石田夏穂のレビュー一覧

  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    石田夏穂さんの作品はどれも見事にクセになる。
    本作は人事部に配属になった主人公が、会社に復讐するために採用方法を顔の黄金比のみで行うという話。一見とんでもないことをしているように思えるが、主人公の心情に共感してしまう部分もあったりするので、実際にあり得ないことでもないよなぁと思わせてくれる。解像度高めのブラックユーモアにくすりと笑ったり、ゾクゾクしたり。終始いろんな気持ちになって感情が忙しかった。他の作品も読むのが楽しみです。

    0
    2026年04月03日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    ついつい「これだよ! 石田夏穂さん!」と思ってしまった。
    私が魅せられた作者の魅力である、シニカルでコミカルな言葉たちが、ふんだんに詰まっている本作。石田夏穂さんという小説家の才能が溢れてとまらない。まだ作者の才能に気付いていない人にも、是非この作品で気付いて欲しい。

    0
    2026年03月15日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    思ってたのとはちょっと違ったけれど、
    これはこれで面白かった作品。

    海外出張が生きがいのユカリ(37歳)が
    体脂肪率を理由に出張禁止に。
    体脂肪率を下げるためにジムに通うが……、
    というのがざっくりとしたあらすじ。

    そこから自己管理に対する社会/会社の視線とか、
    そういったところを描写するかと思っていたけれど、
    思わぬ方向に話が転がっていった。

    社会に受け容れられやすい形の幸福を無批判に享受できるということは、とても恵まれた資質なのだと思う。
    そうではない価値観でも生きる場所があるのが、
    本当の多様性の時代なのだと思う。

    0
    2026年03月08日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    ユカリの心の中での毒吐きが辛辣で面白い。「前世は金剛力士像、ジャバ・ザ・ハットのような謎オバさん」とかの言葉選びも笑ってしまう。冷ややかな悪魔とは、結婚指輪のことだったのか…結婚してない人への世間の目線の冷たさは少し分かる。ジムでの筋トレの描写が細かくてすごいなとなった。初めて読む作家さんでしたが面白かった。

    0
    2026年03月06日
  • 我が手の太陽

    Posted by ブクログ

    前半は溶接工に関する専門的な言葉が続いてついていけるか不安だったが、中盤から長年の経験で高く積み上がったプライドが揺らぎ、崩れゆく様にハラハラしながらページを捲っていた。石田さんのお仕事小説は一味違うなぁと毎回思わされる。

    0
    2026年03月05日
  • ケチる貴方

    Posted by ブクログ

    ケチる貴方☆☆☆
    石田夏穂さんらしい数々のシニカルな表現に、常にやにやさせられる。
    「帰宅すると、駆け込むように服を脱いだ。制限時間付きの不倫現場、もしくは早脱ぎ選手権のようだ」
    面白かった。

    その周囲、五十八センチ☆☆☆☆
    どれだけダイエットをしても、太くあり続ける太ももとともに過ごす生活を余儀なくされた主人公。そんな主人公が行った太ももに対する勝負の一手は、脂肪吸引。そんな主人公は脂肪吸引を行うたびに、その魅力に気づいていく。
    とても面白かった。
    ここまで手放しに笑える小説は珍しいと思う。
    自分にとってあまり理解がない分野を題材にした小説は、どれだけ少ない言葉で、かつ主人公の考えが読み取

    0
    2026年03月01日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    ボディビルダー後藤の身体づくりと仕事の責任の狭間で苦悩する物語。
    言ってしまったら趣味なんだから仕事を優先するのは当たり前ってなるんだけど、それだけじゃ人生楽しくない。
    特に役職が付くと自分の事は後回しにしなくちゃってなってくる。行きたくない飲み会や休日出勤、その辺の上手なバランスの取り方が出来る社会人になるのか。
    後藤は自分の身体と会社を連動させて考えているのが面白い。要らない体脂肪、要らない社員。無駄を削ぎ落とすと同じ様にスリムになる。ただの偶然か思い込みなんか、または皮肉の効いた空想か。
    ただメタボな人に対しての極端な嫌悪はなんだかな。けどその視野の狭さがこの物語を面白くしているんだけど

    0
    2026年02月25日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    ----------------------------------
    結婚願望ゼロ
    体脂肪率オーバー

    37歳出張ジャンキー女が
    人生初のジム通いを始めーー
    ----------------------------------
    著者の文体、文章が大好きです。
    あっさりしつつも、たまに鋭くて、
    その後に「わかる」と言いたくなるツッコミ。

    本書は海外を仕事で飛び回っていたユカリが、
    突然本社に呼び戻され、
    体脂肪率を下げない限り、
    健康の観点から海外出張させられないと告げられる場面から始まります。

    本社での過ごし方や業務内容の話はほぼなく、
    体脂肪率を下げるために通い始めたジムと、
    海外出張に

    0
    2026年02月15日
  • ケチる貴方

    Posted by ブクログ

    石田夏穂さんの言葉の選び方が好きなんですが、少しストーリー運びがワンパターンだなと思う

    極度の冷え性の会社員の女性が
    新人教育担当になり、自分でも思わぬ所で世話を焼いてしまうと、その夜から急に身体がポカポカとしだして⋯

    周りに親切にしたら何故か身体がポカポカととあったまってくる
     
    ケチらずに寛容に周りに愛想良くすれば身体が火照ることに気づく

    心と身体は繋がってる?
    相手にそっけなくすると身体も冷え、
    相手に優しくすると身体が温まる⋯
    そうなのかもしれないなと思いながら読んだ

    おもしろかった
    同時収録の「その周囲、五十八センチ」の脂肪吸引の実態には驚き

    0
    2026年02月08日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    大手商社勤務のユカリは、1年中海外出張で飛び回っているが、ある時海外出張禁止命令が出て。
    その理由がなんと体脂肪率が高いから、出張中に万が一のことがあるといけないからだと。
    本社勤務から一刻も抜け出したいユカリは、ジムに通い規定の数値に戻すべく日々筋トレに励む。
    そらきた!これって、「わが友、スミス」の流れやんな?
    トレーニングにハマって、ムキムキになってコンテストに出たりすんの?
    違った・・・
    ユカリは37歳、当然世間は既婚、未婚、はては事実婚など興味を示し、当人は気にしていなくてもそういう目が煩わしい。
    そんな時ジムであるものを拾い、それによってユカリは一種の護身術を身につける。
    と想像と

    0
    2026年02月07日
  • ケチる貴方

    Posted by ブクログ

    77点:「マイクロソフトに失笑されそうだが、こうした自称・知的財産を、無償でべらべら吐き出すことに、強い違和感を覚える。」

    すらすら読めて楽しいに尽きる。こういう楽しい文章をひたすら書ける作家はなかなかいない。
    結末は小説っぽくしていかなきゃいけないから若干不自然な感じになる時もあるけど、話の立ち上げ方がめちゃくちゃうまい。

    0
    2026年02月06日
  • 冷ややかな悪魔

    Posted by ブクログ

    めっちゃ面白かったです。独身のバリキャリ女性が、ジムで拾った結婚指輪をつい身につけてしまい、まわりの人が彼女を既婚女性だとして扱うと、ついそれを演じてしまって、その心地よさに演技をやめられなくなる・・・というストーリー。「既婚だとこんなに得してるはず」という大げさな思い込みが、適度にリアルで、「もしかしたらそういうこともあるはず」みたいに思わせる絶妙なバランスがすばらしかった。

    石田さんの他の小説を後から読んだのだが、それらは作者の描写がリアルすぎて、だけどインタビューで語っているところからすると、それらは所詮作者の妄想にすぎず、そのギャップにちょっとついていけない。リアルに書くなら本当であ

    0
    2026年02月04日
  • 我が友、スミス

    Posted by ブクログ

    趣味の筋トレが高じてボディビル大会に出場する事にした女性のお話

    ジムで自己流の筋トレをしているU野
    ボディビル業界では有名なO島から、「うちで鍛えたら、別の生き物になるよ」という誘い文句からジムを移籍し、初めてボディビルの大会に臨む事になる
    しかし、女性のボディビルの大会は、ただ単に筋肉の大きさだけでなく、フィジークというトータルバランスが必要な種目で
    しかも、筋肉とは関係ない「女性らしさ」という評価基準も求められる
    その事に疑問を感じつつ、大会でU野の取った行動とは?


    タイトルのスミスは、筋トレ用のトレーニング器具「スミスマシン」の事
    ガイドレールとストッパーがあるため、一人でも限界の

    0
    2026年01月29日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    83点:「ジェネラリストの評価は不可避的にジェネラルである。ポテンシャルの評価はそれ自体がポテンシャルである。つまりまったくわからない。」

    会社に最大限の復讐をする、という地点から出発すると必然的に明確な評価基準をもつ人事部社員が生まれぱっと見、仕事ができるように見えるという構造が面白い。
    文章の面白さもトップレベル!

    0
    2026年01月22日
  • 我が友、スミス

    Posted by ブクログ

    めちゃくちゃ心地好い文体。地味で真面目な会社員が、ジムに通って筋トレをし、ボディビル大会出場を目指す、というシンプルな話が、ずっと面白い。社会の評価軸と自分の価値観に折り合いをつけながら生きることの「ややこしさ」が、柔らかくも核心をつく言葉たちで浮き彫りとなる。そのややこしさの中で確と生きていく自分や周囲へのエール。読後感は頗る爽快。

    0
    2026年01月21日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    勤めてる会社に復讐するには。

    会社の花形の部から左遷のように人事部に異動させられた主人公は、会社に不利益を与えるために顔の黄金比で採用・不採用を決定することにした。

    なんだこれ?な展開ですが文章の説得力が凄まじい。石田さん独特の文章が小気味よい。数ページごとに笑ってしまう。

    主人公も泣き寝入りするだけじゃなくて独特の思考で我が道を行く。

    「私も含め不細工な顔のほうが、会社に不利益だろう。それは本当だろうか。不細工な顔のほうが、会社に不利益だろうか?」(P50~51)からの「日中の執務室にはそこここに同僚がおり、皆が不細工だった。」(P51)は一度本を閉じて笑ってしまいました(汗

    最後

    0
    2026年01月13日
  • ミスター・チームリーダー

    Posted by ブクログ

    筋肉系小説を書かせたら石田さんの右に出る者はいない。

    主人公に言わせると太っている職場の人間たちは使えない「脂肪」的な存在。これって描き方を間違えるとすんごく嫌な奴で終わってしまうけど、主人公の真剣すぎるが故の滑稽さや可笑しみを描くことによって見事にエンタメ化していたと思う。

    どういうラストになるのか読めなくてどんどんページをめくった。

    0
    2026年01月12日
  • 黄金比の縁

    Posted by ブクログ

    朝井リョウさんが、中央大学の学生への講演会で就活関係のオススメ本として紹介してたことを知り、とりあえず読んでみた。たしかに就活って正しく機能してないなと思えるし、重いテーマかと思いきや気軽な感じで短時間で読めてよかった。

    0
    2026年01月10日
  • 我が友、スミス

    Posted by ブクログ

    登場人物の名前がアルファベットなのが特徴的です。主人公U野が筋トレを始めた理由は、ジェンダーやルッキズムについて考えたことがある人や悩んだことがある人は、特に共感できるかもしれません。200ページ弱で、サクッと読めます。心情描写が少ないと感じたのですが、だからこそ時折出てくる鋭い言葉にハッとさせられたり、U野が最後に出した答えに自分の場合はどうだろうかと考えさせられます。

    0
    2026年01月03日
  • 緑十字のエース

    Posted by ブクログ

    石田夏穂さんのお仕事小説に間違いなし

    いわゆるホワイトカラーだった主人公が体のいいリストラにあい、同業界のブルーカラーとして働く。
    ホワイトカラーの無自覚な見下しが色んなところで感じるけど、机の上の仕事の先は現場にあると文字どおり地に足をつけて日に日に実感していくのがいい。

    石田夏穂さんの『この手の太陽』にも繋がる安全と工期とそこに関わる人達の立場とか思惑に、業種を超えて共感したりムカついたり。
    『この手の太陽』では安全含めてプロだと思う、という感想を持ったけど今回の主人公は現場の人間としてはまだプロになれていなくて、ホワイトカラー元管理職の中年男性が振り回され意識変容しないといけない自分

    0
    2026年01月02日