石田夏穂のレビュー一覧

  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    SNSが題材なだけあって「ありそう…」と怖さとふむふむが混同した読後感。

    笑ってよいのか怖がった方がよいのか…。
    さまざまな切り口のアンソロジーならではの楽しさもありました。

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    2024年06月17日
  • 我が手の太陽

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    挫折知らずだった職人肌を襲う衰え・不調。その自らを追い詰め、追い詰められていく様が恐ろしい。溶接作業や現場仕事のディテール描写にも痺れる。

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    2024年06月01日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    画面の
    向こうに
    隠された

    秘密と嘘
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    仕事帰りの書店で見つけて購入しました。
    「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフがあるということで。

    7作品中、6作品が平成生まれの作家さん。
    時代感じます。笑
    昭和生まれの私…おののきました。笑

    「かわうそをかぶる/朝倉秋成」
    人気VTuberへ楽曲を提供していた音楽クリエイターが殺された。
    犯人は、VTuberの熱心なファン。
    自分はあてがわれた役を演じてるだけなのか。

    「まぶしさと悪意/大前粟生」
    Tipshotというショート動画SN

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    2024年05月06日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    エンタメの短編集。全体を通して面白かった。
    石田夏穂さんの作品全部読みたい!という動機で読んだため、最初に読んだのは石田さんの「タイムシートを吹かせ」。石田ワールド全開、しかもちょっといい話で終わっていて良かった。レジェンドはレジェンドたる歴史を持っていた。
    「かわうそをかぶる」浅倉秋成さん。「六人の嘘つきな大学生」以来。若者を描くのが上手いんだな〜と思ったし、今作は女の子のVtuberが主人公なので器用さを感じた。本音と建前と本当の自分ってどこ?…怖くて、でも、こんな世界もあるのかなぁと思える、漫画みたいに画像が浮かんでくる作品だった。
    「まぶしさと悪意」大前粟生さん。TikTok

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    2024年05月14日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    7人の作家のアンソロジー小説。
    VTuber、TikTok、位置情報を利用したアプリ、マッチングアプリ、YouTuber、Teams、故人のSNSアカウント・仮想通貨口座を題材にしており、令和の時代を感じる。

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    2024年04月15日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    ⚫︎感想(※ネタバレ)

    何度か出てくるこの表現に注目した。
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ。それは自分の力量で、自分の職能で、自分の価値のことだ。」

    ベテラン溶接工、伊東。40歳。仕事に対するプライド、スランプ。その原因は何なのか。年齢か、職業病か、奢りか、見て見ぬふりをしている不安か。「検査員」がやってきて、伊東の不手際を忠告しにくる。「検査員」は無意識の自分自身であり、また同時に自分であるということは、上記の記述から、自分が仕事で相手にするものである鉄鋼をも意味しているのではないか。

    師匠である牧野の手は「思いのほか冷たく、ショックを受けた」のは、牧野が太陽を手

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    浅倉秋成さん  かわうそをかぶる

    人気音楽クリエイターが殺された。その犯行動機は『VTuberを守るため』だった。主人公の女性に共感できる部分も沢山あり親近感が湧いた。 
    最後の展開に驚き、見返す面白さがあった。

    大前栗生さん  まぶしさと悪魔 
    動画がバズり、カリスマとなった女子高生の海荷は神と呼ばれ学校外からも人気があった。
    しかしそんな海荷がいきなり動画を撮るのをやめてしまった。やめた理由を問うために教師が動いた。動画の中のキャラづくりや誹謗中傷に疲れたためであった。しかしその原因を作った人が意外な人であった。

    新名智さん   霊感インテグレーション
    「幽霊からプッシュ通知が届く」

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    2024年03月23日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    注目作家のアンソロジー作品

    SNS、Vtuber、SNSによるバズり、マッチングアプリ、若手社員と再雇用者のネットリテラシーの差異
    今の自分達にとっては馴染み深いテーマでとても読みやすい作品だった
    もちろんアンソロジー作品なので好き嫌いは多少なりとも出てしまった。

    かわうそをかぶる
     どうしてこれほど心が壊れた少女を描けるのか読んでいて不思議な気持ちになる
     物語の展開がとても綺麗で短編と思えない読み応えがある
     ラストで伏線回収があるのもなんとも秋山先生らしい

    ヤリモク
     40代男性のマッチングアプリ事情
     妻子持ちの彼がやっている理由とは…
     こちらも伏線回収ものだが、一番個人的には

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    2024年03月22日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    嘘がテーマのアンソロジーであり、各作品で何が嘘に当たるのか?を考えながら面白く読めた。1つ目の『カワウソをかぶる』がインパクト強すぎる。あーこっちの人やったんかい!ただのASD(解離はあるかも?)かと思わせといて自分が気持ち良くなるためならどんな事でもやっちゃうサイコパス人格の居る解離性障害やったんかい!が痛快で(書き方が上手くてミスリードさせるからズルい!)、思わず最後の数ページを何度も読み返した。途中何度もあれ?って思わせつつ上手く気付かせないようにするのが作者の狙い通りやとすると凄いなと。その次の話がなんか面白くなくて途中やめそうになったけど、『ヤリモク』が途中早めにネタバレしたけど面白

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    2024年03月17日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    初めてのアンソロジー。豪華なメンツですよね!
    石田夏穂さん、佐原ひかりさんの作品が好みだった。
    特に石田夏穂さんの作品は面白くて、くすくす笑いながら読んだ。ベテラン社員のことをレジェンドと密かに呼んでいる時点でツボ。あと、IT介護スタッフとかね笑 やはり石田夏穂さん大好きだ!

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    2024年03月11日
  • 我が手の太陽

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    読書備忘録784号。
    ★★★★。

    石田さん。難解やねん。よ~わからん。
    でも読んでまう。
    この方の作品で描かれるテーマは毎度めちゃくちゃ狭い。でも底なしのように深い。
    スミスマシンの話だったり、新卒採用面談の話だったり、まだ読んでいませんが冷え性の話だったり。

    で、本作は溶接。
    太陽の表面温度!には全然敵いませんが、高温のバーナーで鉄を溶かし一体にする作業が溶接。
    凄い溶接は、一体の金属より強度があるとまで言われている。そして溶接の完成度を確認するためにX線検査をする。完璧な溶接は細い1本の白い線として映る・・・。
    そんな溶接作業は高度な技術が必要で、溶接工は建設現場の花形で報酬も高い。

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    2023年12月06日
  • 我が手の太陽

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    マニアックにも程がある。著者の作品は大抵ニッチな題材だが、本作は飛びぬけてマニアック。今回のテーマは溶接工。勤務歴20年のベテラン溶接工、伊東は自他ともに認める仕事のデキる男だった。しかしヒタリ、ヒタリと徐々にミスが続き、いつしかスランプに陥る。俺はどうしちまったんだ、と足掻き藻掻く伊東。...もう最初から最後まで専門用語が多く、すべてを理解するのは難しかった。しかし伊東の職人としてのプライド、要所要所から醸し出される緊張感に目が離せずイッキに読み切った。過去作品の方が好みだったが、硬派でクールな一冊だ。

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    2023年09月02日
  • 我が手の太陽

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    前作、「ケチる貴方」でのどこにでもいる様な主人公の冷え性の女性と、女性がそう従事していないであろうプラント工事という現場仕事(主人公は現場作業員では無いが)の環境の描写、という対比、にある種新鮮な驚きを覚え、この作者さんなら…と思っていたところ今作品が芥川賞候補に選ばれた(残念ながら受賞はされなかった)との報道から、読んでみる事にした。

    主人公はゴリゴリの男性現場作業員、やはり前作同様、プラント工事、の配管溶接工、と言う技能的にも高度で肉体的な負担も強度の高い、ある意味特殊な職種、を題材としている。

    前作ではどちらかと言うとプラント工事におけるマネジメント的なこと、女性主人公がそういう業務

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    2023年08月22日
  • 我が手の太陽

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    ベテラン溶接工の伊東。伊東の視点での溶接作業の臨場感がよく、熱や光や汗を感じられる。伊東は現場での溶接作業に誇りを持っている。それ故に配管工や検査員、工場での決まりきった溶接作業を下に見る癖がある。仕事にプライドを持つのは良いのだが、その持ち方が問題だ。やはり自分以外を下に見たプライドは自慢できるものではない。それは自分が一目置かれない存在になったときに、周りからしっぺ返しをくらう。各個人が持つ誇りは主観的なものでしかない。自分が持っている矜持は他人にとってはどうでもいいことかもしれない。

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    2023年08月01日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    芥川賞候補作。
    溶接工の詳しい作業内容は難しすぎたのでさらっと読んだけれど、最後の方は、怪我をしながらミスせず、また怪我をしないでちゃんとできるのかハラハラした。
    「あの検査員」というのは、主人公にしか見えていない幻覚なのだとしたら、最後の終わり方はどういうこと?なんかゾッとした。

    「こんなの俺の仕事じゃない。」
    「自分が仕事で相手にするものは、そのまま自分のことだ」
    「お前は傲慢なんだよ。自分をすごいと思うのは人の自由だが、どんな仕事も馬鹿にしてはならない。そうだろ。お前は自分の仕事を馬鹿にされるのを嫌う。お前自身が、誰よりもさ馬鹿にしているというのに。」
    という箇所で、そうだよな、仕事の

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    2023年07月22日
  • 緑十字のエース

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    ネタバレ

    いろいろな業者が関わる工事現場では、工期や予算、品質、安全など、それぞれが大切にするポイントが違うもの。読み進めながら、やっぱり安全が第一だよなーとあらためて感じた。「泥引き」という言葉を知れたのも興味深かった。大規模工事とは違うけれど、住宅建築の現場を見るたび、現場がきれいだと作業する人の環境もきっと守られているんだろうなと思う。

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    2025年12月07日
  • 黄金比の縁

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    顔の比率で合格か不合格か決める。主人公の復讐心が、内定者の合否を行方を決める話。
    私が好きなタイプも顔の黄金比で決まるから、そこは共感してしまった。

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    2025年12月01日
  • 黄金比の縁

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    ネタバレ

    理系の男性が多く就職するような、男女日が9:1の、時代に追いつけていない化学企業の新卒採用の話。

    主人公は、「女性」という理由で難癖をつけられ、自分がやりたい仕事から人事部へと移動させられた。

    そんな進むべき「前(志をもって進むべき目的)」を奪われた主人公は、採用担当としての権利を活かし、会社を徐々に崩壊させる復讐を、新しい「前」に設定する。

    それは、「顔の黄金比」のみで学生を選対すること。
    顔の黄金比のいい学生は、離職率が高く、会社にいつまで経ってものさばるような「凡人」にはなる確率が低いからだ。

    複数の基準を持って人間を総合的に評価する「新卒一括採用」とは、全くの矛盾の行動だが、そ

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    2025年11月15日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    トリを飾る杉井光さんのほかは皆平成生まれの
    若手作家陣によるSNSをテーマにしたアンソロジー。

    石田夏穂さんの「タイムシートを吹かせ」が
    とにかく面白くて、ちょっとほかの内容が記憶から薄らいだ。

    今推しの作家さん、新名智さんの「霊感インテグレーション」は
    同名の単行本も出ていて、
    内容としてもまだまだ膨らみそうな話。

    佐原ひかりさんの作品は
    少し歪んだ人間関係から
    何らかの神髄を引きずり出してくるような物語が読みどころ。
    今回は「あなたに見合う神様を」
    推しと自分の関係値について。

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    2025年11月06日
  • 黄金比の縁

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    採用側の視点で就活をみられるのが面白い。主人公が復讐をするための行動で、周囲からは評価されてしまうのも皮肉が効いてるな、と。
    ラストの展開までどう決断するのかワクワクして読めました。

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    2025年11月05日