石田夏穂のレビュー一覧

  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    ひたすら溶接の腕を磨いてきた主人公が挫折に向き合う。

     石田夏穂さんはお仕事、それもブルーカラー方面の作品が多いのでしょうか。これはその中でも溶接工を取り扱い、さらにかなり深くその業務を取材しているように思いました。プロの視点で見たらどうなのでしょうか。

     技術に絶対の自信、誇りなど全てを賭け、文字どおり命がけで溶接を続けてきた主人公が、それを何とか取り戻すためにもがき苦しむさまが、辛くもあり気高くもあり不器用さも感じ、職人とはなんと厳しい孤高の存在なのか、などといった感情が去来しました。溶接を取り上げていますが、これは多くの「手を動かす仕事」に従事する方々にとって実感できるものなのだろう

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    2026年04月29日
  • ノーメイク鑑定士

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    タイトルからすでに面白かった
    推理モノかと思ったらシュールなお仕事小説で 言葉のチョイスがたまらない

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    2026年04月21日
  • 黄金比の縁

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    ネタバレ

    おもしろかった。
    黄金比の縁(おうごんひのえん)。
    最初はオウゴンヒのフチ?と思ったが、エンだった。読み進めると「縁(エン)」が重要だと分かってくる。


    本書はいわゆるお仕事小説であるが、主人公はとある理由から自分の所属する会社を恨みながら勤務しており、復習のために在籍し続けている。

    主人公、小野が務めるKエンジニアリングは、化学工場の設計を請け負う大企業である。理系の小野は新卒入社で入り、希望通り花形である「プロセス部」のチームに配属された。エンジニアリングで世界を変えることを夢見ていた。しかし、ある事件により、人事部に飛ばされてしまう。「会社に不利益になる人間はうちの部署には置けない」

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    2026年04月22日
  • ノーメイク鑑定士

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    リアルリアルリアル、ちょっとだけフィクション、過剰にフィクション、でも嘘じゃない、働いてる人間はどこかが壊れてるように思う
    趣味や年齢もばらばらの人間が集まった時、こんなふうに誰かの異常性が浮き彫りになる瞬間ってあるなと思う
    実際この物語に出てくる人間は全員異常性を持っているけれど職場の人間には気づかれていない
    自分も誰かにとっては異常で、隣でキーボードを叩く誰かもまたきっと異常なのである

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    2026年04月17日
  • ノーメイク鑑定士

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    珍しい、石田夏穂の短編集。1編ごとのボリュームはコンパクトなのに、どれもきっちり“読ませる”完成度で、4作収録という満足感も大きい。

    収められているのはいずれも得意のお仕事小説。ただし、社会の闇を暴くような重たい方向ではなく、「職場でギリギリ起こりそう」な出来事を、独自の視点で切り取る軽やかさが魅力。どの作品もテンポがよく、とにかく読みやすい。そして気づけば、どれが一番か決められないくらい、どれも面白い。

    『考えてみれば、人に「化粧をしていますか?」と訊くのは「大便したあと尻を拭きますか?」と訊くのに似ている。』

    この一文のインパクト。こういう“ちょっとズレた核心”を突けるのが、この作家

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    2026年04月16日
  • 黄金比の縁

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    Xでこの本が面白いって呟きを見て衝動買いした。
    初読みの作家さん。

    どういうストーリーなのかも調べもせずにポチッとしたけど、面白く読めました。

    物語は不本意ながら会社の人事部に異動した小野の仕事のこだわりを書く。
    就活の合説でエントリーシートをたくさん集めて、一次面接で次々にチェックして二次面接に通すための条件、というかどこを見て決めるかの基準を考え抜いた小野。
    顔である。


    そのこだわりとか、徹底してて良い。
    しかも、会社に対しての恨みもあるから基準も同僚にも言わない。
    クスッとしちゃう感じかと思ってたら、
    終盤に急に不穏な空気になって、その後が気になる終わり方。



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    2026年04月07日
  • 黄金比の縁

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    石田夏穂さんの作品はどれも見事にクセになる。
    本作は人事部に配属になった主人公が、会社に復讐するために採用方法を顔の黄金比のみで行うという話。一見とんでもないことをしているように思えるが、主人公の心情に共感してしまう部分もあったりするので、実際にあり得ないことでもないよなぁと思わせてくれる。解像度高めのブラックユーモアにくすりと笑ったり、ゾクゾクしたり。終始いろんな気持ちになって感情が忙しかった。他の作品も読むのが楽しみです。

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    2026年04月03日
  • 冷ややかな悪魔

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    ついつい「これだよ! 石田夏穂さん!」と思ってしまった。
    私が魅せられた作者の魅力である、シニカルでコミカルな言葉たちが、ふんだんに詰まっている本作。石田夏穂さんという小説家の才能が溢れてとまらない。まだ作者の才能に気付いていない人にも、是非この作品で気付いて欲しい。

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    2026年03月15日
  • 冷ややかな悪魔

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    思ってたのとはちょっと違ったけれど、
    これはこれで面白かった作品。

    海外出張が生きがいのユカリ(37歳)が
    体脂肪率を理由に出張禁止に。
    体脂肪率を下げるためにジムに通うが……、
    というのがざっくりとしたあらすじ。

    そこから自己管理に対する社会/会社の視線とか、
    そういったところを描写するかと思っていたけれど、
    思わぬ方向に話が転がっていった。

    社会に受け容れられやすい形の幸福を無批判に享受できるということは、とても恵まれた資質なのだと思う。
    そうではない価値観でも生きる場所があるのが、
    本当の多様性の時代なのだと思う。

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    2026年03月08日
  • 冷ややかな悪魔

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    ユカリの心の中での毒吐きが辛辣で面白い。「前世は金剛力士像、ジャバ・ザ・ハットのような謎オバさん」とかの言葉選びも笑ってしまう。冷ややかな悪魔とは、結婚指輪のことだったのか…結婚してない人への世間の目線の冷たさは少し分かる。ジムでの筋トレの描写が細かくてすごいなとなった。初めて読む作家さんでしたが面白かった。

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    2026年03月06日
  • 我が手の太陽

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    前半は溶接工に関する専門的な言葉が続いてついていけるか不安だったが、中盤から長年の経験で高く積み上がったプライドが揺らぎ、崩れゆく様にハラハラしながらページを捲っていた。石田さんのお仕事小説は一味違うなぁと毎回思わされる。

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    2026年03月05日
  • ケチる貴方

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    ケチる貴方☆☆☆
    石田夏穂さんらしい数々のシニカルな表現に、常にやにやさせられる。
    「帰宅すると、駆け込むように服を脱いだ。制限時間付きの不倫現場、もしくは早脱ぎ選手権のようだ」
    面白かった。

    その周囲、五十八センチ☆☆☆☆
    どれだけダイエットをしても、太くあり続ける太ももとともに過ごす生活を余儀なくされた主人公。そんな主人公が行った太ももに対する勝負の一手は、脂肪吸引。そんな主人公は脂肪吸引を行うたびに、その魅力に気づいていく。
    とても面白かった。
    ここまで手放しに笑える小説は珍しいと思う。
    自分にとってあまり理解がない分野を題材にした小説は、どれだけ少ない言葉で、かつ主人公の考えが読み取

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    2026年03月01日
  • ミスター・チームリーダー

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    ボディビルダー後藤の身体づくりと仕事の責任の狭間で苦悩する物語。
    言ってしまったら趣味なんだから仕事を優先するのは当たり前ってなるんだけど、それだけじゃ人生楽しくない。
    特に役職が付くと自分の事は後回しにしなくちゃってなってくる。行きたくない飲み会や休日出勤、その辺の上手なバランスの取り方が出来る社会人になるのか。
    後藤は自分の身体と会社を連動させて考えているのが面白い。要らない体脂肪、要らない社員。無駄を削ぎ落とすと同じ様にスリムになる。ただの偶然か思い込みなんか、または皮肉の効いた空想か。
    ただメタボな人に対しての極端な嫌悪はなんだかな。けどその視野の狭さがこの物語を面白くしているんだけど

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    2026年02月25日
  • 冷ややかな悪魔

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    結婚願望ゼロ
    体脂肪率オーバー

    37歳出張ジャンキー女が
    人生初のジム通いを始めーー
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    著者の文体、文章が大好きです。
    あっさりしつつも、たまに鋭くて、
    その後に「わかる」と言いたくなるツッコミ。

    本書は海外を仕事で飛び回っていたユカリが、
    突然本社に呼び戻され、
    体脂肪率を下げない限り、
    健康の観点から海外出張させられないと告げられる場面から始まります。

    本社での過ごし方や業務内容の話はほぼなく、
    体脂肪率を下げるために通い始めたジムと、
    海外出張に

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    2026年02月15日
  • ケチる貴方

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    石田夏穂さんの言葉の選び方が好きなんですが、少しストーリー運びがワンパターンだなと思う

    極度の冷え性の会社員の女性が
    新人教育担当になり、自分でも思わぬ所で世話を焼いてしまうと、その夜から急に身体がポカポカとしだして⋯

    周りに親切にしたら何故か身体がポカポカととあったまってくる
     
    ケチらずに寛容に周りに愛想良くすれば身体が火照ることに気づく

    心と身体は繋がってる?
    相手にそっけなくすると身体も冷え、
    相手に優しくすると身体が温まる⋯
    そうなのかもしれないなと思いながら読んだ

    おもしろかった
    同時収録の「その周囲、五十八センチ」の脂肪吸引の実態には驚き

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    2026年02月08日
  • 冷ややかな悪魔

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    大手商社勤務のユカリは、1年中海外出張で飛び回っているが、ある時海外出張禁止命令が出て。
    その理由がなんと体脂肪率が高いから、出張中に万が一のことがあるといけないからだと。
    本社勤務から一刻も抜け出したいユカリは、ジムに通い規定の数値に戻すべく日々筋トレに励む。
    そらきた!これって、「わが友、スミス」の流れやんな?
    トレーニングにハマって、ムキムキになってコンテストに出たりすんの?
    違った・・・
    ユカリは37歳、当然世間は既婚、未婚、はては事実婚など興味を示し、当人は気にしていなくてもそういう目が煩わしい。
    そんな時ジムであるものを拾い、それによってユカリは一種の護身術を身につける。
    と想像と

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    2026年02月07日
  • ケチる貴方

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    77点:「マイクロソフトに失笑されそうだが、こうした自称・知的財産を、無償でべらべら吐き出すことに、強い違和感を覚える。」

    すらすら読めて楽しいに尽きる。こういう楽しい文章をひたすら書ける作家はなかなかいない。
    結末は小説っぽくしていかなきゃいけないから若干不自然な感じになる時もあるけど、話の立ち上げ方がめちゃくちゃうまい。

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    2026年02月06日
  • 冷ややかな悪魔

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    めっちゃ面白かったです。独身のバリキャリ女性が、ジムで拾った結婚指輪をつい身につけてしまい、まわりの人が彼女を既婚女性だとして扱うと、ついそれを演じてしまって、その心地よさに演技をやめられなくなる・・・というストーリー。「既婚だとこんなに得してるはず」という大げさな思い込みが、適度にリアルで、「もしかしたらそういうこともあるはず」みたいに思わせる絶妙なバランスがすばらしかった。

    石田さんの他の小説を後から読んだのだが、それらは作者の描写がリアルすぎて、だけどインタビューで語っているところからすると、それらは所詮作者の妄想にすぎず、そのギャップにちょっとついていけない。リアルに書くなら本当であ

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    2026年02月04日
  • 我が友、スミス

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    趣味の筋トレが高じてボディビル大会に出場する事にした女性のお話

    ジムで自己流の筋トレをしているU野
    ボディビル業界では有名なO島から、「うちで鍛えたら、別の生き物になるよ」という誘い文句からジムを移籍し、初めてボディビルの大会に臨む事になる
    しかし、女性のボディビルの大会は、ただ単に筋肉の大きさだけでなく、フィジークというトータルバランスが必要な種目で
    しかも、筋肉とは関係ない「女性らしさ」という評価基準も求められる
    その事に疑問を感じつつ、大会でU野の取った行動とは?


    タイトルのスミスは、筋トレ用のトレーニング器具「スミスマシン」の事
    ガイドレールとストッパーがあるため、一人でも限界の

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    2026年01月29日
  • 黄金比の縁

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    83点:「ジェネラリストの評価は不可避的にジェネラルである。ポテンシャルの評価はそれ自体がポテンシャルである。つまりまったくわからない。」

    会社に最大限の復讐をする、という地点から出発すると必然的に明確な評価基準をもつ人事部社員が生まれぱっと見、仕事ができるように見えるという構造が面白い。
    文章の面白さもトップレベル!

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    2026年01月22日