奈倉有里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ良い詩を教えてくれた。
『けれども、まだ救える
もし僕らが 賢くあれば
エヴゲーニー・エフトゥシェンコ』
『善は 勝ち誇りはしない
腰かけて 悲しげに
部屋の隅から じっと
差し向かいで 悪を見据えてる
ドミートリー・ブィコフ「不安なときを越えて」』
そして、下記の章、下記の文章にハッと胸をつかれた。
『いつまでも不安定な心持ちでもやもや揺らいでいると心が疲弊するので、なにか手近で、ちょうどよく刺激的で、聴き心地のいい言葉がほしくなる。~略~陰謀論や歴史の捏造が人気を集めるのは、それらが依拠しているのが事実では無く「これならあなたの気持ちに『ぴったり』でしょう」と擦り寄るために作られた嘘だからだ。だからこそ、政治家や学者という誰より正誤の判断を重視しなければならない人々が率先して嘘をつく姿を見てしまうと、私たちは絶望したくなる。』
まさに、胸の内にある漠然としたものを、さらりと言語化してくれる心地好さがこの著者のエッセイにはあって、だから好きなのかもしれない。それだけにこの危うい『ぴったり』と同根であるという指摘にはハッとした。そしてゾッともした。同じように心地好いのか。 -
Posted by ブクログ
おもしろかったー!!!
お二人の作品のテイストが違うようでいて、
同じ世界を見ながら、違う世界を見せて
くれているような気がしたので、楽しみに拝読。
家庭での文学との接し方、
物事の捉え方、
作者としての考え方、
そして、今、この時代に生きる私が
戦争のない平和な世界にするために
大切なこと。
どれも本当に心に響く言葉。
ずっと記憶の中においておきたい、
その想い。
そして、最後の奈倉さんの
「本を読むことによって、
思考の可能性が開けていく。
あらかじめ用意された回答で満足なんかしていられないぞ、
という思考回路ができてくる。
それが読書の大きな楽しみのひとつなんです」
という言葉。
奈倉さんの言葉に触れると、
読書への期待、希望、信頼感が溢れてきて
良書をもっともっと読もうと思える。
とてもいい読書時間だった。 -
Posted by ブクログ
原作は『かつての息子』
表題訳を見て一瞬首を傾げてしまったが、なるほど理不尽なことが次々と起こる。独裁国家の現状に衝撃を覚えた。
ウクライナ戦争が始まった時、隣国ベラルーシに関心を持った。ソ連崩壊(1990年)後、ベラルーシ共和国になり、初代大統領ルカシェンコが現在も権力を握っている。
「この本はベラルーシの書店には並べられない」と書かれた作者のメッセージを読み、フランク・パヴロフ著『茶色の朝』のような危うい空気を感じた。
主人公ツィスクは若者の群衆事故に巻き込まれ昏睡状態に陥る。回復を信じる祖母が付き添い10年後、やっと目覚めた彼が見た日常は…。
リアルな描写に、私自身が事故現場に居合わせたような息苦しさと恐怖を感じ、社会の閉塞感や絶望感が人を追い詰め動けなくさせるのだと気づいた。
この本で祖母の存在はとても大きい。
一心に孫のことを思い介護を続けた愛情深いおばあちゃんは、なんとツィスクが目覚める二日前に…
理不尽だけどこれが「真実」だと、真っ向から問題を突きつけられた思いがする。考えること、声を上げ行動することを諦めない。人が社会が昏睡状態に陥ってしまうその前に!
☆4.5 -
Posted by ブクログ
ロシア文学研究者であり、翻訳者である奈倉有里さんのエッセイ。『同志少女よ、敵を撃て』『ブレイクショットの軌跡』でご活躍の逢坂冬馬さんのお姉さんでもあります。
奈倉さんの思考や文章の温度感が好きです。
前作『文化の脱走兵』でファンになり、待望の新刊を嬉々として手に入れたものの、なかなか多忙にて後回しに。心に余裕がある時にゆっくり読みたかったので。やっと落ち着いて読めて大満足。
今回も、奈倉さんの子ども時代の記憶とロシアの素敵な詩がたくさん出てきます。
どれもが美しく、悲しく、そして強い。
詩は好きですが、あまり読むのが得意とは言えない私は、奈倉さんの文章を読む事でぼやけていたものが透き通って染み込んでくる。そんな感覚です。
今回もロシアの詩をたくさん散りばめながら、反戦、反原発の意を唱えています。でも今回は前回より幅広いテーマで楽しげな話題も多い。あとがきを読むとその理由がわかりました。
これは何度も読み返して反芻したい、そんなエッセイです。
「拳は、暴力はいらない。善と暴力は両立しえない。どれほど善い思想であっても、武力を持てばたちどころに壊れる。」p122
「私たちは家で、列車で、道端で、詩を読んだり聴いたり思い返したりしながら、ひそかに世界の声に共鳴し続ける。どこかからきた声は一瞬にして私のものになり、いつまでも残りながら、同時にほかのすべての人のもとに戻っていく。また誰かが、この不安なときを越えられるように。」p213
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Posted by ブクログ
ゲームを長時間していたら怒られるのに、
本なら何時間読んでいても怒られなかった子ども時代を思い出す。
寝る前にかいけつゾロリを夢中で読んでいたら、
小1にはもう目が悪くなっていた(遺伝大)
同じ娯楽なのになんでだろう?
大人になった今でもはっきりとは答えられないけれど。
ロシア情勢や詩文にまつわる話も多く、
日本も戦争を見て見ぬ振りできないようになってきたなぁとも思うし、ギリギリまで平和ボケさせて…とも思う。
どんな時も、言葉を紡ぐ人は消えることはなくて
その言葉から学べることを無駄にしてはいけない。
表題の「背表紙の学校」、その次の「普通の市民の市長選」いいなぁと思って読んでいたら、「はじまりを掴む」はもっとよかった。
エッセイ読んでいると、
毎回こんな感じで次々よくて本を閉じた瞬間、
「全体的によかった」という着地点に落ち着く