あらすじ
狩野永徳の落款が記された屛風「四季花鳥図」。約四百年前、焼け落ちた安土城から唯一残ったというその逸品は、なぜか「春」の部分だけが完全に欠落していた。これは本当に永徳の筆によるものなのか。復元を依頼された修復士のスギモトは手がかりを探るために助手の晴香とともにロンドンから京都へ飛ぶ。圧倒的リアリティの美術×歴史ミステリー!
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Posted by ブクログ
コンサバターシリーズを好きな大きな理由の一つは、とにかく海外気分に浸れるということ。書籍名から、他のシリーズに比べて期待少なめで読み進めましたが、見事に裏切られました。とても面白かったです。
まず、本作でも海外は十分に感じられます。舞台は海外も日本もどちらも(主役の2人がずっと日本にいるわけではないです)。
日本美術は、食わず嫌いでしたが、こちらの作品を読んだことで以前よりぐんと興味を抱けるようになりました。実在の作者作品にまつわる話は思わずへ〜と興味が持てる内容で飽きず、一気に読めた気がいたします。
まだまだ小さいけれど、新しく確かなアンテナを得た感覚があり、シンプルに読んでよかったなと思いましたし、美術にほんの少しでも興味がある人には是非勧めたいなと思った一冊でした。
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コンサバターシリーズ第3弾。今回は日本の屏風の修復についてです。修復、という言葉一つは簡単ですが、その背景や歴史、筆遣いなどありとあらゆることを調べて知って…、ようやく手を付けられるスゴイ仕事だと痛感。材料から何から揃えるのも大変だし、期限もあるだろうし。恐ろしい世界だ…。そしてほんの少しずつですが、ケントやヘルとの仲も進みつつあり、続きが楽しみになりました。
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シリーズ3作目。
安土桃山時代の狩野派の屏風が出てきて、その周辺の勉強にもなる。スギモトの過去や両親について、晴香の今後についての迷いと決意も。
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美術品なんて全然知らなかったが、さすが専門家、復元についてまでもわかりやすく興味が持てた。また登場人物たちもなかなか魅力的で、特にプロローグの兄弟で一気に引き込まれた。願わくば兄のこともう少し知りたかった。
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資料のないものからの復元。
歴史や美術品を検索しつつ読むのがおもしろい。
人間関係がまとまってきて、面白くなりそうなところで、いなくなった。
次作また楽しみ。
原田マハさんの『風神雷神』も読み返したくなった。
Posted by ブクログ
小説誌で読んだ一色さゆりさんの短編が面白かったので他の作品も読みたいと思い、まずこれを読んでみました。これはシリーズの第3作なので読む順番を間違えた感はあるけど、単独の作品としても充分楽しめました。
日本史好きとしては狩野永徳・光信親子の話だけで充分一作品になるくらい面白かったし、最後の審査のところもドキドキした。
ジャンルはなんであれ芸術に関するものは心を豊かにしてくれるから好きです。
Posted by ブクログ
コンサバターシリーズ第3弾は、安土桃山時代の狩野永徳の落款が記された屏風絵の修復にまつわる物語。
永徳の屏風絵「四季花鳥図」の復元を賭けて3組のチームによるコンペが行われることになる。完全に失われた春の部分を復元するため、日本に飛ぶスギモトと晴香。
何が描かれていたのかすらわからないものを修復(すでに創作に近い)するための調査。以前の持ち主を辿り、画に関する記録を探し求めるという気の遠くなるような作業。修復士ってこんなことまでするのかと驚きの連続。
そんな時、恩師から日本に帰って自分の工房で働いてくれないかと誘われ迷う晴香。引き止めて欲しいのにつれないスギモト。すれ違う2人の心。
そしてコンペ当日、最後に晴香が選んだ道は‥‥
コンペの勝敗の行方よりも2人の行末が気になった後半、晴香が鍵師の律子から伝え聞いたスギモトの言葉「恋愛なんかじゃ終わらせたくない」に胸キュンでした。
助手からパートナーに昇格し、さあこれから!という時に置き手紙。スギモトめ〜。すでに第4弾が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
コンサバターシリーズの3冊目ですね。
今回は日本の作品、狩野永徳の失われた作品「四季花鳥図」の復元を巡る歴史ミステリーとスギモトの家族に関わる謎の物語。晴香の過去も明らかになってくる。
流石に一色さんは美術畑だけにものすごく知識欲を掻き立てられました。修復のメカニズムにも微に入り細にわたりため息が出るくらいですね。
キャラクターがかなりのリアクションをするようになり、物語が生き生きしてきましたね。
永徳と光信父子と京都狩野の山楽の歴史背景はとにかく面白くて興奮しました。
スギモトと晴香の恋愛の方はどうなるのか、期待が高まってところで予期せぬラストに唖然です。
次回作まで引っ張るとは一色さん、なかなかやりますね。