宇佐見りんのレビュー一覧
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「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
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「推し」という言葉をネットでちらちら見かけるようになった。私が日本に住んでいた頃にはなかった言葉だ。この本を読んでようやく推しの意味が分かったような気がする。この本の語り手は推しは生きる糧であり背骨だと言う。学校で落ちこぼれ、生活能力もない彼女は、しかし「推し」の分析はきちんとSNSに書き込み、仲間とコミュニケーションも出来る。そういうことが上手にできるのならもう少しまともな生活ができるのではないのか?と思う私はこの語り手の家族と同じなのだな。文章は少し萩原朔太郎のねっとりした詩を思い出させる。
著者がうちの末っ子と同じ年齢で、この本を5年前に出版しているということに一番驚いた。本人のあとが -
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
Posted by ブクログ
どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
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Posted by ブクログ
高橋源一郎さんのラジオで紹介されているのを聞いて読んでみた。
同じ状況でも「気づいてしまう人」と「気づかずスルーする人」がいると思うが、
「女であること」で少なからず嫌な思いをした経験は誰にでもあると思う。
痴漢について、本筋からはずれるかもしれないが、これだけ多くの女性が被害に遭ってる、ということはそれだけ痴漢をやったヤツがたくさんいる、ということよね?
もしかしたらそこにいる善良そうなおぢさん、爽やかそうなお兄さん、しょぼくれたおじいさんだって!
それでもみんな知らんぷりして普通の生活をしているんだろう、と思うとものすごく腹立たしい。
またまた話がズレるが最近読んだ大谷晶さんが自分をすごく -
Posted by ブクログ
160ページ、行間も大きな本なので短時間に読めるだろうと思ったら大苦戦。
独特の表現に追い付いて行けなかったり、容赦ない場面切り替えに戸惑ったりは宇佐美さんの文章の特徴でもあり凄さなので仕方ないとして、内容的に辛く。
酒を飲んでは暴れる脆い母、身勝手な父、逃げ出した男兄弟。いわば前作『かか』の世界をさらに厳しくしたような内容です。全員が被害者意識の塊の様な家族。誰かの発言が他の家族の被害者意識を誘発し、さらにそれが・・・。それでも家族としてまとまるべきだと考える娘が主人公なのですが、さすがにこれは無理でしょうと。
絶賛される人も多いなか、私には『かか』の世界が限界で、この作品の家族の姿が生理的