あらすじ
大手都市銀行に勤務する夫のヨーロッパ赴任に伴って、現地で料理を学んだユリ子は、帰国後、美貌の料理研究家として一躍マスコミの脚光を浴びるようになっていた。母のアシスタントを務める長女と、有名進学校に通う高校生の長男をもち、母の美味しい手料理に舌鼓をうちながら会話をはずませていたこの家族に、やがて暗い「影」が忍び寄る。ユリ子と雑誌編集長の不倫、夫が遭遇した金融危機の荒波、長男に手を伸ばすある組織…。家族四人がそれぞれに口にはできない“秘密”を抱えていたのだ。家族の崩壊と再生の困難さを、衝撃のストーリーで描いた傑作長編小説!
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Posted by ブクログ
強くおもうと、それが本当に思えてくる。ユリ子の言葉は冷静に考えたら明らかにおかしいにも関わらず、周りの人を納得させてしまう。宗教とユリ子は通ずるものがある。しかし、いざとなるとうちとは関係なかったことにしてくれと突き放す宗教より、一緒に死体を食べましょうと言ってくれるユリ子の方が頼もしく、歪んでいるが愛情を感じた。
好きな文章。
「オレの話すことを全部自分の中に吸収してさ、しばらく黙っていることあるじゃん。そしてさ、自分の中で何か言ってんだよな。オレ、ああいう時、この女、なに考えてんのかなあって思ってた。美果ってさ、ひとりで考えて、ひとりで答え出して、人のいうことなんか聞かないじゃん。オレがああしろ、こうしろ、っていっても聞かないよな。何かさ、こういうのって疲れちゃうんだよな。」p142
「パパはこう決心したんだ。将来、この子を傷つけるような人間がいたら、絶対許さないってね。でも、それは違うと今は思うよ。」
「なぜ」
「美果は誰かに傷つけられたかもしれないけど、それ以上に喜びや嬉しさを与えられている。その喜びは、親が絶対に与えてやることの出来ない喜びなんだ。そういう年齢になったんだよ」 p148
Posted by ブクログ
夜寝る前に読んだら、やめられなくなった。先が予想と反するもので、意外!!
最後の方はグロかった・゜・(PД`q。)・゜・ (緑川の死体を家族
で食べる)
けど、とってもおもしろかった。
Posted by ブクログ
4人家族の佐伯家の話。父達夫は銀行員、母ユリ子はセレブ料理研究家、娘は大学進学せずに母の手伝い、息子は新興宗教にのめり込む高校生。
それぞれの日常が描かれていくが、途中から急展開!母の不倫相手の編集者・緑川を息子が殺してしまい、家族は隠すために人肉料理を食べ続ける…。何も知らずに読んだので驚いた。
どうやって終わるのかなと思ったら、かなり唐突にユリ子が逮捕される瞬間で終わり。この後の一家の行く末が気になった。
Posted by ブクログ
最初は、バブル期のしっぽを残すような家族だなあ、なんて思いながら読んでいた。
だって主人公のユリ子って、欲しいものはすべて手に入れてしまうような女性なのよ。
それがステイタスだった。
今は、取捨選択して、本当に自分に必要なものを知り、身の丈の中で丁寧に暮らすのが素敵とされている。
だからちょっと時代が古いなあ、と。
劇的な金融危機、マスコミの寵児、学生が取り込まれていく新興宗教。
2~3年前に読んだら、古いなあと思っただろう。
ところが、ここ数年でまったくもって時代にフィットしてしまっていた。
そこに、びっくり。
特に、子どもが犯した罪を家族全員で隠蔽しようとする姿などは、数年前に読んだら「ありえない」と切り捨てただろう。
親の良識を疑うよ、と。
でも、実際に札幌でそのような事件が起こり、現在裁判が行われている状況で、実は全然あり得ない話ではなかったのだと知る。
ただ、気になった点が2つ。
1つは、料理研究家のユリ子の料理がちっともおいしそうではなかったこと。
シチューにかきたま汁、合わせる?
付け合わせのサラダはアスパラとインゲン。緑しかない。
無理してレストランの料理を家庭で食べている感じ。
そして具沢山を理由にシチュー率多すぎ。
そして最後の展開が急すぎること。
ピクニック客に紛れて急に現れるということは、家族の中に内部通報者がいるはずだけど、それに関する言及は特にない。
私は長女の美果だと思っている。
一番常識的だし、一番失うものがないからね。
でも、唐突に終わってしまった物語では、答え合わせができない。
途中の展開がグロテスクすぎて打ち切られたんだろうか?
私はそれほどグロテスクとは思わないかったけど。
何しろ具体的描写がほとんどないからね。
でも、苦手な人や強烈に嫌悪感を抱く人はいそうだな。
総じて林真理子の文章力というよりも、林真理子の時代を見る目に引き込まれました。
Posted by ブクログ
作者唯一のホラー作品。
作中で重きを置いているのはディナーなのに題名はランチ。
ピクニックのシーンのことだって見解が多いけど、『最近の昼食は、夜のコンディションを整えるために食しているのである。』を指してると考えたほうが物語が深くなるんじゃないかな。
Posted by ブクログ
カニバリズムだった。物語自体は荒っぽい感じなのだけども、文章表現力が半端ない。キャラの素描が巧みなので、説得力があって引き込まれる。
丹念にキャラを描くことで、物語の粗を感じさせないつくりというのは参考になった。
Posted by ブクログ
これが噂のカニバリズムってやつですかね。
途中の解体シーンはこっちが吐きそうでした。ユリ子が静かにまるで家畜を捌くかのような狂気にゾッとしました。
みんなで力を合わせているようで、実際は完全崩壊に向かって転落しているだけなのが哀しいですね。逃げきれたら良かったのに…って思いました。
ずっとなんでディナーじゃなくてランチなんだろうと思っていたので、最後はやられたなーと思いました。
気持ち悪かったけど、こういうテイスト好きです。
あと角川文庫の装丁も好きです。可愛い。
Posted by ブクログ
2012/4/23(月) 後半証拠隠滅の描写のグロさにびっくり。かなりの斜め読みで乗り切る。小池真理子さんの雰囲気に類似。
崩壊していた家族が一致団結する様子が自然だった。分かる気がする。
が!他のレビュアーの方も書いていたが、人には勧めない。
Posted by ブクログ
怖かった・・そしておもしろかった!!
最近思うんだけど、事件とか殺人とかってすごく特別な感じに起こるんじゃなくて、日常のふとした気持ちの変化や衝動によって引き起こされるんだなぁって。
まぁ当たり前の話なんですけど、今更悟りましたw
読み終わった後しばらくは気持ち悪かったよ、正直。しばらく肉見たくない〜!!!!みたいな。
でも引き込まれちゃって夜寝れなくなるのは間違いない!!
Posted by ブクログ
内容はおもしろかった。
またおっさんと若い子のいやらしい話かな?って思ったら
家族の話だった。
ただ後半かなりグロい(笑)
ごはん食べながらは読みたくないです。
Posted by ブクログ
初めての林真理子。
想像していた話と全然違う方向にいきなり進み始めびっくりした。でも面白かった。唐突に終わったような感じが少し残念。
共通の秘密がここまで家族を団結させるのか。
残酷なストーリーではあるけど家族の話としてはよかった。
主人公のユリ子は海外出張あたりまではいけすかない感じがしたけど、事件が起きてからの頼もしさは半端なかった。女って恐ろしい。
事件を起こした当の息子が一番共感できなかったな。
大体高校生にもなって母親のことをママと呼ぶ男なんてろくでもない。
Posted by ブクログ
1つの家族を取り巻く、ある変化のお話です。
特に仲がいい家族ではないが、割と経済的にも恵まれていて、暮らしていくには何不自由ない家族ですが、あることをきっかけにとんでもない禁忌を犯します。
他の方の感想を見ると「気持ち悪い」「吐き気がする」と書いてありますが、私はこの物語の中核が何なのかを購入前に調べてから読んだので、特に「気持ち悪い」というような印象は受けませんでした。
ネタバレではありませんが、カニバリズムという単語だけだしておきますね。カニバリズム描写が苦手な人は読まないほうがいいと思います。
作品自体は、母親についてはじめは主体的に描かれているものの、後から娘・息子・夫についても書かれ始めます。ただ、文章内に占める割合は母親が圧倒的に多い割に、事件が起こった後、事件の発端の原因である母親の自分の罪についての感情や葛藤の描写が少ないのと、最後のページであっけなくコトが終わるので、物語のスケールにしては各個人の感情や背景の描写が足りないなと感じました。
少しだけかいつまんで書いてある、けれども物語の中核は進行していく、という感じで少し消化不良でした。
カニバリズムの描写はそれに比べて割はと細かいと思います。なので、気持ち悪かったりグロいと批判する人もいるかと思います。
家族が一致団結して犯罪を隠そうとする面と、息子の精神的葛藤については興味深く読み進めることができました。その点は面白いです。
↓この本をお勧めしたい人↓
カニバリズムの話が読みたい人
家族犯罪の話が読みたい人
背徳的なスリルを求めている人
↓この本をお勧めできない人↓
カニバリズムが苦手な人
背徳的な話が嫌いな人
カルト的宗教について読みたくない人
幸せな家族の話が読みたい人
Posted by ブクログ
ダイエットにいい。
ごはん、欲しくなくなる。
子供を守りたい。
って、そういうことなんかな。
愛がないわけではないけど、
いちばんではない気がする。
2015.11
Posted by ブクログ
料理研究科の主人公が、息子が殺してしまった自分の愛人の肉を料理して家族で食べて証拠隠滅・・・というストーリー。淡々としつつも、じわじわと気味の悪さがこみ上げてきます。
Posted by ブクログ
私は、宮部みゆきの登場人物の描写技術がとても好きだ。
ほんの数行で活字の中の登場人物を鮮やかに表現してしまう。
彼女の作品を読んでいると、あっという間に私の中で映像が広がっていく。
その一方で、私は、林真理子の女性の描写技術がとても好きだ。
美人も不美人も、「あぁ分かる。。そういう人いるよね」って見事な一文で表現する。
また、「あぁ。。。そういう魅力的な歳のとりかたもあるのか」と気づかされたりすることもある。
そういう(蝶々さんとは違った意味での)「女子力」が好きだったりする。
近年の、林真理子作品には、もう一つ醍醐味があって、「anego」における沢木絵里子とか秀逸だったと思っている。
今回も、前半は、「いいとこの奥様が料理研究家として成功して。。。」って、オハナシをムフフと笑いながら読んでいたら、途中でまあ大事件発生!
その後がすごいすごい。えええええーーーっ!!!??そんなことしちゃうの?そんなことになっちゃうの!?とビックリ。
で、ラストまで突っ走って、最後、どーーんっと大きくコケて終わり。
どちらかというと「晩餐」に重きを置いているような内容だったのに、題名に「ランチ」が入っているのはこういうことだったのか、とラストで納得。
ま、たまにはいいです。林真理子作品。
残念ながら、いくら読んでも私も「女子力」は上がりませんが。(上がるほど残っていない)
Posted by ブクログ
美果と父・達也のやりとりが印象に残った。
(恋愛相談に限らず)本当に追い詰められた時に頼るべきは、家族なのかもしれない。
なぜなら家族は、無償の愛情で結びついている、自分にとって絶対的な存在であるから。
どんなに辛い状況下でも、自分と同じ負担を
自分のために背負ってくれてる人がいることのなんと心強いこと。
物語の終盤は、あまりにグロテスクで、
何度も何度も本を閉じながらもなんとか読み終えることができた。
Posted by ブクログ
おぉ、そういう結末になるのかい。
という感じ。
正直、描写が生々しい部分もあっていやだなーとも思ったんだけど、続きが気になって読んでしまったよ。
(07/09/20)
Posted by ブクログ
家族愛はすばらしいけれど、崩壊っぷりもとんでもない。私は平気だったけれど、母は「すんげぇ気持ち悪い小説。読むな」とまで言いました。それはそれで凄いなと。