【感想・ネタバレ】ミカドの淑女のレビュー

あらすじ

その女の名は下田歌子。女官として宮廷に出仕するや、その才気によって皇后の寵愛を一身に集め、ついには華族子女憧れの的、学習院女学部長となった女。ところが平民新聞で、色恋沙汰を暴露する連載記事が始まり、突然の醜聞に襲われる。ここに登場するのは、伊藤博文、乃木希典、そして明治天皇……。明治の異様な宮廷風俗を描きつつ、その奇怪なスキャンダルの真相を暴く異色の長編。

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Posted by ブクログ

下田歌子さんという明治時代に生きた実在の人物が描かれた小説。
伊藤博文、乃木希典、明治天皇など、数々の有力者との浮名を流し、挙げ句の果てに、新聞に連載記事が掲載されるという、本当にあったとは思えないような本当の話がベース。

そのスキャンダルにも興味があるが、林真理子さんの小説での描き方、テクニックも興味深い。下田歌子本人ではなく、関係のあった人々の目線での下田歌子が表現されているため、実在する人物なのに、どこかあやふやな人物に思える。

男尊女卑の時代に、高い地位を得て、そして世間から叩かれた女性。新聞記事に振り回されたのは、下田歌子本人だけでなく、周りの人々も含まれる。ぐいぐい引き込まれる小説だった。

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2014年04月11日

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以前読み終えた『山田風太郎明治小説全集6』の巻末対談で、森まゆみ氏が挙げていたのが目に留まり気になったので読んでみた。
林真理子さんは同郷の方だが、作品に触れるのは恥ずかしながら、本作が初めてである。
奥に戻って女官長になること、という歌子の究極なる望み。女たちの復讐心に気づいたからこそ訪れた、乃木希典の安堵感。この物語は収斂される。
とにかく、この傑作を今の今まで知らなかった事を恥いるしかない。

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2011年05月09日

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明治時代に、末席の女官から正四位まで異例の出世をした下田歌子。
皇后にかわいがられた歌の才の持ち主で、美人でもあったが…
学習院女子部長として生徒にも人気があったが、辞めさせた人物らの反感を買い、明治40年、平民新聞のあくどいスキャンダル報道で追い込まれます。
伊藤博文はじめ、男性との関係はある程度事実らしいが、反政府活動の一環として利用されたんですね。
乃木希典が学習院長だったとは。
意外な題材で〜当時の皇室内の状況をはじめ、歌子を取り巻く歴史上の人物の知らないエピソードが面白い。
平成5年、文庫版発行。

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2009年10月07日

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下田歌子氏のことはこの本で初めて知りました。男の世の中でこんなに上昇志向な強い女性がいたなんて。周りの男性たちは有名人ばかり。歴史の記号のような存在だった彼らが、この物語を通して人間味を帯びて見えました。面白かった。

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2025年03月05日

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ネタバレ

とても面白い。冒頭から、知られざる禁中の描写に興味をそそられ、明治天皇を二人称とする恭しい文体の軽妙さに感嘆する。この華麗で含みのある文章は女性ならでは。誰もが(天皇でさえも)時勢の剛流に飲み込まれていく明治日本が描写される。

終わりには、明治天皇と皇后の対比を元に、物語の主題が明治時代の女性と男性の戦いの構図だったことが明かされる。しかし女性軍の矢面に立った下田歌子の目的地が元いた宮中に戻ることとは、なんてスケールの小さい話ではないか。と思うけれど、それは時代が違うからこそ。作中の伊藤博文は女は結局自身の足元しか見ることができないと揶揄するが、女性が家庭から離れることをできなくしたのは男性の功罪でもある。

明治天皇を地方の豪農と同じと笑う新聞記者や、歌子を敬愛したあまりその理想像を裏切られて一方的な恨みを募らせる元教え子等、濃い登場人物が多く登場し、読む者を飽きさせない。物語の中心に立つ歌子は、章ごとに無力な女性とも、そのものずばり妖婦とも思える。この本の面白味は、しがない下級武士の出の歌子が、ついに天皇と皇后を戦わせるほどに至ったという太閤記のような立身出世物語にある。新聞を読んだ男たちの多くが歌子の追放に動いたのは、その人脈と権力を改めて悟ったからでは。何も考えていないような顔をして、女性はその実常に計算している。そのうち大正時代に平塚雷鳥が登場し、男性たちが女性の蜂起に戦慄することを思うと更に面白い。

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2017年10月22日

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下田歌子の名前だけしか知らず、
大した知識もなく読みましたが面白かったです。

下級武士の家に生まれながら、
「日本一えらい女」と言われるまで出世した歌子。
それが「平民新聞」に妖婦と名指しで醜聞記事が載る。

話はそれを元に関わりのあった者達の視点で描かれており、
歌子は何も語りません。
天皇を取り巻く環境、仕える男や女たち。
明治と言う時代をこういう角度から描かれたものを
初めて読んだので、そこはとても興味深く面白かったです。

帝はふいに気がつかれる。
女たちは明治など少しも望んではいなかったのでは
ないだろうか?
女達はあの禁裏の世界の中で永遠に行きたかったのだ。

私は下田歌子そのものよりも、
彼女を通じて描かれた明治という時代を、
またそこに生きた男女を理解し心情を汲んだ描かれ方が
非常に面白く感じました。

新聞記事が当時のままの文体なので、
多少の読み難さはあるかもしれませんけどね。

この作家さんはバブルな時代の女を書いたものが
一番上手いし面白いと思ってましたが、
これは読んでよかったです♪

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2017年07月23日

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【明治時代版「悪女について」】
下田歌子を取り巻く人物達の語りで構成されている様は、有吉佐和子の「悪女について」のよう。
巻末にもあったけど、まさに平安の朝廷と江戸の大奥が混ざり会ったような明治の皇室。
伊藤博文や乃木希典、幸徳秋水、捨松などの登場シーンが興味深い。
ただ、歌子本人の内面が描かれていないので、ラストも少し物足りない。

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2014年05月22日

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下田歌子と言う女性について、関わりを持った様々な人々が語る不思議な歴史小説でした。
この女性について全くしらず、どんな展開になるのか先の読めなさは、一種のミステリーのよう。明治維新後の宮中当時の模様を様々な角度から知ることが出来たのは面白かった。ただ結局、下田歌子本人については噂話の中の人物像とでしかないのが物足りなさを感じた。結局謎の人物と言う事なのかも・・・

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2013年06月15日

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明治の才女・下田歌子を、平民新聞で実際に連載された「妖婦・下田歌子」を通じて様々な人物の下田歌子に対する思いをつづった1冊。
明治時代の実在人物達が出てくるので、とても興味深く読みました。
下田歌子という人物をまったく知らなかったので、また違う本で読んでみたいです。

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2010年08月27日

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失礼だけど、
こんなマイナーな人物を取り上げていることに驚いて
思わず買ってしまった本でした。
動機がそれゆえに、感想は、ごめんなさい。
物語として手にとっても、面白いと思います。

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2010年04月07日

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いつの時代にもこういう女性はいるものです…。現代のキャリアウーマンなんて大したことないじゃん!と思ってしまいます。

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2009年10月04日

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皇后のおぼえもめでたく、学習院女学部長として才気をふるい、明治の人々の尊敬をあつめるまでに昇りつめた川田歌子。
しかし、「平民新聞」に真に迫る誹謗中傷が連載されて、彼女を取り巻く人々は・・・
歴史上の人物がほいほい登場します。明治天皇に始まって、伊藤博文、幸徳秋水、津田梅子・・・
今、ちょうど近代史を調べてるので、タイムリーな本でした。
明治の人々の風俗がリアルに描かれていて、それだけでも面白かった。毒舌「平民新聞」も雰囲気あるし。当時は赤の思想なんて、こんな風に本当に下劣に扱われていたんですね。教科書で習ったイメージとはだいぶずれてる。
だんだん私も噂好きな明治の人々になりきってちょっとおそるおそる、でも好奇心いっぱいの気持ちで読めるようになりました(笑)
また、女性蔑視がひしひし伝わる話でもありますね。小説としても、男と女、がテーマになってる部分もあると思う。
ていうか、男と女。この頃は本当にまったく異なる生き物!その役割も、性質も、考え方も、背負っているものも。
たくさんの男女が登場するけれど、男からみた女。女からみた男。それぞれ言い分があり、個の意見がある。
今でこそ、同じように育ち、同じように働き、男性が育児まで担うようになっているけど、女性の社会進出ってすごいことだったんだなぁって実感します。
まぁ、置いといて。
ラストがいまいち呑み込めてない。だって、明治文化むんむんで来たのに、急に現代小説っぽくざくっと心理描写がすすむんだもん。
もうちょっと、考えてみます;


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2009年10月04日

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下田歌子という明治時代に活躍した女性を中心に、当時の宮廷風俗や世間の動きを描いた、実話に基づく話。

明治天皇、皇后、伊藤博文、乃木希典・・とそうそうたる人々の名前が出てきて、実話か創作かよくわからなくなるが、当時の忖度だらけのドロドロした男の世界、あからさまな男尊女卑の社会で、女性ながら世間から注目を集める歌子を宮廷のみならず、世間の女性たちが応援したくなる気持ちは理解できる。

平民新聞からの引用はそのままらしいが、当時の有力者たちと歌子の醜聞を、こんなに赤裸々というか、過激な表現で連載するとはなんと恐ろしい社会だったのか、と思わずにはいられない。

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2024年02月02日

Posted by ブクログ

これは友人に貸してもらわなければ、絶対読んでいない作品(^^;)だから新鮮に感じた(^^)下田歌子のなんとしたたかな事!(;゜∇゜)登場する人物は偉い人ばかりなのに、上手く手玉に取って…(゜゜;)きっと下田歌子の確信犯だと思うけれど、それに乗る平民新聞も凄い!(--;)

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2016年03月30日

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通勤の一時間で流し読みしたのできっと正しい評価は出来ないけど…読みづらかった…。

明治という時代を生きたタフな女性 下田歌子。彼女を取り巻く男たち。男の明治に翻弄される女たち。帝こと明治天皇…

時代の変化の激しさに皆混乱したのだろうな…

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2014年09月30日

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時代は明治。ミカドとは明治天皇。
歌人・女子教育の先覚者である「下田歌子」について、平民新聞で実際に連載された「妖婦・下田歌子」を通じて伊藤博文、乃木将軍など様々な人物の視点から書かれている話。
下田歌子のことは知らなかったが、宮廷勤めで皇后の寵愛を得て、宮廷を離れてからは学習院女子部長にまでのぼりつめた女性。
平民新聞とは社会主義者の新聞だったというが、一個人について、3ヶ月にもわたり醜聞を掲載、悪質な週刊誌のよう。
明治時代というが、遠い昔の話を読んでいるようで、入れ込めなかった。

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2014年02月04日

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明治時代に学習院女学部長となった下田歌子(実在の人物)に関する小説。

明治天皇を含め、その時代の著名人の生活に触れることができる1冊。
明治時代にも「スキャンダル」って、あったんですね…。
(まあ、いつの時代にも、ありますよね。)

この時代の女性は、結構遅咲きデビュー(時代がそうさせたのだと思いますが)でも活躍していることに興味を覚えます。

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2010年05月13日

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下田歌子。明治時代、一介の士族の娘から宮中の女官に登用される。一度は結婚で宮中から離れるが、重病の夫を看ながら塾を開設。
皇后から寵愛を受けていた歌子は、夫の死後、宮内省の辞令で「華族女学校(後の学習院女子部)」を開校する。
歌詠みの才にたけていて、熱弁家。
女傑と呼ばれ、伊藤博文・井上馨・土方久元・山縣有朋・・・・など蒼々たる人たちと浮名を流したと騒がれる。

できる女は叩かれる。ましてや男社会の明治時代、世に名を残すほどの女は相当強くないと生き抜いていけない。
幸徳秋水の「平民新聞」が、下田歌子の醜聞を流しまくったことで、この時代の大物たちがあたふたする様を克明に綴った作品。

タブーとされる宮廷スキャンダルに踏み込んだ、林真理子の才能を感じる。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

学習院女学部長下田歌子について、林真理子風に料理をした小説。明治と言う特殊な時代の天皇の周りの人々の様子も興味深かった。丁度幕末の話を読んでいたので、その先の時代(=明治)という繋がりもあり。

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2009年10月04日

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