石田夏穂のレビュー一覧
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前作、「ケチる貴方」でのどこにでもいる様な主人公の冷え性の女性と、女性がそう従事していないであろうプラント工事という現場仕事(主人公は現場作業員では無いが)の環境の描写、という対比、にある種新鮮な驚きを覚え、この作者さんなら…と思っていたところ今作品が芥川賞候補に選ばれた(残念ながら受賞はされなかった)との報道から、読んでみる事にした。
主人公はゴリゴリの男性現場作業員、やはり前作同様、プラント工事、の配管溶接工、と言う技能的にも高度で肉体的な負担も強度の高い、ある意味特殊な職種、を題材としている。
前作ではどちらかと言うとプラント工事におけるマネジメント的なこと、女性主人公がそういう業務 -
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ネタバレ芥川賞候補作。
溶接工の詳しい作業内容は難しすぎたのでさらっと読んだけれど、最後の方は、怪我をしながらミスせず、また怪我をしないでちゃんとできるのかハラハラした。
「あの検査員」というのは、主人公にしか見えていない幻覚なのだとしたら、最後の終わり方はどういうこと?なんかゾッとした。
「こんなの俺の仕事じゃない。」
「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ」
「お前は傲慢なんだよ。自分をすごいと思うのは人の自由だが、どんな仕事も馬鹿にしてはならない。そうだろ。お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりもさ馬鹿にしているというのに。」
という箇所で、そうだよな、仕事の -
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建設現場の安全衛生管理という一般人にはまったく見えない世界を舞台にした職業小説。
もちろんデフォルメはされているのだろうが、多重下請、人手不足、コンプライアンスと作業進捗のコンフリクトなど、建設業界の構造的問題を分からせてくれるリアリティがある。
その構造問題にスパッとメスをしれるのでもなく、モヤっとしたまま後味があまりスッキリしないのもまたリアル。
職人としてのプロフェッショナリズムが描かれるかというとそうでもなく、やっぱり「誰にでもできる仕事」なのかなあ、という印象だけが残る。
フィジカルもメンタルもキツそうではあるが。
池井戸潤的なわかりやすい勧善懲悪が読みたいわけではないけど、作 -
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ネタバレ趣味のボディビルに精を出す主人公の会社生活を主軸に、ボディービルディングにおけるボディメイク(筋肉と体脂肪)と、職場におけるチームメイク(仕事の出来るやつと出来ないやつ)を重ね展開される作品。トレーニングを重ねて体脂肪率を下げていく=怠惰な同僚や気の利かない事務の女性を切ってスリムなチームを目指していくことであり、そこに達成感を覚える主人公の後藤。本番に向けて身体を絞っていく過程で立ちはだかる様々な困難を乗り越えて最終的に臨んだ計量では、逆に階級の下限を下回り失格になるという結末。身体でも組織でも、多少の体脂肪は必要というメタファーか。
帯には「朝井リョウ絶賛」「爆笑と感嘆」の文字が躍り期待さ -
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自分が筋トレをやりだした時に読み始めたから、主人公がストイックに鍛えているのを感じてウキウキ湧き立つような気持ちで読みはじめた。
最初は同じジムのS子の事が気になりストーカーのようにインスタとかを見ていた主人公が、物語が進むに連れ自分を鍛えるということに集中しだすと周りの雑音はどうでもよくなり自分にフォーカスしていくようになり、私もそうなりたいなぁと思った。
あとボディビルの審査基準が女性の場合は女らしさも必要とされるとあるが、その審査基準でさえ医療的な物を利用してクリアしていってもOKだけどやりすぎだったりすると基準違反だとか、曖昧でかつ人それぞれの価値基準である事のモヤっとする気持ちは特に -
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ネタバレ理系の男性が多く就職するような、男女日が9:1の、時代に追いつけていない化学企業の新卒採用の話。
主人公は、「女性」という理由で難癖をつけられ、自分がやりたい仕事から人事部へと移動させられた。
そんな進むべき「前(志をもって進むべき目的)」を奪われた主人公は、採用担当としての権利を活かし、会社を徐々に崩壊させる復讐を、新しい「前」に設定する。
それは、「顔の黄金比」のみで学生を選対すること。
顔の黄金比のいい学生は、離職率が高く、会社にいつまで経ってものさばるような「凡人」にはなる確率が低いからだ。
複数の基準を持って人間を総合的に評価する「新卒一括採用」とは、全くの矛盾の行動だが、そ