五十嵐律人のレビュー一覧
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五十嵐律人『不可逆少年』講談社文庫。
『法廷遊戯』に次ぐ、第2作。長らく本棚で寝かせていた。数年前から講談社文庫だけは1冊ずつビニールフィルムで包まれているので、フィルムを剥くのが面倒でついつい読むのを後回しにしてしまう傾向がある。出来ればフィルムを簡単に剥けるような講談社文庫オリジナル栞をサービスして欲しいものだ。
と、言い訳めいた前置きが長くなってしまった。
『法廷遊戯』は完成度の高い法廷ミステリーだったのだが、本作では視点が一貫せずにどこにテーマがあるのか見い出せず、読後にもやもや感が残った。
少年犯罪に真摯に向き合う家庭裁判所調査官の瀬良真昼を描きたかったのか、犯罪の渦中に身 -
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ネタバレ【内容】
キャンパスの片隅で無料の法律相談所を開いている主人公の古城と相談にやってきた戸賀。
戸賀の住む家の謎を解決したことをきっかけに助手となった戸賀と古城が『無法律』にやってきたリベンジポルノ、毒親問題、カンニング騒動などの事件を解決する物語
【感想】
ひとつひとつの物語が重すぎず軽すぎずでちょうどいいものだった。
解決策もそれぞれで飽きることがなかった。
ただちょうどいい反面、謎自体は予測できるところもあったので驚きまではなかった。
五十嵐さんの作品で確固たる主題みたいなところが見つからなかった作品は初めてだったので、その点も若干の物足りなさに繋がっているのかもしれない。 -
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『六法推理』の概要と感想になります。続編ありきな展開でした。
概要です。
裁判官、弁護士、検察官と法に携わる一家で育ってきた古城は、霞山大学で無料法律相談所(通称、無法律)を自主ゼミとして運営していた。閑古鳥が鳴く日々が常であった無法律に、ある日訪れた独特なファッションセンスに身を包む戸賀夏倫の相談から無法律は動き始める。
感想です。
古城と戸賀を軸に法と向き合う連作短編集でしたが、冒頭に書いた「続編ありきな展開」は"古城が頼りなさ過ぎる"という印象が強かったからです。今後の古城の成長を引き立てるための前哨戦みたいな本作で古城に苛立つものを感じてしまった読者は、無責任な -
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ネタバレ主人公が通う高校は法律に違反しない限り服装・髪型を始め全てが自由な学校だが、校内中に監視カメラが有り、法律に違反した場合は学年・クラス・名前・犯罪行為の内容が全校生徒に明らかにされる。
更に、街は40年ほど前に開発されたニュータウンで、以前から住む高齢者たちは「カツテ」と呼ばれ、カツテと新しい住民とは険悪な仲であることが描かれる。
何やら訳ありな学校と街が出てきて、ディストピア小説なのか??と思いながら読み進めると、同級生が突然死体となって発見され、主人公は街が抱える秘密と向き合うことになる…
今作は誹謗中傷や悪意によって傷つけられてきた加害者家族の苦しみがテーマだ。
加害者本人とは関係な