石田夏穂のレビュー一覧

  • 緑十字のエース

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    旧財閥系の大手デベロッパーで積算部長をしていた浜地が、ある出来事をきっかけに会社を辞めた。50歳を目前にした彼がようやく入社したのは台島建設。積算業務のはずがいきなり現場に飛ばされ、経験したことのない安全衛生管理責任者をすることになる。家族には転職したことを言えず、現場では年下の教育担当者に違和感を覚え……。
    工事現場のあれこれは想像することしかできないが、映画やドラマで観たような光景が広がる。お手軽だけど、お仕事小説としても、サラリーマン小説としても、家族小説としても読める。おもしろかった。

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    2025年11月30日
  • 嘘があふれた世界で(新潮文庫nex)

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    7つの短編集

    新進気鋭の作家たちによる現代のリアルを切り取る7つの物語。

    わかってるようでちゃんと理解していなかった
    「推し活」「VTuber」についての理解が深まりました

    どの作品も味わい深くオススメできるものばかりですが個人的には
    『あなたに見合う神さまを(佐原ひかり)』が一番心に刺さりました

    人を支配するもの、人の幸福を妨げるものはおしなべて暴力よ

    と語る権藤さんのカッコよさと、少しづつ勇気をもって言葉の暴力に立ち向かう主人公。。

    初めて著者・佐原ひかりさんを本作品で知りましたが他作品も追いかけてみます

    あと石田夏穂さん作品はほぼ全部読んでいますが短編向きなのかも、とも感じ

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    2025年11月10日
  • ケチる貴方

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    『ケチる貴方』と『その周囲、五十八センチ』が収録されている。
    『ケチる貴方』の主人公は、備蓄用タンクの設計と施工を行う企業に勤めている。現場の施工管理を担当する優秀な女性社員だ。
    金太郎のような体なのに超冷え性。
    冷え性であることを隠して働いているが、新人教育担当になって自分を曲げてから体がほてり始める、という内容。
    『その周囲…』もそうだけど、体にフォーカスしたのが新しいと思った。
    『ケチる…』はお仕事小説としても面白い。
    昔新聞で、うろ覚えだけど、「小説というのは新しい国を作るようなもの。どこかで読んだようなものを書くな」という某作家のコラムを読んだことがある。
    著者が作ったのは、新しい国

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    2025年10月10日
  • ミスター・チームリーダー

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    序盤は薄情な筋トレバカの話かと思ったら、そこそこ深刻な部分に触れていく純文学でした。
    ページ数も少ないので、余白が多い部分が、より一人一人の読者に振り返らせるような、一人一人のスピンオフを与えてくれるような物語でした。

    無理はよくないよ。筋トレも人間関係も。

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    2025年08月23日
  • 黄金比の縁

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    顔面の黄金比でしか人を見てないのに、「人を見る目がある」と評価されるところが皮肉で良いわ。

    コネ入社だと分かった時点で落とすのではなく、コネ入社だと私は分かっているよと本人と採用担当に知らしめた上で落とさない、というところが怖くて良い。顔面の比率が綺麗やったからね!

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    2025年08月17日
  • 黄金比の縁

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    冒頭から非常に解像度の高い文章で、会社員の自分は、めっちゃ面白!と感じました。こういう感情あるある、という感じです。
    主人公のある種ストイックな姿勢もすごいですね!

    朝井リョウさんが、同書の解説を書かれていて気になって購入しました。他の書籍も読んでみようと思います。
    文量も少なめで、ちょうど良かったです!

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    2025年08月17日
  • 黄金比の縁

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    ナツイチのクリアしおりが欲しくて、あとタイトルに惹かれて購入。
    自分が会社の不利益になるから、と左遷され人事部に異動した主人公。
    顔の比率だけで採用を決める何とも激しい選考。
    主人公のブレない基準と結果はお見事。
    作家さんの言葉もとても分かりやすかった。
    読後感スッキリ。

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    2025年08月03日
  • ミスター・チームリーダー

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    読書備忘録931号。
    ★★★★★。

    繰り返します!
    この薄さでこの満足!★5つです。

    そして石田さんのテッパンネタ。
    問題ありません。
    マンネリでも大いに楽しめます!

    主人公は大手リース会社、株式会社レンタールの社員。後藤。
    最近リーダー(係長)になった。

    そして彼はボディビルダー!(石田さんテッパン!)
    JBBCという硬派な協会の大会にエントリしている。
    階級は5kg下げた75kg以下級。
    大会が近い減量期にも関わらず81kg界隈をウロウロしてしまっている!
    やばいやばい。

    主人公が所属するのは建設資機材課第2係。
    建設業界の大手顧客が相手だ。
    出社すると、机にちんすこう!とか、サ

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    2025年07月16日
  • 黄金比の縁

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    ネタバレ

    社内のチャットボットがセクシー系の女性キャラであることをうっかり口外したことが原因で、会社を炎上させた人間として人事部に左遷された主人公が、さっさと転職していきそうな新卒を採用して会社に不利益を被らせるために、顔が黄金比に整っているかだけを採用基準にして採用試験を行っていく話。そんなコメディーのような話でありながら、「女性ならではの視点で」とか言われまくる昭和な会社のオヤジ発言とか、そもそも客観的で公正な判断なんて可能なのかとか、人は自分の判断で人の採用や退職を決めるには耐えられないから縁だとか人事部としての判断だとかに頼るのだとか、核心をつく話も出てきて深い。東工大卒で女性の筆者だからこその

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    2025年07月08日
  • 黄金比の縁

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    石田夏穂さん、電書で『冷ややかな悪魔』を読んでいたので、本書で二作目。

    ジャンルとしては、お仕事小説という分類になると思う。

    主人公の小野は、エンジニアリング会社の花形部署から、とある事案で人事部に異動になる。そこで新卒採用を担当して十余年、独自の評価軸を編み出し、それは応募者のとある「黄金比」なのだが……

    独自の評価軸も、その結論にいたる動機も、まじかよと思いながらも腑に落ちてしまう説得力がある。そして随所に効いている、「会社組織というもの」「採用」に対する軽妙な皮肉に、声を出して笑ってしまった。
    就活生を主人公にした小説は数多あるイメージだが、採用をする企業側の視点で描かれたものは珍

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    2025年06月28日
  • 我が友、スミス

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    ネタバレ

    初めて挑戦した筋トレ小説。素人でもなかなか楽しく読める、そして共感もする内容だった。
    作中では、主人公であるU野がボディ・ビル大会に出場するまで、体や自信の変化をU野は感じつつも、「女性らしさ」に関する疑問を変わらず抱えていた。
    一方、読者である私も、女性向けのボディ・ビルの世界で、ここまで女性らしさを求められている現実に驚いたものである。単に「筋肉をつけたい、強くなりたい」という動機で筋トレを始め、ボディ・ビル大会に挑んだ結果、自分の筋肉を美しく見せるために「女性らしい」美しいものを身につける、「女性らしい」所作を行う。こういった必要とされる行動を鑑みると、「男とはこうあるべき、女とはこうあ

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    2025年06月04日
  • ミスター・チームリーダー

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    ボディビルダー側から見えるカイシャの風景に思わず噴き出しながら読んだ。
    しかしなかなか哲学的でもあり思わずうなったフレーズも多い。

    P7 ボディビルでは本来順位をつけられない者に順位をつける。そのために必ず隣の選手と比較される。ボディビルも「自分との戦い」とはよく言われるが、後藤は決して、そうは思わなかった。それは、どこまでも、他人との戦いだ。

    P21 仕事を断るデブって、何なんだろうな。

    P22 なぜ筋肉の上に脂肪が乗って、その逆ではないのか。それは、筋肉は脂肪よりも、価値の高い組織だからだ。

    P27 真に自分の身体というのは、自分の意思で動かせる範囲のことだ。筋肉は自分の意志で動か

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    2025年05月06日
  • 我が友、スミス

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    知らない世界が目の前で展開されているかのような細かい描写 大好きでした
    最後の思い切りの良さも面白かったです

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    2025年04月16日
  • ミスター・チームリーダー

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    おもしろい!
    ぼくもライトなジム通いしてるのでなんとなーーく気持ちはわかります
    自分に厳しくなると他人にもつい厳しくなってしまう。なんで自分は頑張ってるのにあいつはがんばらないのだろうと
    本書は筋トレを主軸にそんな考え方をテーマにしていますがこれは筋トレに限らずついつい思ってしまいますね。

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    2025年03月25日
  • 我が友、スミス

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    主人公の身体と心の変容に夢中になれた。
    筋トレ好きはもちろん、そんな知り合いがいる人にもおすすめしたい。

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    2025年03月02日
  • 我が友、スミス

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    初読みの作者さんでしたが、面白かったです‼︎
    筋トレした事無いけど、めちゃくちゃストイックな話だなぁと思いました‼︎

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    2024年12月29日
  • 我が手の太陽

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    自分が見たことのある仕事で、詳しくは知らない仕事。溶接。この仕事に思いを持つ人の姿。仕事とは、本人の気概がのりうつる。他人には分からない。ということを学ぶ。

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    2024年12月28日
  • 我が友、スミス

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    ボディビル大会に出るための努力の日々を描いたストーリーは極めてシンプルなのだけど、大会準備の細かい描写には知らない世界を覗く興味深さがあり、文章からはさりげなく高いギャグセンスを感じ、めちゃくちゃ面白かった!本当に過不足ない、完成された166ページだと思った。石田香穂さん、他の作品も読みたい!
    自分もパーソナルジムで筋トレしたことがあるので、そもそも題材からして興味があったが、筋トレなんて全く興味ない方や、全ての女性におすすめできる。
    それにしても、文学とは遠い印象の筋トレでさえ、こんな面白い小説になるとは。だから小説家ってすごいし、読書はやめられない。

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    2024年12月13日
  • 我が手の太陽

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    ネタバレ

    溶接工の技術や知識は皆無でしかも終始職人技の話と主人公のプライドと慢心などの心の葛藤で進んでいくがどうして今まで出来ていた事がある日突然に出来なくなったのか、しかも溶接工から外されてからの他人を見下すような態度を取るようになったのか先に先にと読まずにはいられなくなってしまい中断せず、中断できずに読み終わる。
    読書熱が無くなったと嘆いていたのがウソのような食いつきにびっくり。

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    2024年05月19日
  • 我が友、スミス

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    身体を鍛えた先には何が見えるのか?ボディビルを経験した者でしか味わえない境地が、想像とは違う目線で描かれています。
    また、作者はボディビル経験者なのか?と思うほど、表現が緻密でかつ、文章がとにかく面白いです。

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    2024年05月02日