奈倉有里のレビュー一覧

  • シリーズ「あいだで考える」 ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ

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    ロシアの迷信
    鳥が家の中に入るとそのいえの誰かが死ぬ。もし入ってきてしまったらすぐに外に放った上で、その日はその家でない方が良いとも言われていると言う。
    鳥が飛んで入ってきても不潔だと言うが、これにはロシア語で朝を意味するバーバチカがおばあちゃんを意味するバブーシカ似ているため、おばあちゃんの例が迎えに来たことを連想するからだと言う説がある。古代ギリシャ語で長であり魂でもある募集型の話が思い浮かぶが、実際飯の中には古代ギリシャ由来のものも多い。
    忘れ物をして一旦家に戻るのが不吉というものがある家と外との境界線である色をまたぐことが何か決定的な行為でありその前後混同すると良くないと言う類の名称世

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    2024年01月21日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    本文に『「わたしがこの日記をかくのは戦争反対!」とさけぶためである。戦争に勝者はいない。そこにあるのは血、破壊、そしてわたしたちひとりひとりの心の中に出来た大きな穴だけだ。』とある。

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    2024年01月05日
  • 夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

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    読んでいて何となく堀江敏幸氏の本を思い出した。

    なにも言えなかったのは、言うべきことがなかったからではない。ただ、どの言葉も心を表しはしなかったからだ。そして言葉が心を超えないことを証明してしまうような瞬間が人生のどこかにあるからこそ、人はどうしてその瞬間が生まれたのかを少しでも伝えるために、長い長い叙述を、本を、作り出してきたのだ。

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    2023年11月17日
  • 文学キョーダイ!!

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    凄いキョーダイだな。色々と考えさせられた。ただ流れてくる情報に流される事なく広い視野を持つ努力は忘れないでいたい。

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    2023年11月09日
  • 赤い十字

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    ベラルーシのミンスクで語り手であるサーシャと、彼に自分の生い立ちを語る老婆タチヤーナ。
    タチヤーナの語る話は、第二次大戦前のソ連に生まれ、戦争に夫をとられ、夫がナチス・ドイツの捕虜となり、つまり、「虜囚の辱め」に甘んじた裏切り者となったため、反逆者の妻としてとらえられ、娘と引き離され、、、という重なる悲運に満ちた人生だった。
    そのような悲惨なソ連の状況を生んだ張本人はヨシフ・スターリンなのだが、そのスターリンが死に、その悪行が明らかになっても、やがて時間が経つと、スターリンを持ち上げる人々が生まれてくるのだという予言が語られるが、タチヤーナの人生の最後にあっても、その亡霊の様に蘇るスターリンの

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    2023年11月13日
  • シリーズ「あいだで考える」 ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ

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    翻訳の心得。クエスト形式で進んでいく読みやすい本。ただ言葉を置き換えるのではなく、背景とか、読んだ時の読書体験とか、それが読者に伝わるように訳す不断の努力を感じた。異文化の反対は自文化であって自国の文化ではなく、文化は国に属するものではなくて国民としてのアイデンティティを確立するものではむしろない、というのが印象に残った。本という文化において、異国の人ともむしろ友達になれる。純粋な文化、というのは存在しない。
    あとは、「マーシャにサラファンを着せる」という『大尉の娘』の訳について。サラファンは農民の着物で、貴族の格好をしていると強奪の対象になるからあえて農民の着物を着せるという父親の判断なのだ

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    2023年09月24日
  • シリーズ「あいだで考える」 ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ

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    大切なのは体験をどのように作れるか(一緒に作っていけるか)、素直な感覚をベースに考え試行錯誤すること

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    2023年08月07日
  • シリーズ「あいだで考える」 ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ

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    「文化というものはそもそも、自国/他国(異国)という線引きにはなじまない。(中略)文化を学ぶことはむしろ反対に、「〇〇人としてのアイデンティティ」をほぐし、解消し、もっと広い地平に踏みだすことなのだ。」

    本書は4章からなるゲーム攻略本仕立てとなっており、上に記したのは第2章「文化のえらびかた」にあり思わずメモしたところ。そのほか章ごとのコラムがあり、巻末の作品案内にはQRコードも付いていて便利。世界は広くて複雑で、だからこそ仲間を探して歩き続けないと。10代以上すべての人のための「あいだで考える」シリーズ。


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    2023年07月30日
  • シリーズ「あいだで考える」 ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ

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    『夕暮れに夜明けの歌を』がとても良かった奈倉さん。
    これの「あいだで考える」シリーズは「10代以上すべての人のための人文書シリーズ」となっているので、中高生が取っつきやすいようルビも振ってあるし、この本はゲームのような形で進むが、「翻訳をしたい」と考えている中高生はレアだろう。旅行で使う日常会話やメールならAIが簡単に作成してくれる。留学や移住を考えていなければ、語学学習の意欲は下がって当然。受験があるから英語はやるけど。翻訳小説を読む中高生も少ない。景気が悪くて、若い人も内向きになっているからで、もちろん若い人の責任ではないが。
    だから、文学作品の翻訳をしたい人はそもそも多くない。文学の翻訳

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    2023年07月29日
  • 夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

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    翻訳家、奈倉有里さんのロシア留学中の話。

    ロシア語で会話してることを忘れるくらいルームメイトや教授との会話がナチュラルで、奈倉さんが深くロシアの人と関わり合いながら生活していたのがよくわかる。

    穏やかに進む物語のなかに、民族事情や社会情勢の変遷が描かれていて「へぇ、ロシアってこんな感じなのか」と好奇心をくすぐられる。

    仕事でくさくさしている時に読んだのだけれど、心地よくフラットな描写に心が洗われた。

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    2023年07月22日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

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     アフガン戦争の真実。ソ連政権の巧みなプロパガンダにより徴兵された少年たちは、亜鉛の棺に入れられて帰還した。母親たちは、その棺を開けることは許されなかった。
     アフガン帰還兵、戦没者の母親たちへの多くのインタビューから、戦場で何が起こっていて、人間はどのように破壊されていくのかが明らかにされる。

     この著書が広く世界中で読まれているのは、アフガン戦争の真実を暴いた、ということよりも、「戦争」「戦場」の持つ普遍的な悍ましさ、戦争へ駆り立てる権力者の欺瞞もまた普遍的であることを暴いたと言うことだろう。どんな戦争も、ベトナム戦争も、今起こっているウクライナでの戦争も、そしてかつての太平洋戦争も、同

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    2023年05月04日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    ウクライナ信仰が起きた時、彼女はそこにいた。
    画家、絵本作家であり、妻であり、母である作者。
    彼女は、自分に起きたこと、家族に起きたこと、今あることを、えんぴつでスケッチして、日記に書いた。
    それは今ライブで起きていること。
    だから物語としてまとまっている話ではない。
    しかし、それはリアルでライブ。
    今、彼女はブルガリアに避難してきている。
    愛犬と二人の子供と共に。
    夫は、ウクライナ国内に残っている(全てのウクライナ男性は、国外に出られない)。
    彼女の母親は、ウクライナ国内に残っている(老人、家族は身軽に動けない)。
    それを知ること、それを感じることのために、本書を手に取った。

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    2023年04月11日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    ウクライナ戦争初期の戦闘地域へルソンから脱出した作家が記録した日記。
    市民の様子家族をイラストで描いた本。現在も続くウクライナ戦争の市民の様子、地下での生活、避難生活がどのようなものか、戦争に巻き込まれるとどんな生活になるのか、映像として出てこない地下での生活がスケッチされてよくわかる。戦争下の市民の生活が、いかに悲惨なものかを感じる。自分がもし著者と同じ立場だったらという事を考えさせられた。

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    2023年03月05日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

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    ネタバレ

    やはりすごい本だった。裁判の記録も有難い。
    今回の戦争で,またこんな話がごろごろ生まれているんだろうなと思うと,気が重いというか本当に辛い。

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    2023年02月16日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

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    モスクワ五輪ボイコット。その原因となった侵攻。無事兵役から帰還した息子が起こす殺人事件。そこから物語は始まる。兵士、看護師、補助員という名目の女性、残された母。数々の証言で浮き彫りにする戦いの実態。何故か訴えられる著者。ドキュメンタリー小説とは?証言の持ち主は証言者その人ではない。それは創作であり事実である。戦争とは?侵略と防御。大義はあっても犠牲は伴う。圧勝、苦戦、敗走。程度の差こそあれ被害は被る。傷つくのは市民、身体だけでなく心も。平和憲法を抱く日本。戦わないはずの国で自分事として考えてみる。

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    2023年01月15日
  • 赤い十字

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    ネタバレ

    ロシアからベラルーシのミンスクに引っ越してきたサーシャは同じフロアの91歳の老人・タチアーナの懐古話を聞く羽目になる。最初は嫌々だったものの段々と自ら彼女の人生を聞きに行くようになる。

    恵まれていた子供時代、初恋、外務人民委員部での書類処理の仕事、恋愛結婚、そして開戦。

    赤十字から送られる捕虜の扱いに関する手紙を処理する仕事の最中にタチアーナは捕虜リストの中に夫の名前を見つけ、彼女は大胆な行動を取る。1945年7月、夫の帰りを待っていた彼女は逮捕され娘を取り上げられた上、収容所へ送られてしまう。

    ソ連の人間の尊厳を微塵も大切と思わないお粗末極まりない手段に辟易してしまう。現在の戦争にも通

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    2022年12月22日
  • 亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版

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    1979年-1989年のアフガン戦争に派遣され、心と身体に傷を負った帰還兵士(と言っても臨時に徴収された少年が多かったようだ)や、死亡した子どもたちの特に母親から聞き取った内容、見せてもらった日記や手紙などを元にまとめた本である。

    傷の覚めやらない内でのものなので、その気持ちや行いに偽りはないだろう。
    仲間内でのリンチ、命令に沿わなかった時の仲間への背後からの射撃、上官によるブーツや靴下を舐めさせる等のいじめ、新人工兵に対する地雷突破命令、罪もないアフガニスタン民間人の虐殺、強奪、強姦、これら凡そ人間的ではない日常を紛らわすために、麻薬を吸いウォッカをがぶ飲み、無ければ不凍液に手を出す。

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    2022年12月12日
  • 理不尽ゲーム

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    ディストピア小説のように書いてある、たぶん本当にあるような話。
    初のベラルーシ文学は読んで衝撃でした。
    「1984年」くらい救いのないような現実がもしあるのであれば本当にやりきれない…

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    2022年11月23日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    ウクライナで戦争に巻き込まれた著者の生々しい絵日記。
    鉛筆一本で描かれた殴り書きのような筆致が、すぐそばで爆発が起こり、地下シェルターに逃げる必要のある現実を突きつけてきます。
    著者とは職種が違いますが、私も仕事で絵を描きます。
    絵を描くことでの心の安定と、戦争下でも営まれる、人々の生活と会話や自分の思いを文字として書き留める記録としての意味合い。
    戦争が早く終わり、終わった後にこそ、この本をどの立場の人にも手に取って読んでもらい、戦争がいかに愚かなことであるのか、同じ人間が、民族・言語・宗教・肌の色などで対立することが無意味であるかを学んでほしいと願うばかりです。

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    2022年11月18日
  • 理不尽ゲーム

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    半年ほど前、ジャーナリストの金平さんが、ルカシェンコにインタビューをしにベラルーシへ行った時の映像を思い出した。街角で市民に問いかけると、何の問題もないと言っていた人も居たが、泣きなから訴えていた女性もいた。何を訴えていたのか具体的な内容は忘れたが、かなり怯えていたことが印象に残っている。この本にも、大統領選挙の結果を聞きに広場に集まっただけで、暴行を受け捕まってしまう場面があった。
    訳者の奈倉さんは言う「この本の世界と私たちの目の前にある社会には、継ぎ目などない」と。「もはや他人事ではありえないのだ」

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    2022年10月29日