一色さゆりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
美術・アート業界という、一般にはあまり馴染みのない世界が舞台。世界的に評価の高いアーティストの、何億という高値で取引される作品たち。大きな金額が動けば、そこには必ず人の欲やエゴが絡み、不穏な輩も現れてくるのは世の習い。その「やばい部分」に果敢に足を踏み入れ、テーマとして取り上げた意欲作である。
もちろんフィクションでアリ、虚実ない交ぜではあろうが、参考とした美術品のオークションや、怪しいアジアの大富豪とのやり取りなど、知らない者にも「ものすごいリアリティ」を感じさせてくれる。
「人前に姿を現さない」孤高の天才作家と、そのマネジメントを一手に引き受けているやり手美女。その美女のアシスタントを務める若い女性が主人公で、「大きなうねり」に翻弄される様がまたリアル。
ミステリなので殺人事件が起こるが、その「謎解き」がメインのテーマではない...のではなかろうか。アート業界の表裏を描く「お仕事小説」でもあり、最後の最後で気づかされるが、主人公の「成長譚」でもあるのだ。
「狐と狸の化かし合い」のような緊迫したストーリーの中で、読者へのちょっとした「プレゼント」のようなエピソードも挟み込まれていて、盛りだくさんであり、かつ抜かりがない(^ ^
本作がデビュー作らしいが、とてもそうは思えない「手練れ」と見た。他の作品もぜひ読んでみたくなる(^ ^ -
Posted by ブクログ
名画がモチーフとなった5つの短編集。
一色さゆりさん、東京藝術大学のご出身なのだそう。「音のない理髪店」しか読んだことがなくて知らなかったけど、アート関係の小説をたくさん書かれているみたい。これは、読まなくては!
今作で登場する5名は人生の岐路にたっている。そして、名画との出会いが前に進むきっかけを与えてくれる。
ここでいう名画が、あくまでその人個人にとっての大切な絵だということが重要だなと思う。
有名な画家の絵、オークションで高値がついた絵。そういう絵は素晴らしいと素人の私は思ってしまいがち。でも、自分がこの絵が好きだと思う直感をもっと信じてもいいと感じた。
好きな絵がある人は、その絵とどんな風に出会ったか、思い出を振り返りたくなってしまうかも。私もすっかり忘れていたような記憶が蘇って懐かしくなった。