石田夏穂のレビュー一覧
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ネタバレとにかく、めちゃくちゃ笑った。
本書に登場する主人公たちはみな、「対等であること」や「誤魔化されないこと」をモットーとし、世の中の矛盾をどこまでもロジカルに暴いていく。そのワードセンスや言葉のチョイスが秀逸すぎる。物語を通して突きつけられる鋭い指摘をしっかり受け止めつつも、それ以上におかしさが勝ってしまって、終始笑いが止まらなかった。
収録されている三作とも甲乙つけがたい面白さだったが、特に惹かれたのは『世紀の善人』だ。
主人公の安井は、勤務先での理不尽な扱いや物言いに対し、まるで野生動物を観察するかのような視点を向ける。「サンゾウは、〇〇すると死ぬ」という独自の観察眼は最高だ。社名の -
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体脂肪率が高いため出張禁止になった会社員女性の話
ユカリ 勤続15年会社員 独身 37歳
出張、転勤、赴任の嵐 職場に座って働いたのは通算3年もない
海外出張が生きがいといってもいいくらい出張を愛してる
それなのに社の健診で体脂肪率が三十五パーセントだから、生活習慣病の人、およびその予備軍の人には、海外派遣はさせない、といわる
社の提携しているジムに通い、体脂肪率三十五パーセント以下を目指し、海外出張をもぎ取る決意をする
タイトルの意味!
最後にわかり痛快だった。そういう意味だったの!?って。
主人公は心の中では相手にチクリ言ったかと思うとその何倍も自分に対して苦言がでてくる。その -
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「女性の身も蓋もない本音」が、遠慮なく、それでいて辛口なユーモアたっぷりに描かれている。
主人公たちは、立派な人間とはいいがたく?、後輩に知識を教えたくないと思い、他人を見た目で判断し、自分のことを一番大切に思う。意地悪で偏屈で。しかし、その本音が隠されることなく語られるからこそ、妙な説得力を持って胸に迫ってくる。
読みながら感じたのは、この作品の背景には、男性が作り上げてきた会社や社会の構造があるということだ。もちろん時代は変わりつつあるが、それでもなお、男性中心の価値観が色濃く残る組織の中で、女性はどのように生きていくのか。その問いが、『ケチる貴方』にも『その周囲、五十八センチ』にも通底し -
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石田夏穂さんの小説は、見事に斜に構えた物語が大変魅力である。
本作の中で「世紀の善人」の''安井の仕事''は、全くもって理不尽でありながらも、視線を合わさず生きぬきながら無神経な男性社員たちを暗く見つめる。
そしてついに反撃に出た安井の行動と結末のカタルシスは、抑圧から自らを解き放つ安井への応援となっていった。
「わたしを庇わないで」のデブという言葉が、デブを庇う人間の裏側の感情を皮肉にも見事に表していく。
アヤノに対してデブを口にしない偽善者との戦いが、読者も意にしない展開が皮肉に溢れて読み手を飽きさせなかった。
人や社会や会社を独自な視点から痛 -
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ネタバレ『 世紀の善人』
めちゃくちゃ笑った!
すばるに掲載されていた2024年に読んだ時も、2024年に読んだ小説の中で一番好きだったけど、単行本で改めて読んだらやっぱり面白かった。1ページのなかで笑っちゃう文章が沢山出てきて、思わず音読したくなった。
本当に、サンゾウ(職場の昭和的なおじさん達)の気持ち悪さについて、ここまで色々な表現で数十ページにわたって面白く書けるのすごいなーと思う。
職場のおじさんが嫌いな女性達に布教したい。
『私を庇わないで』
デブに「デブ」と直接言わないことで、暗にデブと言っている罪についての話。これも面白い。
直接的に「デブ」と言ってくる人を「正直者」や「挑戦者」と書 -
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社の食レポ広報を任される太った主人公が周囲の欺瞞に気づいていく。
3作品どれも面白いけど表題作がずば抜けて面白かったです。面白く、そしてすごかった。
石田夏穂さんの文章、端々に散りばめられた皮肉、自虐、悪意が本当に面白くて、コラム書いたらナンシー関みたいになるのではと思うほどですが、本作はそれに加えて薄い良識やルッキズム批判、ポリコレ的なものをビリビリに引き裂く強烈さがあります。
その昔、小人プロレスが世間の声に押されて消えたのと同じような、良識ある差別者の圧力を受け止める主人公の思考の変遷はすごくささるものがありました。
デブ、ハゲ、チビ、その他容姿コンプレックスを抱える人はぜひ読ん -
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読書備忘録992号。
★★★★★。
去年末に出ていた石田さんの準新作です!
流石としか言いようがないっす。
完璧なお仕事小説です。
そして今作、これまでに無かったメッセージ性が若干感じられました。
タイトルは緑十字です。
良く工事現場などに掲げられているあの白地に緑の十字が描かれた旗。
安全衛生の象徴であり、労災防止のシンボルです!
決して悪名高きミドリ十字ではありません!
私も安全靴などでお世話になりましたミドリ安全でもございません!
主人公浜地。アラフィフ。
東京二十三区の戸建てに住む。すごいやんか。
早朝に家を出て、駅のトイレでスーツから作業着に着替える。
そして下り電車に乗り、下 -
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ネタバレ体脂肪率の高さから出張を止められたキャリアウーマンが奮闘の中で発見をする
石田夏穂さんの面白さが凝縮された1冊。石田夏穂を知らない人は手っ取り早くこれを読むといいと思います。すごく面白いです。
相変わらず文章がまず面白い。北大路公子のエッセイでも読んでるようです。その上で、「アホかいな」と笑ってしまう謎の、しかして意外に世の中にありそうでもあるルールが設定され、苦闘する中で主人公が社会という総体のもたらす暴力的な眼差しにさらされていく。
それを真っ向から対抗したり批判する社会的な方向性(BUTTERとか)ではなく、辟易しつつもいつの間にか自分もそれを取り込んでしまい、有頂天になった -
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どのストーリーにも思わず笑ってしまう場面がある。お仕事小説として、仕事や社会で当たり前とされている価値観が、ほんの少し角度を変えるだけで妙におかしく見えてくる。そのズレをすくう皮肉めいたユーモアが、この作品の魅力だと思った。
なかでもいちばん笑えたのは「未経験の男」だった。筋トレが自己管理や意識の高さの象徴のように語られるなかで、筋トレ未経験の吉川はどこか居心地の悪さを抱えている。けれど彼は正面から反発するのではなく、黙って距離を取ろうとするその姿がまずおかしい。
さらにおかしいのは、筋トレ命の森山が、いざという場面で筋肉をまったく役立てられないことだ。結局、役に立つかどうかよりも、「筋