石田夏穂のレビュー一覧

  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    ⚫︎感想(※ネタバレ)

    何度か出てくるこの表現に注目した。
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ。それは自分の力量で、自分の職能で、自分の価値のことだ。」

    ベテラン溶接工、伊東。40歳。仕事に対するプライド、スランプ。その原因は何なのか。年齢か、職業病か、奢りか、見て見ぬふりをしている不安か。「検査員」がやってきて、伊東の不手際を忠告しにくる。「検査員」は無意識の自分自身であり、また同時に自分であるということは、上記の記述から、自分が仕事で相手にするものである鉄鋼をも意味しているのではないか。

    師匠である牧野の手は「思いのほか冷たく、ショックを受けた」のは、牧野が太陽を手

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    浅倉秋成さん  かわうそをかぶる

    人気音楽クリエイターが殺された。その犯行動機は『VTuberを守るため』だった。主人公の女性に共感できる部分も沢山あり親近感が湧いた。 
    最後の展開に驚き、見返す面白さがあった。

    大前栗生さん  まぶしさと悪魔 
    動画がバズり、カリスマとなった女子高生の海荷は神と呼ばれ学校外からも人気があった。
    しかしそんな海荷がいきなり動画を撮るのをやめてしまった。やめた理由を問うために教師が動いた。動画の中のキャラづくりや誹謗中傷に疲れたためであった。しかしその原因を作った人が意外な人であった。

    新名智さん   霊感インテグレーション
    「幽霊からプッシュ通知が届く」

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    注目作家のアンソロジー作品

    SNS、Vtuber、SNSによるバズり、マッチングアプリ、若手社員と再雇用者のネットリテラシーの差異
    今の自分達にとっては馴染み深いテーマでとても読みやすい作品だった
    もちろんアンソロジー作品なので好き嫌いは多少なりとも出てしまった。

    かわうそをかぶる
     どうしてこれほど心が壊れた少女を描けるのか読んでいて不思議な気持ちになる
     物語の展開がとても綺麗で短編と思えない読み応えがある
     ラストで伏線回収があるのもなんとも秋山先生らしい

    ヤリモク
     40代男性のマッチングアプリ事情
     妻子持ちの彼がやっている理由とは…
     こちらも伏線回収ものだが、一番個人的には

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    2024年03月22日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    嘘がテーマのアンソロジーであり、各作品で何が嘘に当たるのか?を考えながら面白く読めた。1つ目の『カワウソをかぶる』がインパクト強すぎる。あーこっちの人やったんかい!ただのASD(解離はあるかも?)かと思わせといて自分が気持ち良くなるためならどんな事でもやっちゃうサイコパス人格の居る解離性障害やったんかい!が痛快で(書き方が上手くてミスリードさせるからズルい!)、思わず最後の数ページを何度も読み返した。途中何度もあれ?って思わせつつ上手く気付かせないようにするのが作者の狙い通りやとすると凄いなと。その次の話がなんか面白くなくて途中やめそうになったけど、『ヤリモク』が途中早めにネタバレしたけど面白

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    2024年03月17日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    初めてのアンソロジー。豪華なメンツですよね!
    石田夏穂さん、佐原ひかりさんの作品が好みだった。
    特に石田夏穂さんの作品は面白くて、くすくす笑いながら読んだ。ベテラン社員のことをレジェンドと密かに呼んでいる時点でツボ。あと、IT介護スタッフとかね笑 やはり石田夏穂さん大好きだ!

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    2024年03月11日
  • 我が手の太陽

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    読書備忘録784号。
    ★★★★。

    石田さん。難解やねん。よ~わからん。
    でも読んでまう。
    この方の作品で描かれるテーマは毎度めちゃくちゃ狭い。でも底なしのように深い。
    スミスマシンの話だったり、新卒採用面談の話だったり、まだ読んでいませんが冷え性の話だったり。

    で、本作は溶接。
    太陽の表面温度!には全然敵いませんが、高温のバーナーで鉄を溶かし一体にする作業が溶接。
    凄い溶接は、一体の金属より強度があるとまで言われている。そして溶接の完成度を確認するためにX線検査をする。完璧な溶接は細い1本の白い線として映る・・・。
    そんな溶接作業は高度な技術が必要で、溶接工は建設現場の花形で報酬も高い。

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    2023年12月06日
  • 我が手の太陽

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    マニアックにも程がある。著者の作品は大抵ニッチな題材だが、本作は飛びぬけてマニアック。今回のテーマは溶接工。勤務歴20年のベテラン溶接工、伊東は自他ともに認める仕事のデキる男だった。しかしヒタリ、ヒタリと徐々にミスが続き、いつしかスランプに陥る。俺はどうしちまったんだ、と足掻き藻掻く伊東。...もう最初から最後まで専門用語が多く、すべてを理解するのは難しかった。しかし伊東の職人としてのプライド、要所要所から醸し出される緊張感に目が離せずイッキに読み切った。過去作品の方が好みだったが、硬派でクールな一冊だ。

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    2023年09月02日
  • 我が手の太陽

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    前作、「ケチる貴方」でのどこにでもいる様な主人公の冷え性の女性と、女性がそう従事していないであろうプラント工事という現場仕事(主人公は現場作業員では無いが)の環境の描写、という対比、にある種新鮮な驚きを覚え、この作者さんなら…と思っていたところ今作品が芥川賞候補に選ばれた(残念ながら受賞はされなかった)との報道から、読んでみる事にした。

    主人公はゴリゴリの男性現場作業員、やはり前作同様、プラント工事、の配管溶接工、と言う技能的にも高度で肉体的な負担も強度の高い、ある意味特殊な職種、を題材としている。

    前作ではどちらかと言うとプラント工事におけるマネジメント的なこと、女性主人公がそういう業務

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    2023年08月22日
  • 我が手の太陽

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    ベテラン溶接工の伊東。伊東の視点での溶接作業の臨場感がよく、熱や光や汗を感じられる。伊東は現場での溶接作業に誇りを持っている。それ故に配管工や検査員、工場での決まりきった溶接作業を下に見る癖がある。仕事にプライドを持つのは良いのだが、その持ち方が問題だ。やはり自分以外を下に見たプライドは自慢できるものではない。それは自分が一目置かれない存在になったときに、周りからしっぺ返しをくらう。各個人が持つ誇りは主観的なものでしかない。自分が持っている矜持は他人にとってはどうでもいいことかもしれない。

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    2023年08月01日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    芥川賞候補作。
    溶接工の詳しい作業内容は難しすぎたのでさらっと読んだけれど、最後の方は、怪我をしながらミスせず、また怪我をしないでちゃんとできるのかハラハラした。
    「あの検査員」というのは、主人公にしか見えていない幻覚なのだとしたら、最後の終わり方はどういうこと?なんかゾッとした。

    「こんなの俺の仕事じゃない。」
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ」
    「お前は傲慢なんだよ。自分をすごいと思うのは人の自由だが、どんな仕事も馬鹿にしてはならない。そうだろ。お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりもさ馬鹿にしているというのに。」
    という箇所で、そうだよな、仕事の

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    2023年07月22日
  • 緑十字のエース

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    不思議体験。そんなに熱中するほどの内容との認識は無いんだけど、時を忘れ電車で乗り過ごしてしまった。それだけノンフィクション感があったのかな。仕事ネタは気付くと夢中なっているのかも。一気に読めるちょうど良いボリューム感。

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    2026年04月01日
  • ケチる貴方

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    等身大の労働者目線(解像度が高過ぎる)でありながら、絶妙な可笑しみとほんのりヤベー奴感を醸し出す主人公から発せられる思考と言動が堪らない。柔らかいのに歯切れが良い文章と予想がつかない展開、呟かれる核心の数々に感嘆。身体的に「普通」から外れた女性たちが、この社会に生き難さを感じながらも、人としての尊厳や自立性を失わない様は実に清々しい。

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    2026年03月31日
  • 緑十字のエース

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    内容はミステリー感があって面白かったです。ただ、最後の終わり方があまりスッキリしなかった…。松本の目的をもっと掘り下げてほしいし、浜地の今後の展開ももっと覗きたかった。
    でも「働くこと」への複雑な思いだったり、浜地の立場におけるリアルな心情が描かれていて他人事とは思えなかった。個人的に刺さった一冊です。

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    2026年03月30日
  • 緑十字のエース

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    工事現場の安全管理員。車止めや防塵マスク着用のチェックから、風速基準の遵守までいろいろな観点がある。
    大手建築会社を辞めて現場での派遣社員となった50歳くらいの男性が主人公。
    最後に明かされる松本の秘密には、なるほどーと思いました。

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    2026年03月07日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    過去十年間、欠陥率の少ないエース溶接工であった伊東は、突如スランプに陥る。かつての自分の中に存在したいつも通りの手順や自信は日に日に失われていく。それでも消えない、溶接工であるという燃え上がる職人魂は、ぼろぼろの伊東を再び現場へと駆り立てて———

    伊東は優秀な溶接工である自分にこれでもかというほどに大きなプライドを持っている。それはただ単に火を尊敬しているだけでなく、元請である管理職に対して「お前たちには絶対に火を扱えない」と声を荒げてしまうほどに。そんな彼は、たった一つの失敗によってつけられたヒビから、どんどん亀裂が広がっていくと同時に、自らの実力に疑問を抱くこととなる。それからさらにミス

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    2026年03月06日
  • 緑十字のエース

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    初読の著者だがノンフィクションと創作の中間くらい、建設現場の実情など知る由も無いが、恐らく現実とさほどギャップは無いだろうと想像は付く。  昨今、単純な不注意が原因の死亡事故多発しているのはこうした現場気質だからだろう。

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    2026年03月05日
  • 我が友、スミス

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    運動不足の解消としてジムに通い始めた会社員の女性が、やがてボディビルの世界に足を踏み入れ、自らの肉体を変えていくことにのめり込んでいく。鍛え上げられていく身体とともに、「なりたい自分」と「求められる自分」の間で揺れ動いていく物語。

    トレーニングジムやボディビルという知らない世界を知ることができて純粋に楽しかった。誰しも少なからず持っている変身願望を思い出させる内容だった。漠然と始めた筋トレが競技へと変わり、自らの肉体を作り替えていく過程はとても興味深い。自分がなりたいものと、周囲から求められるもののギャップに葛藤する姿には共感する部分も多かった。

    また、自分を追い込むストイックなトレーニー

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    2026年02月27日
  • 我が友、スミス

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    どうしても私みたいな選手は傍流扱いになっちゃうのね 世間はがちがちに鍛えた女性を嫌厭しがちである 「私にも、出来ますかね」これは最早、肯定有きの誘導尋問だった 私は艶めく茹で卵を齧った 目の前のトレーニーの呷るプロテインに心を奪われている このように意識を切断するものを雑念と呼ぶなら 私は日に日に強靭になっていく身体は元より、この真空地帯に淫したのだった 人間が社会的な生き物で有る事の証左だ 私の頭は浮腫んだ脹脛のようにぱんぱんになった 偏に私が新参者だったからだ 皆既日食レベルにピタリと一致する様だった 幸か不幸か、優れた見てくれには、途轍もない力がある。無言のままに、これ程迄雄弁で有得る。

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    2026年03月04日
  • 我が友、スミス

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    筋トレ小説というのを初めて読んだ。筋肉の部位の話しからトレーニングマシンの使い方に至るまで詳細に書かれていて筋トレの奥深さに触れたような気がしました。
    美容やダイエットの為ではなく、単純に筋力をつけたい主人公の苦労や葛藤がひしひしと伝わってきたし、成長の過程も読んでいて面白かった。

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    2026年02月12日
  • 我が友、スミス

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    ボディビルの大会に出場することになって、
    筋トレの沼にはまっていく女性の物語。

    私も筋トレ歴は長いのですが、
    女性の大会については全く知識がありませんでした。
    「筋肉とは関係のない部分も評価の対象となる」
    ことが暗黙の前提になっていること。
    ここに
    男女でのボディビル観というか、
    女性へのバイアスというか、
    男女問わず客観的な『美』に対する価値観というか…。
    「昔の(クラシカルな)美意識」を感じてしまう描写が、
    作品のあらゆるところにちりばめられています。
    そして、そんな世界に
    終盤に行くにつれて、主人公が向き合っていく。

    筋トレを始めたきっかけを
    「美しくなる」とか「ダイエットをする」な

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    2026年02月08日