確か新聞で知った本書。なんとなく気にはなっていたものの購入には至っていなかった。
しかし、2021夏の東京オリンピックで陸上の女性選手が強制的に帰国させられそうになって保護を求めて、ポーランドに亡命する、と言うニュースを見ていたところ、同時に報じられていた2020年の不正選挙とその後のデモのこと。
あれ?ベラルーシ、、、そういう本をどこかで見かけなかったっけ?
そうして購入し読んでみることに。
この本が執筆されたのは2012年のこと。作者のメッセージや訳者解説にもあるように、その当時はこんなことが現代のヨーロッパであるわけがない、と批判されたと言う。しかし、2020年に大統領選の不正、デモが報じられると、ここに書かれていることは、本当に今起こっていることなのだ、と周囲も知ることになる。本書は、小説の体を取り、一人の少年が不幸な事故に巻き込まれて昏睡状態に陥り、10年の時を経て目覚める、という設定は設けつつも、そうした事故なども実際の事故をモチーフにしていたり、半分ノンフィクションのようなものなのだ。
そのことには驚かされるし、独裁国家の中のことと言うのは、当然ながら、なかなか外部の人間には見聞きすることが難しく実態が分からないものなので、一国民の生きている世界はこういうものなのか、と思うと、暗い気持ちになってしまう。
フランツィスクの祖母の「いちばんすごい奇跡はいつも、望みがないときに起きるんだよ」と言う言葉には、胸を打たれるが、でも「奇跡」が起こらないと、
いつ反体制とされて投獄されるかもしれない、理不尽なことには気づかない振りで生きて行かなくてはいけない世の中が、変わることがないと言うことでもあり、その状況は、想像しただけで苦しい。
こういう国に生まれなくて良かったと、つい思ってしまう自分がいたのだが、でも、日本でも知らぬ間に多くの国民が反対している法律が制定されてしまったり、官僚の人事権を握って、都合の悪いものはポジションを奪われたり、、そういうことが起こっている。まるで他人事、ではないのだよな、と思わされる。