奈倉有里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すごく面白い。
ユニークなロシア文学案内。
何せ、主人公は授業を出席すると、その課題作品の中に入り込んでしまうのだ。そして、ひそかに思いを寄せる同じクラスの女性が、その作品の中の人物として現れる…青春恋愛小説のカタチで進む。
新たな戦争の時代にあって、なぜ文学をやるのだろう。戦争、国家、恋、喜劇、愛、悲劇、死、時間…。「社会とは、愛とはなにかを考える」。本書の中で展開される授業の目標だ。最後の作品「復活」を読み終えた学生たちは、その意味をかみしめる。主人公・湯浦葵は「怖いのは考えるのをやめてしまうことだ」(p359)と考えるにいたる。
文学を通して、言葉を鍛え思考を豊かにし、この社会をとら -
Posted by ブクログ
ネタバレなんと表現するのかわからないが、素晴らしい「読書案内」の本。
村上春樹ふうにいうならデタッチメントの文芸が好きな者だが、コミットメントの文芸にも興味ゼロではない。
というか、デタッチメント側の人間にとって、時事ネタにコミットメントするって文芸作品くらいでしか果たせないという直感がある。
いい橋をかけてくれた。
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「ロシア文学の教室」から小説の世界へワープ――異色の体験型・文学教室!
青春小説にして異色のロシア文学入門!
「この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とは何かを考えます」
山を思わせる初老の教授が、学生たちをいっぷう変 -
Posted by ブクログ
誰かの感想で興味を持って読みたい本棚に入れたと思うんだけど、語学学習の本だとは思ってなかった。ロシア語って事で、米原万里さんの「不実な美女か貞淑な醜女か」を思い出しましたが、同時通訳者と翻訳家では立場が違うし、少女時代をロシア語学校で過ごした米原さんと、日本でロシア語学習を始めた奈倉さんもまた立場が違いますね。ただ、母国語以外を学ぶことで、母国語以外の考え方・感じ方に触れる事が出来る、今いる世界を多角的に理解するための鏡の様な物だと考えているので、他言語を扱える方のお話は楽しいです。
英語は中学からずっと、大学でドイツ語やって、卒後にちょっとNHKの語学講座見たりして、息子が大学でスペイン語を -
Posted by ブクログ
内容は貴重なもので、ここまでのリサーチは大変だったろうと思う。ただ、当然のことながら原書を読まずに言うのだが、すこし翻訳が読みづらかった。三点リーダの多用は、もうすこし控えられたのでは…。
そのせいというわけではないが、内容も相まって読んでて息苦しさを覚える。時折、著者はインタビュー相手から責められるのだが、その程度の混乱や攻撃性が芽生える程度なら充分ましに思える。
現在進行形のウクライナ侵攻と結びつくかどうかはわからないが、戦争について、ニュースで見るだけでは伝わらない部分も多いと思う。だからといって文字でなら伝わるというわけでもないだろうが、まだましだろう。 -