石田夏穂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
身体性と会社勤めをテーマにした短編小説が4編収められています。
石田夏穂さんらしいユーモア溢れた作品たちで、とても面白かったです。
表題作は、取引先の企業からのクレームを受けて、同じ部署の同僚二人のうちどちらがノーメイクなのかを調査し注意を促す役目を任された主人公がそのミッションに挑む様をコミカルに描いた作品。
そもそも、ノーメイクの調査を指示した部長も部長代理も主人公がノーメイクなことには全く気づいていないのです。メイクしてるかしていないかなんて外側からは分からない。主人公は、同僚二人のうちどちらがノーメイクなのか分からず困惑します。
そもそもメイクがマナーっていうのも、なんだかなぁとい -
Posted by ブクログ
ネタバレやはり表題作であるノーメイク鑑定士が1番面白い!と感じました。
かくいう私も、下地と眉毛だけであり
ぎりぎりノーメイクではない(かも)レベルなのでドキドキしながら読んでしまいました。
清潔感があればメイクは個人の自由ではないか、と思うものの営業職か…塗装系の会社か…。うーんと悩んでしまいました。
注意するのも嫌だし、されるのも嫌。
気になるなら会社負担でメイク講座開いて、メイク道具くれよな!!と思ってしまいました。
なんならメイク時間も給料に入れて…。
「Xをジャッジできない癖にXを求めていることを2人にわからせなければ…。」こういう人にわからせることは本当に難しいよな、としみじみ思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去十年間、欠陥率の少ないエース溶接工であった伊東は、突如スランプに陥る。かつての自分の中に存在したいつも通りの手順や自信は日に日に失われていく。それでも消えない、溶接工であるという燃え上がる職人魂は、ぼろぼろの伊東を再び現場へと駆り立てて———
伊東は優秀な溶接工である自分にこれでもかというほどに大きなプライドを持っている。それはただ単に火を尊敬しているだけでなく、元請である管理職に対して「お前たちには絶対に火を扱えない」と声を荒げてしまうほどに。そんな彼は、たった一つの失敗によってつけられたヒビから、どんどん亀裂が広がっていくと同時に、自らの実力に疑問を抱くこととなる。それからさらにミス -
Posted by ブクログ
運動不足の解消としてジムに通い始めた会社員の女性が、やがてボディビルの世界に足を踏み入れ、自らの肉体を変えていくことにのめり込んでいく。鍛え上げられていく身体とともに、「なりたい自分」と「求められる自分」の間で揺れ動いていく物語。
トレーニングジムやボディビルという知らない世界を知ることができて純粋に楽しかった。誰しも少なからず持っている変身願望を思い出させる内容だった。漠然と始めた筋トレが競技へと変わり、自らの肉体を作り替えていく過程はとても興味深い。自分がなりたいものと、周囲から求められるもののギャップに葛藤する姿には共感する部分も多かった。
また、自分を追い込むストイックなトレーニー -
Posted by ブクログ
どうしても私みたいな選手は傍流扱いになっちゃうのね 世間はがちがちに鍛えた女性を嫌厭しがちである 「私にも、出来ますかね」これは最早、肯定有きの誘導尋問だった 私は艶めく茹で卵を齧った 目の前のトレーニーの呷るプロテインに心を奪われている このように意識を切断するものを雑念と呼ぶなら 私は日に日に強靭になっていく身体は元より、この真空地帯に淫したのだった 人間が社会的な生き物で有る事の証左だ 私の頭は浮腫んだ脹脛のようにぱんぱんになった 偏に私が新参者だったからだ 皆既日食レベルにピタリと一致する様だった 幸か不幸か、優れた見てくれには、途轍もない力がある。無言のままに、これ程迄雄弁で有得る。
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Posted by ブクログ
係長としてリース屋で働く傍ら、ボディビルの大会に出場している後藤。いつもよりひとつ落とした階級で出場すると決めた後藤は、減量に苦戦する。ある日、組織に悪影響を与える人材を切り捨てると共に、減量が進むことに気づいた後藤の結末とはーーー
笑いながら楽しめた一方で、真剣にボディメイキングに向き合う後藤に納得させられる部分も多くあった。
後藤は自分と他者の体型を比べ、優劣をつけるボディビルにストイックであるが故に、他者の身体がこれでもかと気になってしまう。人の身体を見て体脂肪率を推定し、太った人を体脂肪と称す。そして、デブは動きが遅い上に、動くたびにブヨヨと音を出す為、組織内で円滑に作業するための邪 -
Posted by ブクログ
ボディビルの大会に出場することになって、
筋トレの沼にはまっていく女性の物語。
私も筋トレ歴は長いのですが、
女性の大会については全く知識がありませんでした。
「筋肉とは関係のない部分も評価の対象となる」
ことが暗黙の前提になっていること。
ここに
男女でのボディビル観というか、
女性へのバイアスというか、
男女問わず客観的な『美』に対する価値観というか…。
「昔の(クラシカルな)美意識」を感じてしまう描写が、
作品のあらゆるところにちりばめられています。
そして、そんな世界に
終盤に行くにつれて、主人公が向き合っていく。
筋トレを始めたきっかけを
「美しくなる」とか「ダイエットをする」な