石田夏穂のレビュー一覧

  • 我が友、スミス

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    大学生のころ、全国チェーンの大手スポーツクラブでアルバイトをしたことがあります。受付希望で面接に行ったら、シフトの関係か、急な欠員で困っていたのか、真偽のほどは未だにわかりませんが、ジムスタッフとして採用されました。初めは、マシンの使い方から学び、入会したての初心者の方へ案内する日々。長く務めるにつれ、フリーゾーンで毎日のように黙々とトレーニングをするマッチョなおじさまたちと話す機会も多くなったことを懐かしく思い出します。
    本書は、そっち、フリーゾーンで黙々とトレーニングをする人が主人公です。

    主人公はU野。U野をBB大会(ボディビルの大会)の道へ進むようスカウトするのはO島。パーソナルトレ

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    2024年11月28日
  • 我が友、スミス

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    ネタバレ

    U野が真っ直ぐ自分と向き合う姿がただただカッコいい作品だった。例えのレパートリーの豊富さとなにより筋トレやボディビルの解像度が非常に高い。インストラクター方の意見もしっかり理解してる上で自分の気持ちを曝け出す、あの本番ステージは輝いていたに違いないと思う。本当に足を運んで見たかったと思えるくらい素敵だった。彼女なりの「女性らしさ」「ボディビル大会」へのアンチテーゼがひしひしと伝わってきた。S子の絡みを最後に持ってくるのも、そこに気持ちの変化を表現するのも良い。

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    2024年11月14日
  • 我が友、スミス

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    最近筋トレを始めた私にとっては親近感のあるテーマ。しかし、筋トレ、ボディビルに関心がなくても、何かしら響くものがあると思う。
    世の中には様々なステージがあるが、どのステージに立っても女性は容姿でジャッジされて「大変」なのだ。例えそれが容姿とは関係ない仕事や筋肉のステージであっても。女性が周りの視線を気にせず主体的に生きることが、どれほど難しいことか。
    ヒリつくようなストイックなトレーニングと「別の生き物」を目指す様が手に取るように伝わってきて、一気読みしてしまった。最後は意外な展開だったが、悲壮感は全くなく、ある種の清々しさで締めくくられている。そう、自分の人生のステージは「自分で演出」するん

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    2024年11月10日
  • 我が友、スミス

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    166ページを一気に読んだ。前半は笑いが止まらない、テンポの良いコントのようなスピード、コミカルな言い回し、筋トレする人の真剣さはボケか、鍛えれば謙虚になり哲学者になるって、ギャグか。ボディービルダーでポーズとっているのは可笑しくてたまらないと思っていたが、まさにそれ、しかしその真剣な取り組みを応援するような気持ちになって後半に進んでいく。大会で結果を出すための努力は惜しまない、もう周りは何も見えない、これを純文学的に高い評価を得られる文章にしたのは凄い、実に面白い、やられたわ。

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    2024年10月23日
  • 我が友、スミス

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    トレーニングをして大会にも出ている自分からすると、筋トレあるあるがちょくちょくでてきたり、共感できるシーンが多くて、めっちゃわかる〜ってなりながら一気に読めた。

    一方で、本作の軸となるボディビルと性別においての審査基準や価値観などの視点は、これまで深く考えたことがなかったので、自分にとっての新たな気づきになった。

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    2024年09月14日
  • 我が手の太陽

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    溶接工を描いた小説という事で興味をもって読んだ。読む前にネットで調べると、ハンダづけとアーク溶接の区別がされていないような解説があり、若干、技術的な正確性に不安のある話かと思ったが、全くの誤解。技術的に正確などころか、所謂、現場や職人の姿が極めてリアルに描かれている。そして、「手に職」をもって生きる「職人の手」をモチーフとしたメタファーが、このハンダから始まっているのだと小説の技巧にも舌を巻く。

    あるある話で言うと、やはり現場は安全第一と言いながら、そこを管理する人間によって、消耗品の交換タイミングがいい加減だったり、安全帯の使い方も目が行き届いていなかったりする。八重洲ビルの事故みたいな問

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    2024年09月14日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    今時のネット社会がテーマの短編集。

    七人の若手作家達が書いているのだけど、その中に若手ではないが^^自分の推し作家である杉井さんが入っていたのでそれを目当てに読み出したのだけど他の作家さんのお話も面白かった。

    題材的にはVtuber、tiktok、マッチングアプリ、押し活などいかにもなもので、内容的にはミステリあり青春ものありサスペンス調のお話ありとバラエティがあって、なかなか面白かった。

    個人的にはtiktok絡みの青春ものが読後感が良くて好き。

    杉井さんのお話は「世界でいちばん透き通った物語」の後日談なのだけど改めて霧子さんがホームズで燈真くんがワトソンなのだなと納得した。

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    2024年09月04日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    この現代に潜むゾクゾク感がたまらない!
    SNSはやっぱり恐くて、でもこんなに温かいものだったなんて、今まで知らなかったなぁ。

    特に好きな話は、
    自分の娘がパパ活?をしている可能性があり、それを止めるべく取る父の行動に鳥肌が止まらない、結城真一郎「ヤリモク」。
    YouTubeの配信に熱を注ぐ変人な同級生を裏で支える主人公。果たして彼女たちの行く末はー。佐原ひかり「あなたに見合う神様を」。
    PCを使えない上司の指導係になり、不満を募らせる女性。その女性はその腹いせにその上司の管理下にあるタイムカードの数字をいじり、自分の残業時間をいじるというゲームを行っていた。最後の彼女の言動にに思わず胸を打た

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    2024年08月19日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    SNSが題材なだけあって「ありそう…」と怖さとふむふむが混同した読後感。

    笑ってよいのか怖がった方がよいのか…。
    さまざまな切り口のアンソロジーならではの楽しさもありました。

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    2024年06月17日
  • 我が手の太陽

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    挫折知らずだった職人肌を襲う衰え・不調。その自らを追い詰め、追い詰められていく様が恐ろしい。溶接作業や現場仕事のディテール描写にも痺れる。

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    2024年06月01日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    画面の
    向こうに
    隠された

    秘密と嘘
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    仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
    「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。

    7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
    時代感じます。笑
    昭和生まれの私…おののきました。笑

    「かわうそをかぶる/朝倉秋成」
    人気VTuberへ楽曲を提供していた音楽クリエイターが殺された。
    犯人は、VTuberの熱心なファン。
    自分はあてがわれた役を演じてるだけなのか。

    「まぶしさと悪意/大前粟生」
    Tipshotというショート動画SN

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    2024年05月06日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
    石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
    「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
    「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTok

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    2024年05月14日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    7人の作家のアンソロジー小説。
    VTuber、TikTok、位置情報を利用したアプリ、マッチングアプリ、YouTuber、Teams、故人のSNSアカウント・仮想通貨口座を題材にしており、令和の時代を感じる。

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    2024年04月15日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    ⚫︎感想(※ネタバレ)

    何度か出てくるこの表現に注目した。
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ。それは自分の力量で、自分の職能で、自分の価値のことだ。」

    ベテラン溶接工、伊東。40歳。仕事に対するプライド、スランプ。その原因は何なのか。年齢か、職業病か、奢りか、見て見ぬふりをしている不安か。「検査員」がやってきて、伊東の不手際を忠告しにくる。「検査員」は無意識の自分自身であり、また同時に自分であるということは、上記の記述から、自分が仕事で相手にするものである鉄鋼をも意味しているのではないか。

    師匠である牧野の手は「思いのほか冷たく、ショックを受けた」のは、牧野が太陽を手

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    浅倉秋成さん  かわうそをかぶる

    人気音楽クリエイターが殺された。その犯行動機は『VTuberを守るため』だった。主人公の女性に共感できる部分も沢山あり親近感が湧いた。 
    最後の展開に驚き、見返す面白さがあった。

    大前栗生さん  まぶしさと悪魔 
    動画がバズり、カリスマとなった女子高生の海荷は神と呼ばれ学校外からも人気があった。
    しかしそんな海荷がいきなり動画を撮るのをやめてしまった。やめた理由を問うために教師が動いた。動画の中のキャラづくりや誹謗中傷に疲れたためであった。しかしその原因を作った人が意外な人であった。

    新名智さん   霊感インテグレーション
    「幽霊からプッシュ通知が届く」

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    注目作家のアンソロジー作品

    SNS、Vtuber、SNSによるバズり、マッチングアプリ、若手社員と再雇用者のネットリテラシーの差異
    今の自分達にとっては馴染み深いテーマでとても読みやすい作品だった
    もちろんアンソロジー作品なので好き嫌いは多少なりとも出てしまった。

    かわうそをかぶる
     どうしてこれほど心が壊れた少女を描けるのか読んでいて不思議な気持ちになる
     物語の展開がとても綺麗で短編と思えない読み応えがある
     ラストで伏線回収があるのもなんとも秋山先生らしい

    ヤリモク
     40代男性のマッチングアプリ事情
     妻子持ちの彼がやっている理由とは…
     こちらも伏線回収ものだが、一番個人的には

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    2024年03月22日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    嘘がテーマのアンソロジーであり、各作品で何が嘘に当たるのか?を考えながら面白く読めた。1つ目の『カワウソをかぶる』がインパクト強すぎる。あーこっちの人やったんかい!ただのASD(解離はあるかも?)かと思わせといて自分が気持ち良くなるためならどんな事でもやっちゃうサイコパス人格の居る解離性障害やったんかい!が痛快で(書き方が上手くてミスリードさせるからズルい!)、思わず最後の数ページを何度も読み返した。途中何度もあれ?って思わせつつ上手く気付かせないようにするのが作者の狙い通りやとすると凄いなと。その次の話がなんか面白くなくて途中やめそうになったけど、『ヤリモク』が途中早めにネタバレしたけど面白

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    2024年03月17日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    初めてのアンソロジー。豪華なメンツですよね!
    石田夏穂さん、佐原ひかりさんの作品が好みだった。
    特に石田夏穂さんの作品は面白くて、くすくす笑いながら読んだ。ベテラン社員のことをレジェンドと密かに呼んでいる時点でツボ。あと、IT介護スタッフとかね笑 やはり石田夏穂さん大好きだ!

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    2024年03月11日
  • 我が手の太陽

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    読書備忘録784号。
    ★★★★。

    石田さん。難解やねん。よ~わからん。
    でも読んでまう。
    この方の作品で描かれるテーマは毎度めちゃくちゃ狭い。でも底なしのように深い。
    スミスマシンの話だったり、新卒採用面談の話だったり、まだ読んでいませんが冷え性の話だったり。

    で、本作は溶接。
    太陽の表面温度!には全然敵いませんが、高温のバーナーで鉄を溶かし一体にする作業が溶接。
    凄い溶接は、一体の金属より強度があるとまで言われている。そして溶接の完成度を確認するためにX線検査をする。完璧な溶接は細い1本の白い線として映る・・・。
    そんな溶接作業は高度な技術が必要で、溶接工は建設現場の花形で報酬も高い。

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    2023年12月06日
  • 我が手の太陽

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    マニアックにも程がある。著者の作品は大抵ニッチな題材だが、本作は飛びぬけてマニアック。今回のテーマは溶接工。勤務歴20年のベテラン溶接工、伊東は自他ともに認める仕事のデキる男だった。しかしヒタリ、ヒタリと徐々にミスが続き、いつしかスランプに陥る。俺はどうしちまったんだ、と足掻き藻掻く伊東。...もう最初から最後まで専門用語が多く、すべてを理解するのは難しかった。しかし伊東の職人としてのプライド、要所要所から醸し出される緊張感に目が離せずイッキに読み切った。過去作品の方が好みだったが、硬派でクールな一冊だ。

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    2023年09月02日