奈倉有里のレビュー一覧
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本を読むことを全力で全肯定してくれて、胸がいっぱいになった。
饒舌な逢坂さんと、穏やかな語り口で本質を突く奈倉さん。姉弟だけに、共通の価値観(素晴らしいご両親と祖父!)が根底にあり、難しい話もかなーりわかりやすく話してくれてる。
知識量や解像度がすごいし、難しい本ばかり読んでるんだろうな、と思いきや、角田光代を絶賛したり(サイン会に並んだそうだ)、りぼんやジブリやショッカー(⁉︎)などなど、わかりやすい比喩をあげて説明してくれて親近感をもった。
私は同志少女の戦争のゲーム性みたいな書き方が少し嫌だったのだが、そのあたりの作者の意図もわかってよかった。
2人ともニュートラルで、自分の軸がしっ -
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ロシア文学研究者の名倉有里さんのエッセイ。随所にロシアの詩歌が散りばめられ、とても美しく
心が洗われる。
今までロシア文学に触れたことがほとんどなかったので、正直驚く。正確に言えば何に驚いているのかというと、知らずのうちに『ロシア=悪』の感覚でいたこと。今現在戦争をしているロシアという国と、そこに暮らす人々を同じものとして捉えていた。とても怖いことだ。
戦争をすることは決してロシアの人々の総意ではない。調べ、考え、知ろうとすればちゃんとわかるのに。
最終章の『柏崎の狸になる』では、“柏崎原発を人類の当事者として考えたい”という著者の言葉が、胸に刺さる。 -
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物凄く好きな本。
ロシア語を学びにロシアへ赴いた20歳の女性の、文学に対する情熱、大学の先生や学生との葛藤、戦い、そしてロシアという国を前にして感じる無力感。
などが激しく伝わってきた。
文字に込められた感情が躍動していた。
P38
語学学習というと、心の底にあるドロドロした得体のしれないもの。それを掬って言葉にしていくことは、その言語で思考できるようになるための第1歩。
→自分も留学経験があるから分かる。
母語では言えるのに、、、!と何度も悔しさを噛み締めた瞬間。言いたいことがあるのに、その感情を伝えたいのに、言葉が分からないばっかりに地団駄を踏むしかなかった。
「言葉は人を繋ぐこともで -
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翻訳家の翻訳についてのお話。
語学を学ぶポイントについて
P26
これをしている時が心地いいな!
というものを見つけたら、趣味や楽しみのカテゴリーに入れる→ただ楽しむ。
勉強という自覚がない方が身になる。
→これは確かに納得出来た。
P32
留学生時代にルームメイトのマーシャとの会話。
「言葉を学ぶと、子供時代を体験出来るみたいで楽しいね」
と著者が言うと、
マーシャは
「世界にはたくさんの言語があるから、まだまだいくつもの子供時代が体験出来るよね」
こういう発想は無かった。
赤ちゃんでも大人も、言語学習とはまず、一つ一つの音を覚えることから始まる。
自分もそうやって中国語を覚えてきた -
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奈倉有里と逢坂冬馬による対談集、『文学キョーダイ』。
逢坂冬馬は『同士少女よ敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、アガサクリスティー賞、本屋大賞を受賞。迫力ある、フェミニズム小説とも言えるとても力のある作品。今年3月には、2作となる『歌われなかった海賊へ』を出版している。
一方、奈倉有里はラジオに出演しているのを聞いて初めて知り、その際紹介されていた著書『夕暮れに夜明けの歌を』を読んでみると、文学への愛と情熱があふれており、感動したのと同時に同い年ということもあり刺激を受けた。
その二人が姉弟であることは、それぞれが文壇に登場後に発覚したことらしく、ずいぶん驚かれたとか。もちろん私もびっくりした -
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「自分がふだん暮らしている世界とはまったく違う、はるか遠くに感じられるものごとにじかに触れるためには、いったいどうしたらいいのでしょう。この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とはなにかを考えます。」
(シラバスより)
本書は“ロシア文学”を学ぶ“教室”で、主人公のユーラ達が本を読むことで考えたり体験する話。
目次だけでも若者世代への簡潔な読書案内になっているのも素晴らしいが、本の世界が一瞬で現実になる演出(それも本の中だけど)も素晴らしい。
人生経験を積んだ世代ならではの発見もきっとあるはず。豆知識や覚えておきたい名台詞もあり紹介され -
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例えば、知人の前で本を手にしていて「何の本?」とでも尋ねられた時、「ロシア文学の関係の本で、これから読み始めようとしている」とでも応じたとする。こういう場合、十中八九は「多分…手にしないような種類の本だと思う」という反応が在ると思う。
実は、偶々ながら例示したような出来事が実際に在った本書である。新書で377頁と、少し厚めな感じがする一冊だ。が、読み易く、その厚さが気にならない。
雑誌連載を基礎に整理したということであるらしい本書だ。特段にその連載記事に触れた経過は無く、「ロシア文学を説く」ということに漠然と興味を覚えて手にした。そして「意表を突かれた」と思えるような叙述方式に少し引き込まれた -
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最近全然聞かなくなってしまった、高橋源一郎の飛ぶラジオで紹介された作者。ゲストで出演もされていた。それを聞いて以来読みたいと思いつつ一年くらいがすぎてしまって、やっと読んだ一冊。
作者がロシアに留学し、語学学校を経て、ゴーリキー文学大学で過ごした日々を綴ったエッセイ集だ。
作者は私と同じ82年生まれ。こんなにも言語・文学を探究し、愛し、体感した作者に一種の感動を覚えた。
素晴らしい先生や友人たちとの出会いを、自身の文学的な力にすることができたのは、紛れもなく、作者のあくなき探究心と好奇心と努力だ。
作者が愛したロシア文学とそこに住むさまざまな国から来た友人や同級生たち。敬愛する先生との出会いと -
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『ことばの白地図を歩く』。若者向けにゲーム仕立てでおもしろく読みやすいけれど、内容は驚くほど専門的。書いたのはどんな人なんだろう?と気になって経歴をみると紫式部文学賞を受賞した『夕暮れに夜明けの歌を』の著者であり、あの『同志少女』『歌われなかった海賊へ』の逢坂冬馬さんと姉弟だと知り驚いたり納得したり。
「有里先生」と「逢坂さん」。3歳ちがいのおふたりは対談の中でお互いをこのように呼び合い、「文学」「作家という職業」、「戦争や武器」について、専門家同士としてリスペクトしつつ、存分に語り合う。ご両親のエピソードも紹介されるがこれがまた
言葉かけと言い距離感といい、「親の背を見て子は育つ」の諺どおり