一色さゆりのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ美術というこれといった正解がない世界でもがく大学生たちのお話だった。読んでいてずっと苦しい。
いろいろなタイプの大学生4人だけれど、読み進める中で誰かしらに感情移入できる気がする。
苦しいシーンが多かったけど、最終的にそれぞれが自分が納得する形で進んでいたのが本当によかった。森本先生も含めて。
自分らしさとは何か、才能とは何かを考えさせられた。お互いにないものねだりで、他者が羨ましく妬ましく感じることもある。でも作品の中の詩乃の思いの中で、他人には他人しか描けない絵があるけれど、その分自分にしか描けない絵がある、みたいな言葉のように考えられるということが生きていく上で、美術に限らず大事か -
Posted by ブクログ
エンターテイメント・ユーモアお仕事ミステリー小説ですね。
新聞社の文化部の山田(三十才)と新人の雨柳円花(二十六才)のコンビが、新連載の”日本の文化を発見する“を担当することに~。
山田は慎重な「橋を叩いて渡る性格」
円花は自由気儘天衣無縫の性格。民俗学の権威の祖父を持ち、小さい頃から可愛がられ、共に取材の旅をした経験を持つ。並々ならぬ慧眼の持ち主。
そんな凸凹コンビが、日本の奥深さを求めての物語。
美味しい食べ物と、文化遺産、そして人びととの出逢い。
バラエティー豊かに、作家の一色さんの美術知識に裏打ちされて、ユーモアたっぷりに綴られています。
とにかく、面白い、エンタメたっぷりで、円花 -
Posted by ブクログ
美大の大学生の青春物語ですね。
国立の東京美術大学油画科の四年生で、厳しい指導で知られる森本ゼミの四人の青春群像です。
作者さんが、東京芸大の出身ということもあり、美術の世界の仕事を経験した、一色さゆりさんの渾身の一冊です。
美術家を目指す四人が、個性豊かに描写されています。
作品を作り出す苦悩や、それぞれのトラウマと格闘しながら、自分を見つめ直す成長物語ですね。
美大生の生活の一面も興味深いですね。
芸術家として、大成できるのは、一握りに過ぎない。自分には才能は、本当に有るのか、そもそも「才能」とは何?
芸大生の苦悩と挑戦も浮き彫りにしています。
教授の森本の強引な指導の影に有るものは、 -
Posted by ブクログ
原田マハさんの本を読んでいて、
ピカソ、ゴッホ、モネをネットで検索した時に
偶然見つけた一冊です。
表紙が衝撃的で。
最寄りの駅中の小さな本屋で見つけました。
この書店の仕入れ担当、
私と趣味一緒なのでは、と思ってしまう品揃えなんです。
少ない商品数なのに、遭遇率高いです。
本書は、国立の美術大学が舞台です。
厳しくて有名な森本ゼミに集まった、4人。
それぞれが、事情を抱え、悩み、葛藤します。
学生たちの内側を引き摺り出そうとする森本の真意は?
過去が明かされたりと、少しだけミステリーのような要素も。
嫉妬と自己嫌悪と自己防衛。
描かずにはいられないのに、知らないうちに見失って迷子にな -
Posted by ブクログ
コンサバターシリーズ第3弾は、安土桃山時代の狩野永徳の落款が記された屏風絵の修復にまつわる物語。
永徳の屏風絵「四季花鳥図」の復元を賭けて3組のチームによるコンペが行われることになる。完全に失われた春の部分を復元するため、日本に飛ぶスギモトと晴香。
何が描かれていたのかすらわからないものを修復(すでに創作に近い)するための調査。以前の持ち主を辿り、画に関する記録を探し求めるという気の遠くなるような作業。修復士ってこんなことまでするのかと驚きの連続。
そんな時、恩師から日本に帰って自分の工房で働いてくれないかと誘われ迷う晴香。引き止めて欲しいのにつれないスギモト。すれ違う2人の心。
そしてコン