奈倉有里のレビュー一覧
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奈倉有里さんと逢坂冬馬さんがご姉弟と知った時から、こういう本を待望していたんだと思う。よくぞ出してくださった。
ミーハー的な気分でどんなご家庭でお育ちになったのか知りたかった。納得。自分の子育てにはもうとっくに手遅れなのだが。そもそも親の中身が違うのだから、何十年前から自分をやり直さなければいけない。
「キョーダイ‼︎」のイメージでもう少し軽い感じを想像していたが、内容はとても濃く考えさせられた。文学を愛し、小説を愛し、おかしいことには声を上げ、世界の平和のために行動する。そんなお二人の著作をこれからも楽しみにしていきたい。そして考えを深めていきたい。 -
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ネタバレ授業のたびに物語の登場人物に転生できたら羨ましい?
…いや、本作品はロシア文学限定なのでそうでもないかな(笑)
平凡な男子大学生が授業のたびに登場人物に転生し、自身の生活も顧みるというなかなかチャレンジングな作品。
こんな授業があれば面白いしかなり身に付きそう(とは思いつつ『ソフィーの世界』では哲学はまったく身に付かなかった思い出があります。)大学に通ってるときもっと勉強しておけばなぁ、反省しきりです。読書って精神状態にも左右されるし、精神状態を左右してしまうので、授業のためなら割切ってどんどん読めるかもしれない。仕事でどんどんいろんなジャンルの作品を読む人、すごいなって思います。
気 -
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プラトンが指摘する「高貴な嘘」。パウロが伝える「働かざるもの食うべからず」、それを勤労の美徳としたプロテスタンティズム。しかし、そこに転がっているのは強者に吸い尽くされた弱者の死体。本書では、それが亜鉛の棺に入れられてご帰還だ。帰還兵が持ち帰った土産品を奪い取り私物化する、強者としての税関が腹立たしい。
一点、私には判断がつかない。著者は多量なインタビューを基に原書を出版したが、内容に虚偽、創作があると訴えられた。ソ連兵の蛮行には罪が無いとは言わないが、他人に文書化されて客観的に見る自己には嫌悪感があるし僅かな差も気になるだろう。また、本来は忘れたい行為を記録される事で傷口が開く事だって。何 -
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この作品 好きだな…♡
銀世界が一面に広がる空の下だったり…
枝葉を広げた大きな木の下だったり…
行間からそんな風景が感じられて
深呼吸をした気持ちになりました
言葉という深呼吸…
ロシアの歌集や詩や作家さんなど
その時代の背景や文化や作家さんのお人柄など
奈倉さんの優しい言葉で綴られており
私の心の中に優しい風が吹いてきたように
感じました
奈倉有里さんは
『同志少女よ敵を撃て 』の逢坂冬馬さんの
お姉様!
おふたりともロシア文化について綴っておられ
素敵な間柄だな〜と思いました
反戦、反原発、誰かを傷つけるものがあるならば
それに意を唱え 芯の強さと優しい心と言 -
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ネタバレ「僕は国でいちばんの脱走兵になった」は、
1916年、19歳のセルゲイ・エセーニンが兵役を経験し、戦争について『アンナ・スネーギナ』で語った言葉のひとつ。
ロシアの政治学者エカテリーナ・シュリマンは自身の政治番組で、ロシア人視聴者に、今日の戦争が終わった後に、「脱走兵」は賞賛の対象となるのか、それをふまえて「脱走兵」になるように呼び掛けることはできないか、と問われる。その際、「脱走兵の記念碑」に触れ、脱走兵は評価されるべきだと論じられたそうです。
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ロシアの大学で文学を学ばれ、ロシアに6年間暮らされていた、奈倉有里さん。
これまで読んだことがなかったので、今回が初めてでした。
ロ -
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遊び心があって、楽しい本でした♪
するるっと読めながらも、なかなかに感心する部分がありました。
特に4章は、なるほどなぁと唸りました。
何度も何度も読書体験を積み重ね、母語の読者が感じる思いを蓄積させて、日本語が自然に出てくるまで読み重ねる。
「辞書を拡張」していくという考え方。
二葉亭四迷の「詩想」という考え方。
ふむふむ。
あと、外国語の星占いで外国語を学ぶ!
これはぜひともマネしたい!!
最近わりと翻訳本を読む機会が増えてきたんだけども、楽しく読書できていて、なんなら翻訳物(海外作品)いいじゃん!と思えてるのは、ひとえにこういう翻訳家さんの努力の賜物なのだなと、感謝感謝です! -
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おっとりとした温かい文章の中、反戦・反原発の強い意志が込められていて、奈倉さんのエッセイはやはり好きだと思う。
引用されている数々のロシアの詩も全部知らなかったので紹介していただいてありがたい。
ゲームのチャットで、ロシアやウクライナ、周辺国の方々と交流されているのも、そういう手があるのかと感心した。外国語の習得は大変な努力がいるけど、それに見合った見返り(大変言葉は悪いけど)は現代だからこそしっかりあると思わされた。
そうやって外国に住む人との距離が近くなっているのに、戦いは始まり、長引き、たくさんの人が殺される。誰も止められない。私たちはどういう時代に生きているのだろう。 -
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「文化の脱走兵」まずそのネーミングが良い。
これはエセーニンが脱走兵を称えた詩にヒントを得てつけたものだと言う。「ロシアで1番の脱走兵になった」と誇り、「僕は詩でしか戦わない」と表明したエセーニン。
武器で戦うのではなく、文化で戦う脱走兵。
奈倉有里のロシア文学ネタがやっぱり一番面白い。「つながっていく」のエピソードはゾクゾクした。偶然なのか必然なのか、人と人が繋がっていく醍醐味に痺れた。
そして何より、一番驚かされたのは、柏崎移住。すごいなあ、この人は。おそらく姉弟共通の凄さとみた。「文学キョーダイ!」で知った家庭環境もまた、この人の行動力と真っ当な勇気を形成させたのだと思う。
思いも -
Posted by ブクログ
奈倉さんのエッセイを読んでほしい人は、子育て中、あるいは子どもを持とうと思っている人かもしれない。
子どもの資質を理解して、抑えず、曲げず、かと言って甘やかしすぎることなく育てれば、子どもは勝手に伸びていって、自分がしたいこと、すべきことを知り、それが社会にとってもプラスになる、ということが、身に染みてわかるというか。
奈倉さんのエッセイを読むと、いかに両親や祖父母が奈倉さん(多分弟さんも)の資質を理解し、奈倉さんが深く感じ、考え、想像することを妨げなかったということがわかる。
子どもの頃に新潟の祖父母の家で感じた多幸感は、こちらにも伝わってきて、切ないほどの気持ちになった。こんな気持ちを感じ