奈倉有里のレビュー一覧
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逢坂冬馬は「同志少女よ…」と「歌われなかった…」
の2つの小説を、姉さんの奈倉有里のはエッセー「夕暮れに…」と「世界」臨時増刊のシュリマンの講演を翻訳したものの2つしか読んでない。が、注目しているキョーダイである。
二人が縦横に語る本作は読めば読むほど素晴らしいと思えた。期待の1000倍以上の内容だった。なるほど育てたこの親にして育ったこの子。そうそうありそうな家族ではない。それにしても二人それぞれに見事な自立ぶりである。
高校生や大学生にぜひ読んでほしい。自分が何者かになろうとすることをきっと支えてくれるぞと思った。
子どもを育てる親にも必読だ。
窮屈な世の中に倦んでいる大人にも今一度元気を -
Posted by ブクログ
素敵な本でした。ロシア語にちょっと興味があるかなぁと考えいたこの今、この本に出会ったのは運命的かなと思いました。
ロシアは常にミステリアスで、一歩近づけたと思っても二歩遠ざかるような国。その懐に思い切り飛び込んで、著者は自ら道を切り拓いてきた、もちろんそんな自負はなく、大好きで、大好きだからこそ、諦めない気持ち、今となれば奇跡のような数々の出来事。
そして、それは過去では無く、今日を生きる私にまで繋がって、現在進行形であること。
バトンを渡された訳では無いけれど、本を通じて繋がって、私もちょっとだけ関わる事が出来た、
もうちょっと私も、私の向き合いたいものに真正面から向き合ってみようという気持 -
Posted by ブクログ
本を読むことを全力で全肯定してくれて、胸がいっぱいになった。
饒舌な逢坂さんと、穏やかな語り口で本質を突く奈倉さん。姉弟だけに、共通の価値観(素晴らしいご両親と祖父!)が根底にあり、難しい話もかなーりわかりやすく話してくれてる。
知識量や解像度がすごいし、難しい本ばかり読んでるんだろうな、と思いきや、角田光代を絶賛したり(サイン会に並んだそうだ)、りぼんやジブリやショッカー(⁉︎)などなど、わかりやすい比喩をあげて説明してくれて親近感をもった。
私は同志少女の戦争のゲーム性みたいな書き方が少し嫌だったのだが、そのあたりの作者の意図もわかってよかった。
2人ともニュートラルで、自分の軸がしっ -
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ロシア文学研究者の名倉有里さんのエッセイ。随所にロシアの詩歌が散りばめられ、とても美しく
心が洗われる。
今までロシア文学に触れたことがほとんどなかったので、正直驚く。正確に言えば何に驚いているのかというと、知らずのうちに『ロシア=悪』の感覚でいたこと。今現在戦争をしているロシアという国と、そこに暮らす人々を同じものとして捉えていた。とても怖いことだ。
戦争をすることは決してロシアの人々の総意ではない。調べ、考え、知ろうとすればちゃんとわかるのに。
最終章の『柏崎の狸になる』では、“柏崎原発を人類の当事者として考えたい”という著者の言葉が、胸に刺さる。 -
Posted by ブクログ
物凄く好きな本。
ロシア語を学びにロシアへ赴いた20歳の女性の、文学に対する情熱、大学の先生や学生との葛藤、戦い、そしてロシアという国を前にして感じる無力感。
などが激しく伝わってきた。
文字に込められた感情が躍動していた。
P38
語学学習というと、心の底にあるドロドロした得体のしれないもの。それを掬って言葉にしていくことは、その言語で思考できるようになるための第1歩。
→自分も留学経験があるから分かる。
母語では言えるのに、、、!と何度も悔しさを噛み締めた瞬間。言いたいことがあるのに、その感情を伝えたいのに、言葉が分からないばっかりに地団駄を踏むしかなかった。
「言葉は人を繋ぐこともで -
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翻訳家の翻訳についてのお話。
語学を学ぶポイントについて
P26
これをしている時が心地いいな!
というものを見つけたら、趣味や楽しみのカテゴリーに入れる→ただ楽しむ。
勉強という自覚がない方が身になる。
→これは確かに納得出来た。
P32
留学生時代にルームメイトのマーシャとの会話。
「言葉を学ぶと、子供時代を体験出来るみたいで楽しいね」
と著者が言うと、
マーシャは
「世界にはたくさんの言語があるから、まだまだいくつもの子供時代が体験出来るよね」
こういう発想は無かった。
赤ちゃんでも大人も、言語学習とはまず、一つ一つの音を覚えることから始まる。
自分もそうやって中国語を覚えてきた -
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奈倉有里と逢坂冬馬による対談集、『文学キョーダイ』。
逢坂冬馬は『同士少女よ敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、アガサクリスティー賞、本屋大賞を受賞。迫力ある、フェミニズム小説とも言えるとても力のある作品。今年3月には、2作となる『歌われなかった海賊へ』を出版している。
一方、奈倉有里はラジオに出演しているのを聞いて初めて知り、その際紹介されていた著書『夕暮れに夜明けの歌を』を読んでみると、文学への愛と情熱があふれており、感動したのと同時に同い年ということもあり刺激を受けた。
その二人が姉弟であることは、それぞれが文壇に登場後に発覚したことらしく、ずいぶん驚かれたとか。もちろん私もびっくりした