石田夏穂のレビュー一覧

  • 我が手の太陽

    Posted by ブクログ

    前作、「ケチる貴方」でのどこにでもいる様な主人公の冷え性の女性と、女性がそう従事していないであろうプラント工事という現場仕事(主人公は現場作業員では無いが)の環境の描写、という対比、にある種新鮮な驚きを覚え、この作者さんなら…と思っていたところ今作品が芥川賞候補に選ばれた(残念ながら受賞はされなかった)との報道から、読んでみる事にした。

    主人公はゴリゴリの男性現場作業員、やはり前作同様、プラント工事、の配管溶接工、と言う技能的にも高度で肉体的な負担も強度の高い、ある意味特殊な職種、を題材としている。

    前作ではどちらかと言うとプラント工事におけるマネジメント的なこと、女性主人公がそういう業務

    0
    2023年08月22日
  • 我が手の太陽

    Posted by ブクログ

    ベテラン溶接工の伊東。伊東の視点での溶接作業の臨場感がよく、熱や光や汗を感じられる。伊東は現場での溶接作業に誇りを持っている。それ故に配管工や検査員、工場での決まりきった溶接作業を下に見る癖がある。仕事にプライドを持つのは良いのだが、その持ち方が問題だ。やはり自分以外を下に見たプライドは自慢できるものではない。それは自分が一目置かれない存在になったときに、周りからしっぺ返しをくらう。各個人が持つ誇りは主観的なものでしかない。自分が持っている矜持は他人にとってはどうでもいいことかもしれない。

    0
    2023年08月01日
  • 我が手の太陽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    芥川賞候補作。
    溶接工の詳しい作業内容は難しすぎたのでさらっと読んだけれど、最後の方は、怪我をしながらミスせず、また怪我をしないでちゃんとできるのかハラハラした。
    「あの検査員」というのは、主人公にしか見えていない幻覚なのだとしたら、最後の終わり方はどういうこと?なんかゾッとした。

    「こんなの俺の仕事じゃない。」
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ」
    「お前は傲慢なんだよ。自分をすごいと思うのは人の自由だが、どんな仕事も馬鹿にしてはならない。そうだろ。お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりもさ馬鹿にしているというのに。」
    という箇所で、そうだよな、仕事の

    0
    2023年07月22日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    全く知らない世界だったけど、さすが石田夏穂さん!専門用語もなんのその。読めば読むほど、お話に引き込まれて一気読み。人間関係の大小のかけ引き、各々の仕事に対するモチベーションなど絶妙な感情が描かれていた。次回作も楽しみ!

    0
    2026年01月07日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    建設現場の安全衛生管理という一般人にはまったく見えない世界を舞台にした職業小説。
    もちろんデフォルメはされているのだろうが、多重下請、人手不足、コンプライアンスと作業進捗のコンフリクトなど、建設業界の構造的問題を分からせてくれるリアリティがある。

    その構造問題にスパッとメスをしれるのでもなく、モヤっとしたまま後味があまりスッキリしないのもまたリアル。

    職人としてのプロフェッショナリズムが描かれるかというとそうでもなく、やっぱり「誰にでもできる仕事」なのかなあ、という印象だけが残る。
    フィジカルもメンタルもキツそうではあるが。

    池井戸潤的なわかりやすい勧善懲悪が読みたいわけではないけど、作

    0
    2026年01月04日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    趣味のボディビルに精を出す主人公の会社生活を主軸に、ボディービルディングにおけるボディメイク(筋肉と体脂肪)と、職場におけるチームメイク(仕事の出来るやつと出来ないやつ)を重ね展開される作品。トレーニングを重ねて体脂肪率を下げていく=怠惰な同僚や気の利かない事務の女性を切ってスリムなチームを目指していくことであり、そこに達成感を覚える主人公の後藤。本番に向けて身体を絞っていく過程で立ちはだかる様々な困難を乗り越えて最終的に臨んだ計量では、逆に階級の下限を下回り失格になるという結末。身体でも組織でも、多少の体脂肪は必要というメタファーか。
    帯には「朝井リョウ絶賛」「爆笑と感嘆」の文字が躍り期待さ

    0
    2025年12月30日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    大手デベロッパーのエリート社員だった浜地はある事情から自己都合退職に追いやられ、中堅ゼネコンの契約社員となる。与えられた任務は“安全衛生管理責任者”。教育係の松本と共に安全指導を始めるが…。

    安全と工期の関係がよくわかる。杓子定規は嫌われるが、融通を効かせた結果事故が起きた時のダメージは計り知れない。実際の現場ではどのくらい守られているのか知りたいような知りたくないような。
    そして最後に判明する松本の秘密。そこには非正規雇用労働者の切実な問題がある。
    松本は嫌いになれなかったけど、最後まで現場勤めを息子に明かせなかった浜地がイタイ。

    0
    2025年12月22日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    工事現場を舞台としたお仕事小説。
    現場の安全管理する安全衛生管理責任者が主人公。

    そこそこ面白く読めたが、終わり方が中途半端でスッキリしなかった、
    浜地はこのまま家族に嘘をつき続けるのか、松本・桜井の今後はどうなるのかが描かれてなくて残念。
    もっと胸のすくような結末を期待していたので、残念だった。

    0
    2025年12月21日
  • 我が友、スミス

    Posted by ブクログ

    自分が筋トレをやりだした時に読み始めたから、主人公がストイックに鍛えているのを感じてウキウキ湧き立つような気持ちで読みはじめた。
    最初は同じジムのS子の事が気になりストーカーのようにインスタとかを見ていた主人公が、物語が進むに連れ自分を鍛えるということに集中しだすと周りの雑音はどうでもよくなり自分にフォーカスしていくようになり、私もそうなりたいなぁと思った。
    あとボディビルの審査基準が女性の場合は女らしさも必要とされるとあるが、その審査基準でさえ医療的な物を利用してクリアしていってもOKだけどやりすぎだったりすると基準違反だとか、曖昧でかつ人それぞれの価値基準である事のモヤっとする気持ちは特に

    0
    2025年12月09日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いろいろな業者が関わる工事現場では、工期や予算、品質、安全など、それぞれが大切にするポイントが違うもの。読み進めながら、やっぱり安全が第一だよなーとあらためて感じた。「泥引き」という言葉を知れたのも興味深かった。大規模工事とは違うけれど、住宅建築の現場を見るたび、現場がきれいだと作業する人の環境もきっと守られているんだろうなと思う。

    0
    2025年12月07日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    顔の比率で合格か不合格か決める。主人公の復讐心が、内定者の合否を行方を決める話。
    私が好きなタイプも顔の黄金比で決まるから、そこは共感してしまった。

    0
    2025年12月01日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    理系の男性が多く就職するような、男女日が9:1の、時代に追いつけていない化学企業の新卒採用の話。

    主人公は、「女性」という理由で難癖をつけられ、自分がやりたい仕事から人事部へと移動させられた。

    そんな進むべき「前(志をもって進むべき目的)」を奪われた主人公は、採用担当としての権利を活かし、会社を徐々に崩壊させる復讐を、新しい「前」に設定する。

    それは、「顔の黄金比」のみで学生を選対すること。
    顔の黄金比のいい学生は、離職率が高く、会社にいつまで経ってものさばるような「凡人」にはなる確率が低いからだ。

    複数の基準を持って人間を総合的に評価する「新卒一括採用」とは、全くの矛盾の行動だが、そ

    0
    2025年11月15日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    トリを飾る杉井光さんのほかは皆平成生まれの
    若手作家陣によるSNSをテーマにしたアンソロジー。

    石田夏穂さんの「タイムシートを吹かせ」が
    とにかく面白くて、ちょっとほかの内容が記憶から薄らいだ。

    今推しの作家さん、新名智さんの「霊感インテグレーション」は
    同名の単行本も出ていて、
    内容としてもまだまだ膨らみそうな話。

    佐原ひかりさんの作品は
    少し歪んだ人間関係から
    何らかの神髄を引きずり出してくるような物語が読みどころ。
    今回は「あなたに見合う神様を」
    推しと自分の関係値について。

    0
    2025年11月06日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    採用側の視点で就活をみられるのが面白い。主人公が復讐をするための行動で、周囲からは評価されてしまうのも皮肉が効いてるな、と。
    ラストの展開までどう決断するのかワクワクして読めました。

    0
    2025年11月05日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    身体のスリム化と職場の能力とか人員のスリム化。設定として面白いけど、んー…あまりにもその事に注視し過ぎて、偏った物差しやなぁと。
    ま、仕事ができない、やろうとしないは頂けないけど。
    でも全部切っていったら何も残らなくなりそう。

    0
    2025年10月27日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    主人公の淡々とした皮肉が面白かった。最後、コネ入社の彼の採用はどうするんだろうとドキドキもし、ゾッとした。

    0
    2025年10月27日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    自分のいる組織のスリム化と、自分自身の身体のスリム化が連動する、という発想はなかなか面白いと思いました。
    けど、会社組織の体脂肪(いわゆる使えない奴)は切って捨ててしまえばいい、という発想は担当レベルの発想で、中間管理職以上の人間の発想としてはいかがなものかと思われます。
    また、体育会系の暑苦しい上司というのも個人的にはあまりいただけないなと思いました。

    0
    2025年10月08日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    自分が勤める会社への復讐として人事の採用基準を顔面の黄金比で決める。これだけでも内容として十分に面白いが文章のいたるところでブラックユーモアが効いていてそれもまた良い。

    0
    2025年10月07日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    純文学っぽくもあり、大衆小説のような読みやすさもありました。世の小説はどちらかに分かれると思っていたけれど両立もしうるのか...と。

    思わず鏡を確認してしまいましたね。
    ただ黄金比の顔の人を主人公が好き好んで選ぶわけではなく、ちゃんと主人公の中で確立された理屈があってそうなのだということから、理系っぽさが感じられますね。こういう人事の人いそうだな。

    0
    2025年09月21日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    薄いのに、中盤からようやくエンジンかかって読み進めた。ボディビルダーの大変さとか体重と環境がリンクするのは面白かったけど、独りよがりすぎな主人公にはなかなか共感も笑いも起きないな〜。
    (20250417)

    0
    2025年09月11日