奈倉有里のレビュー一覧

  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    やはりすごい本だった。裁判の記録も有難い。
    今回の戦争で,またこんな話がごろごろ生まれているんだろうなと思うと,気が重いというか本当に辛い。

    0
    2023年02月16日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

    Posted by ブクログ

    モスクワ五輪ボイコット。その原因となった侵攻。無事兵役から帰還した息子が起こす殺人事件。そこから物語は始まる。兵士、看護師、補助員という名目の女性、残された母。数々の証言で浮き彫りにする戦いの実態。何故か訴えられる著者。ドキュメンタリー小説とは?証言の持ち主は証言者その人ではない。それは創作であり事実である。戦争とは?侵略と防御。大義はあっても犠牲は伴う。圧勝、苦戦、敗走。程度の差こそあれ被害は被る。傷つくのは市民、身体だけでなく心も。平和憲法を抱く日本。戦わないはずの国で自分事として考えてみる。

    0
    2023年01月15日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ロシアからベラルーシのミンスクに引っ越してきたサーシャは同じフロアの91歳の老人・タチアーナの懐古話を聞く羽目になる。最初は嫌々だったものの段々と自ら彼女の人生を聞きに行くようになる。

    恵まれていた子供時代、初恋、外務人民委員部での書類処理の仕事、恋愛結婚、そして開戦。

    赤十字から送られる捕虜の扱いに関する手紙を処理する仕事の最中にタチアーナは捕虜リストの中に夫の名前を見つけ、彼女は大胆な行動を取る。1945年7月、夫の帰りを待っていた彼女は逮捕され娘を取り上げられた上、収容所へ送られてしまう。

    ソ連の人間の尊厳を微塵も大切と思わないお粗末極まりない手段に辟易してしまう。現在の戦争にも通

    0
    2022年12月22日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

    Posted by ブクログ

    1979年-1989年のアフガン戦争に派遣され、心と身体に傷を負った帰還兵士(と言っても臨時に徴収された少年が多かったようだ)や、死亡した子どもたちの特に母親から聞き取った内容、見せてもらった日記や手紙などを元にまとめた本である。

    傷の覚めやらない内でのものなので、その気持ちや行いに偽りはないだろう。
    仲間内でのリンチ、命令に沿わなかった時の仲間への背後からの射撃、上官によるブーツや靴下を舐めさせる等のいじめ、新人工兵に対する地雷突破命令、罪もないアフガニスタン民間人の虐殺、強奪、強姦、これら凡そ人間的ではない日常を紛らわすために、麻薬を吸いウォッカをがぶ飲み、無ければ不凍液に手を出す。

    0
    2022年12月12日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ディストピア小説のように書いてある、たぶん本当にあるような話。
    初のベラルーシ文学は読んで衝撃でした。
    「1984年」くらい救いのないような現実がもしあるのであれば本当にやりきれない…

    0
    2022年11月23日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

    Posted by ブクログ

    ウクライナで戦争に巻き込まれた著者の生々しい絵日記。
    鉛筆一本で描かれた殴り書きのような筆致が、すぐそばで爆発が起こり、地下シェルターに逃げる必要のある現実を突きつけてきます。
    著者とは職種が違いますが、私も仕事で絵を描きます。
    絵を描くことでの心の安定と、戦争下でも営まれる、人々の生活と会話や自分の思いを文字として書き留める記録としての意味合い。
    戦争が早く終わり、終わった後にこそ、この本をどの立場の人にも手に取って読んでもらい、戦争がいかに愚かなことであるのか、同じ人間が、民族・言語・宗教・肌の色などで対立することが無意味であるかを学んでほしいと願うばかりです。

    0
    2022年11月18日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    半年ほど前、ジャーナリストの金平さんが、ルカシェンコにインタビューをしにベラルーシへ行った時の映像を思い出した。街角で市民に問いかけると、何の問題もないと言っていた人も居たが、泣きなから訴えていた女性もいた。何を訴えていたのか具体的な内容は忘れたが、かなり怯えていたことが印象に残っている。この本にも、大統領選挙の結果を聞きに広場に集まっただけで、暴行を受け捕まってしまう場面があった。
    訳者の奈倉さんは言う「この本の世界と私たちの目の前にある社会には、継ぎ目などない」と。「もはや他人事ではありえないのだ」

    0
    2022年10月29日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

    Posted by ブクログ

    ロシアによるウクライナ侵攻により、過去から続いてきた『日常』が、どう変えられてしまったのか。

    瞬間的な激変や衝撃、外部と内面の関わりが日記として、個人的記録として、今、日本にいる私の目の前にある。
    家族が一緒に居られない不安。
    そのような精神下でも、一人で子ども2人を育み、稼がなければならない不安。
    不安で潰されそうでも、希望に向かっていく強さ。

    日本に来ているウクライナの方々の不安を想像する。

    0
    2022年10月25日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

    Posted by ブクログ

    2022年2月24日ロシアによるウクライナ侵攻

    本書は、ウクライナ北東部のロシア国境にほど近い都市ハルキウ在住のアーティスト、オリガ•グレベンニクさんが、侵攻直後から2週間の自身の体験を綴ったものです。

    オリガさんは、ハルキウでの数日の生活の後、ウクライナ西部のリヴィウ、そしてワルシャワ、ソフィアへ、幼い子ども2人と避難していきます。

    本書では、オリガさんの当時の日記であり、その時の鉛筆による文章とスケッチがそのまま掲載されています。

    その筆跡や文章、絵には直接的には過度に感情を揺さぶるような大げさなものはありません。
    (絶望、と書かれた絵にすら、正直なところタイトルと文脈がなければ絶

    0
    2022年10月08日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

    Posted by ブクログ

    WW2のソ連軍の女性兵士のドキュメント書いた人がアフガニスタンでのソ連兵士にインタビューした本。インパールまではいかないけど凄まじく劣悪な状況。今のウクライナもこんな感じなのかしら。

    0
    2022年10月06日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

    Posted by ブクログ

    凄まじく、言葉にできないが、
    この戦争が可能であればウクライナの人々が望むような形で終わることを祈りたい。

    0
    2022年09月18日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    ベラルーシで何が起こっているのか、少しでも知る手がかりがあるのでは、と思い読んだ。

    著者のサーシャ・フィリペンコは国外で暮らしているそうだ。かつて見たドキュメンタリー番組でも、同じように心あるベラルーシの人々は、リトアニアに脱出していた。ルカシェンコ大統領の不正選挙の後、民主化運動へ息を潜め、ルカシェンコ政権のもと、自由な発言は国内ではできない状態だ。もちろん、ロシア連邦の中でも同様だ。

    どんな発言が許されないのか。
    社会主義の大義に反すること。そして、独裁者の意に背くこと。

    この小説でも、アレクシェーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」でも、逢坂冬馬「同志少女よ敵を撃て」でも同様に描か

    0
    2022年07月22日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」かつて日本が戦時中に兵士たちの訓戒とした言葉だ。それはソ連も同じだった。
    2000年、ベラルーシの首都ミンスクのとあるアパートに青年サーシャが引っ越す事から物語が始まる。同じ階に住む老婦人タチヤーナは91歳でアルツハイマーを患っており強引なコミニケーションで自らの半生を語りだす。彼女が第二次世界大戦で夫が戦地で捕虜になり彼女の生活は一変され放浪されていった。経験した者が話す血の通った話に、青年は引き込まれていってしまう。

    0
    2022年06月29日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    著者と同じ名前の主人公、サーシャは、30歳の青年。ロシアからベラルーシの首都、ミンスクに越してきたばかりだ。
    家族に大きな不幸があり、母親が再婚相手と暮らしているこの街に住むことになったのだ。
    だが越してきた早々、階の入口ドアに奇妙な赤い十字が描かれているのを見つける。苛立ちながらそれを消すサーシャに、同じ階に住む老婆が話しかけてくる。十字は老婆が描いたもので、アルツハイマーを患っているため、自分の家の目印にするつもりだったのだという。
    自分の不幸で手一杯で辟易気味のサーシャに、老婆は強引に身の上話をし始める。
    それはソ連の暗部にまつわる、強烈に皮肉な人生の物語だった。

    老婆、タチヤーナは、

    0
    2022年06月20日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    理不尽ゲームとは、理不尽な出来事や物語を語り合うこと。

    欧州最後の独裁国家ベラルーシで、群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクか主人公。
    老いた祖母のエリヴィーラだけがその回復を信じていたが、奇跡的に意識を取り戻したのが10年後の2009年。その時には既に祖母も亡くなっており、母はもう生きる望みがないから、脳死判断しようとしていた主治医と結婚し、義理の弟までいるという始末。
    何から何まで変わっていたが、変わらないと言うか、更に強烈となったのが大統領の独裁。
    ルカシェンコと言う実名までは出てこなかったが、話に出てくる正に「理不尽」な政策と強権は、実態をもの語っていることがひしひしと伝わ

    0
    2022年03月28日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ベラルーシという国は元々は西欧とロシアの中立的な立ち位置を取っていたが、ルカシェンコ大統領が社会主義的な体制に大きく傾倒し、ロシアの弟国のようになる。たとえば国語においても、ベラルーシ語からロシア語を母語に代えていった。(ちなみにウクライナはロシア語からウクライナ語へと代えていった)
    今回、これだけ国際的に避難されているロシアに対して全く迷うことなくルカシェンコは味方している。ちなみにルカシェンコはコロナはスポーツで吹き飛ぶといっている。サウナにいけばコロナは死ぬらしい。アイスホッケーなんて最高でこんな寒いところではコロナ菌どこにも飛んでない!見えないね!みたいな感じのこと言ってる。これをまわ

    0
    2022年03月02日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベラルーシ、あまり馴染みのない国だが、その大統領の不正、圧政に共産圏のような息苦しさを感じた。
    10年の昏睡から覚める主人公や献身的な介護をする祖母そういった個人的な物語としても楽しめるが、ベラルーシを正しく見つめ記録すること、小説の形で人々に伝えたいという思いが伝わってきた。

    0
    2022年02月14日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    引っ越し先で知り合った隣人は、認知症を患う元ソ連の外務省職員。
    夫が他国の捕虜となったことを彼女が知ってしまったことから始まる運命は、軽妙なタッチでぐいぐいと読ませる。
    そしてそこからの地獄は「理不尽ゲーム」同様。

    国家というものが、いかに簡単にそこで暮らす人々を切り捨ててしまえるのか…ジュネーブに残された赤十字のアーカイブ資料は語る。

    最後の一文に悲しみしかない。

    0
    2022年01月20日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    昏睡状態に陥った主人公が目覚めた10年後。
    そこはより一層独裁に拍車がかかったベラルーシ。

    主人公の長い眠りが、こんな社会になってしまった、こんな社会にさせてしまった世の中への諷刺と、覚醒した後の読者への状況説明の二つの役割を担っているのかもしれない。

    2020年の選挙後の様子を見ても、ベラルーシの状況は変わらない。権力は腐敗する。常に目覚め続けなければならない。

    0
    2021年11月23日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベラルーシの半ノンフィクション。
    ベラルーシがこんな国だったと今まで知らなかった。
    フランツィスクの昏睡状態と国民の抑圧が比喩として上手に重なっている。
    最後にはドイツの夫婦の手助けもあり国外へ脱出。
    反体制組織の人間が次々消されていったり投票結果の不正操作など、分かりやすく振り切った独裁政権だな。

    0
    2021年10月28日