一色さゆりのレビュー一覧
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ネタバレ【収録作品】
オスロで光の種をまく
青い馬の瞳
富士山のハンマープライス
千年のあこがれ
モナリザの裏側
「オスロで光の種をまく」ムンクの《叫び》《夏の夜、声》他。
「青い馬の瞳」ナチスドイツ下。ヒトラーからフランツ・マルクの《青い馬の塔》を守る。
「富士山のハンマープライス 」 ゴッホの《医師ガシェの肖像》。
「千年のあこがれ 」エドゥアール・マネ《スミレの花束をつけたベルト・モリゾ》。戦前の京都。女性画家を目指す二人の闘い。
「モナリザの裏側」 ティツィアーノの《田園の奏楽》。
静かな闘いと意志が感じられる短編集。
今はネットで絵が見られるから、確認しながら読めるのはありがたい。 -
Posted by ブクログ
最近、アートもの作家としてちらほらお見かけする、一色さゆりさんのデビュー作。
元々、原田マハさん、ダン・ブラウン氏といった、アート系ミステリーが好物ということもあり、期待を胸に本書を手に取った次第です。
マスコミや関係者すらその正体を知らない現代芸術家・川田無名。
ある夜、無名の唯一の接点であり、彼の作品を世に送り出してきたやり手ギャラリスト(画商)の永井唯子が殺害されてしまい…。
物語は川田無名のプライマリー・ギャラリーに勤務し、唯子のアシスタントをしていた佐和子の視点で描かれます。
唯子の死という事件と、彼女が殺害される直前にギャラリーに届けられた、数億円の価値のある無名の過去の大作を巡るあれこれを軸に話は展開していくことに・・。
著者の一色さんは実際にギャラリー勤務の経験がおありということで、そのキャリアを活かしたアートビジネス業界の事情がリアルに描かれていて、“現代アート”という一見つかみどころがないものに高額の「値段」がつくことのある種の不思議さを感じつつ読みました。
特に香港のオークションでの緊張感溢れる場面は、会場の熱気が伝わってくるようでしたね。
(香港のシーンは、原田マハさんの『アノニム』を彷彿とさせるものがありました。)
ミステリとしては、ある程度予想通りな結末で、終盤の佐和子の“真相解明語り”が長い&一気すぎるという気がしないでもないですが、落としどころとしては無難な着地だったかと思います。
ということで、現代美術を扱う現場を舞台にした“お仕事小説”としても楽しめる、アート・ミステリを堪能させて頂きました。
美術ミステリの新星、一色さゆりさんの他の作品も是非読んでいきたいですね~♪ -
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一色さゆりさんは、東京藝術大学卒で香港中文大学大学院を修了されています。この本では、彼女が東アジアの芸術についての造詣も深いことが伺えました。この作品は、アートと生きざまを感じることができる五つの短編集です。
【ハングルを追って】
淀川の遊歩道のベンチに置かれていた一冊のアドレス帳。ハングル文字で綴った持ち主を探すために、美大の事務職の久崎江里子と油画科の助手の早瀬海子が韓国へ向かいます。
韓国と日本。過去の両国の関係と朝鮮戦争がもたらしたことが、いまでも根強く残っています。アドレス帳の持ち主の人となりが明らかになるも、その家族の思いはまた別のところにあるという、複雑な感情を感じました。そのあとに、韓国にルーツを持つ助手の女性の作品と、アドレス帳の持ち主の家族からの手紙に心からの思いを感じました。読後感がとてもよかったです。
【人形師とひそかな祈り】
人形師、若柴正風が作る御所人形には、不思議な力があるという噂が······。子供の災難を取り除くといわれているのだが、当の本人にはそうとは思えない過去がありました。
フィリピンの人形と日本の人形、両方ともに思いが込められたものには、本当に不思議な力があるのかもしれません。優しい気持ちになれる作品でした。
【香港山水】
デモ隊と警察が激しくぶつかり合う香港。香港の闇と個人的な闇のなかに、光が見えてくるのかと、今に繋がる重い問題が書かれていました。闇のなかの光を描くといわれている一人の水墨画家と関わる人たちとの物語でした。香港は華やかさだけではない場所であることを心にとめておきたいと思いました。
【写真家】
モンゴルで記憶喪失になった写真家の父親。長い間離れて暮らしていた姉妹が、再会した父親を写真を通して受け入れていく物語。
親子だからできる許しのような気がしました。
【光をえがく人】
元日本一暑い町のミャンマー料理店に飾られた絵を巡る店主の過去の話が語られていました。ミャンマーの複雑な国家事情とともに、そこでどのような思いで生きてきたのかを知ることができました。未来のために残そうとしたものを壊さなければならないということに、複雑な思いを感じました。
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コンサバターシリーズ第6弾。
ルーブル美術館での仕事を終え、ロンドンに帰ってきたスギモトと晴香は再び大英博物館に呼び戻される。晴香はリニューアルに向けた修復を、スギモトは大英博物館が所蔵する“略奪品”の返還に向けたプロジェクトチームの一員として。
返還チームのリーダーは、スギモトの元恋人・アンジェラだった。
ある計画を持ってレジストラーに採用された男、アンジェラに届く不審なメール、博物館は大きな謀略の渦に巻き込まれていく。
舞台を大英博物館に戻した久々のシリーズにワクワク。互いに思い合いながらもすれ違うスギモトと晴香がじれったい。
略奪品の問題を大テーマとし、春画、猫のミイラ、文字、お札など美術品の興味深い話が満載。
そのせいか、メインテーマである謀略が遅々として進まず、次に続く…となってしまったのが残念。ここは小テーマを端折ってでも一冊にまとめてほしいところ。
次作がいつになるかわからないけど、詳細を忘れた頃に出すのだけはやめてほしい。
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荻原碌山の裸婦像「女」。見る角度、季節、受け手の状態や心持ちなどといった状況の変化で、受け手の感じる印象ががらりと変わるとのことです。
美術鑑賞は好きな方ですが、そんな玉虫色のように変化のある作品にはまだ出会ったことがありません。
是非観てみたいと思いました。
「大丈夫。私の人生だって、そう悪くないはずだ。胸をはって生きていこう」
「大事なのは、誰かにどう評価されるかじゃなくて、あなたが満足しているかどうかだからね」
私には持病があり「人生の貧乏くじ」を引いたなぁと思わずにはいられないこともありますが、他の誰のものでもない自分の人生を楽しんで、誇りを持って生きていけたらと思いました。