石田夏穂のレビュー一覧

  • 緑十字のエース

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    ネタバレ

    工事現場とは、自分の人生で一番遠い場所の一つである。
    泥々していて、埃っぽくて、暑くて、危険。そんなところで働いている人たちが怖かったりもする。
    事務所での小競り合い、本社の人間とのリモート会議、現場での職人とのぶつかり合いなどなど、土臭さが薫ってくるようなシーンの数々。
    そんな、自分とは程遠い世界の話だからこそ、かなり新鮮で興味深く最後まで面白く読めた。これぞ、小説の醍醐味。

    安全担当の松本が「安全」を振りかざして空気を読まず安全指導をする姿には、うーんと思わざるを得ない。
    正しいことが最善なのか。大事だけれど流れを読んでうまくやることも社会人には重要というのは、真面目な人間にとってはかな

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    2026年08月13日
  • わたしを庇わないで

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    結末がぶっ飛んでるのひと言に尽きる。
    ブラックな笑いがクセになり、
    石田夏穂の過去の作品も読むようになった。
    特に「世紀の善人」の最後、
    「サンゾウは階段を使うと死ぬんです」が
    個人的にはツボっだった。

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    2026年08月13日
  • わたしを庇わないで

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    「世紀の善人」「小人二十面相」「わたしを庇わないで」の三編

    「世紀の善人」
    最初何のことか分からず読み進めたけど、すごいブラックユーモアで目を見張った
    言葉の羅列の逸脱と、その規則正しく繰り返されるリズムが軽やか

    主人公安井は三國造船で働く人を通称「サンゾウ」と括りつける

    サンゾウ 非常に扱いの難しい生き物
    仲間意識の強い生き物
    極めてデリケートな生き物⋯

    なに、その観察眼?

    サンゾウ→ムセゾウ→クミゾウ→モジゾウ⋯センゾウ⋯

    むせたらムセゾウになるし、組合の人はクミゾウに変換されてるし?

    結果サンゾウは新たに生まれたり死んだりしながら、これからもサンゾウでありつづけるらしい

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    2026年08月11日
  • 冷ややかな悪魔

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    ネタバレ

    めちゃくちゃテンポよく読めた
    おいおいってなりながら、話を進めて
    別に悪いことしてないしなーって思ってたら
    最後普通に拾ったもの盗んでるやん笑
    結婚とか恋愛とか話題を作れないと人権ない、みたいな空気はわかる
    すごく面白かった

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    2026年08月11日
  • 冷ややかな悪魔

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    久々の読書。
    一瞬で読んだ。
    初めての作家さんだけど、リズミカルで少し毒気があり、綿矢りささんを彷彿とさせるわたし好みの文体だった。
    ラストがどうなっちゃうのか緊張しながらなんとかページを捲った。

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    2026年08月10日
  • 我が友、スミス

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    スミスがスミスマシンのことだと知って借りたけど、芥川賞候補とのことで失敗したと思った。
    今まで読んだ芥川賞とその候補はたいてい意味がわからんから避けていた。

    が、これは面白かった!というかわかりすぎた。
    と言うのも私も筋トレにハマったことがあって。
    田代誠が復活した頃です。(て誰がわかんねん笑)

    女が30過ぎで独身だと、飲み歩くでも趣味でも何でもいいんだけど何かないと退屈すぎたんだよね。
    私の場合それが筋トレで、昨今のブームからもわかるように筋トレってのはハマるようになってます。(断言)
    原宿のGジムがメインで、もちろんマシンでなくフリーフェイト、本文にもあった通りそっちの方がかっこいいか

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    2026年08月08日
  • わたしを庇わないで

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    書評欄で見つけて読んでみた。作者の言語感覚が若すぎてついていけないまま最初の2話を通過し、やっと表題作にたどり着いた。なるほど、コンプライアンスにこだわる態度から、逆説的にその人の差別意識を照射するということが描き出されていて、「目のつけどころが鋭いなあ」と興味深く読んだ。でもやっぱり私には行間に込められた主人公の心の動きが読み取れなくて、自分の読解力の限界を残念に思った。

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    2026年08月04日
  • ノーメイク鑑定士

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    お仕事小説なのか、短編集。
    とにかく職場における理不尽さを皮肉るショートストーリー。
    会社や国が勝手に決めたことに振り回さる現場。ハラスメント認定、暗黙の了解、同調圧力、体制も整っていないのに進めるなよ。わかる。
    結局は流されるしかないけど、このグダグダ感でも最後はざまあみろって感じで悪くない。
    どこの現場でもこんなもんだろうな。

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    2026年08月02日
  • わたしを庇わないで

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    パンチの効いた3編の短編集。
    笑ってしまったけれど、意外に考えさせられる
    内容で面白かった。

    《世紀の善人》
    三國造船に勤める女性社員、安井。
    なんでもかんでも仕事を押し付けてくる、
    昭和世代の男性社員を、一括りに「サンゾウ」と
    みなす。最後に、完全に弾ける安井に呆然となるか、果たして拍手喝采か。
    安井はあの後、どうなってしまうのだろう。
    気になる。
    《小人二十面相》
    卒業旅行で、友人とディズニーランドに行くことになった望。写真を撮られるのが大嫌いなので行きたくない。そんな時、条件が合うと奇跡の一枚を
    撮れる事に気付く。
    望の気持ちは分かる、私も苦手。
    ただ、奇跡の一枚、自分でそう思っていて

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    2026年08月02日
  • わたしを庇わないで

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    おもしろかった!!!みんなちょっとずつ性格悪くて人間って感じがした。
    最後のお話、デブってワードが出てきすぎて途中ゲシュタルト崩壊した、、、1年分のデブを見た、、、

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    2026年07月30日
  • わたしを庇わないで

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    ピンクの見返し、カバーの脱力系のイラストにピンクのチェックの表紙。タイトル含め何だかおちょくられているようだが、実際そうなのかもしれない。
    笑ってしまうのだけれど‥笑えないのかもしれない。笑ってはいけないのかもしれない。

    *世紀の善人
    三國造船、略して三造:サンゾウの積算部で働く安井。事務作業も雑用も片っ端から押し付けてくる職場の男たちを個体識別せず一括してサンゾウとみなし、感情を捨てて日々過ごしている。組合のクミゾウ(特記事項がある場合には呼び名のバリエーションがある)からチェックシートの使用を提案され、そのために始めたサンゾウの観察で、安井の能力?は研ぎ澄まされる。その行き着く先は‥
    (

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    2026年07月26日
  • 緑十字のエース

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    ネタバレ

    普段何気なく口にする「よし!今日もご安全に」という言葉の意味が、まったく違って見えてくる。安全確認は単なる作業ではなく、誰かの命を守るための“倫理”なのだ。現場で嫌われても安全を徹底する松本の姿は、一見すると融通の利かない変人だ。しかし彼の行動が、過去の事故で大切な人を失った痛みから生まれていることが分かると、その“狂気”が実は正しさの極限だったと気付かされる。浜地が松本の覚悟を理解し、自分の職業観だけでなく人生観まで変えていく過程は胸に迫る。安全は面倒ではなく、未来を守る行為なのだと深く実感した。④

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    2026年07月25日
  • ミスター・チームリーダー

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    よくあるお仕事小説かと思って読み始めたけれど、趣味のボディビルを中心に物事を考える主人公・後藤の思考が面白い。彼が周囲を、「脂肪の多さ」という点で嫌悪したり、仕事上で役立つか否かという点すら「役に立たない奴は余分な肉」に見えてしまうという、彼のストイックすぎる視点がなんとも。後藤は本気だろうけれど、おかしみを感じる。ボディビルダーが普段どれほど並々ならぬ努力を続けているのかもよく分かった。このページ数ならラストはこうなる他ないのだろうけれど、続巻に期待したくなる一冊。

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    2026年07月24日
  • ミスター・チームリーダー

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    ネタバレ

    超ストイックなボディビルダーの後藤係長が、人間を“代謝物”としてしか見なくなる過程に強い衝撃を受けた。無駄を削り、生産性を上げ、停滞を悪とみなす現代組織の価値観は、一見正しいようでいて、人間を脂肪や老廃物として扱う冷たい世界を生む。辞める人を「自然減」と呼ぶ発想もまた、新陳代謝の名で人を排出する現代社会の皮肉そのものだ。後藤だけが異常なのではなく、私たちの社会の論理を極限まで比喩として押し進めた姿だと思う。効率や自己管理を絶対視するほど、人間性が欠落してゆく危うさに鋭く切り込んだ作品だと感じた。④

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    2026年07月18日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    現実って感じで好きなテーマのアンソロジー

    すき↓
    かわうそをかぶる
    ヤリモク

    どっちも短編としての完成度が高かった
    ・vtuberの人格に乗っ取られて(望んでるから乗っ取られるとは違うか?)、現実の人格が憎らしくなってくるのはバーチャル世界が常になるとそうなるのかな…
    ・ヤリモクは言葉遊びのタイトルに、短い中に伏線を張って、救われない起承転結が見事


    次点で↓
    まぶしさと悪意
    霊感インテグレーション

    snsの功罪って感じのまぶしさと悪意
    インターネットと心霊、都市解で学んだ好きな組み合わせの霊感インテグレーション

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    2026年07月13日
  • 緑十字のエース

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    かつて建設工事会社の下請会社で働いていた。安全靴と安全帯とヘルメット、軍手を穿いて、早朝暗い小屋の焚火に集まり挨拶をして、今日の仕事の道具を軽トラに積み込むのが毎日の日課だった。

    大手デベロッパーの工事現場などに入ったことはない。二階建てのプレハブ事務所なんて贅沢だろう。でも、緑十字の「アンゼン」職責の人が2人以上も居るということが新鮮であった。勿論、私がいたところには、そんな職責はいない。社長か副社長が担っていたのだろう。もっとも、私は仕事に就いたあと、この会社には10以上の労基法違反がある、と数えた時点で「辞めさせてもらいます」と申し入れたのではあるが。

    小説なので、安全チームの仕事の

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    2026年07月13日
  • ノーメイク鑑定士

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    なんか癖になる面白さなんよな〜、今回のも面白かった
    特に表題作は切実でおかしみがあって、石田さんの真骨頂やんなと思った
    働いてるからわかるけど、働くことはわたしにいろんな身体的な制限をする。それって当たり前だと思ってたけど、どこまでその権利があるんだよって話ですね

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    2026年07月11日
  • 黄金比の縁

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    社会の縮図たる会社はテキトーで無責任で矛盾に満ちている。女性軽視は根強く、その場凌ぎの判断と評価、そして「縁」で人を不当に扱う。抜群のユーモアとセンスで現代日本における「身体」や「外見」について切り込んできた著者が、今作で描くのは新卒採用。会社に復讐するために、会社の不利益になる人間を採用する。選考基準は「顔の黄金比」のみ。面白過ぎる。

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    2026年07月09日
  • 緑十字のエース

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    ネタバレ

    全く知らない世界のことを知ることができるのが小説の醍醐味の一つだなと、
    あそこの社屋の立て直しや、こっちの新しいマンションも、こんなふうにいろんな人がいろんな思いを抱えながら作ってくれているのかなと思いながら読んだ。

    かつて有名企業で積算を経費削減をガツガツしていた主人公、後期を遅らせればその分仕事が続いて収入が続くと作業の邪魔をする松本。
    チームとはいっても結局は自分から見える世界はとても狭くて、良かれと思ってしたことが、あらぬところで事故を招く。大きな工事だとより大変なんでしょうね。

    現場のことは何も知らないけど、みんなで仲良く仕事してくれたならと思し、誰でもできる仕事だとはとても思え

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    2026年07月08日
  • ケチる貴方

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    人生において何をケチるか

    大切なものは目に見えないってすごくいい言葉だと思うけれど、それって外見に少しでもコンプレックスがあったら真正面から受け止めきれない言葉だなって思った

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    2026年07月06日