あらすじ
日陽新聞社本社文化部に異動してきた雨柳円花に、先輩記者・山田文明が持った印象は最悪だった。タメ口だわ、SNSで人気者だわ、社会人としてキチッとしてないわ……そして自分より先に企画が採用されるとは! アートにだけは並外れた知識と興味がある円花が企画した〝日本文化を再発見〟する新連載、その補佐役を山田は命じられる。雄勝硯、大津絵など、取材で各地をまわるうち、自由奔放なだけではない円花の良さに山田は気づく。完全補完関係コンビによる取材の成果をお届けします! 芸大出身の著者が紡ぐ、エンタメ度満点の文庫オリジナル小説。
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Posted by ブクログ
エンターテイメント・ユーモアお仕事ミステリー小説ですね。
新聞社の文化部の山田(三十才)と新人の雨柳円花(二十六才)のコンビが、新連載の”日本の文化を発見する“を担当することに~。
山田は慎重な「橋を叩いて渡る性格」
円花は自由気儘天衣無縫の性格。民俗学の権威の祖父を持ち、小さい頃から可愛がられ、共に取材の旅をした経験を持つ。並々ならぬ慧眼の持ち主。
そんな凸凹コンビが、日本の奥深さを求めての物語。
美味しい食べ物と、文化遺産、そして人びととの出逢い。
バラエティー豊かに、作家の一色さんの美術知識に裏打ちされて、ユーモアたっぷりに綴られています。
とにかく、面白い、エンタメたっぷりで、円花の自由奔放にかき回されながら、それでも何故か、取材先の人びととからは、気に入られてしまう。
五話とエピローグの短篇連作物語です。
新聞社の悲哀もテーマにあり、円花と山田の過去のトラウマあり、人間模様も巧みに紡ぎ出されていてホロリともさせてくれます。
読みごたえのある作品でした。