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背後設定が甘い
アート・ミステリとしての出来は2作目以降徐々に向上していく。登場人物のからみ合いも同様だが、2作目ではまだ最初の構想の細部が詰まっていなかったのこか、スケッチ風のままで、人物設定に奥行きがなく、そのためどの人物のイメージもぼんやりしている。政治的背景を絡めたのはトライアルだろうが、実のところアイディアに頼っているだけで書き込みが足りない。おそらくこの作家の手に余る問題だっただろう。
3作目あたりから、アートそれ自体を焦点とする扱いになっていく。描かれる世界は狭くなるが、むしろ作家の美術と美術史に対する関心と調査が表面に出て、作品としての凝集度は上がっていく。BMとのつながりをさっさと切ったのは、おそたく当初からの構想ではなく、作家自身がBMとロンドンについての知識不足を感じて、BMを舞台とするシリーズものとすることを断念したからだろう。そのために登場人物の関係性に集中する度合いが上がったのは良かったと思うが、2作目まではまだ、トライアルとしての色彩が強い。
アート・ミステリ好きで、シリーズでまとめ買いしていなかったら、2作までで「実力不足がひどい」として、放りだしていたと思う。
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小説・文芸
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