奈倉有里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2022年2月24日ロシアによるウクライナ侵攻
本書は、ウクライナ北東部のロシア国境にほど近い都市ハルキウ在住のアーティスト、オリガ•グレベンニクさんが、侵攻直後から2週間の自身の体験を綴ったものです。
オリガさんは、ハルキウでの数日の生活の後、ウクライナ西部のリヴィウ、そしてワルシャワ、ソフィアへ、幼い子ども2人と避難していきます。
本書では、オリガさんの当時の日記であり、その時の鉛筆による文章とスケッチがそのまま掲載されています。
その筆跡や文章、絵には直接的には過度に感情を揺さぶるような大げさなものはありません。
(絶望、と書かれた絵にすら、正直なところタイトルと文脈がなければ絶 -
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Posted by ブクログ
ベラルーシで何が起こっているのか、少しでも知る手がかりがあるのでは、と思い読んだ。
著者のサーシャ・フィリペンコは国外で暮らしているそうだ。かつて見たドキュメンタリー番組でも、同じように心あるベラルーシの人々は、リトアニアに脱出していた。ルカシェンコ大統領の不正選挙の後、民主化運動へ息を潜め、ルカシェンコ政権のもと、自由な発言は国内ではできない状態だ。もちろん、ロシア連邦の中でも同様だ。
どんな発言が許されないのか。
社会主義の大義に反すること。そして、独裁者の意に背くこと。
この小説でも、アレクシェーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」でも、逢坂冬馬「同志少女よ敵を撃て」でも同様に描か -
Posted by ブクログ
著者と同じ名前の主人公、サーシャは、30歳の青年。ロシアからベラルーシの首都、ミンスクに越してきたばかりだ。
家族に大きな不幸があり、母親が再婚相手と暮らしているこの街に住むことになったのだ。
だが越してきた早々、階の入口ドアに奇妙な赤い十字が描かれているのを見つける。苛立ちながらそれを消すサーシャに、同じ階に住む老婆が話しかけてくる。十字は老婆が描いたもので、アルツハイマーを患っているため、自分の家の目印にするつもりだったのだという。
自分の不幸で手一杯で辟易気味のサーシャに、老婆は強引に身の上話をし始める。
それはソ連の暗部にまつわる、強烈に皮肉な人生の物語だった。
老婆、タチヤーナは、 -
Posted by ブクログ
理不尽ゲームとは、理不尽な出来事や物語を語り合うこと。
欧州最後の独裁国家ベラルーシで、群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクか主人公。
老いた祖母のエリヴィーラだけがその回復を信じていたが、奇跡的に意識を取り戻したのが10年後の2009年。その時には既に祖母も亡くなっており、母はもう生きる望みがないから、脳死判断しようとしていた主治医と結婚し、義理の弟までいるという始末。
何から何まで変わっていたが、変わらないと言うか、更に強烈となったのが大統領の独裁。
ルカシェンコと言う実名までは出てこなかったが、話に出てくる正に「理不尽」な政策と強権は、実態をもの語っていることがひしひしと伝わ -
Posted by ブクログ
ベラルーシという国は元々は西欧とロシアの中立的な立ち位置を取っていたが、ルカシェンコ大統領が社会主義的な体制に大きく傾倒し、ロシアの弟国のようになる。たとえば国語においても、ベラルーシ語からロシア語を母語に代えていった。(ちなみにウクライナはロシア語からウクライナ語へと代えていった)
今回、これだけ国際的に避難されているロシアに対して全く迷うことなくルカシェンコは味方している。ちなみにルカシェンコはコロナはスポーツで吹き飛ぶといっている。サウナにいけばコロナは死ぬらしい。アイスホッケーなんて最高でこんな寒いところではコロナ菌どこにも飛んでない!見えないね!みたいな感じのこと言ってる。これをまわ -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半は群衆事故に巻き込まれて植物状態になった16歳のフランツィスクと、彼の回復を信じて語りかけ続ける祖母が描かれ、後半は目覚めたツィスクが目にする社会の理不尽さが描かれる。祖母も繰り返し、社会が昏睡していると話すし、スターズが教えてくれる社会は完全におかしい。盗聴器が仕込まれたカフェ、車の話しかしないように仕向けられた市民、異様な得票率で当選する大統領、選挙前はゆるく、選挙後に激化する取り締まり。ツィスクとスタースが参加したデモでは、その場にいたというだけでGPSで追跡され逮捕される。対立候補は暗殺され自殺と公表される。ベラルーシが独裁国家だから、ルカシェンコが独裁者だから、とばかりは言い切れ
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