石田夏穂のレビュー一覧
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ボディビル大会に出るための努力の日々を描いたストーリーは極めてシンプルなのだけど、大会準備の細かい描写には知らない世界を覗く興味深さがあり、文章からはさりげなく高いギャグセンスを感じ、めちゃくちゃ面白かった!本当に過不足ない、完成された166ページだと思った。石田香穂さん、他の作品も読みたい!
自分もパーソナルジムで筋トレしたことがあるので、そもそも題材からして興味があったが、筋トレなんて全く興味ない方や、全ての女性におすすめできる。
それにしても、文学とは遠い印象の筋トレでさえ、こんな面白い小説になるとは。だから小説家ってすごいし、読書はやめられない。 -
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ケチる貴方☆☆☆
石田夏穂さんらしい数々のシニカルな表現に、常にやにやさせられる。
「帰宅すると、駆け込むように服を脱いだ。制限時間付きの不倫現場、もしくは早脱ぎ選手権のようだ」
面白かった。
その周囲、五十八センチ☆☆☆☆
どれだけダイエットをしても、太くあり続ける太ももとともに過ごす生活を余儀なくされた主人公。そんな主人公が行った太ももに対する勝負の一手は、脂肪吸引。そんな主人公は脂肪吸引を行うたびに、その魅力に気づいていく。
とても面白かった。
ここまで手放しに笑える小説は珍しいと思う。
自分にとってあまり理解がない分野を題材にした小説は、どれだけ少ない言葉で、かつ主人公の考えが読み取 -
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ボディビルダー後藤の身体づくりと仕事の責任の狭間で苦悩する物語。
言ってしまったら趣味なんだから仕事を優先するのは当たり前ってなるんだけど、それだけじゃ人生楽しくない。
特に役職が付くと自分の事は後回しにしなくちゃってなってくる。行きたくない飲み会や休日出勤、その辺の上手なバランスの取り方が出来る社会人になるのか。
後藤は自分の身体と会社を連動させて考えているのが面白い。要らない体脂肪、要らない社員。無駄を削ぎ落とすと同じ様にスリムになる。ただの偶然か思い込みなんか、または皮肉の効いた空想か。
ただメタボな人に対しての極端な嫌悪はなんだかな。けどその視野の狭さがこの物語を面白くしているんだけど -
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係長としてリース屋で働く傍ら、ボディビルの大会に出場している後藤。いつもよりひとつ落とした階級で出場すると決めた後藤は、減量に苦戦する。ある日、組織に悪影響を与える人材を切り捨てると共に、減量が進むことに気づいた後藤の結末とはーーー
笑いながら楽しめた一方で、真剣にボディメイキングに向き合う後藤に納得させられる部分も多くあった。
後藤は自分と他者の体型を比べ、優劣をつけるボディビルにストイックであるが故に、他者の身体がこれでもかと気になってしまう。人の身体を見て体脂肪率を推定し、太った人を体脂肪と称す。そして、デブは動きが遅い上に、動くたびにブヨヨと音を出す為、組織内で円滑に作業するための邪 -
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石田夏穂さんの言葉の選び方が好きなんですが、少しストーリー運びがワンパターンだなと思う
極度の冷え性の会社員の女性が
新人教育担当になり、自分でも思わぬ所で世話を焼いてしまうと、その夜から急に身体がポカポカとしだして⋯
周りに親切にしたら何故か身体がポカポカととあったまってくる
ケチらずに寛容に周りに愛想良くすれば身体が火照ることに気づく
心と身体は繋がってる?
相手にそっけなくすると身体も冷え、
相手に優しくすると身体が温まる⋯
そうなのかもしれないなと思いながら読んだ
おもしろかった
同時収録の「その周囲、五十八センチ」の脂肪吸引の実態には驚き
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趣味の筋トレが高じてボディビル大会に出場する事にした女性のお話
ジムで自己流の筋トレをしているU野
ボディビル業界では有名なO島から、「うちで鍛えたら、別の生き物になるよ」という誘い文句からジムを移籍し、初めてボディビルの大会に臨む事になる
しかし、女性のボディビルの大会は、ただ単に筋肉の大きさだけでなく、フィジークというトータルバランスが必要な種目で
しかも、筋肉とは関係ない「女性らしさ」という評価基準も求められる
その事に疑問を感じつつ、大会でU野の取った行動とは?
タイトルのスミスは、筋トレ用のトレーニング器具「スミスマシン」の事
ガイドレールとストッパーがあるため、一人でも限界の -
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ネタバレ勤めてる会社に復讐するには。
会社の花形の部から左遷のように人事部に異動させられた主人公は、会社に不利益を与えるために顔の黄金比で採用・不採用を決定することにした。
なんだこれ?な展開ですが文章の説得力が凄まじい。石田さん独特の文章が小気味よい。数ページごとに笑ってしまう。
主人公も泣き寝入りするだけじゃなくて独特の思考で我が道を行く。
「私も含め不細工な顔のほうが、会社に不利益だろう。それは本当だろうか。不細工な顔のほうが、会社に不利益だろうか?」(P50~51)からの「日中の執務室にはそこここに同僚がおり、皆が不細工だった。」(P51)は一度本を閉じて笑ってしまいました(汗
最後 -
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石田夏穂さんのお仕事小説に間違いなし
いわゆるホワイトカラーだった主人公が体のいいリストラにあい、同業界のブルーカラーとして働く。
ホワイトカラーの無自覚な見下しが色んなところで感じるけど、机の上の仕事の先は現場にあると文字どおり地に足をつけて日に日に実感していくのがいい。
石田夏穂さんの『この手の太陽』にも繋がる安全と工期とそこに関わる人達の立場とか思惑に、業種を超えて共感したりムカついたり。
『この手の太陽』では安全含めてプロだと思う、という感想を持ったけど今回の主人公は現場の人間としてはまだプロになれていなくて、ホワイトカラー元管理職の中年男性が振り回され意識変容しないといけない自分 -
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いまや「お仕事系小説」といえば、石田夏穂さんの名前が真っ先に挙がるのではなかろうか。そう感じさせるほど、その作風はすでに定着しつつある。本作もまた、石田夏穂さんの最新作らしく、期待を裏切らない面白さだった。
エリート社員だった主人公の転職先は建設現場。そこで出会う先輩の安全衛生管理者、いわゆる「緑十字(あの安全の旗)のエース」の暴走ぶりが、今作でもなかなかに強烈だ。少し変わったタイトルだとは思っていたが、読み進めるほどに「これ以外のタイトルはありえない」と納得させられる。
先輩の暴走だけでなく、家族を持ちながら転職に失敗していく主人公の悲哀、さらに作中で起こるある事件の犯人探しなど、物語は一方 -
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工事現場で作業員の安全を守る「安全屋」だが、こんなに忌み嫌われる存在だったとは知らなかった。(あくまで本書の話。しかも、融通が利かなすぎる安全屋であることが嫌われるポイント高し。)
皆のために嫌われ役を買って出てる訳でしょ?辛い役どころだと思う。
工事は早く終わらせなければならないが、安全対策は万全にしないといけない。どっちもやれば良いじゃんと思うのは簡単だが、実際には天候に左右されたり、下請け会社の内部事情だったりと、そんなにうまくいかない。
こんな世界に急に放り込まれた主人公は、よく困惑せずに仕事を続けているなと感心する。
しかも嫌われている上司の悪口も言わずに...。さすが、元大企業で