一色さゆりのレビュー一覧
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地方紙の書評で拾った本。
著者は元々、アートミステリーで注目された作家だが、本作は一般小説。
著者を思わせる主人公が、日本の最初期の聾理髪師となった祖父の足跡をたどる物語である。
聾の親の元に生まれ、自身は耳が聞こえる人をCODA(Children of Deaf Adults)と呼ぶ。数年前にCODAを主人公とした映画がヒットし、話題となった(「コーダ あいのうた」)。映画は大きな賞も受賞した感動作なのだが、実のところ、CODAには負担も大きい。常に親の通訳の役割を求められがちで、時にはヤングケアラーのように、大人が担うべき責任を幼少期から背負わせられることもある。友達の家庭と比べて違いに -
Posted by ブクログ
仕事をなくした主人公のもとに、ある日、旅行会社から「アート旅」のモニター参加の招待状が届く。空港で待っていたツアーガイドの話やアートに触れるうち、沈んでいた気持ちが開かれていきー。
〃アートに触れることは自分を見つめ直すいい機会〃を軸にした4章構成の小説。悩みを抱えるメインキャラがそれぞれに登場し、ツアーガイドと一緒にアートに触れ(美術館へ行く)、人生のヒントに気づいていくお話。作品の背景や作者についてといったアートの解説と、各章のメインキャラの心情が絡み合っているので、スッと話に入っていける。
「アートや旅によって心がひらかれる瞬間」
ひらかれるという言葉が、冬から春になると空気とか陽 -
Posted by ブクログ
『音のない理髪店』以来、一色さゆりさん2冊め。
東京オークション(東オク)が社運をかけた、かの有名なウォーホル、ピカソ、新進気鋭のアーティストetc..が集う会場で爆破予告が。
東オクの社員・美紅や凛太郎が出会うオークションに参加するクライアントたちの、アートへの葛藤や欲望が渦巻くなか、オークションショーが始まるまでのストーリー。
各章ごとにアート作品を作るアーティスト、手持ちの作品を出品する人、アーティストを運営する経営者…お金のために家族のために、自分自身のために、兎にも角にも葛藤が渦巻く人間の性を目の当たりにした世界。
『欲』というのは、お金が絡むと混沌とする…。
そんな彼らと接し -
Posted by ブクログ
「ピカソになれない私たち」に続き、
著者の作品を読むのは二作目です。
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オークションを支配するのは、
金への欲望か、
美への欲求かーー
当日の会場
爆破予告!
この競りには裏切り、
不正が蠢いて、誰もが
犯人に見えてくる
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時代を超えて愛されるアート。
アートを自分のものにするためにお金を払う。
アーティストは自分の作品と才能をお金で証明する。
東京オークション主催の話題作品を取り揃えたオークションに爆破予告が届く。
誰が何のために。
入社して三年目