奈倉有里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても面白かった。
構成がユニークで、こんな文学ガイドってあっただろうか。
ガイドっていうのは軽いか…
大学の講義形式になってるが、教授が一方的に講義するわけではなく…
学生たちが小説の中の登場人物になって体験する…
どの小説も読んだことがなかった。全部読むというところまでは絶対無理だが、せめて「復活」とか「白夜」とか、チェーホフの短編集(何か読んだことがあると思うのだが、挙げられていたものはどれも読んでなかった)とか、せっかくだからこれを機会に読むというところまでいかないといけないのだが。
青空文庫のアプリの中には、もともと読もう思って読めていない「桜の園」と「かもめ」だけが入っている。ロシア文学はなんかハードルが高い。
奈倉有里さんの手にかかっても、積読になりそうで、すぐにポチれない…
知らない作家、知らない作品の存在を知り、それぞれに興味深い内容で、ロシアの時代背景もほんの少しは知ったということで、今日は良しとしよう… -
Posted by ブクログ
奈倉有里さんと逢坂冬馬さんがご姉弟と知った時から、こういう本を待望していたんだと思う。よくぞ出してくださった。
ミーハー的な気分でどんなご家庭でお育ちになったのか知りたかった。納得。自分の子育てにはもうとっくに手遅れなのだが。そもそも親の中身が違うのだから、何十年前から自分をやり直さなければいけない。
「キョーダイ‼︎」のイメージでもう少し軽い感じを想像していたが、内容はとても濃く考えさせられた。文学を愛し、小説を愛し、おかしいことには声を上げ、世界の平和のために行動する。そんなお二人の著作をこれからも楽しみにしていきたい。そして考えを深めていきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ授業のたびに物語の登場人物に転生できたら羨ましい?
…いや、本作品はロシア文学限定なのでそうでもないかな(笑)
平凡な男子大学生が授業のたびに登場人物に転生し、自身の生活も顧みるというなかなかチャレンジングな作品。
こんな授業があれば面白いしかなり身に付きそう(とは思いつつ『ソフィーの世界』では哲学はまったく身に付かなかった思い出があります。)大学に通ってるときもっと勉強しておけばなぁ、反省しきりです。読書って精神状態にも左右されるし、精神状態を左右してしまうので、授業のためなら割切ってどんどん読めるかもしれない。仕事でどんどんいろんなジャンルの作品を読む人、すごいなって思います。
気になった授業のみ感想を↓
第1講 大通りの幻
ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
喜劇と悲劇。授業っぽくて良かった。
第6講 布団から出たくない
イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
これは個人的に読んじゃダメな作品かな、ずっと怠惰に過ごしてしまいそう(笑
第8講 土埃に舞う問い
ニコライ・ネクラ―ソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
詩は読むのが苦手だけどこれは読んでみたいな。
第9講 やり直しのないこの世界
アントン・チェーホフ『初期短編集』
チェーホフ、何冊か持ってるけど積んでるなぁ。人生の辛さに耐えられる心のときじゃないと読めない。
第10講 心の声の多声
マクシム・ゴーリキー『どん底』
ゴーリキー「あなたの作品には、あなた自身が語っている言葉が多すぎる。」(P291)とトルストイから指摘を受けている。手厳しいけどゴーリキーの書く女性はそんなに女性がステレオタイプなのかとちょっと興味が沸いた。
第12講 よみがえるときまで
レフ・トルストイ『復活』
やっぱり最後はトルストイ。トルストイもなかなか読める精神状態のときがないなぁ…。 -
Posted by ブクログ
遊び心があって、楽しい本でした♪
するるっと読めながらも、なかなかに感心する部分がありました。
特に4章は、なるほどなぁと唸りました。
何度も何度も読書体験を積み重ね、母語の読者が感じる思いを蓄積させて、日本語が自然に出てくるまで読み重ねる。
「辞書を拡張」していくという考え方。
二葉亭四迷の「詩想」という考え方。
ふむふむ。
あと、外国語の星占いで外国語を学ぶ!
これはぜひともマネしたい!!
最近わりと翻訳本を読む機会が増えてきたんだけども、楽しく読書できていて、なんなら翻訳物(海外作品)いいじゃん!と思えてるのは、ひとえにこういう翻訳家さんの努力の賜物なのだなと、感謝感謝です! -
Posted by ブクログ
ネタバレロシア文学作品の中に実際に入り込んで「体験」した上で、気づいたことや感想をディスカッションする大学の授業、という体で12の文学作品を紹介する本。当時の時代背景や作者が影響を受けていたことなど、注も豊富だし、先生も学生も優秀な設定なので、勉強になるし深い読み取りを知ることができる感じがする。個人的にはファンタジー・アンド・ロマンスなこの本の設定に若干入り込めないのと、いろんな学生たちがディスカッションしているようでいながら、それは筆者の頭の中にあることをいろんな学生に割り振って言わせているだけのようなゴーリキー的な印象もあって、普通の講義形式で語ってくれても、と思う。でもこっちの方が読みやすいのはたしかだとは思うので、あっさりと軽く読めてよかった。
読んだことがあったのはツルゲーネフの『父と子』、ガルシンの『アッタレア・プリンケプス』だけだったので、他の作品も読んでいたらもっと解像度が上がったと思う。アッタレア・プリンケプスは、『紅い花』をロシア語の授業で読んで、ガルシンに興味を持って大学生の頃に読んだ。あの短編集の中で一番好きだった記憶があるけど、改めて読んでそういう話だったか、と。アレクサンドル三世は、労働階級が物を考えたり知識を得たりすることを嫌った。往々にして為政者はそうして、伸びていこうと温室の天井を突き破るものを伐採しがちね。それと同時にアッタレア・プリンケプスの方だって、温室の中でないと生きられない、というのは新たな視点だった。資本主義の限界を憂うる一方でこの資本主義社会でないときっと生きていけないって思う、そんな感覚に似ている?
ドストの『白夜』を読んでみたいと思った。
ここでこうしてわかりやすく噛み砕かれて紹介されてると、面白そうだし自分も読めた気になってしまうけど、実際読んでみたらきっと読破できないものたくさんあるんだろうな。トルストイの『復活』もすごくよさそう、って思うけど、トルストイの長編読み通すの結構時間と体力使うから、なかなか手に取りづらい。
あと、オブローモフ的なものって言い回しは井筒俊彦の『ロシア的人間』でもだいぶ聞いたけど、ちょっと共感するところもあり、これも気になる…農民に言葉を与えようとしたというゲルツェンも気になる…
『ロシア的人間』をかなり易しく書いた、っていう感じの本。読みたい本が増える。 -
Posted by ブクログ
こういう本って初めて読んだような!! すごく新鮮でおもしろかった。
ロシア文学の入門書なんだけどそれが小説仕立てになっている。大学でロシア文学を学ぶ日本の男子学生が主人公。ロシア文学の講義に出るたび、なぜかいつのまにか課題作品のなかにワープする感じで登場人物のひとりとしてその作品を体験する。そして先生の講義があり、学生たちが意見をかわし、主人公もさまざまなことを考える。主人公は同じ講義を受けている女子学生に片思いしていて、それが作品の体験にリンクしたり。
とりあげられているロシア文学はトルストイとか有名作品もあるけど、自慢じゃないけどわたしは一冊たりとも読んだことがなくて、それでもおもしろかった。本当に作品を「体験する」っていう感じがしたし、現代の日本の学生たちの言葉で解釈とか感想を言われると、どういう話なのかがすっと頭に入ってくるようだし。
そして、主人公はウクライナで起きた戦争に衝撃を受け、無力感に襲われているような感じもあるのだけれど、本を読んで考えるうちに、絶望に落ちないとか、周囲に心をひらくとか、行動しようとするとか、他人を尊重するとか、そういう視点に気づいて多少なりとも希望を見出していくっていうようなところがすごくよかった。そういう視点とか考え方とかを、何百年も昔の文学者から手渡しされるというか、そんな感じがするところも本当によかった。
「必要なのは、焦らずそのときまで――心がよみがえるそのときまで、生きて、読んで、考えていくことだ。」 -
Posted by ブクログ
『夕暮れに夜明けの歌を』では、ベランダで静かに詩を朗唱していた著者の姿が印象的だった。本書購入時にもその面影がちらついていたが、いざページを開くや、些かキャラ変していることに気づく。
いきなり飛び込んできたのは「Quest 0(クエスト・ゼロ)」の表題。
「この本をとったってことは、つまりこの本がきみを探していたってことだ。あ、目のまえが白く光りはじめて、光のなかに1枚の紙が浮かんできた」と続く。その白地図をプリントした印刷機が自分に話しかけてきて(驚)、「旅に出て、世界で何が起こっているのかをことばを学びながら知ってきてほしい」と依頼してくる。そこでようやく著者が案内人として登場。印刷機の号令?とともに、「クエスト」が始まる…。
?????
「誰かとの共著なのかな?」と著者名を振り返ったけど、彼女ひとりしか記載がない。上記の謎シナリオに一瞬戸惑っちゃうほど、前作から様相がガラリと変わっていたのだ。
著者の奈倉さんはロシア文学研究者で翻訳家、大学でも教鞭を取られている。本書は彼女のロシア語学習や翻訳活動の経験・そこから編み出された言語観を通して、10代の若者(恐らく本書のターゲット層)に「ことばを学ぶとはどういうことか」「翻訳で分かる世界の見え方」をクエストの間突き詰めていくというスタイルである。
はじめにお断りしておくと、見た目のゆるさとは相反して結構奥深い。奥深いというのは、彼女の言語観や哲学のようなもの…と言うべきか。(まとまっていなくてごめんなさい泣)
例えば原書の翻訳は注釈をつけてもそれが誤情報だったり、読者をストーリーから引き離す危険性がある…というもの。「注釈ついてる!ラッキー!」とすぐ安心するチョロい読者だった自分は愕然。(「今まで読んだ注釈の中に間違いが紛れていた可能性がある…ってコト?」)
原書を母語とする読者と同じ読書体験を日本の読者にしてもらう為、翻訳者は魔術師のように言葉を構築していかねばならない。原文と原文読者の関係性を完全再現しなければならない。
これは翻訳の話だけど、本当の世界の見方・理解の仕方って案外こうなのかも。めちゃ気が遠くなりそうだけど。。
翻訳作業に限らず、ことばにまつわる学習には必ず「妖怪 あきらめ」がついて回る。
著者曰く、目標を定めても気力体力が切れた時や本当に身についているのか不安になった時に出没するとの事。「妖怪 あきらめ」は表紙の果物台の下から飛び出している黒い物体で、恐らくヒトの幼児くらいのサイズはある。
でも個人的には可愛いく思うし、何だかんだでヤツも自分の一部である。頑張ろうとしている時にいちいち出てこられるのは困るけど、クエストが原因で事切れないように見守ってくれていると考えれば良いだけの話だ。
一生懸命な自分の失敗を笑ってはいけないと著者が言うように、クエスト(ことばを学びながら世界を知る)に失敗してもヤツは笑ったりしないだろう。