奈倉有里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレあなたとわたしをつなぐことばの魔法。
「はじめに」を読むと何の本なのかわからなくなって面食らう。読み始めて、ああ、言語学習の本かな、と思う。そしてだんだんと翻訳の話だとわかってくる。著者の読書体験に似たものを自分も持っているし、言語学を学んで翻訳を面白く思っていたこともあるので、楽しく読めた。
本を読む文化というのは、共通するところと違うところを見つけて喜ぶ文化だと思う。本著でも紹介されていたように、生活習慣の細かいところや植物の名前などは何を指す言葉かわかってもどういう意味があるのかわからないこともある。原語で読んだ感覚まで伝えようとするのであれば、翻訳の腕の見せ所となる。子どもの頃に読 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文学研究家・翻訳家の姉、小説家の弟。
この2人が姉弟だったなんて、そりゃ高橋源一郎さんも椅子から転げ落ちるだろう。そんな偶然の一致が起きることは滅多にない。しかしこうやって対談を読むと自分も姉妹だからわかるという雰囲気がある。同じような文化を享受しつつ、ほんの数年の差や本人の受け取り方で異なる視点。別の方向に目を向けているのに、共通する意識。面白く読んだ。
本を読むことの強さを感じる。友だちがいなくたって、いろいろなものに縛られていたって、本を読むことで世界は広がり、自分は変わる。自分もそう思っている。だから本を読めるように生きていきたい。大学はある意味計算ずくで卒業してしまったけど、ひた -
Posted by ブクログ
ネタバレ2022年から2024年にかけて、「群像」に連載したエッセイをまとめたもの。戦時だからこそ、源氏物語をロシア語に訳したデリューシナ先生と文学の話をしたり、オンラインゲーム上のチャットでロシアやウクライナやカザフスタンのさまざまな年代の人たちと他愛ない話をしたり、そういう営みが尊いのだと思う。たくさん引用されているロシアの詩や、白秋など日本の詩からもまた、文化すなわち人々の暮らしや日常の気持ちが読み取れる。
子ども時代に帰りたいけれど、子ども時代への切符はないのだという詩もあったけれど、奈倉さんの子ども時代や祖父母のいる新潟県巻町、留学時代の追憶もたくさんあった。住民投票で原発を食い止めた町、巻 -
Posted by ブクログ
え? 奈倉有里さんて、あの逢坂冬馬さんのお姉様! いやいや失礼ながら存じ上げませんでした。そもそも今回の選書は、先日読んだ第1回「生きる本大賞」受賞作『死ぬまで生きる日記』(土門蘭さん)つながりで、本作が第2回生きる本大賞・第76回読売文学賞を受賞しているからでした。
奈倉さんの肩書が、ロシア文学研究者・翻訳者となっており、逢坂さんの本屋大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』や連なる作品も、姉弟が互いに刺激し合い、影響し合ってる?と想像しました。(お二人の対談本『文学キョーダイ!!』も読んでみたい!)
肩書から受ける硬派な印象とは裏腹に、文章が綺麗で穏やかさと誠実さを感じます。あちこちに -
Posted by ブクログ
『夕暮れに夜明けの歌を』が本当に素晴らしかったので読んですぐに注文した本『文化の脱走兵』。奈倉さんの静かで穏やかな筆致はそのままに、2022年から始まったロシアによるウクライナ侵攻の影が落ちるなか、何を見て、何を感じ、何を心のよすがに生きていくか、人間性を失わないためには何を大事にするべきか、奈倉さんだけの言葉で語られる。好きなものや好きなことを大事にすること、それは誰にも脅かされないこと、常に心に脱走兵を住まわせること。
だけど、いくら心に脱走兵を住まわせていても、それが心の中にいるだけではどうにもならなくなってきていることも事実だと思う。このエッセイが書かれてからも、ウクライナ侵攻の先は -
Posted by ブクログ
とても面白かった。
構成がユニークで、こんな文学ガイドってあっただろうか。
ガイドっていうのは軽いか…
大学の講義形式になってるが、教授が一方的に講義するわけではなく…
学生たちが小説の中の登場人物になって体験する…
どの小説も読んだことがなかった。全部読むというところまでは絶対無理だが、せめて「復活」とか「白夜」とか、チェーホフの短編集(何か読んだことがあると思うのだが、挙げられていたものはどれも読んでなかった)とか、せっかくだからこれを機会に読むというところまでいかないといけないのだが。
青空文庫のアプリの中には、もともと読もう思って読めていない「桜の園」と「かもめ」だけが入っている。 -
Posted by ブクログ
奈倉有里さんと逢坂冬馬さんがご姉弟と知った時から、こういう本を待望していたんだと思う。よくぞ出してくださった。
ミーハー的な気分でどんなご家庭でお育ちになったのか知りたかった。納得。自分の子育てにはもうとっくに手遅れなのだが。そもそも親の中身が違うのだから、何十年前から自分をやり直さなければいけない。
「キョーダイ‼︎」のイメージでもう少し軽い感じを想像していたが、内容はとても濃く考えさせられた。文学を愛し、小説を愛し、おかしいことには声を上げ、世界の平和のために行動する。そんなお二人の著作をこれからも楽しみにしていきたい。そして考えを深めていきたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ授業のたびに物語の登場人物に転生できたら羨ましい?
…いや、本作品はロシア文学限定なのでそうでもないかな(笑)
平凡な男子大学生が授業のたびに登場人物に転生し、自身の生活も顧みるというなかなかチャレンジングな作品。
こんな授業があれば面白いしかなり身に付きそう(とは思いつつ『ソフィーの世界』では哲学はまったく身に付かなかった思い出があります。)大学に通ってるときもっと勉強しておけばなぁ、反省しきりです。読書って精神状態にも左右されるし、精神状態を左右してしまうので、授業のためなら割切ってどんどん読めるかもしれない。仕事でどんどんいろんなジャンルの作品を読む人、すごいなって思います。
気 -
Posted by ブクログ
遊び心があって、楽しい本でした♪
するるっと読めながらも、なかなかに感心する部分がありました。
特に4章は、なるほどなぁと唸りました。
何度も何度も読書体験を積み重ね、母語の読者が感じる思いを蓄積させて、日本語が自然に出てくるまで読み重ねる。
「辞書を拡張」していくという考え方。
二葉亭四迷の「詩想」という考え方。
ふむふむ。
あと、外国語の星占いで外国語を学ぶ!
これはぜひともマネしたい!!
最近わりと翻訳本を読む機会が増えてきたんだけども、楽しく読書できていて、なんなら翻訳物(海外作品)いいじゃん!と思えてるのは、ひとえにこういう翻訳家さんの努力の賜物なのだなと、感謝感謝です!