奈倉有里のレビュー一覧

  • 背表紙の学校

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    ネタバレ

    良い詩を教えてくれた。

    『けれども、まだ救える
    もし僕らが 賢くあれば

    エヴゲーニー・エフトゥシェンコ』

    『善は 勝ち誇りはしない
    腰かけて 悲しげに
    部屋の隅から じっと
    差し向かいで 悪を見据えてる

    ドミートリー・ブィコフ「不安なときを越えて」』


    そして、下記の章、下記の文章にハッと胸をつかれた。

    『いつまでも不安定な心持ちでもやもや揺らいでいると心が疲弊するので、なにか手近で、ちょうどよく刺激的で、聴き心地のいい言葉がほしくなる。~略~陰謀論や歴史の捏造が人気を集めるのは、それらが依拠しているのが事実では無く「これならあなたの気持ちに『ぴったり』でしょう」と擦り寄るために作られた嘘だからだ。だからこそ、政治家や学者という誰より正誤の判断を重視しなければならない人々が率先して嘘をつく姿を見てしまうと、私たちは絶望したくなる。』

    まさに、胸の内にある漠然としたものを、さらりと言語化してくれる心地好さがこの著者のエッセイにはあって、だから好きなのかもしれない。それだけにこの危うい『ぴったり』と同根であるという指摘にはハッとした。そしてゾッともした。同じように心地好いのか。

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    2026年08月18日
  • 理不尽ゲーム

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    ディストピア小説として読めばおもしろいのだろうけど、これがベラルーシでのリアルな話だと思うと恐ろしい。

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    2026年08月06日
  • 文学キョーダイ!!

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    もっと軽い気持ちで読める対談だと思っていたら大間違い。特に戦争の話になると一気に熱量が上がったように感じられた。こちらも勉強になることがたくさんあった。

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    2026年07月19日
  • 文化の脱走兵

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    ロシア文学の専門家ということでふだん触れることの少ない話題も多いが、大きくはロシア・ウクライナ戦争に関係する問題を筆頭に、そういった環境下で筆者の周囲がどのように振る舞っているかという観点はより普遍的に関心を引くものだと思う。詩の引用が多いのは、専門性もあるが興味の分野が違うからこその彼我の差が面白い。

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    2026年07月19日
  • 背表紙の学校

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    者が研究をされてきたロシアの詩人・アレクサンドル・ブロークの詩が多く引用されていました。

    まったく違う文化圏や時代、暮らしを経験している人にも共鳴できるのは、やっぱりその時の状況、時代の流れ、風景についてある程度知っていたりするからだと思いますが、

    私も著者の解説や紹介を手掛かりに少しだけ想像できたかなー。

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    2026年07月11日
  • 夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

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    こんな日々がずっと続けばいいのに…と思えるほどに文学や詩に夢中な日々を過ごした学生生活。そして、ある先生との出会い。
    エッセイだけど小説のような、ロシア文学にも興味が湧く作品でした。

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    2026年07月05日
  • 文学キョーダイ!!

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    おもしろかったー!!!

    お二人の作品のテイストが違うようでいて、
    同じ世界を見ながら、違う世界を見せて
    くれているような気がしたので、楽しみに拝読。

    家庭での文学との接し方、
    物事の捉え方、
    作者としての考え方、
    そして、今、この時代に生きる私が
    戦争のない平和な世界にするために
    大切なこと。

    どれも本当に心に響く言葉。
    ずっと記憶の中においておきたい、
    その想い。

    そして、最後の奈倉さんの
    「本を読むことによって、
    思考の可能性が開けていく。
    あらかじめ用意された回答で満足なんかしていられないぞ、
    という思考回路ができてくる。
    それが読書の大きな楽しみのひとつなんです」
    という言葉。

    奈倉さんの言葉に触れると、
    読書への期待、希望、信頼感が溢れてきて
    良書をもっともっと読もうと思える。

    とてもいい読書時間だった。

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    2026年06月18日
  • 文化の脱走兵

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    よりよく生きるため、
    社会の、世界の、平和を想うこと
    行動するために
    知性的であること。

    そのためにも、本を読む。
    今、世界で起こっていることに
    疑問を持ち、得られた知識、情報をもとに
    自分の考えを持つこと。

    奈倉さんの文章は、穏やかで、丁寧で、
    優しく、強い。

    だから、信頼できる。深く考えさせられる。

    今、こんな時代だからこそ、たくさんの良書を読もう。

    奈倉さんの文章に触れるたびに、
    強く想う。

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    2026年06月15日
  • 夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

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    読むほどに胸打たれる素晴らしいエッセイ。

    本を読み、深く考える。
    素晴らしい師との出会いで
    人生が光り輝いていく喜び。

    学ぶことの喜び、言葉という光が
    人の心に与える希望。

    読みながら、あぁそうなんだ。
    と、読むことの幸せを噛み締めた。

    学ぶことを諦めそうな時は、
    何度も読み返し、
    言葉を身につけることの光を
    自分でも見つけていきたい。

    そして、
    読後もずっと、学ぶこと、本を読むことが
    その人にいかに知性の輝きと美しさを
    与えるのか、その尊さを何度も思う。

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    2026年06月04日
  • 理不尽ゲーム

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    ベラルーシの少年ツィスクは、群衆事故に巻き込まれ、10年間植物状態に陥る。
    祖母の献身的な看護により、奇跡的に目を覚ますが、その世界は、大統領の独裁政治により10年前よりも生きづらい世の中になっていた。
    主人公に次々とふりかかる理不尽な出来事に心が痛む。
    筆によってこの国の悲惨な状況を暴いた作者に拍手を送りたい。

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    2026年05月28日
  • 理不尽ゲーム

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    原作は『かつての息子』
    表題訳を見て一瞬首を傾げてしまったが、なるほど理不尽なことが次々と起こる。独裁国家の現状に衝撃を覚えた。

    ウクライナ戦争が始まった時、隣国ベラルーシに関心を持った。ソ連崩壊(1990年)後、ベラルーシ共和国になり、初代大統領ルカシェンコが現在も権力を握っている。
    「この本はベラルーシの書店には並べられない」と書かれた作者のメッセージを読み、フランク・パヴロフ著『茶色の朝』のような危うい空気を感じた。

    主人公ツィスクは若者の群衆事故に巻き込まれ昏睡状態に陥る。回復を信じる祖母が付き添い10年後、やっと目覚めた彼が見た日常は…。

    リアルな描写に、私自身が事故現場に居合わせたような息苦しさと恐怖を感じ、社会の閉塞感や絶望感が人を追い詰め動けなくさせるのだと気づいた。
    この本で祖母の存在はとても大きい。
    一心に孫のことを思い介護を続けた愛情深いおばあちゃんは、なんとツィスクが目覚める二日前に…

    理不尽だけどこれが「真実」だと、真っ向から問題を突きつけられた思いがする。考えること、声を上げ行動することを諦めない。人が社会が昏睡状態に陥ってしまうその前に!
                      ☆4.5

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    2026年05月27日
  • 背表紙の学校

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    ロシア文学研究者であり、翻訳者である奈倉有里さんのエッセイ。『同志少女よ、敵を撃て』『ブレイクショットの軌跡』でご活躍の逢坂冬馬さんのお姉さんでもあります。

    奈倉さんの思考や文章の温度感が好きです。
    前作『文化の脱走兵』でファンになり、待望の新刊を嬉々として手に入れたものの、なかなか多忙にて後回しに。心に余裕がある時にゆっくり読みたかったので。やっと落ち着いて読めて大満足。

    今回も、奈倉さんの子ども時代の記憶とロシアの素敵な詩がたくさん出てきます。
    どれもが美しく、悲しく、そして強い。

    詩は好きですが、あまり読むのが得意とは言えない私は、奈倉さんの文章を読む事でぼやけていたものが透き通って染み込んでくる。そんな感覚です。
    今回もロシアの詩をたくさん散りばめながら、反戦、反原発の意を唱えています。でも今回は前回より幅広いテーマで楽しげな話題も多い。あとがきを読むとその理由がわかりました。
    これは何度も読み返して反芻したい、そんなエッセイです。


    「拳は、暴力はいらない。善と暴力は両立しえない。どれほど善い思想であっても、武力を持てばたちどころに壊れる。」p122


     「私たちは家で、列車で、道端で、詩を読んだり聴いたり思い返したりしながら、ひそかに世界の声に共鳴し続ける。どこかからきた声は一瞬にして私のものになり、いつまでも残りながら、同時にほかのすべての人のもとに戻っていく。また誰かが、この不安なときを越えられるように。」p213

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    2026年05月13日
  • 背表紙の学校

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    この人の書いたものをよんでいるとあ、ロシア文学を読みたくなる。ほとんど読まずにきてしまったことに少し焦る。まだ遅くないから読もうと思う。

    大人の笑顔、本当に大事。子どもが小さい頃は朝から笑顔にさせてもらったものだ。今、笑顔でいられる瞬間をできるだけたくさん作っていきたいなと思う。この
    世の中でも。

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    2026年05月12日
  • 背表紙の学校

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    ゲームを長時間していたら怒られるのに、
    本なら何時間読んでいても怒られなかった子ども時代を思い出す。
    寝る前にかいけつゾロリを夢中で読んでいたら、
    小1にはもう目が悪くなっていた(遺伝大)

    同じ娯楽なのになんでだろう?
    大人になった今でもはっきりとは答えられないけれど。

    ロシア情勢や詩文にまつわる話も多く、
    日本も戦争を見て見ぬ振りできないようになってきたなぁとも思うし、ギリギリまで平和ボケさせて…とも思う。
    どんな時も、言葉を紡ぐ人は消えることはなくて
    その言葉から学べることを無駄にしてはいけない。

    表題の「背表紙の学校」、その次の「普通の市民の市長選」いいなぁと思って読んでいたら、「はじまりを掴む」はもっとよかった。
    エッセイ読んでいると、
    毎回こんな感じで次々よくて本を閉じた瞬間、
    「全体的によかった」という着地点に落ち着く

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    2026年05月10日
  • 背表紙の学校

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    大切な人にいただいたサイン本でした。
    奈倉さんの優しい言葉と文章にふれて、とても気持ちよく読みすすめられました。

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    2026年04月30日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    ロシアとの戦争が始まったウクライナで、避難生活を始めたと同時に描かれた絵日記。
    鉛筆だけのモノクロの絵がかえって悲愴を醸し出す。
    地下室は、人々が料理したり遊んだりできるくらい広いんだな。
    まだ戦争は終わっていないが、本書は外国語にどんどん翻訳されているようなので、戦禍のウクライナ人の様子を多くの人々が知るきっかけになればいいなと思う。

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    2026年04月22日
  • 文化の脱走兵

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    非暴力という形で反戦を掲げる志し。弱さではなく逃げるが別の強さであること、今この時代に読めて良かったなと思う。権力などの同調圧力からも離れることに繋がるし、「言葉」で戦う姿勢が著者の強さを感じられた。本を読まないと悪い人に利用されてしまうは本当だと思う。

    好きだったのは「体験は誰かと後日共有して初めて体験になる」こと。心の片隅に思っていたことが言語化された気分。どうしてこんなにも言葉にするのが上手なのでしょうか。

    本や文学は決して作用がないわけではない。私もずっと本を読み続けたいと思う。

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    2026年04月10日
  • 戦争日記 鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々

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    2022年に出ていた本、知らなかった。綴られる絵日記の絵にも、言葉にも胸がいっぱいになる。22年からはや数年の月日が過ぎた。人々はどう生きているのか、思いを馳せる。

    …わたしは民族で人を分けない。
    人を定義するのは、民族ではなく行動だからだ。
    多くのロシア人が戦争に反対しているということも知っている。…

    その思いで、母語のロシア語のまま本書を綴ったのも、心打たれる。

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    2026年02月01日
  • ロシア文学の教室

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    学生向けの平易なロシア文学の入門書。生徒や先生の会話で多様な視点から作品が紹介される。

    学生時代に出会いたかった。

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    2026年01月09日
  • 文化の脱走兵

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    ロシア文学には馴染みがないけれど、紹介されている詩がとても面白い。
    奈倉さんの感性とエピソードがユニークで可愛らしく、じんわり心が温まる。

    「猫背の翼」が特に好き。
    猫鯨に私もなりたい。

    戦争や原発のことを考えると心がギュッとなってしまうが、「気づくことは気づかないよりずっといい」という言葉に救われた。
    大きなことはできなくても、好きなものを好きだと言う、考えることをやめない、今いる場所でできることをやる。
    そういう生き方を選択したいと思った。

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    2025年12月28日