石田夏穂のレビュー一覧
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パンチの効いた3編の短編集。
笑ってしまったけれど、意外に考えさせられる
内容で面白かった。
《世紀の善人》
三國造船に勤める女性社員、安井。
なんでもかんでも仕事を押し付けてくる、
昭和世代の男性社員を、一括りに「サンゾウ」と
みなす。最後に、完全に弾ける安井に呆然となるか、果たして拍手喝采か。
安井はあの後、どうなってしまうのだろう。
気になる。
《小人二十面相》
卒業旅行で、友人とディズニーランドに行くことになった望。写真を撮られるのが大嫌いなので行きたくない。そんな時、条件が合うと奇跡の一枚を
撮れる事に気付く。
望の気持ちは分かる、私も苦手。
ただ、奇跡の一枚、自分でそう思っていて -
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ピンクの見返し、カバーの脱力系のイラストにピンクのチェックの表紙。タイトル含め何だかおちょくられているようだが、実際そうなのかもしれない。
笑ってしまうのだけれど‥笑えないのかもしれない。笑ってはいけないのかもしれない。
*世紀の善人
三國造船、略して三造:サンゾウの積算部で働く安井。事務作業も雑用も片っ端から押し付けてくる職場の男たちを個体識別せず一括してサンゾウとみなし、感情を捨てて日々過ごしている。組合のクミゾウ(特記事項がある場合には呼び名のバリエーションがある)からチェックシートの使用を提案され、そのために始めたサンゾウの観察で、安井の能力?は研ぎ澄まされる。その行き着く先は‥
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『わたしを庇わないで』というタイトルから、誰かを守る/守られる物語だと思っていた。でも読み終えて感じるのは、むしろ「庇う」という行為そのものへの静かな疑いを描いた一冊だったということ。
収録された3作品はシチュエーションこそ異なるものの、人との距離感や、自分と他者の境界線という共通したテーマが流れている。印象的なのは、登場人物たちが決して悪意で動いているわけではないところ。相手のためを思った行動の中に、優越感や自己満足といった別の感情が混ざり込む。その善意の「ズレ」を、石田夏穂さんは過度に批判することなく、淡々と描き出す。
読んでいる間は登場人物たちの少し歪んだ思考に戸惑う。でも次第に「これ、 -
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かつて建設工事会社の下請会社で働いていた。安全靴と安全帯とヘルメット、軍手を穿いて、早朝暗い小屋の焚火に集まり挨拶をして、今日の仕事の道具を軽トラに積み込むのが毎日の日課だった。
大手デベロッパーの工事現場などに入ったことはない。二階建てのプレハブ事務所なんて贅沢だろう。でも、緑十字の「アンゼン」職責の人が2人以上も居るということが新鮮であった。勿論、私がいたところには、そんな職責はいない。社長か副社長が担っていたのだろう。もっとも、私は仕事に就いたあと、この会社には10以上の労基法違反がある、と数えた時点で「辞めさせてもらいます」と申し入れたのではあるが。
小説なので、安全チームの仕事の -
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石田さん、最近立て続けに本を出してくれて嬉しい。
しかも今回はいつもよりちょっと厚めの本だし。表題作含む3編のお話どれもが面白い。
なんでこんなに人の微妙な心理を描くのが上手いんだろう。
自分の容姿が嫌いすぎて、写真をたくさん撮るであろう場所:ディズニーランドに行きたくない女子とか、会社の奴らを全員「サンゾウ(会社にちなんだ呼称)」と呼んでいる女性とか、現実にもいそうな人物が主人公。彼女たちの気持ちにちょっと共感しつつ、オチはどうなるのだろうと期待感を高めながら読み、どちらの短編も満足。
表題作が1番好みだった。「デブって言う単語を使わないでください」って言うこと自体が「you are d -
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ネタバレ全く知らない世界のことを知ることができるのが小説の醍醐味の一つだなと、
あそこの社屋の立て直しや、こっちの新しいマンションも、こんなふうにいろんな人がいろんな思いを抱えながら作ってくれているのかなと思いながら読んだ。
かつて有名企業で積算を経費削減をガツガツしていた主人公、後期を遅らせればその分仕事が続いて収入が続くと作業の邪魔をする松本。
チームとはいっても結局は自分から見える世界はとても狭くて、良かれと思ってしたことが、あらぬところで事故を招く。大きな工事だとより大変なんでしょうね。
現場のことは何も知らないけど、みんなで仲良く仕事してくれたならと思し、誰でもできる仕事だとはとても思え