岩明均のレビュー一覧

  • ヒストリエ(9)

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     本巻を待つのに2年近く。そんなに待たせているとわたしお嫁に行っちゃうわ。

     前巻、指揮官不在の窮地を救ったエウメネス。しかし、結果オーライにしても一介の書記官が指揮を執っては軍規違反になるので、手柄を居候先のアッタロスに引き受けてもらう。
     そんなところにヘカタイオスが宮廷にやってくる。エウメネスの故郷カルディアで彼の養父を暗殺し、彼を奴隷に落とし、カルディアの有力者となったものの、今やマケドニアに支配される身分となったヘカタイオスはエウメネスに食ってかかる。おまえは蛮族ではないかと。しかしマケドニアの書記官となったエウメネスはヘカタイオスの及びもつかぬ高官なのだ。
     アッタロスの姪のエウ

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    2016年02月10日
  • ヒストリエ(8)

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     第1巻が出てから10年目であるが、ようやく本編にはいったという感じ。作者が何を本編と考えているかはわからないが、主人公エウメネスがアレクサンドロス大王の父フィリッポス2世に仕えて、戦場を走り出したのだ。
     本巻ではアレクサンドロスは登場すらしない。エウメネスはフィリッポス2世の書記官として、フィリポス戦記に同道しつつ、軍師としても慧眼を示しつつある。この戦術の応酬が描きたかったことのひとつなのだろうが、エウメネスは参謀ではないので、まだ、ふと気づいたことをフィリッポスに告げに行く程度。しかし、その意をすぐに理解して、指示を変更するフィリッポス。いい感じだ。
     ところが、ビザンティオンともペリ

    1
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(7)

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     アレクサンドロスの二重人格の謎はすぐに開かされている。第2人格ヘファイスティオンはヘビが嫌いだからヘビの痣を白粉で塗ってしまう。ただそれだけのこと。なぜ第2人格が出てきたのか、それは母オリュンピアスが関わっている。
     種々の種明かしは済んでしまうので、むしろこの二重性によってアレクサンドロスがいかに名君・名将となっていくのかがストーリーの駆動源となりそう。だがそれもまだ先の話。

     エウメネスは今度はフィリッポス王に命じられ、マケドニア将棋を作ったりしている。

     そして3年が経つ。
     マケドニアの覇権を阻止せんとするアテネに味方するビザンティオンとペリントス、これを落とすべくフィリッポス王

    0
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(6)

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     表紙に登場したヘビの痣のある優男が13歳のアレクサンドロス3世、後の大王である。
     父フィリッポス王はアレクサンドロスの母オリュンピアスから彼を離したいということもあって、貴族の若者たちの学校ミエザを作る。ここでアレクサンドロスの剛胆さと繊細さ、民主的な性格が描かれる。さぞや名君となるだろうという描き方。だが、どこか脆弱だ。

     他方、エウメネスはマケドニアの首都ペラで、その権力構造などを見聞きしていくとともに、乗馬を習わされたりしている。

     脆弱なアレクサンドロスが行き詰まったとき、彼にそっくりでヘビの痣のない少年ヘファイスティオンが現れる。アレクサンドロス3世は怪しい二重人格者として描

    0
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(5)

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     表紙は第1巻冒頭に登場している、マケドニアの敵ペルシャのトロイアス州総督の妻・バルシネ。

     ボアの村人として成長した青年エウメネス。だが平和は続かない。近隣で友好関係を結んでいたギリシャ人の都市ティオス市の有力者の息子が野心家であり、ボアの村を占領しようと画策する。本巻はエウメネスの知略で木訥なボアの村人にそれを撃退させるという話。つまり軍師エウメネスの誕生が描かれるわけである。戦闘力でも覚悟の点でもハンディのある村人に策略を授けて、有力者の私兵とはいえ、訓練された軍隊を撃退するのだ。
     こういう話を書きたかったんだろう。こういうのを読みたかったんだよ。
     それに痛快なのは弱きを助け、強き

    0
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(4)

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     表紙は第1巻冒頭に登場している、マケドニアの敵ペルシャのトロイアス州総督の妻・バルシネ。

     ボアの村人として成長した青年エウメネス。だが平和は続かない。近隣で友好関係を結んでいたギリシャ人の都市ティオス市の有力者の息子が野心家であり、ボアの村を占領しようと画策する。本巻はエウメネスの知略で木訥なボアの村人にそれを撃退させるという話。つまり軍師エウメネスの誕生が描かれるわけである。戦闘力でも覚悟の点でもハンディのある村人に策略を授けて、有力者の私兵とはいえ、訓練された軍隊を撃退するのだ。
     こういう話を書きたかったんだろう。こういうのを読みたかったんだよ。
     それに痛快なのは弱きを助け、強き

    1
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(3)

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     奴隷として売られることになったエウメネス。彼の没落の要因となったスキタイ人奴隷ターミネーターとのかすかな交歓、エウメネスおつきの奴隷だったカロンとの複雑な感情を秘めた交流。貴族の御曹司という境遇から奴隷への急転落。諸々の感情があるとき爆発的に強く噴出する場面が、この作家の素晴らしいところだ。
     かようにギリシャの奴隷制がキーとして描かれるが、対してマケドニアでは奴隷が少ないという陳述があとで出てくる。
     エウメネスら奴隷を乗せた船ではさっそく奴隷の反乱が起きるが、しかし、奴隷は烏合の衆にすぎず、船は沈没。エウメネスが流れ着いたのは田舎の(つまり野蛮人の)村。彼はここボアの村に居つくことになる

    0
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(1)

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    こういう知恵と機転とはったりだけで切り抜けていく主人公、岩明均は好きね。オレも好き。
    消息子
    2013/08/24 12:08:53
    評価 ( ★マーク )
    ★★★★★

     エウメネスという人物が主人公である。彼はアレクサンダー大王の書記官として知られる。大王の父フィリポス2世と大王アレクサンドロス3世に仕えたが、書記官でありながら軍事面でも才能を示したとされる。歴史にその航跡が記されるのは、大王の死後、ディアドコイ戦争の駒のひとつとしてであるが、その出自は、都市国家カルディアの出身であることくらいしかわかっていないし、書記官時代の戦績も不明である。
     デビュー前から構想があったという岩明均

    2
    2016年02月10日
  • ヒストリエ(7)

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    ネタバレ

    マケドニア王フィリッポスに見初められ、書記官となったエウメネス。そこで 出会った王子アレクサンドロス(後の大王)の二重人格の秘密に触れ、さらに は王の依頼でマケドニア将棋を開発する。
    一方、マケドニア軍は近隣に覇を唱えるべく東進を開始。拠点になるのはエウメネスが育った町カルディア。
    マケドニア軍の一員としてエウメネスは旧知の人々と再会した。目指す攻略先はビザンティオン(現在のイスタンブール)である。

    アレクサンドロスの複雑な心情や、エウメネスが正式にマケドニア王家の、それも王に近しい家臣となったことが描かれている。

    少年期のアレクサンドロスは、家臣や友人思い。涙もろく、この上もないほど優

    2
    2016年01月17日
  • ヒストリエ(6)

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    ネタバレ

    遂にマケドニアの王子アレクサンドロスと対面したエウメネス。
    アレクサンドロスは他の同世代の若者たちと共にミエザの学校で学び、エウメネスは王に命じられ乗馬訓練に勤しむこととなった。
    乗馬訓練の最中エウメネスは自らの ルーツに迫る発見をし、アレクサンドロスは若者たちと共に馬で絶景を見学に行くが、そこで事故が発生する。その後アレクサンドロスとエウメネスは再会するがアレクサンドロスの様子は以前と違っていた。

    前巻にて「就職」したエウメネスがいよいよ本格的に仕事を
    始めるわけですが、如才なく文官としての仕事を片付けていく反面、
    王に言われて始めた馬上訓練でも非凡なところを見せていきます。
    ヒストリエ

    0
    2016年01月17日
  • ヒストリエ(4)

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    ネタバレ

    世話になった村での攻防戦で初めて戦(いくさ)を経験するエウメネス、「忘れ得ぬあの高揚感」と記す。
    そして第1巻の物語導入部分に戻る、なので表紙がバルシネなのだ。
    クライマックスは村の攻防戦だが、これはこれから経験するであろう数多(あまた)の戦から見れば序の口なのだと思う反面、最初の戦にその人間のほとんど全てが現われるのも事実なのだ。

    自分を救い、仲間として迎え入れてくれたボアの村の人々のため、
    エウメネスは初めての戦に臨みます。

    そう、トロイア戦争の英雄・オデュッセウスのように、知略を主な武器として―。

    そして、新展開へ。

    物語は、第1巻のトロイア遺跡の場面へと回帰します。

    ペルシア

    0
    2016年01月15日
  • ヒストリエ(3)

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    ネタバレ

    カルディアの育った屋敷を出て行くエウメネス。
    奴隷として売られていったが、船が難破してたどり着いた村でたくましく育っていく。

    カルディアを出航、ビザンティオンを越えて物語はパフラゴニアへ。

    【第23話 アルゴ号】
     奴隷たちはゼラルコスを惨殺し、船上で酒宴を上げる。しかし、自由も束の間、乗っていた船は遭難し、沈没した。

    【第24話 パフラゴニアにて・1】
     海辺に流れ着いたエウメネスは、パフラゴニア地方(黒海の南岸)のボアの村で保護される。エウメネスは、カルディアの家で飼っていた猫と同じ名の少女、サテュラと親しくなる。

    【第25話 パフラゴニアにて・2】
     次第に体力を取り戻したエウメ

    0
    2016年01月15日
  • ヒストリエ(2)

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    ネタバレ

    舞台は紀元前、後にアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作です。
    蛮族スキタイの出身でありながらそれを知らず、都市国家カルディアでギリシア人養父母に育てられたエウメネスは、そのおかげでギリシア的教養を身につけることとなる。
    ある日養父がスキタイ人に殺され、自分の出自を知ったエウメネスは奴隷の身分に落とされてしまう。それが彼の波乱の旅の始まりだったのです。

    スキタイ人にも温かい人はいたんでしょうが、この巻ではあくまでその「温度ある冷酷さ」が強調されています。

    奴隷のスキタイ人トラクスは、家畜以下の扱いを受け続けますが、遂に錠を全て解放し、同胞たちのいる元へ

    0
    2016年01月15日
  • ヒストリエ(1)

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    ネタバレ

    アレキサンドロス大王の記録を残した者として有名なエウメネスを描いたマンガ
    主人公エウメネスはアレクサンドロスの記録保管者であり、大王の死後も重要な役割を果たした人物である。

    遊牧民族スキタイは、世界で最も勇敢で、誇り高く、そして・・・残忍である!!!

    冒頭、1人の青年が生まれ故郷の町に帰ってくるところから話がスタートする。
    主人公にとってはどうやら久しぶりに見る故郷らしい。さぞ懐かしさがこみ上げてくるかと思いきや・・・町はいきなり軍隊に取り囲まれていた

    このままでは町にも入れない。困り果てる主人公と同じく街に入りたい老女。
    そこで、主人公は一計を案じてまんまと町の城門を開かせることに成功

    2
    2016年01月15日
  • 寄生獣 フルカラー版(1)

    購入済み

    寄生獣

    何度見ても良い

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    2015年10月03日
  • ヒストリエ(9)

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    戦争を知らず、戦力差も知らず、民衆を煽る好戦的な政治家は本当に迷惑ですね。その無謀な勇気ある行動でどれだけの損害を出すのか…。
    古代民主政の都市国家アテネ、最強の陸軍を持つマケドニアと陸上戦で開戦です。アテネの海戦勝利功労者フォーキオン失脚の裏工作にエウメネスも暗躍?しました。
    そして次巻、マケドニア軍最強の"矛"アレクサンドロスの戦闘が見れる! 2年も待たされるのは辛いな…。

    0
    2015年06月20日
  • ヒストリエ(9)

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    カイロネイア開戦‼︎というところで、続く。

    カイロネイアって、戦術の転機になった戦いだよね。なんだっけ?
    敵を引き込んで、包囲殲滅だっけかなぁ?

    アレクサンドロスの感じだと、個人の暴走がなんだかんだで包囲殲滅になりました。
    という成り行きか?
    そこにエウネメスが、さらりと絡んでくるのかな?

    0
    2015年06月07日
  • ヒストリエ(9)

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    歴史ものは特にそうかもしらんけど、登場人物をわすれてしまったり、人間関係を失念すると、さっぱり理解できなくなってしまいますね。相変わらず表情の作り方が気になってしまうけど、物語そのものは、この巻だけでも普通に楽しめました。

    0
    2015年06月01日
  • ヒストリエ(9)

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    ネタバレ

    相変わらずの面白さである。
    古代史に全く精通してないので、その辺が勿体ないのかなあと思う一方で、知らない方が展開分からないから面白いと言う部分もある気はする。
    今回は、何と言ってもカロンが再び出て来た事と、カロンの最後の「その脚で地平線の先へ駆けてゆくも、あるいは大兵を率いてこの地に攻め来るも、全て自由ぞ!わが息子よ!!」と言う言葉が全てを持っていったと言うか何と言うか。
    そして、次はマケドニアVSアテネ・テーベ連合。
    この辺も歴史知らないからどうなるのか全然分からなくてすごく楽しみです。

    0
    2015年05月28日
  • ヒストリエ(9)

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    話のつなぎの地味な巻のはずなのに最高だ。円熟というかなんというか。ずっと持続している緊張感がすばらしい。最高だ。

    0
    2020年06月15日