阿刀田高のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コラムなので気負わずに読める日本語の小話あれこれ。ふーん、へー、と感心することがいっぱい。
なかでも「たそがれどき」の話が好きです。
「たそがれ」はもともと「誰そ彼」と書く。
「むこうにぼんやりと人影が見える。見えるけど、だれだかわからない。ーー彼はだれなのーーと尋ねるくらいの明るさ。Who is he? がそのまま時間帯を表す名詞になっているのだ。」
真夜中を表す「おうまがとき」は「逢う魔がとき」。つまり魔物に出くわす時間帯。
夜が明けきらない早朝は「あさまだき」と言う。これは「朝はまだ来ません」ということ。
花の名前となると「忘れな草」や「宵待草」など、日本人の趣深さと美意識を感じま -
Posted by ブクログ
黎明編の次にこっちも(ただし買ったのはこっちが先)。
やはり、アレクサンドロスとカエサルはおもしろい。古代史の英雄の中でも燦然たる輝きを放っていると思う。
ただ、こういう読み物はどうしても塩野七生のローマ人と比較してしまうのだけど、アントニウスに重きが置かれていた。カエサルも、塩野七生みたいにべたぼれしてる!というよりは軽快な語り口で、悪いこともしてたけどね、みたいな感じ。それでもいいやつだったのだ感はぬぐえない。さすがカエサル。
デモステネスもなかなか興味深い。弁舌だけでのし上がっていくことが可能だった時代からすると、今の政治家のスピーチはいかなるものか。
プルタークが選んだ英雄からさらに阿 -
Posted by ブクログ
切れ味が良い。特に「訪問者」の予想外のラストにはぞっとする。
が、全体的にきれいにまとまった印象が強く、私にはそれがかえって物足りなく感じてしまった。
日常のちょっとしたところを効果的に切り取る描写力、人間の奥底に潜むどろどろとしたものをさらりとまとめあげるストーリーテラーぶり、淡々としつつもファンタスティックな捻りを加えたオチ。
アンソロジーにちょっとずつ収録されて読んだならば、きっともっと「面白い」と思ったことだろう。あるいは、文芸誌に掲載されている形で読んでもよかったかもしれない。
なんと言うか、「喉に引っかかる」ものがない。つるりと飲み込めてしまう。それ自体は全然悪くない、むしろ褒