、自分なりにチャレンジしたり人との付き合い方を大切にしたいと思った。
成熟とは、〇〇すればできる
というものではなくて、自分の人生を俯瞰しながら色んなことを経験していくうちに、気づいたら到達しているものなのかもしれない。
自分が歩いてきた道と、いま歩んでいる道、そしてその歩み方。
これらを少し高いところから見下ろしてみると、その先に成熟への道が続いている そんな感じのイメージが浮かんだ。 -
Posted by ブクログ
① 野心を持つことができる人
→ 「自分に与えられた時間はあとこれだけしかない」という考えが常に身に染みついている人
② 「今のままじゃダメだ、もっと成功したい」と願う野心は、自分が成長していくための原動力となる。
③ 「無知の知」
→ 「自分が何も知らない」ということを知っている人間は、それを自覚していない人間よりもその時点で勝っている。
④ やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる。
⑤ 「自分は特別な人間だという自信と、自分は普通の人間だという謙虚さ、この2つを同時に持っていなさい(野村克也)」
⑥ 同じ時間を生きているのに、人間には知識や器の差がある。
→これは、隙間の時間にもどれだけ積極的に自分の人生と関わっているかの差で、違いが出てくる。
⑦ 平地で遊んでいる人間には一生見えない美しい景色、野心を持って努力した人間だけが知る幸福が、そこにはある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ途中までは、家族4人それぞれに起こるトラブルによって佐伯家そのものが少しずつ崩壊していく物語なのだろうと思いながら読み進めていた。しかし後半の急展開には度肝を抜かれた。読み手としてまったく予想していなかった出来事が起こり、そこからは物凄いスピード感で一気に読み終えてしまった。
主人公・ユリ子の「料理家」という職業を、「“美味しい”人肉料理を作ることで遺体の証拠隠滅を図る」という形で活かしている点が、個人的には非常に新鮮な伏線回収だと感じた。世界のシリアルキラーによる実際の事件では、人肉食に及んだ犯人の話を耳にすることはあるものの、その多くは人肉食そのものを目的とした殺人であり、本作のように完全な証拠隠滅の手段として描かれる例はほとんど聞いたことがない。そこに「料理家」という設定が重なることで、「どうせ食べるなら美味しく」という歪んだ合理性が生まれており、その発想の異様さと説得力に感心させられた。
完璧な母親であろうとするユリ子の、ある意味で毒親的とも言える言動が、子どもたちの人格形成に確実に悪影響を及ぼしている点も、最初から最後まで強い納得感をもって読めた。「圭ちゃんの幸せがママの幸せ」と言われて育ち、無自覚のうちに軽い共依存状態に陥っている弟・圭児。一方で、喜怒哀楽が分かりやすく単純なユリ子とは対照的に、物事を複雑に、慎重に考える性格に育った姉・美果。
そんな美果が、浮気をしていた恋人の政志と別れ、父・達也に自分の性格について相談する場面で語られる達也の言葉が、とりわけ印象に残った。
「美果はものごとをいいかげんに流さない人だ。ふつうの人、特に女の子はそうじゃない。自分の前の川に流れてきたものを、ふんふんって鼻歌まじりに選んで、どうでもいいものはそのまま手を離す。だけど美果は、どんなものもちゃんと手にとって、すごくじっと見て、そっと岸にひっぱり上げる。水を含んで重たいし、汚いものもある。それでも美果は、手を離さないんだ。だから君はすごく疲れるし、たいへんなことをしょってしまう。でも仕方ないよ、君はもうそんな風な人間なんだから。」
自分自身も美果と似て、あらゆる出来事に意味を見出そうとして延々と考え続けてしまったり、人と真摯に向き合おうとしすぎて疲れてしまうところがある。この言葉は、そうした性質を見事な比喩で言語化しており、深く共感すると同時に胸を打たれた。
浮世離れしたお嬢様のようだったユリ子が、事件をきっかけに一瞬で狂気へと転落し、結果的に家族4人全員が、圭児のハマった新興宗教団体以上に狂っていくさまも圧巻だった。静かに始まり、最後には救いのなさだけが残る、その振り切れ方まで含めて強く印象に残る一冊だった。
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