石田夏穂のレビュー一覧
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化学工場の設計をする会社で、10年前から新卒採用チームの一員として働いているベテランの主人公。部下の中村、太田とともに、合同説明会にてブースを設営、リクルートスーツの学生たちの勧誘に勤しみ、応募者を四分の一に絞る一次面接を担う。「人事部の小野さん」として社内の信頼も厚い彼女には実は、入社時は優秀で、会社の中核である花形部署での活躍が約束されていたのに、社内の少々難ありのマスコットを社外に洩らしたという、納得のいかない理由で異動になったという経緯があり、会社に恨みを持っていた。新卒採用における彼女の理念は、「会社の不利益になる社員を採用すること」。そのために目をつけたのが、顔の黄金比だった。
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大好きな作家さんの一人である。石田夏穂さんはいまでも一般職で働いている方で、その働く中でのあれこれを書いている「9.5時間、戦えますか。」というエッセイが毎回本当に面白い。天才だなぁと思いながら、早く本になってくんねぇかなぁと思っている。
今回の作品も、仕事や趣味でうまくいかない人が、あることをきっかけにそれらがうまく回りだすのだか…という話なので、「ケチる貴方」や「黄金比の縁」が好きな私からするとどんなアプローチなのか楽しみだった。
読んで思うのは、中編が多い作家さんなので、もう少し書いてほしいなと思うときがある。面白いからこそ読んでみたくなってしまう。でもまずはご自身の体を寵愛していただい -
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7名の若き作家たちのSNS系など令和の時代のアンソロジー。目玉は杉井さんだろうか。「世界でいちばん~」の続編?のような短編で唯一の書き下ろし。他は小説新潮で特集された作品と結城さんの「#真相を~」から1編。目玉の杉井さんが一番のキャリアというのがうむうむ、というところか。全体的にシニカルな作品が多くやはり令和を切り取ることになるとこういった作風が増えるのだろうか。その中で佐原さんの作品は純粋?な青春もので良かった。
浅倉秋成 かわうそをかぶる
Vチューバーを題材にした作品。一番怖かった作品かも。タイトルの良さと2重人格?のような造りがよかった。
大前粟生 まぶしさと悪意
文藝出身ながらエンタ -
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ネタバレ体づくりと組織づくりをリンクさせているチームリーダーの話。
組織に貢献しない人材=脂肪、組織に貢献する人材=筋肉として、脂肪を排除することに躍起になるリーダー。
脂肪は落としすぎたらダメっていう結果になった訳だけど、リーダーは脂肪を許せるかな?
ケチる貴方と似てるなぁと思いながら読んでて、読み終わった後に同じ作者だと気付いた。
読む前はマッチョで優しいリーダーと仲間たちの話かと思ってたから、ブラックな面が全面に出ているリーダーにびっくりしたけど、否定もしきれずテンポも良くて読みやすく…
ストイックな後藤の一喜一憂にこちらも巻き込まれるのが気持ち良い。楽しい読書体験だった。