【感想・ネタバレ】黄金比の縁のレビュー

あらすじ

(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった・・・・・・。ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!

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Posted by ブクログ

顔面の黄金比でしか人を見てないのに、「人を見る目がある」と評価されるところが皮肉で良いわ。

コネ入社だと分かった時点で落とすのではなく、コネ入社だと私は分かっているよと本人と採用担当に知らしめた上で落とさない、というところが怖くて良い。顔面の比率が綺麗やったからね!

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

冒頭から非常に解像度の高い文章で、会社員の自分は、めっちゃ面白!と感じました。こういう感情あるある、という感じです。
主人公のある種ストイックな姿勢もすごいですね!

朝井リョウさんが、同書の解説を書かれていて気になって購入しました。他の書籍も読んでみようと思います。
文量も少なめで、ちょうど良かったです!

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

ナツイチのクリアしおりが欲しくて、あとタイトルに惹かれて購入。
自分が会社の不利益になるから、と左遷され人事部に異動した主人公。
顔の比率だけで採用を決める何とも激しい選考。
主人公のブレない基準と結果はお見事。
作家さんの言葉もとても分かりやすかった。
読後感スッキリ。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社内のチャットボットがセクシー系の女性キャラであることをうっかり口外したことが原因で、会社を炎上させた人間として人事部に左遷された主人公が、さっさと転職していきそうな新卒を採用して会社に不利益を被らせるために、顔が黄金比に整っているかだけを採用基準にして採用試験を行っていく話。そんなコメディーのような話でありながら、「女性ならではの視点で」とか言われまくる昭和な会社のオヤジ発言とか、そもそも客観的で公正な判断なんて可能なのかとか、人は自分の判断で人の採用や退職を決めるには耐えられないから縁だとか人事部としての判断だとかに頼るのだとか、核心をつく話も出てきて深い。東工大卒で女性の筆者だからこその、尿素・アンモニアの専門的な話とか、女性がほとんどいない職場の実際とかがリアルに感じられた。最終的に、明らかに裏口入社の裏取引のにおいのする就活生を発見した小野は、結局自分の黄金比ルールに従って彼を選考突破させる。結局客観的でかつ正しい判断なんて人間にはできないのだから、迷ったら自分のルールに従って決めればいいのかもしれない。
結局、「黄金比」も「縁」も、よるべないこの世の、いかにも根拠がありそうに見えながらどれもテキトーであるところのもの、人生そのものの根拠のなさ、なのかもしれない。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

石田夏穂さん、電書で『冷ややかな悪魔』を読んでいたので、本書で二作目。

ジャンルとしては、お仕事小説という分類になると思う。

主人公の小野は、エンジニアリング会社の花形部署から、とある事案で人事部に異動になる。そこで新卒採用を担当して十余年、独自の評価軸を編み出し、それは応募者のとある「黄金比」なのだが……

独自の評価軸も、その結論にいたる動機も、まじかよと思いながらも腑に落ちてしまう説得力がある。そして随所に効いている、「会社組織というもの」「採用」に対する軽妙な皮肉に、声を出して笑ってしまった。
就活生を主人公にした小説は数多あるイメージだが、採用をする企業側の視点で描かれたものは珍しいのではないか(わたしが知らないだけかも)。
人が人を選ぶということの曖昧さや、選ぶ側の苦悩など、新鮮さもあり面白かった。
そして、終盤に待ち受ける出来事を、小野はどう捌くのかという部分もハラハラした。

文庫版の朝井リョウの解説含めて、短いながら濃い物語が味わえた。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

奇奇怪怪ラジオの二人が面白いって言っていた作家。読んでみた。
ダークで賢いけど間抜けで、くすりと笑った。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

就活を描く小説は数あれど、“会社にもっとも損害を与えることのできる採用“を行おうとする人事担当目線の小説はさすがに初めて読んだ。
淡々と進む展開が気持ちよく、皮肉が効いていて面白い!石田夏穂さん初読みですが、他の作品もかなり気になります。

新卒でも中途でも就職活動をしている身としてはズブズブに落ち込んでいたあの頃の私にあげたい本。
流石にここまでの(ある意味)美学をもって採用活動している人はそう居ないと思うけれど、採用側も意外とこんなもんだよ、というかそもそも人が人を選び採るってめちゃくちゃ傲慢じゃん、採用基準って結局好みじゃん、みたいな、うっすら感じていたことが言語化されていて少しスッキリ。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

あっという間に読めました。それは、文章が短いから、という意味と、没入できるからという意味です。
就職活動で被採用側の小説はいくつか読んだが、採用側の視点の作品は初めてかもしれない。
何かをジャッジすると言う事は、そこに責任が発生する。なんとなくジャッジするのではなく、ある一定の基準に照らしてジャッジするということが大切である。意外とこんな単純なことが世間ではなされておらず、再確認させられる小説だった。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

舞台は
女性社員比率が全体の一割
年の採用人数が50人程度の
(株)Kエンジニアリングの人事。

物語としての抑揚はきっちりあるのだけれど、
そういったあらすじの部分よりも
各所にちりばめられた要素の
社会構造への皮肉のような部分の方が読みどころ。

解説の朝井リョウの文章も秀逸で
今後の石田夏穂作品も楽しみになる。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

面白かった。そうか、そういう復讐の仕方があるのか。痛快だった。石田夏穂さんの冷静且つ皮肉混じりの文章好きだな。他の本も読んでみたい。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

ちょっと復讐劇にクスッと笑ってしまうところがありました。
こんな仕返しの仕方あるかぁと思って新しいお仕事小説でした。
小説のお値段としても安い方なので内容にも価格にも満足です!

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

「冷ややかな悪魔」が気になってたけど、こちらは115頁、473円とお求めやすく、ナツイチよまにゃクリアしおりがほしくて購入

不当に人事部に異動させられた主人公が会社の不利益になるような人材の採用を試みて復讐しようとする話

優秀な人「財」を逃がし、代わりに駄目な人間を採ろう

会社に対し、一介の従業員が与える最大の損害は何だろう、自己都合退職であると

顔と退職率には一定の相関があるのではと考えだす

退職者には整った顔が多い ずるずると会社に残るのは冴えないやつばかり

「とっとと辞める秀才」を一人でも多く採用すること そちらの方が長い目で見て会社の体力を奪うと推測

そして顔の寸法だけを見詰めた結果
顔の黄金比を満た「す」上位25%の応募者を推すことに至る…という


今までに読んだことのない感じの本だった。
文体に慣れるのに少々時間を要したけど、復讐に燃えたぎる、という風ではなく真剣に「使えない人間」を選び、「会社の不利益になる人間」を考え、試行錯誤する様子がテンポよく描かれていておもしろかった。

とことん最後まで、
会社の滑落を偶然の産物ではなく「私の周到なデザインによって果たされる」と、心に決め行動に移す様子はひたむきで、そのひたむきさを違う方向に活かせたらと思ってしまった。

自分が今就活生なら複雑な気持ちになるかもしれないとも思った。

他の石田夏穂作品も読んでみたい。

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

面白かった。石田さんの社会を少しひねくれた目線で見る文章がすごく好き。
就活の採用する側の話は読んだ事なかったし、採用を決める基準が黄金比なのはとても驚いた。なんて斬新な設定だろう。
でも読んでみて、黄金比で採用するのは結構いいんじゃない?と思えてくるからまたそこも面白い。
今は「石の上にも3年」なんて考えは古いし、嫌だったり、合わなかったり、ステップアップの為だったりとすぐに会社を辞める人が多いと思う。
だけど勤続年数にとんでもない価値が置かれているのも現実。
勤続年数を金で買いたいなんて、今の時代ならではの文章だなぁと思った。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

エンジニアリング会社の人事部新卒採用の女性が主人公。元々は設計を担当するエリート社員だっだか、内部告発した事にされてしまい、人事部へ。
採用では顔の黄金比率のみを尺度に合否を決める。
それが会社への復讐となっている。整った顔の方が転職しやすいと云う理由。
会社は主人公の思い通りに凋落していく。
コネ入社の学生に対する最後の判断が秀逸。
自分の価値観に従う主人公が痛快。面白い
浅井リョウさんの解説も絶品

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

この作品読みながら、遥か昔、新卒で入社した会社は、私のどこがよくて採用したのかなぁ、なんて考えてしまった。

人事課で新人研修した際に、棚をごそごそしていたら、なぜだか自分の採用時の書類が出てきて、思わずみてしまったことはあるけど。「採用範囲内」と書いてあった。
3年でやめましたが。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

お仕事小説・・というわけでもない。
カイシャ人事部の採用業務というものは、あれだけもったいぶって行われ、採用側も被採用側も、形式主義や茶番めいた儀式だということは分かったうえで、それを当事者として鹿爪らしく演じている。本当はいったいどういう意味があるのか・・というアイロニーに悩まされだしたら、それこそ、やっちゃいられまい。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

会社の不利益になる人間を採用する__
人事部小田が仕掛けた会社への復讐とは

前向きになれるわけでもなく、仕事を頑張ろうと思えるわけでなく...異色の"お仕事小説"でした(笑)
話の切り口が斬新で、相変わらず石田さんのユーモアが冴え渡っていて、面白かった〜!!

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理系の男性が多く就職するような、男女日が9:1の、時代に追いつけていない化学企業の新卒採用の話。

主人公は、「女性」という理由で難癖をつけられ、自分がやりたい仕事から人事部へと移動させられた。

そんな進むべき「前(志をもって進むべき目的)」を奪われた主人公は、採用担当としての権利を活かし、会社を徐々に崩壊させる復讐を、新しい「前」に設定する。

それは、「顔の黄金比」のみで学生を選対すること。
顔の黄金比のいい学生は、離職率が高く、会社にいつまで経ってものさばるような「凡人」にはなる確率が低いからだ。

複数の基準を持って人間を総合的に評価する「新卒一括採用」とは、全くの矛盾の行動だが、そもそもそんなシステムは欺瞞であり、成り立たない。

だからこそ、顔の黄金比での採用基準がまかり通る…

日本の採用システム、会社組織の不条理さと、正しくはないが「自分の美学・信念」を持って職務を全うする主人公の皮肉さが相待って、とても痛快な部分もあった。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

採用側の視点で就活をみられるのが面白い。主人公が復讐をするための行動で、周囲からは評価されてしまうのも皮肉が効いてるな、と。
ラストの展開までどう決断するのかワクワクして読めました。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

主人公の淡々とした皮肉が面白かった。最後、コネ入社の彼の採用はどうするんだろうとドキドキもし、ゾッとした。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

自分が勤める会社への復讐として人事の採用基準を顔面の黄金比で決める。これだけでも内容として十分に面白いが文章のいたるところでブラックユーモアが効いていてそれもまた良い。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

純文学っぽくもあり、大衆小説のような読みやすさもありました。世の小説はどちらかに分かれると思っていたけれど両立もしうるのか...と。

思わず鏡を確認してしまいましたね。
ただ黄金比の顔の人を主人公が好き好んで選ぶわけではなく、ちゃんと主人公の中で確立された理屈があってそうなのだということから、理系っぽさが感じられますね。こういう人事の人いそうだな。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

採用担当ってそうそう…と、あるあるに頷きつつ、なんてフワフワしているのかと言われて目から鱗。そういうものだと思い込んだまま、かつて5年の期間を過ごしていたよ。

この主人公、ハマれば大活躍する人「財」だったろうに、ボタンの掛け違いがもったいない。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

化学工場の設計をする会社で、10年前から新卒採用チームの一員として働いているベテランの主人公。部下の中村、太田とともに、合同説明会にてブースを設営、リクルートスーツの学生たちの勧誘に勤しみ、応募者を四分の一に絞る一次面接を担う。「人事部の小野さん」として社内の信頼も厚い彼女には実は、入社時は優秀で、会社の中核である花形部署での活躍が約束されていたのに、社内の少々難ありのマスコットを社外に洩らしたという、納得のいかない理由で異動になったという経緯があり、会社に恨みを持っていた。新卒採用における彼女の理念は、「会社の不利益になる社員を採用すること」。そのために目をつけたのが、顔の黄金比だった。

一階の従業員が会社に与えうる最大の損害は、自己都合退職であるという。せっかくお金をかけて採用したのに、二、三年で辞めてしまう優秀な人材、それを採用するために、考え出したのが「黄金比」。「不細工な顔のほうが、会社に不利益だろうか?」「ずるずると会社に残るのは冴えないやつばかりだ。」

ルッキズムと偏見に満ちた思考が面白い。就活の舞台裏なんて、案外こんなもの感も、面白い。顔へのこだわりが強すぎた結果、コネ入社に気づき、復讐の完成に震えるものの、優先するのは顔の黄金比、というオチだった。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

面接官復讐モノと言えば簡単だが、しっとりやって来る結末は怖い。黄金比と縁の関係性も独特で、黄金比が主人公の武器ならば縁は妬ましくも恐れ多くもそれこそ縁もゆかりもない武器であって使い方こそしれど実用に適してはいない。黄金比も黄金比とは名ばかりでクセのある主人公特有の黄金比であり今の世の中的にそれは有りなのかと頭を悩ませる半分、今の世の中整形が身近な分これこそが近代的表現なのかと空を仰ぐことしか出来ない。あと薄いけど読むのには苦労する。
予想外のところから的を当てて来る後輩ほど怖いものはないなと思った。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

主人公の、会社への復讐心には重さを感じず笑ってしまいました。
復讐のために会社に不利益になりそうな人間を採用する人事なんて!
恨みがすぎる。
しかし、強く共感してしまいます。
「分かる、分かるよ」と、読みながら何度も頷きました。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

とある出来事から一部上場企業の採用担当となった主人公が会社に対して復讐を実行していく話。
一見会社のためになっていそうな提案をしながら、会社への復讐として業務に取り組んでいるというシチュエーションが新鮮で面白かったです。
彼女の復讐がどうなるのか、もう少し最後まで見たかったです。
働くには誰もが避けて通れない採用活動の裏側を見られたのも新鮮でした。

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2025年07月01日

Posted by ブクログ

『私はこの微々たる権限でもって会社に最大限の復讐を果たす-。』
ある出来事を恨み、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う主人公の話。

終始ユーモア溢れる独特な文章でした!
慣れてないと少し読みにくかったですが、皮肉っぽい言い回しが面白かったです

顔の黄金比のみで新卒採用を決定する…。いいのかと思ってしまう反面、履歴書と数十分の面接で分かることなんてすごく限られてしまうよなと思いました。

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2025年06月28日

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