一色さゆりのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
美術・アート業界という、一般にはあまり馴染みのない世界が舞台。世界的に評価の高いアーティストの、何億という高値で取引される作品たち。大きな金額が動けば、そこには必ず人の欲やエゴが絡み、不穏な輩も現れてくるのは世の習い。その「やばい部分」に果敢に足を踏み入れ、テーマとして取り上げた意欲作である。
もちろんフィクションでアリ、虚実ない交ぜではあろうが、参考とした美術品のオークションや、怪しいアジアの大富豪とのやり取りなど、知らない者にも「ものすごいリアリティ」を感じさせてくれる。
「人前に姿を現さない」孤高の天才作家と、そのマネジメントを一手に引き受けているやり手美女。その美女のアシスタントを -
Posted by ブクログ
酷い差別の現実を初めて知った。
確かに、私達の親の世代は
障害のある方や外国の方を明らかな差別用語で呼んでいた。
ドラマ「サイレント」を少し思い出しながら、当事者の気持ちを推しはかりながら読み進めた。
主人公は小説家。
デフで理髪店を営んでいた祖父母のことを題材に小説を書くため、取材を始める。
初めて知る真実に衝撃を受けるが、
自分ごととして受け止め、
多くの出会いに支えられて、
一冊に仕上げていく。
最初から
気になっていた青馬さんとの恋愛は、
「ふーん。そうだよね」的な終わり方だったかな?
今まで知らなかった歴史を知ることができたのが何よりも良かった。
先日、聾唖の方の接客をする -
Posted by ブクログ
コンサバターシリーズを好きな大きな理由の一つは、とにかく海外気分に浸れるということ。書籍名から、他のシリーズに比べて期待少なめで読み進めましたが、見事に裏切られました。とても面白かったです。
まず、本作でも海外は十分に感じられます。舞台は海外も日本もどちらも(主役の2人がずっと日本にいるわけではないです)。
日本美術は、食わず嫌いでしたが、こちらの作品を読んだことで以前よりぐんと興味を抱けるようになりました。実在の作者作品にまつわる話は思わずへ〜と興味が持てる内容で飽きず、一気に読めた気がいたします。
まだまだ小さいけれど、新しく確かなアンテナを得た感覚があり、シンプルに読んでよかったなと思い -
Posted by ブクログ
2025/09/05予約18
ろう者、CODAなど丸山正樹氏の著書である程度知ってはいたものの、切り取り方が違うため別の驚きもあった。今の時代で何に困っているか、生活の実態についてが丸山氏。対してこちらは過去生き抜いてきた亡くなった祖父と年老いた祖母はろう者同士の夫婦として困難にどうやって立ち向かったのかがテーマ。情報を入手しにくく今よりずっと人間の優劣思想が濃かった時代に夫婦でしっかり考え言葉が遅かった子を育てたことは、どんなに強い人だったのか。普通に育児しても人より遅いことがとんでもなく気になるのに。そしてCODAとして育った子の「口に出して話せばわかる」が通用しない世界を思うと切ない気持