幸村誠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレいよいよ本格的に舞台が明らかになり始めたバルト海戦役編の二巻目である。
フローキが時期首領にと目する孫のバルドルが登場した一方で、登場して速攻で退場したヴァグン、そのヴァグンを暗殺してのけた死にたがりのガルムと物語の進展は相当早い。ガルムこそが今回の肝になりそうだが、バルドルなども活躍の余地がありそうなのは、過去の物語からも察せられるところだろう。
舞台はフローキの居るヨーム戦士団の居城ヨムスボルグへと収束している。
暗殺なんて手を使われて怒り心頭に達するトルケル(とヴァグン大隊残党)、その脇でクヌートの意思通りに物事が進んでいるかを監視するウルフ、人質を取ってヨムスボルグへとトルフィ -
Posted by ブクログ
ヨーム戦士団の跡目争いによる「バルト海戦役」編始まりの巻である。戦乱の風は、だいぶ懐かしいトルケルの再登場が連れてきた。
それにしても、このシリーズでこんなに笑ったことがあったか思い出せないくらい笑った巻である。内容的にはだいぶハードで、シリアス要素も強い。トルフィンの役に立ちたいと地団太を踏むグズリの恋模様なども進捗が見られている。ここでのグズリの可愛さはなかなかのものだ。
だが、この巻は何と言ってもトルケルだ。たぶんこのバルト海戦役そのものがトルケルをトリックスターとした物語になると思われる。
父の仇であるフローキと、対立候補を立てようとするヴァグン大隊の争い、そしてそこに巻き込 -
Posted by ブクログ
過去は消せない。過ちを償うために、借り物の命を誰かのために使おうとしても、過去が、亡霊のように現れて行く手を遮る。あの頃の自分とは決別したはずなのに、なのに過去に自分が犯した過ちという因果が現在に及ぼす影響からは逃れられない。
宿命、自らの出自という血、流した多くの血と因果によって、トルフィンは巻き込まれていく。殺戮鬼から奴隷になり、旅の商人になろうとしたのに、新しい章の始まり。
壮大すぎる大河でもあるこの作品、何もかもが連なっていく、生きることとは過去を引き連れていくこと、逃げ続けてもやがて捕まってしまう。向かい合って、それも受け入れるか死に果てるか。すべての命がそうであるように。