阿刀田高のレビュー一覧

  • 好奇心紀行

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    好奇心の赴くままに綴られたエッセイ。前半<知の旅>では小説や本に関するあれこれ、とくに松本清張や戦中戦後の思い出にまつわる話が印象深く、意外なところで阪神タイガースを語られていることに驚きました。後半<足の旅>では、異郷の人々や風景の写真が挿絵のように載せられています。プロの写真家が撮影したものらしく、著者の文章とあいまって、カラー印刷ではないにも関わらず色鮮やかに感じられました。

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    2020年09月18日
  • 老いてこそユーモア

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    日本の文化、西洋の喜劇や寓話、ご本人の経験などから見るユーモア考。肩の力が抜ける明るい笑いもあれば、風刺的で苦々しい笑いもあり、ヴァリエーション豊富。ときおり心の声が混ざり込む軽妙な語りにフッと口角が上がる一冊。ひとつの出来事を色んな方向から眺めまわして、ちょっと面白く表現する心の余裕が常日頃から備わっていれば、たしかに長生きできそうです。

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    2020年09月18日
  • 地下水路の夜(新潮文庫)

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    アレは夢だったっけ?と考えるような、または、ぼうっとしていて気づいたときのそれまでとか。あるいは、全部体験したこととといえばそれでも通ってしまいそうな、奇妙な読後感。
    裏表紙にあった「不思議な世界」には、ストーリーだけでなくこの感覚もおおいに含まれてそう。
    現実と、夢や空想のちょうど境目をとろとろと歩いてきたかのようだった。
    5つの名前ゲーム、おもしろそうだな。

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    2020年09月03日
  • ギリシア神話を知っていますか

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    ギリシャ神話についてある程度の概要は掴めたけど、注釈を加える筆者の価値観が古い(当たり前)、やはり時代を感じる

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    2020年08月29日
  • 漱石を知っていますか(新潮文庫)

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    漱石は、高校以来主な代表作は読んでいるが、ただ読んだというだけで、作家の意図をどれほど理解していたかは疑問の残るところである。
    そんな半可通の読者にとっては、貴重な本書といえるか。
    これから漱石を読もうとしている読者にとっても、格好の入門書といえるだろう。
    阿刀田氏は、漱石の代表的な13作品を、平易に解説してくれる。
    それぞれの作品について、A)ストーリーのよしあし B)思想の深さ C)知識の豊かさ D)文章のよしあし E)現実性の有無 F)読む人の好み という共通の六角評価図で、感想をしるしている。
    評価の高いのはやはり、『こころ』と『それから』で30点満点の28点をつけている。
    これを機会

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    2020年08月23日
  • 黒い回廊 阿刀田高傑作短編集 ホラー

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    阿刀田高傑作ホラー短編集。
    不倫してる男女、デジャヴ、の話が多くて、そういうコンセプトでまとめられた短編集なのかな?ホラーの中にも皮肉なオチがついてたりブラックだったりするところが面白い。
    プラスチックを食べる虫を発見して、ごみ処理で一儲けしようとたくらむ男の「妖虫」がお気に入りです。オチに笑ってしまった。なるほどそういうこと…。
    「恐怖の研究」怪異がその姿を現した途端に怖さは半減する、というのに同意。海外のホラー映画とかで化け物がバーンと出てくると一瞬ヒッと驚くけど、後を引く怖さではない。直接的には書かれていない影の部分、そういう恐怖に惹かれます。

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    2020年07月16日
  • ギリシア神話を知っていますか

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    数多の物語の“祖”とも言うべきギリシア神話の触り部分を垣間見、もっと深く内容を知りたくなった。
    入門書としては良き。
    登場人物が多く、複雑な点が多いが、物語自体は、実に人間臭い。

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    2020年07月12日
  • ギリシア神話を知っていますか

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    ギリシャ神話について、作者の思考や解説と共に
    物語が紹介されている内容。

    ギリシャ神話を知らなくても、解説もあるので
    面白く読めます。
    知っていれば、なお面白い?
    こうして読んでみれば、ゼウスのやり放題部分が
    非常に浮き彫りに…。

    案外、というか、きっちり考えられているというか。
    神様が何でもやってしまったりする割には
    制約があったり、それを守らねばならなかったり。
    やりたい放題にしてはいけない、という事でしょうか?

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    2020年06月05日
  • 危険信号

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    1982年から1983年に、様々な出版社の雑誌に発表された短編を10編と、1974年に発表された作品1編、全11編を収録した、寄せ集め的な作品集。単行本は1983年に刊行。


    1974年の作品「裸で殺そう」が強烈にブラック・ユーモア感がありますが、それ以外の作品にはブラック・ユーモア感はあまり感じさせません。
    成熟期の阿刀田高作品集という感じですが、「裸で殺そう」のせいで、全体的なブラック・ユーモアの物足りなさを強調してしまっています。

    ブラック・ユーモア感は物足りなくとも、女性心理を描いた「女ごころ」「女の戦争」は、なかなか素晴らしいオチでしたし、最後にサイコ・スリラーになる「走る男」も

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    2020年05月10日
  • ローマへ行こう

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    『◯◯を知っていますか』シリーズとはまた違った阿刀田作品。夢と現実の間のグレーゾーンを垣間見せてくれる短編集。
    家族の風景
    めぐりあいて
    第三の道
    文学散歩人
    ローマへ行こう
    くちなしの夢
    鈍色の記憶
    夢は嘘つき
    赤い月夜に
    夢売り

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    2020年05月04日
  • ナポレオン狂

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    無駄な言葉がほぼ見当たらず、リズムの良い読書体験ができる。阿刀田先生の文章力の卓越さによるものであるが、肝心のアイデアの部分が全般的に驚きが無いのです。読後感は良いものの衝撃はほぼ無い。それでも心地よい読書ができて良かったなぁ…と思えるのは阿刀田先生のショート作品がホッと一息つける香りの良い珈琲のようなものなのだろう。頭を空にしてぼんやりと読むことをお勧めします。

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    2020年04月26日
  • 異形の地図

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    阿刀田さん

    こんな怖い話があったんだなー…
    みたいな感じの感想。
    男目線で女ってこういうとこあるよなあみたいな
    ぼんやりサスペンス?

    あんまし集中して読めんかったので
    そのうちもう一度読もうかな!

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    2020年02月14日
  • やさしいダンテ<神曲>

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    やはり阿刀田高の「解説本」は面白い。ダンテの神曲といえばだれでも題名は聞いたことがあるだろうが、内容は初めて知った。そして…なんじゃこりゃ。ほとんど自分の周りの人間関係を自分の好みで一刀両断!キリスト教徒以外は問答無用で地獄行き!そして二度しかあったことのない初恋の相手(ベアトリーチェ)を異様なまでに美化した(マリア様と重ね合わせる)中二病的ラブレター!

    これだけ読んだら、何でこんなに世界的な名著となるのか分からなかったが、阿刀田氏の解説によると:
    ・中世の世界観(現生と死後)をリアルに描き出している
    ・ラテン語ではなく優れたイタリア語で記された詩
    ・古代ギリシャ・ローマに目を向けたルネッサ

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    2020年02月03日
  • 悼(いた)む力 逝ったあの人へ、生きる自分へ

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    阿刀田高(あとうだ たかし)さん、初読みです。「悼む力」(2013.6)、エッセイです。悼む心を明日の糧に、よく生きてよく死ぬ、読書が培う悼む力 の3つの章立てです。日本にある世界一の資産、百%に近い識字率、みんなが文字を読み、書くことができる、確かに世界に冠たる資産ですね。おかげで、面白い本を見つけて気軽に読む楽しみがあります(^-^) 

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    2019年07月07日
  • 楽しい古事記

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    2019年、8冊目は、主に隙間読書用に読んでいた一冊。『古事記』にまつわる紀行文や、作者の見解等を絡め、極ライトに読み解いたモノ。

    今から四半世紀位前、おそらく、平成一桁の頃、一度、現代語訳的なモノを読んでいたはずなのだが……。その後の引っ越しの時、処分してしまったか、手伝ってくれた知人にあげてしまったか、とにかく、現在、手元になかったので……。

    特に改元にあたって、のつもりではなく、たまたま、伝承、神話的なモノが読みたかっただけです。

    イザナギ&イザナミ、アマテラス、スサノオ、八俣の大蛇、稲葉の白兎、海(幸)彦&山(幸)彦、ヤマトタケル、……etc。しかし、忘れてるコト多いなぁ。日本神

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    2019年04月09日
  • 新約聖書を知っていますか

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    ど初心者なので、新約聖書の構造と筆者の解釈(それに対する賛否、好き嫌いはあるけど)は聖書の入り口として非常に入りやすかった。

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    2019年04月05日
  • 楽しい古事記

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    大好きな阿刀田高の古典解説シリーズ、今回は『古事記』。
    いつもながらの知識ダダ漏れの阿刀田節、というよりは古事記そのままの大らかな雰囲気の中、「まぐわって」「歌って」「殺す」物語を著者と共に味わう感じの作りになっています。
    もっと早く読んどきゃ良かった…過去の旅先で、古事記にまつわる多くの場所を知らずに通り過ぎていたかと思うと悔やまれます。

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    2019年03月27日
  • 新約聖書を知っていますか

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    新約聖書の解説書というより、もう少し気楽なエッセイといった感じの本です。短編小説の名手として知られる著者だけあって、読みやすく、おもしろい文章でつづられています。

    著者は信仰を持たない者の立場から、新約聖書のなかのいくつかのエピソードを選び出し、それについての考えを自由に語っています。なかでも、聖書に記されたさまざまな奇跡を、「イエス自身が、自分こそ神の使命を受けたものだと、そう自分で信じるためのプロセスだった」という見方は、興味深く感じました。

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    2019年01月27日
  • 知的創造の作法

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    ・知識をダイジェストし、そこからアイディアを生む
    ・ダイジェストに当たっては、そのまんま縮めるのではなく、ポイントだけを強調し、大胆にはぶき、自分なりの奇型をつくる

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    2018年11月04日
  • 短編小説のレシピ

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    著者の読んでいる範囲での短編小説レビュー。この読んでいる範囲が半端ではないぞと感じさせる。また、各編の創作過程を想像しているのだが、当然小説家のプロの目で読み推理しているので我々読者とは違った視点が多く楽しめる。

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    2019年08月21日