あらすじ
大手デベロッパーのエリート社員だった浜地は、とある事情から閑職に追いやられて自己都合退職し、どうにか中堅ゼネコンの契約社員となる。だが、そこで任されたのは、ショッピングモール建設工事現場の安全衛生管理責任者。……俺、未経験なのに!? 浜地の教育担当となった松本は、度を超えた厳しさで安全指導をする男。……バカ真面目すぎる。だが、浜地はやがて知ることになる。松本の行動に隠された本当の目的を――。ユーモア+苦み+スリルを混合してミキシング! 唯一無二の読後感が待ち受ける工事現場ノベル、堂々完工!
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Posted by ブクログ
大手デベロッパーで効率や予算を優先する立場にいた浜地が、取り返しのつかない事故を招き閑職に追いやられる。転職を余儀なくされた浜地は、新しい職場で安全管理業務を担当し、皮肉にもかつて自分が軽視していた現場の安全を守る立場となる。
自らのプライドにより転職したことさえ家族に隠していた浜地が、現場を無事に終わらせることに目を向け、仕事や労働に対する責任を全うすることにプライドをもちはじめる。
仕事に誇りをもつとはどういうことか、それを地位や給与だけで見出していないかなど、いろいろ考えさせられた。
Posted by ブクログ
旧財閥系の大手デベロッパーで積算部長をしていた浜地が、ある出来事をきっかけに会社を辞めた。50歳を目前にした彼がようやく入社したのは台島建設。積算業務のはずがいきなり現場に飛ばされ、経験したことのない安全衛生管理責任者をすることになる。家族には転職したことを言えず、現場では年下の教育担当者に違和感を覚え……。
工事現場のあれこれは想像することしかできないが、映画やドラマで観たような光景が広がる。お手軽だけど、お仕事小説としても、サラリーマン小説としても、家族小説としても読める。おもしろかった。
Posted by ブクログ
石田夏穂さんのお仕事小説に間違いなし
いわゆるホワイトカラーだった主人公が体のいいリストラにあい、同業界のブルーカラーとして働く。
ホワイトカラーの無自覚な見下しが色んなところで感じるけど、机の上の仕事の先は現場にあると文字どおり地に足をつけて日に日に実感していくのがいい。
石田夏穂さんの『この手の太陽』にも繋がる安全と工期とそこに関わる人達の立場とか思惑に、業種を超えて共感したりムカついたり。
『この手の太陽』では安全含めてプロだと思う、という感想を持ったけど今回の主人公は現場の人間としてはまだプロになれていなくて、ホワイトカラー元管理職の中年男性が振り回され意識変容しないといけない自分にグルグルするのが切なくもリアルで良かった
ラスト、あなたも人間でしたか!とキーマンの彼を好きになった
石田夏穂さんは本当に現場にいて、職人さんや現場責任者たちと関わっていたんだろうなぁ
事務だって営業だって同じだけど、工事とか医療ってそれが人の死に直結するところが「個人の問題」と言いきれないところで、それぞれの価値観とぶつかる職業倫理を石田夏穂さんは現場への敬意をもって描き続けてると思う
Posted by ブクログ
いまや「お仕事系小説」といえば、石田夏穂さんの名前が真っ先に挙がるのではなかろうか。そう感じさせるほど、その作風はすでに定着しつつある。本作もまた、石田夏穂さんの最新作らしく、期待を裏切らない面白さだった。
エリート社員だった主人公の転職先は建設現場。そこで出会う先輩の安全衛生管理者、いわゆる「緑十字(あの安全の旗)のエース」の暴走ぶりが、今作でもなかなかに強烈だ。少し変わったタイトルだとは思っていたが、読み進めるほどに「これ以外のタイトルはありえない」と納得させられる。
先輩の暴走だけでなく、家族を持ちながら転職に失敗していく主人公の悲哀、さらに作中で起こるある事件の犯人探しなど、物語は一方向にとどまらない。複数の要素が絡み合い、さまざまな角度から楽しめる作品だと感じた。 ★4.1
実は年内に読み終えていたのだが、『子供部屋同盟』の感想にて、年末の挨拶を書いてしまったため、本作の感想は年をまたいでの投稿となった。奇しくも2025年の最初に読んだのも、石田夏穂さんの作品『ミスター・チームリーダー』。年明けの風物詩になりつつあるのかもしれない。
新年明けましておめでとうございます。
Posted by ブクログ
工事現場で作業員の安全を守る「安全屋」だが、こんなに忌み嫌われる存在だったとは知らなかった。(あくまで本書の話。しかも、融通が利かなすぎる安全屋であることが嫌われるポイント高し。)
皆のために嫌われ役を買って出てる訳でしょ?辛い役どころだと思う。
工事は早く終わらせなければならないが、安全対策は万全にしないといけない。どっちもやれば良いじゃんと思うのは簡単だが、実際には天候に左右されたり、下請け会社の内部事情だったりと、そんなにうまくいかない。
こんな世界に急に放り込まれた主人公は、よく困惑せずに仕事を続けているなと感心する。
しかも嫌われている上司の悪口も言わずに...。さすが、元大企業でバリバリ働いていただけのことはある。
終盤では、誰でもできる仕事と周囲に言われても、安全管理の仕事含め工事現場で働く人全体に誇りを持つようになっていて、人は変わっていくものだなと思った。
筆者の小説が好き=働く人が好きってことなのかもしれない。筆者自身もそうなんだと思う。
Posted by ブクログ
なんだかスカッとしました。
お仕事小説といっても、なかなか普通の人はわからない世界をこんな視点で描くってやっぱり著者ならではで最高!
蓋を開ければ出てくる人みんな、結局は根はいい人なんだよね。いろんなしがらみの中で生きているんです、頑張っているんだと。
これから、工事現場を通り過ぎる目が変わります。
Posted by ブクログ
以前働いてた会社で仲良くなって、
今も連絡をとり続けてる人が、
建設業界に転職していて。
(その人自身は現場ではなく、人事総務なのですが)
私が好きな石田夏穂さんが建設業界を描いてる…!
どんな世界なのか気になるし、石田さんが描く建設業界を見てみたい。読むしかない…!
お金ないけど単行本を購入しました。
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唯一無二の
読後感が
待ち受ける
工事現場ノベル、
堂々
完工
ユーモア+苦味+スリルをミキシング!
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大手デベロッパーでエリート社員だった浜地は、
ある事情から追われるように退職し、
中堅ゼネコンの契約社員となる。
そこで未経験の現場の安全衛生管理を担当することに。
家族には退職も転職も言えずにいて。
そんなに土埃が舞いそうな場所で、
外にいたら、日焼け含めて絶対バレるのでは、と。苦笑
浜地自身の心境の変化と、
どこまでも正論で厳しく指摘する指導係の松本。
スケジュールと関連会社と、
どうしようもない場面でも安全衛生管理を怠らない。そんな松本の行動に隠された秘密とは…
淡々と粛々とした文章のなかで、
少しの謎解きがあって、
どう考えても不自然じゃん!と突っ込みたくなって
クスッとするのに、
突然豆鉄砲喰らうような気持ち。
本当に石田さんの作品好きです。
Posted by ブクログ
相変わらず突き放した感じで描かれる物語が面白い。
東大を卒業し大手デベロッパーに勤め、その時の事故の責任を取らされる形で退職した浜地。
転職もままならないなか、皮肉にも再就職先は建設現場の安全衛生管理責任者だった。
かつて元請け発注側だった浜地が、工賃を削った現実を自らの再就職で味わう応報に、中年男の悲哀がより切実になる。
最後に家族と向き合う場面の微妙な虚飾も、浜地の辛さを余韻深く締め括っていた。
石田夏穂らしいお仕事小説だった。
Posted by ブクログ
全く知らない世界だったけど、さすが石田夏穂さん!専門用語もなんのその。読めば読むほど、お話に引き込まれて一気読み。人間関係の大小のかけ引き、各々の仕事に対するモチベーションなど絶妙な感情が描かれていた。次回作も楽しみ!
Posted by ブクログ
建設現場の安全衛生管理という一般人にはまったく見えない世界を舞台にした職業小説。
もちろんデフォルメはされているのだろうが、多重下請、人手不足、コンプライアンスと作業進捗のコンフリクトなど、建設業界の構造的問題を分からせてくれるリアリティがある。
その構造問題にスパッとメスをしれるのでもなく、モヤっとしたまま後味があまりスッキリしないのもまたリアル。
職人としてのプロフェッショナリズムが描かれるかというとそうでもなく、やっぱり「誰にでもできる仕事」なのかなあ、という印象だけが残る。
フィジカルもメンタルもキツそうではあるが。
池井戸潤的なわかりやすい勧善懲悪が読みたいわけではないけど、作劇としてはやや単調。元方安全の「松本」と現場の対立と、主人公「浜地」の二重生活の葛藤の描写が延々と続き、もう一捻り二捻り欲しくなってしまう。
Posted by ブクログ
大手デベロッパーのエリート社員だった浜地はある事情から自己都合退職に追いやられ、中堅ゼネコンの契約社員となる。与えられた任務は“安全衛生管理責任者”。教育係の松本と共に安全指導を始めるが…。
安全と工期の関係がよくわかる。杓子定規は嫌われるが、融通を効かせた結果事故が起きた時のダメージは計り知れない。実際の現場ではどのくらい守られているのか知りたいような知りたくないような。
そして最後に判明する松本の秘密。そこには非正規雇用労働者の切実な問題がある。
松本は嫌いになれなかったけど、最後まで現場勤めを息子に明かせなかった浜地がイタイ。
Posted by ブクログ
工事現場を舞台としたお仕事小説。
現場の安全管理する安全衛生管理責任者が主人公。
そこそこ面白く読めたが、終わり方が中途半端でスッキリしなかった、
浜地はこのまま家族に嘘をつき続けるのか、松本・桜井の今後はどうなるのかが描かれてなくて残念。
もっと胸のすくような結末を期待していたので、残念だった。