一色さゆりのレビュー一覧
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一色さゆりさんは、東京藝術大学卒で香港中文大学大学院を修了されています。この本では、彼女が東アジアの芸術についての造詣も深いことが伺えました。この作品は、アートと生きざまを感じることができる五つの短編集です。
【ハングルを追って】
淀川の遊歩道のベンチに置かれていた一冊のアドレス帳。ハングル文字で綴った持ち主を探すために、美大の事務職の久崎江里子と油画科の助手の早瀬海子が韓国へ向かいます。
韓国と日本。過去の両国の関係と朝鮮戦争がもたらしたことが、いまでも根強く残っています。アドレス帳の持ち主の人となりが明らかになるも、その家族の思いはまた別のところにあるという、複雑な感情を感じました。 -
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フィクションのような、ノンフィクションのような、不思議な読後感。聾唖の人たちの歴史を垣間見て、障がい者の自立や、繰り返されてきた差別について思いを馳せる。
聴覚障害は「人と人のあいだを隔てる障害」というらしい。老化で聴力が低下すると、意思の疎通がしづらくなり、孤立感を深め、認知症につながったり、うつ状態になったりというのも、近年よく聞くようになった。近くに誰かいるのはわかっても、気持ちを伝え合えないというのは、誰もいないよりも孤独なのかもしれない。私も最近、聴力の低下を感じているので、他人事とも思えない。
ハンセン病の方に対する非人道的な政策は知ってはいたけれど、それ以外にも、当事者たちがな -
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コンサバターシリーズ第6弾。
ルーブル美術館での仕事を終え、ロンドンに帰ってきたスギモトと晴香は再び大英博物館に呼び戻される。晴香はリニューアルに向けた修復を、スギモトは大英博物館が所蔵する“略奪品”の返還に向けたプロジェクトチームの一員として。
返還チームのリーダーは、スギモトの元恋人・アンジェラだった。
ある計画を持ってレジストラーに採用された男、アンジェラに届く不審なメール、博物館は大きな謀略の渦に巻き込まれていく。
舞台を大英博物館に戻した久々のシリーズにワクワク。互いに思い合いながらもすれ違うスギモトと晴香がじれったい。
略奪品の問題を大テーマとし、春画、猫のミイラ、文字、お札 -
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初読みの作家さん
「あの本読みました?」でオススメされていたので予約を入れました。
聾者、聴覚障害という言葉は知っていても、その当事者やご家族の苦労や思い、差別を具体的に知る機会はなかなかないので、読んで良かったです。
映画「コーダ、あいのうた」や「ぼくが生きてる、ふたつの世界」でCODA(Child of Deaf Adults)という言葉やご家族の苦悩も知識としてありましたが
本著は優生保護法などの酷い、本当にむごい差別について更に一歩踏み込んだ内容になっています。
ですが、阿波踊りのシーンで浄化され、読後は幸せな気持ちになりました。
ただ、主役のつばめが
祖父に関する本を書き上げ -
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荻原碌山の裸婦像「女」。見る角度、季節、受け手の状態や心持ちなどといった状況の変化で、受け手の感じる印象ががらりと変わるとのことです。
美術鑑賞は好きな方ですが、そんな玉虫色のように変化のある作品にはまだ出会ったことがありません。
是非観てみたいと思いました。
「大丈夫。私の人生だって、そう悪くないはずだ。胸をはって生きていこう」
「大事なのは、誰かにどう評価されるかじゃなくて、あなたが満足しているかどうかだからね」
私には持病があり「人生の貧乏くじ」を引いたなぁと思わずにはいられないこともありますが、他の誰のものでもない自分の人生を楽しんで、誇りを持って生きていけたらと思いました。