奈倉有里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『文化の脱走兵』に好印象をもち、大きな期待感で手にしました。ロシア文学研究者・翻訳者である奈倉有里さんの最新エッセイ集です。本作も、発想と視点の豊かさに引き込まれました。
奈倉さんの文章は、どうしてこんなに心に沁みるのでしょう。多分、本や文学へのあふれる想いはもちろん、私たちの今抱える不安や孤独を超え、平和への決して押し付けがましくない温かな祈りに近いメッセージが伝わるからではないかと思います。
本への渇望の記憶が今の自分を形づくり、その希求が本の究極形となり今につながっているとか、書店で新潮文庫(岩波文庫も)の背表紙を眺めることが好きだったことに触れ、文学が生きる営みと同義で学校に -
Posted by ブクログ
読書の好きなところは、自分にはない経験と知見、そして眼差しを持った他の方の考えていること、思いめぐらせていることを追体験できるという部分なのです。わたしには未知のロシア文学、そしてロシアに深く触れてきた筆者の、ときに幼少期にも飛んでいく経験やその時に考えたことに触れるのは、「知らないことを知れる」素敵な時間となりました。特に「文化の脱走兵」に込められた意味、そして「ことばを聞き出そうとすることが暴力になり得る」という意味のインタビューの箇所、冒頭のくるみの話。あぁ、その世界の捉え方をわたしは知らなかった気がする、となんだかひらけた気持ち。文化や教養、そして想像力を身につけることがせめても今の時
-
Posted by ブクログ
創元社のこの特集はとても分かりやすく、これは斎藤真理子さんに続いて2冊目だ。翻訳を趣味としてやっているので、どうやったら良い翻訳ができるのか、考えるヒントになればと思って手に取った。しかし翻訳者になろうというのは最後の話で、他言語、文化をどのように自分ごととして学ぶのかから入って行くので、逆に本書を読むことで一番確かな意思を持ち、学んで行くコツを得ることができる。語学を学ぶと言うことは、どちらかと言うと外堀から固めて行く方が楽しいし、長続きするのだ。著者の言う良い翻訳者とは「良い詐欺師」になることということも腑に落ちる。実際に翻訳にかかる前に10回以上原作を読む、それから本の詩想を捉えてから実