レティクル星人の「男爵」/ロックスミスと爆発事故で死んだエンジニアの妹カナ/フィーと息子のアルバートと犬/軌道機雷が使われた/フィーの奮闘及ばず宇宙戦争は始まり、終わり、軌道は使えなくなった/フィーとハックルベリー・フィンのような叔父/大人であること、大人になってしまうこと/フォン・ブラウン出航一年半《この宇宙にオレに関係ない人間なんか一人もいねーーんだ》p.281/2080年、ついに人類が木星に到着、ハチマキが地球に向けたメッセージを発信した。《愛し合うことだけが どうしてもやめられない》p.321
■簡単な単語集
【アルキメデス・クレーター市】月の雨の海にある都市。宇宙生理学研究所付属病院がある。
【アルバート】フィーの息子。犬や猫をどんどん拾ってくる。動物をしつけたくない主義。
【EDC】地球外開発共同体。
【イスマイル】ゴローの先輩。
【宇宙】《ここも 宇宙なんだ》第二巻p.246。忘れがちなことだけど、ぼくらは宇宙空間を超高速で旅をしているわけで。
【宇宙白血病】宇宙生活者の難病のひとつ。宇宙空間や月面の強力な放射線にやられる。
【宇宙防衛戦線】テロ組織。当初は「人類は宇宙に出るべきではなかった」という主張の宇宙自然環境保護団体だったが今では「宇宙における人類の構築物を全て破壊する」という過激なものになっている。喫煙室に爆弾を仕掛ける手口が得意なのでフィーの怨みを買っている。
【エネルギー】月のヘリウム3を主燃料とした核融合発電が主流となっている。
【オヤッさん】修理船のオヤッさん。
【オリエンタレ・ベイスン地下坑道都市】月面都市のひとつ。「宇宙防衛戦線」による爆弾テロが発生した。そのせいでフィーはたばこを買えなかった。
【カナ】フォン・ブラウンのエンジン実験の爆発事故で死んだシン・ヤマガタの妹。
【軌道機雷】敵機と認識した機体の手前で爆発し無数のデブリとなって襲いかかる。デブリ回収をやっている当のテクノーラ社も作っている。
【九太郎】ハチマキの弟。初登場時十三歳。ロケットのエンジニアになりたいので日々小型ロケットの打ち上げに挑んでいる。火星日帰り旅行ができるエンジンを目指す。
【空間喪失症】事故などで音信不通の宇宙空間を漂ったりしたときにトラウマとなり宇宙空間でパニックに陥る症状。
【クレア】四コマ漫画に後ろ姿のみ登場のアニメオリジナルキャラ。
【ケスラー・シンドローム】デブリと衝突した人工天体がさらに多くのデブリとなりそれがまた他の人工天体と衝突しという事態を繰り返し幾何級数的にデブリを増やしていく現象。
【コージ】→田名部耕二
【コスモノーツ】週刊誌。なんと見た目フロッピーディスクで刊行している。
【ゴロー】ハチマキの父。地上勤務を望んでいるが「フォン・ブラウン」の機関士長をやってくれと乞われ逃げ回っていたがロックスミスのワガママぶりに関心を抱き乗ることにした。
【サリー】木星往還船のクルーの一人。
【サンダース】米宇宙軍大佐。ケスラー・シンドロームを心配している。
【重力】《忘れちまえ重力の存在なんて ありゃ世界をせまくする力だ》第二巻p.45。重力に魂を縛られた人びとではニュータイプになれない。
【船長】フォン・ブラウン船長。人類の歴史に残るコメントを考えるのに四苦八苦している。
【田名部愛】ハチマキが木星往還船の搭乗員試験で長く休むので代員として採用された。訓練校を出たばかり。ペットはナマコ。《愛がない》第二巻p.61。《知りませんもん船乗りの理屈なんて 私の方が正しい》第二巻p.73。《宇宙は 独りじゃ 広すぎるのに》第二巻p.81。ようやく確立したかに思えたハチマキのパワーの根源にズカズカと踏み込んで否定する女。タナベはハチマキの人間性を守る存在となるのかもしれない。
【田名部耕二】風車の作業員。ユカリの夫。愛の父。血は繋がっていない。元ロック歌手。
【田名部由加里】小学校教師。耕二の妻。愛の母。血は繋がっていない。
【男爵】レティクル星人。
【ツィオルコフスキー】「地球は人類にとってゆりかごだ たまごゆりかごで一生を過ごす者はいない」という名言を残した。ゴローはそれを「大先輩は頭がいいから自分の欲望を人類全体の問題にすりかえたんだ」と切って捨てた。
【デブリ】スペースデブリ。人工衛星その他の宇宙空間に浮かぶゴミ。浮かぶと言っても超高速で飛んでいるので宇宙船などに衝突すると大惨事となる。特に微小デブリはセンサで感知できないし拾いきれない。トイ・ボックスは穴だらけ。
【デブリ回収業者】デブリを回収、もしくは大気圏に落とし焼却処分する。給料はよい。
【トイ・ボックス】DS-12。船齢三十年のオンボロ回収船。後にとある功績により新造艦にバージョンアップ。
【ノノ】骨折した月面アルキメデス・クレーター市の病院に入院したハチマキが出会った少女。十二年入院している十二歳。月面生まれで月面育ちの月面人(ルナリアン)。世界に4人しかいない。地球の高重力には耐えられない肉体。彼女との出会いはハチマキが宇宙との関係を見直す契機となる。《問題はこの誰にでも平等に無慈悲な世界を どう受け入れるかってことだったのかもな》。
【ハキム】木星往還船搭乗船外活動員第一次テストで二万人中一位。
【ハチマキ】主人公。星野八郎太。デブリ回収船トイ・ボックスの作業員。自分の宇宙船を持ちたい。最初は金髪だったが第三話から黒髪になっている。喫煙者だがフィーほどではない。《でも 愛し合うことだけが どうしてもやめられない》第四巻p.321
【ハリー・ローランド】骨折したハチマキがアルキメデス・クレーター市の病院で会った。キャリア二十数年の一等航海士で小惑星帯を初めて有人探査したヒーローの一人。今は宇宙飛行士養成学校の教官。宇宙で死にたがっていた。
【フィー】トイ・ボックスのキャプテン。喫煙者。地球での住まいはフロリダにある。息子がいる。
【フィーの母】弁護士。
【フォン・ブラウン】木星往還船。EDCによるプロジェクト。目的は資源開発。
【ボー】フォン・ブラウンのクルー。ロアルとその妻サーシャとは三角関係だったようだったゆえに妻をほったらかしにしてフォン・ブラウンに乗ったのが許せないらしい。
【星野ハルコ】ゴローの妻、ハチマキの母。おおらか。
【星野八郎太】→ハチマキ
【木星往還船】→フォン・ブラウン
【木星往還船搭乗船外活動員第二次選抜考査】ラグランジュ1で実施された。
【ヤマガタ】シン・ヤマガタ。ロックスミスのエンジン実験での爆発事故で死んだエンジニアの一人。
【ユーリ】トイ・ボックスのクルー。妻と二人で乗っていた高高度旅客機がデブリに衝突(アルナイル8型事故)、たまたま席を離れていた自分だけ助かった。無口でヒマがあると宇宙空間を眺めていて有給を取ろうとしない。
【ユカリ】→田名部由加里
【ラモン】ロックスミスの師。今は神父。
【レオーノフ】木星往還船搭乗員としての同僚。ウクライナ出身。「遠くに行け」という内なる声が全て。
【ロアル】フォン・ブラウンのクルー。超遠距離ゆえにもうすぐ妻のサーシャと離婚するようだ。
【ロイ】フィーに道を示してくれた捨て犬。
【ロイ・ブライアント】フィーの叔父。優しい人物だが定職にも就かずツリーハウスで暮らし多くの人に誤解され危険視されている。
【ロキシー】月面にあるアルキメデス宇宙港の事務局の受け付け。タナベの友人。
【ロックスミス】ウェルナー・ロックスミス。EDCの木製計画担当者。「フォン・ブラウン」の設計者、タンデム・ミラー・エンジンを開発した。ハチマキの父を機関士としてスカウトしようとしたい。ただし、すべては自分の欲望であり使命感もなく、人間もパーツのひとつとしてしか見ていない。《神が愛だと言うのなら 我々は神になるべきだ さもなくば…… 我々人間は これから先も永久に…… 真の愛を 知らないままだ》第四巻p.305